人は、死ぬ。
それは誰にも変えられない理だ。だからこそ私たち死神は、その魂を導き、虚から人々を守る。
それが護廷十三隊…私たちに課せられた使命だ。
私は十三番隊所属、朽木ルキア。つい数十年前に護廷十三隊へ入隊したばかりの、まだまだ未熟な死神である。
尸魂界では、近年になって現世任務の体制が大きく見直された。昔は一つの異変へ対応するまでに時間が掛かり、その僅かな遅れが、多くの命を奪ったという。
仲間を失い、守るべき者を守れなかった苦い過去。その悲劇を二度と繰り返さぬよう、護廷十三隊は大きく変わった。
隊士の育成や情報伝達、更には現世との連携。全てが徹底的に見直され、各地へ死神を常駐させる制度も整えられた。
その改革を進めたのが――護廷十三隊一番隊隊長、雀部真叶。
護廷十三隊…いや尸魂界で彼の名を知らぬ死神はいない。
"現代最強"と謳われるその隊長は、誰よりも仲間を守ることを望み、誰よりも厳しく、誰よりも優しい人だと聞く。
……もっとも。私のような下級死神が直接話す機会など、ほとんどないのだが。
今回、私に与えられた任務は現世・空座町の巡回である
私の所属する部隊…十三番隊における隊長・浮竹隊長の命を受け、一定期間この町に滞在し、虚の討伐と魂葬を行う。
特別な任務ではない。いつも通りの現世任務。
そう――この時の私は、本気でそう思っていた。
この町で出会う一人の人間が。私自身だけではなく、尸魂界そのものの運命を大きく変えてしまうなど。この時の私が知る由もなかった。
「この辺りかーー成程強い魄動を感じる…。」
ーー"斯くて刃は振り下ろされる"ーー
◆
俺には昔から、幽霊が見える。
最初は夢だと思っていた。
誰もいないはずの公園で泣いている子ども。夕暮れの踏切で、線路の向こうをじっと見つめる老人。病院の廊下を行き交う、誰にも気付かれない人影。
周りの人間には何も見えていない。
だから最初は、俺がおかしいんだと思っていた。
けれど、そうじゃなかった。
そいつらは確かに存在していて、ただ俺だけが見えている。
おかげで余計な揉め事にも何度も巻き込まれた。
幽霊を助けようとして不良と喧嘩になったこともあるし、見えない相手に話しかけて変人扱いされたことも一度や二度じゃない。
……慣れたさ。もう今さら驚きもしない。見えるものは見える。それだけの話だ。だから俺は今日も、いつも通り学校へ行き、友達とくだらない話をして、家へ帰る。
俺の実家は黒崎医院…ヤブ医者である親父が営む自営業の店だ。帰って早々親父の馬鹿みたいな飛び蹴りをかわし、
「帰ったぞ。」
妹たちと夕飯を食い、
「お兄ちゃん、おかわり!」
「自分でよそえ。」
そんな、どこにでもある一日。
ただ少しだけ違うのは。
窓の外を流れる風が、妙に冷たかったことくらいだ。
「……。」
嫌な感じがする。理由なんてない。それでも、肌が粟立つような感覚だけが消えない。俺は部屋へ戻り、制服を脱ぎ捨てるとベッドへ腰を下ろした。
机の上には読みかけの雑誌。壁には時間を刻み続ける時計。窓の外では夜風がカーテンを揺らしている。
いつもと変わらない部屋。
……の、はずだった。
「…………は?」
思わず間の抜けた声が漏れる。
部屋の窓際…そこから、一人の少女が壁をすり抜け歩いて来た
少女は黒い着物に腰には日本刀。肩まで伸びた黒髪が、月明かりに照らされて静かに揺れている。
年は俺と同じくらいか。だが、その格好だけはどう考えても普通じゃない。
コスプレ……か?
