男女比崩壊社会で黒髪お嬢様のペットになった俺、激烈に甘やかされる。   作:二見猟太郎

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主人公ポチ
社畜サラリーマンだったが、男女比崩壊社会に転生し若返る

ご主人様
白宮紗和(しろみやさわ)。つんつんしてる。主人公はペットなのでめちゃくちゃ可愛がってくれる。




001 俺、雄犬ペットになる。

「ポチ、早くわたしとキスしなさい」

 

 勝ち誇るようにいじわるな笑みを浮かべ、ほうと熱いため息を吐く少女が、涼やかな瞳を細めて俺に命令する。さくらんぼのような唇を赤い舌でちろりと舐め、握りしめたリードを引いた。

 

 黒い革製の首輪が俺の喉輪をいじめる。

 

 ちょっと待った。

 マジで混乱してる。

 

 通勤途上の満員電車でこの世の終わり気分だったんだけど、なんで俺はこんな美少女にキスしろと命令されてるんだ? 

 

 見知らぬ部屋。

 たぶんこの子の部屋だと思う。

 なんかいい匂いがする。

 

 椅子に座り俺を見下ろす見知らぬ少女。

 ガチ可愛い。

 タイプだ。

 

 黒髪ロングのハーフアップ、すべすべの白い肌、冷たい鼻梁(びりょう)に涼やかな瞳。ブレザーを脱いだ制服姿で、でけぇお乳さまがシャツを押し上げている。組んだ足がおしげもなくスカートからのぞき、肉厚なふとももを黒いニーソが締めつけていた。

 

「反抗的な態度ね。けど無駄よ。ポチはもう、わたしの雄犬ペットなんだから。これからはご主人様であるわたしに尽くさなきゃ生きていけないのよ」

 

 混乱して動けずにいると、不機嫌そうに眉をしかめた少女が乱暴にリード引いた。ラグマットの上にぶざまに倒れる。尻を上げて地面に伏した俺の背中を、少女がぐりぐりと踏みつけた。

 肩甲骨のあいだにかかとをねじ込まれる。

 

「これ以上いじめられたくなかったら、素直にわたしの言うことを聞きなさい。返事は?」

 

「は、はい?」

 

「──はい? 違うでしょ。返事はワンよ」

 

「わ、ワン」

 

「……そうよ、いい子ね」

 

 椅子から降りた少女が俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。巧みにリードを操って俺を起き上がらせると、あぐらをかくように命じた。少女がさも当然かのように足の上に座る。柔らかな尻の感触。鼻先が触れ合うほどの距離で見つめ合う。

 

「ふふ、まぬけな顔ね」

 

 少女の手が俺の首の後ろへ回る。

 嗜虐的な笑みを浮かべ彼女は言った。

 

「あなたはもうわたしの雄犬ペットなのよ? 逃げられないわ。諦めてわたしとキスしなさい。繁殖能力を失った男の生きる道なんて、女のおもちゃになるくらいしか方法がないのだから」

 

 ぷるんとした唇が迫り、俺の唇と軽く触れた。

 

「何もできないおバカさん。じっとしてることしかできないならそれでもいいわ。わたしが蹂躙してあげる」

 

 紫紺の瞳をいじわるに細めて妖しく笑った少女は、何度も何度も俺と唇を重ね合わせた。触れるだけのキス。柔らかな粘膜がちゅっちゅっとリップ音を鳴らした。

 

 回数を重ねるうちに少女の瞳がとろりとだらしなく落ちていく。熱い吐息を交えながら、首のうしろに回した腕をさらに絞め、俺をきつく抱きしめた。俺の胸板にでけぇおっぱいが押しつけられくにゅりと潰れる。

 

「んっ、ちゅっ、……ポチ、あなたもわたしを抱きしめなさい」

「わん」

「あら、いい子じゃない。そうよ、もっと強くぎゅってして」

 

 何がなんだかわからないが幸せだ。

 社畜の心に染み渡る。

 マシュマロみたいに柔らかな体を抱きしめながら、ただひたすらに少女のキスを受け入れ続けた。

 

 ところで、不思議なことがある。

 いや、今の状況とかぜんぶ不思議なんだが、それにしても気がかりなことがある。こんなエッチな状況なのに、俺のリトルボーイがまるで無反応なのだ。どうした、相棒。狂っちまったのか? 死神とダンスっちまったのか?

