男女比崩壊社会で黒髪ツンツンお嬢様のペットになった俺、激烈に甘やかされる。 作:二見猟太郎
「やってる?」
居酒屋の
梁瀬が小谷内と眠れるギャルを認めて満足げに頷く。
「桧森と白宮も無事に勧誘できたみたいだな」
ジャージのポケットから何回も折りたたみ小さくした入部届を取り出して長机の上に広げる。折り曲げたあとがびっしりついたそれを小谷内に渡し、眠るギャルの腹に置き、連れてきた女子に渡した。
「こいつが先生がハントしてきた新入部員だ。1年生だからお前らの後輩だな。可愛がってやれ」
入部届に署名した後輩ちゃんが元気いっぱいに挨拶をする。
「うち、
ご主人様が梁瀬をじろりと睨みつける。
「どういうことですか、先生」
腕を組んで悪びれもせずにアラサーは語る。
「まあまあ、減るもんじゃないから触らせてやってくれよ。どんな手を使ってでも部員を確保する必要があったんだ。猿渡が雄犬ペットに憧れてるのは知っていたからな。策士だろ? これでも先生、色々考えているんだからな」
「わたしのポチを勝手に交渉材料にしないでください。触らせませんからね」
後輩ちゃんがぶーたれる。
入部届に手をかけていまにも破きそうな素振りを見せた。
「えー、話が違うじゃないっすか。それならうち、文芸部入らないっすよ。手芸部の久崎先輩が飼ってるエリックのところに行くっす」
梁瀬が余裕たっぷり髪をかき上げた。
訳知り顔でため息をつく。
なんで達観してるの? お前が火種だからな?
「まあまあ落ち着けふたりとも。白宮、ここは先生の顔を立ててポチを触らせてあげてくれないか? 今日の放課後までに部員を5人集めないと廃部なんだぞ? お前たちが集めた部員も無駄になっちゃうじゃないか? いいのか?」
紗和が苦虫を噛み潰したような顔をする。
舌打ちをし、座った目をして低い声を出した。
「わかりました。一日一分なら触ることを許します。ただし、今後勝手にポチを使って部員集めをした場合、わたしが文芸部を抜けますのでご承知おきを。そうなれば猿渡さんは部活をやめるでしょうし、また部員が足りなくなることを忘れないでください」
ご主人様の怒りなぞどこ吹く風とばかりに梁瀬が親指を立てて笑った。俺への接触許可が下りたことで猿渡後輩も笑顔を見せる。八重歯がちらりとのぞいた。
「おっけー! ほんと今回だけだから。先生約束しちゃうぞ!」
「やったー! 正直エリックよりポチのほうがタイプだったんで嬉しいっす。梁瀬ちゃんに写真見せてもらったんすけど」
「──写真?」
「ちょっと一枚盗撮したんだ! 必要だった! 許してくれ!」
「素朴で間抜けでかわいいっす! 白宮パイセンはセンス抜群ですよ! 華々しい派手な雄犬ペットばかり流行ってますけど、うちとしてはポチみたいな家庭的な見た目のほうが断然いいと思うっすもん! あのあの! さっそく撫でていいですか?」
手をワキワキさせながら後輩ちゃんが近づいてくる。
ご主人様はおでこに手を置いてやれやれと首を振った。
鼻息の荒い猿渡が目の前に立つ。紗和たちよりも一学年下ということもあり幼く見える。親戚の子供みたいな感じがした。そろそろと伸びる手を紗和がはたき落とす。
「わたしに許可を得てからよ」
「おお、
荒い息づかいの猿渡をげんなりとした顔で見ながら顎をしゃくる。意図をくみ取った後輩ちゃんは震える声で許可を求める。
「さわっていいっすか?」
「乱暴にしちゃダメよ」
「はいっす!」
糸目がうっすらと開く。金色の瞳が興奮に潤み熱っぽく俺を見据えた。小さな手がおそるおそる伸びてきて俺の頭を優しく撫でる。ぎこちない指使いはワレモノを扱うくらい慎重だった。
ご主人様が感心したような目を向ける。
もっとムチャクチャにされると思っていたが、後輩ちゃんは俺の頭を撫でるだけで満足したようで、恍惚とした笑みを浮かべ、過ぎ去った
「ああ、やっぱりかわいいっす〜! うちもほしいな〜。いいな〜雄犬ペット。ポチくんかわいいっす〜!」
「ふん、見る目はあるみたいね」
ご主人様が猿渡後輩の痕跡を上塗りするみたいに俺の頭をわしゃわしゃと撫でる。「ひぇ〜、うらやましすぎるっす〜」と切なげな声がした。
「誰がご主人様か忘れないように」
ほっぺたをつまんでそんな事を言う紗和に苦笑する。
「あれくらいで忘れないですよ」
「ふん、気持ちよさそうにしてたじゃない」
そうかなぁ?
ソウカモナァ!?
だって女の子によしよしされるなんて嬉しいんだもん。表情が緩んだって仕方がないじゃないか。俺は誤魔化すようにご主人様の首元に顔をうずめて大げさに甘えた。くんくん。いい匂いだ。
紗和がくすぐったそうにする。
後輩ちゃんがか細い悲鳴をあげた。
「ひぇ〜! そんなんありなんすか〜!?」
なんと、ありなんです。
体調不良からの即日復帰。
わたしを寝込ませるなんて大したもんですね、キェイ!
気付けば四万字です。
いつも読んでくれるみんな、サンキュー!(CV.野沢◯子)
とりあえず思いついてる登場人物は出揃いました。ご主人様の妹が未登場ですね。嘘つきました、ごめんなさい。
お気に入りのキャラができてたら嬉しいぞ〜、ふぉふぉふぉ