いや、違う。いやそれよりもいつ入った。鍵は閉めてあったはずだ。
窓だって閉まっている。なのに、その女は当たり前のような顔で俺の部屋に立っていた。
俺にはまだ分からない。この少女が何者なのか。そして、この出会いが。
俺の運命だけでなく、世界そのものを大きく動かす始まりになることを。
ーー隠密機動より中央四十六室へ行方不明及び重禍違反者一名発見ーー
後に尸魂界を揺るがす世紀の大事件の火種はただゆっくりと静かに幕を下ろしたのであった。
◆
現世それは生者と死者、その境界が最も曖昧になる世界。
死神とは、本来その均衡を守るためだけに存在する。
虚を討ち、魂葬を執り行い、魂の循環を維持する。
それが護廷十三隊に課せられた絶対の使命であり、何百年もの間、一度たりとも揺らぐことのなかった原則だった。
故に、死神には幾つもの絶対遵守事項が存在する。
現世へ不要な干渉をしないこと。
人間へ死神の力を与えないこと。
現世と尸魂界、その均衡を崩さないこと。
これらはいずれも、護廷十三隊の根幹を成す掟である。
死神の力とは、単なる戦う力ではない。それは魂魄そのものを書き換え、生命の理へ干渉する力。
人間が本来持つべきではない、尸魂界だけに許された権能である。
故に、その力を生者へ譲渡することは禁忌とされるのだ。
一時的であれ永続的であれ、その瞬間から世界の均衡は揺らぎ始める。
だからこそ歴代の護廷十三隊は、いかなる理由があろうともその掟だけは破ることを許さなかった。
例外は存在しない…誰であろうと。どのような事情があろうと。
掟を犯せば裁かれる。それが護廷十三隊であり、尸魂界という世界だった。
そして今――。
一人の若き死神が、その禁忌を犯した。
十三番隊所属…名は朽木ルキア。五大貴族である朽木家の養子に迎えられた少女である。
彼女は己の死神としての力を、一人の人間へ譲渡したのである。
その報せは、一匹の地獄蝶によって瀞霊廷へ届けられた。
それは、一隊士の失態などではない。護廷十三隊そのものを揺るがす、前代未聞の事件の幕開けだった。
ここは瀞霊廷中央――護廷十三隊総本部…ここは現在重苦しい沈黙が広々しい空間全体を支配していた。中央に置かれた机には、一枚の緊急報告書。
その文字へ視線を落としながら、雀部真叶は静かに目を閉じる。
報告内容は簡潔だった。
現世派遣中の十三番隊所属・朽木ルキア。
虚との交戦中、故意に人間へ死神の力を譲渡。
現在は死神としての霊力を喪失中である。
よってこれ以上の任務続行不能と判断する。
……
その一文だけで十分だった。
「…………。」
真叶は何も言わない。ただ報告書を閉じ、小さく息を吐く。
護廷十三隊一番隊隊長。その立場になってから幾十年。
様々な事件を見てきた。
虚化事件。志波一心失踪。隊長格の殉職。
そして今――。
また一つ、前例のない事件が起きた。 静寂が続く中、広間に集った隊長たちも、誰一人として軽々しく口を開こうとはしなかった。
朽木家当主にして六番隊隊長・朽木白哉は、報告書を一瞥しただけで瞼を閉じる。
十番隊隊長・日番谷冬獅郎は腕を組み、険しい表情のまま机を見据えていた。
市丸ギンだけは変わらぬ笑みを浮かべている。しかし、その細められた瞳の奥に宿る光は鋭い。
「……死神の力を人間に譲渡、か。」
沈黙を破ったのは冬獅郎だった。
「そんなことが、本当に可能だったとはな。」
「可能やから報告が上がっとるんやろ。」
ギンが肩を竦める。
「問題はそこやない。」
「……ああ。」
真叶は静かに頷いた。
死神の力の譲渡…それ自体が異例であり、本来なら禁忌に近い行為。
しかし今、最も重要なのはそこではない。
「力を譲渡した理由だ。」
その一言に、全員の視線が真叶へ集まる。
「報告によれば、相手は虚。現世駐在を任されるほどの死神が、不用意に力を失う選択をするとは考えにくい。」
真叶は報告書を再び開く。
「朽木ルキアは優秀な隊士だ。規律も理解している。ならば、命を賭けるだけの理由があった。」
誰も否定しない。それだけの信頼を、朽木ルキアは護廷十三隊から得ていた。
真叶はゆっくりと立ち上がる。
「問題は二つ。」
人差し指を一本立てる。
「一つは力を受け継いだ人間。その存在を確認する必要がある。」
続いて二本目の指を立てた。
「二つ。現世に通常では起こり得ない事態が発生している可能性。」
その言葉に、隊長たちの空気が変わる。
虚化事件や志波一心の失踪それとはまた違う護廷十三隊は”前例のない事件”が、さらなる事件の前兆であることを嫌というほど学んできた。
真叶は窓の外へ目を向ける。夜明け前の瀞霊廷は静かだった。静かすぎるほどに。