 

 ふいに声が聞こえた。

 それは鼓膜を揺らす音ではなく、脳に響くエコーだった。

 

『やほやほ〜、さっそくやってるね〜』

 

 だれですか?

 

『われ? 神だよ〜ん。といっても、そこの世界の神様じゃなくて魂漂泊(たましいひょうはく)課の新米なんだけどね』

 

 中性的な声音だった。

 どうやら念じるだけで会話ができるらしい。

 彼、あるいは彼女はあっけらかんと言う。

 

『きみはね、ちょっとわれがミスっちまった影響で、前世の記憶が残っちまったみたいなんだ。その世界はきみが元いた世界とは違う世界だよん。とはいえ、剣と魔法の世界とかそういう血なまぐさいもんじゃないから安心してね』

 

 前世の記憶……。

 もしやこの社畜の魂は、過去の俺の記憶なのか。

 

『まあそだねん。前世を思い出すかわりに今世の記憶ぜんぶ吹き飛んじゃったみたいだけど、まあいいよね。めんご。魂の漂泊が上手くできてたらそんなことにはならないんだけど、あのときアニメ見ながら作業してたからついついやっちった、てへへ』

 

 そんな大切な作業片手間にやるなよ。

 

『まあまあ。つーことで、きみは現代社会から転生した先で過去の記憶を取り戻したということなのです。その世界は男女比が崩壊してて、男は精液搾り取るための人権ない生き物だからよろ』

 

 聞き捨てならない情報すぎる。

 もうちょい説明してくれ。

 

『詳しく知りたいの? えー、めんど。だるいから適当にいうね。世界に未知のウイルスが蔓延。自然生殖不可に。科学者が人工受胎装置を開発。しかし、その装置から生まれるのはほぼ女。人類の滅亡を防ぐため、男は厳重に管理され、人工受胎に使用される精液タンクに。男は減少の一途をたどり……まだ聞く?』

 

 おもんないからもういいや。

 とりあえず男女比狂った世界で男に人権ないってことだろ?

 医学の発展はこちらの世界のほうが進んでそうだな。

 

『あー、これは言っとかなきゃ。きみのことなんだけど、雄犬ペットって存在もあって、生殖機能を失った、つまりEDになった子たちは女の子のおもちゃとして販売されたりするんだよん』

 

 なるほど、俺はこの子に飼われたっつーことなのか。

 そしてマイリトルサンの不調はEDのせいだと。

 

『やったね。美少女のペットになれて。つーわけで、説明おわり。まあ第二の人生と思って楽しんで生きてくれたまえ』

 

 ぶちん、と通信が切れるような音がした。

 

 どうやら俺は、男女比崩壊社会で黒髪清楚美少女のペットになってしまったらしい。元の世界にいた家族の顔が思い浮かぶ。友人の顔が思い浮かぶ。恋人の顔が──なんとも思わないな。こわ。なんで? まったく未練がないんだけど。

 

『あー、言い忘れてた。それ魂漂泊した影響だから!』

 

 乱暴に言葉を投げつけて、またぶちんと音がなる。

 廃人とかにならなくてよかった。

 

「ん、……ちゅっ、ポチ、よしよし、かわいいわね」

 

 あいかわらずバードキスを繰り返す少女。

 夢中で俺の唇を吸っている。

 髪が邪魔そうなので耳にかけてやると、彼女は目をぱちくりさせて「あら、いい子じゃない」と俺の頭をなでた。




明日も投稿するね!
何時がいいか分からないから17時くらいにあげるよ!
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