「偶然では済まされない。」
ぽつりと呟く。
「現世で何かが動いている。」
その確信にも似た一言に、室内の空気がさらに張り詰めた。その時だった。静かに襖が開く。
「失礼いたします。」
一人の伝令が膝をつく。
「至急、現世より追加報告です。」
総隊長である山本に視線が向けられる。
「申せ。」
伝令は一度息を整え、声を張った。
「死神の力を譲渡された人間の名が判明しました。」
一瞬の静寂。
「名は――"黒崎一護"」
その名が告げられた瞬間、山本はゆっくりと目を細めた。
「……黒崎。」
その姓に、僅かな違和感が胸を過る。それはまだ輪郭すら持たない、小さな引っ掛かり。だが歴戦の死神としての勘が、その名を記憶の奥へ静かに刻み込んでいた。
「黒崎一護……か。」
真叶は静かに呟く。そして山本はすぐに指示を飛ばす
「早急にに現世へ調査隊を編成する。」
その一言と共に、護廷十三隊は新たな事件へと動き始めた。
「座軸は?」
「未確定だ」
「おーい。じゃあ俺らどこに向かって飛ばされんすか?」
「出るぞ"地獄蝶"を離せ」
「まぁいいすけど…"捕えよ、あわよくば殺せ"。死神の仕事じゃないっすよね。しかも上はそう言いますけど殺したら殺したで絶対"あの人"ブチギレますよ」
「…そうでもないだろう。"いくら兄"とも言えど、上の命令には背くまい」
「そうっすか?俺には嬉々として上と真っ向から対立する絵が浮かびますけど」
「…」
「あの人に怖いものなんて無いでしょ。…はぁ…嫌だなあの人に嫌われんの」
「任務に私情の感情を持ち込まぬ事だ。行くぞ」
「…最悪、隊長のせいにしよう…と」
送り込まれた護廷十三隊の精鋭達が現世に於いて"第二の特異点"である少年と出会う時は近い。
◆
今まで感じたことの無い気持ちを抱いてしまっている。好きだの嫌いだの面倒な事だ。思慕の情も親愛の情も友情も全て面倒な事…
そう思っていた"筈"だった。
誰かを想えば、その分だけ失うことが怖くなる。誰かを大切にすれば、その分だけ別れは苦しくなる。"幼い日の思い出が脳裏を過ぎる"
心を縛るだけの感情だと信じていた。
だから私は、誰とも深く関わらないようにしてきた。
朽木家の名を背負い、死神としての責務を果たす。それだけで十分だと、自分に言い聞かせてきた。
――そう思っていた、筈だった。
現世へ赴任し、一人の少年と出会うまでは。
黒崎一護。最初は理解できない男だった。家族のためなら命を懸けることを躊躇わず、見ず知らずの誰かのために怒り、泣き、剣を振るう。
あまりにも愚かで、あまりにも真っ直ぐな人間だった。けれど、その真っ直ぐさは、不思議なほど眩しかった。気づけば私は、一護たちと共に笑っていた。
騒がしくて、面倒で。
それでも、そんな日々が少しずつ当たり前になっていった。
誰かと食卓を囲むこと。
他愛もないことで笑うこと。
誰かを心配して、誰かに心配されること。そんな些細な時間が、これほどまでに温かいものだったとは知らなかった。
だからこそ彼らが傷つけば胸が痛んだ。危険へ飛び込めば止めたくなった。
笑っていてほしいと願うようになった。
……ああ。これが、人を想うということなのか。
面倒だと思っていた感情は、決して人を縛る鎖ではなかった。
誰かを守りたいと思える強さであり誰かのために立ち上がる勇気であり、そして、自分自身を変えてしまうほどの力だった。
失うことは、今でも怖い。別れは、きっと痛い。
それでも、もう、この温もりを知らなかった頃の私には戻れない。
もしこれが弱さなのだと言うのなら。
私は、この弱さを抱いたままでいい。
誰かを想い誰かに想われ。共に笑い、共に戦う。
それこそが、私が現世で手に入れた――何よりもかけがえのない宝物なのだから。
ーーそれがただの"甘い理想論"だと気付かされたのはすぐのことーー
「私は少し、こちらの世界と長く関わりすぎたのかも知れないな」
ルキアの独白に"1人の声"が反応する
「イェェェス!!分かったんじゃねぇか!」
「っ!?」
声に反応したルキアが慌てて顔を上げる。そこに居たのは"古くからの同士"
「まぁ言い方変えればこうして現世に長居したおかげで、テメェはちっとばかし長生き出来たってことだがなルキア!」
「貴様…"恋次"…阿散井恋次か!?」
ルキアが叫んだその瞬間、手に持つ斬魄刀をルキアに叩き付ける。間一髪のところで背後に飛び交わすルキア
「尸魂界からの追手が背後に迫ってるってのに考え事に夢中で声をかけられても気が付かねぇって?」
「……。」
「いくら雑談の身とはいえ二ヶ月三ヶ月でちったァユルみ過ぎじゃねえか!?」
「……。」
「吐けよ ルキア。てめーの能力を奪った人間はどこにいる?」
恋次の言葉にルキアの心臓が跳ね上がり、背中に冷たいものが走る
「な…何を言っておるのだ…?義骸に入っておるからといって力を奪われたとは限らぬ…ましてその力を譲った相手が人間だなどと…」
「人間だよ!!」
ルキアの台詞に苛立つように恋次が言い返す
「でなきゃあ、てめーがそんな"人間みてーな表情"してる訳がねぇ!」
「…。」
「オレと同じ流魂街の出でありながら大貴族の朽木家に拾われ死神としての英才教育を施されたてめーともあろう者がァ!そんな人間みてーな表情していい筈が無えんだよ!!」
それは感情の昂りによって意図せず吐き出した恋次の本心であった。
「……。」
「なァ!"朽木隊長"!」
「っ!?」
その名を聞いたルキアは肩を震わせ、恐る恐る背後を振り向く
「……白哉……"兄様"」
「…ルキア…」
"朽木白哉"…護廷十三隊の六番隊隊長であり、五大貴族筆頭である朽木家の現当主でもあり…"今は亡きルキアの姉"の夫にあたる人物でありルキアが朽木家の養子にとなるキッカケを作って人物である。
「…兄様…っ!?」
ルキアが何かを発しようとした瞬間、背後から恋次の斬撃が迫る。咄嗟のところで気づいたルキアが体を捻り避けるものの頬からは血が流れている。
「…人間への"死神能力の譲渡"は重罪だぜ。その処刑を刑軍共じゃなく俺らに任せたのは上なりの優しだろうよ。」
「…はぁ…はぁ」
「さぁ居所を吐けよルキア。俺らはテメェを捕えテメェから力を奪った奴をーー
ーー"殺す"」
その言葉と同時に溢れ出す奴らとの思い出。短い時間であったが彼等との日々は鮮やかで彩られた美しいものであった
ダメだ…絶対一護の存在を知られてはならない…たとえこの先私自身がどうなろうとも
そう決意を固めた瞬間恋次の背後から、"霊子で出来た矢のようなもの"が放たれた
「!?」
「丸腰の女の子相手に武器を持った男が2人、見てたあまり気持ちのいいものじゃ無いね。僕はあまり好きじゃ無いな。そういうのは」
「何者だ…テメェ…」
「…ただのクラスメイドだよ。"死神嫌い"のね」
「…石田…どうしてここに」
現れたの石田雨竜…一護やルキアのクラスメイトであり尸魂界によって絶滅させられたはずの対虚退魔眷族「滅却師(クインシー)」の生き残りである。
石田がここに現れたのどうやら恋次達の霊圧を感じ飛び出して来たからのようだ。色々と言い訳を作っているが内心は情に熱い男だからな此奴は
「ガチャガチャ言ってんなよメガネ。質問してんのはこっちだぜ?『テメェは何者だ』ってな。まぁ答える気がねぇならそれでもいい。俺はテメェを先に殺すだけだ」
「っ…待て恋次!こやつは関係ないーー」
恋次の本気の殺気を感じ取ったルキアは慌てて弁明する
「何を言ってるんだ。ちゃんと答えただろう。僕は彼女のクラスメイトだ。死神嫌いのな」
「そう言うのは答えてねぇってんだよ」
もう何を言おうが2人の戦闘は避けようが無い。しかしルキアはどうしてもこの勝負を避けなければならない…でなければ…でなければ
ーー"石田は殺されてしまう"
◆
ルキアの弁明や言い訳を聞き入れず始まってしまった石田と恋次の戦いは"一方的な展開"のまま勝負が決した。
石田が滅却師(クインシー)としての能力を発動させる間もなく、瞬歩で背後を取った恋次が瞬く間に石田を斬り裂き石田は大量の血を吹き地面に倒れ込んだ。
そして倒れ込む石田にとどめを刺さんと斬魄刀を振り下ろそうとする恋次の姿
「…石田ぁ!」
「それじゃあトドメといくか。死ぬ前によぉく覚えておけよ。阿散井恋次…テメェを殺した男の名前だーーよろしくっ!」
そう言い斬魄刀を振り下ろそうとしたその時、恋次が立つ地一体が切り刻まれたかのように崩壊を始めた。
「なっ!?…何者だ…テメェ」
慌てて飛び退いた恋次は攻撃を繰り出したであろう男を視界に捉える。その男は包丁のような刀を振り下ろし見下ろすような眼差しでコチラを睨みつける
「黒崎一護!!テメェを倒す男だ。よろしく!!」
原作始まりました。主人公君もようやく登場です!
この先の展開!!
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原作まで飛ばす!
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オリジナルストーリーで!
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完全お任せで!