機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes 作:伴都さん
シムス中尉が持参した地球産ワイン。
ラベルを横目で見て、彼は考えを巡らせた。簡単には出ない答えを、何度も吐き出し、飲み込んだ。
〈ソドン〉の回転重力区画、シャリア・ブルは珍しく、自室にてソファの上で身体をだらけて寝ていた。
かつてこの艦が〈ソドン〉という名になったばかりの頃、この近くの部屋で、その時の上司であり、友とも呼べる年下の男、シャア・アズナブルとワインを飲んだ。
その時の感傷に浸っているかのように見えるが、目だけは爛々と冴えたままだった。
「中佐、よろしいでしょうか?」
ノックの後、訊かれる。
「どうぞ」
さっきまでの様子を全く悟られないよう、彼は居住まいを正した。
「シャリア・ブル中佐」
秘書兼護衛のコモリ・ハーコート少尉が声を掛ける。
「かねてよりご依頼されていた方々の動向です」
シャリア・ブル中佐は、渡されたタブレット端末を読み、その内容に目を留める。
「……ほう、民間軍事会社ですか。面白い状況ですね」
そこには、地球連邦宇宙軍強襲揚陸艦ペガサス級2番艦〈ペガサスJr.〉の、この〈ソドン〉の姉妹艦の乗組員たち、彼らの当時の階級と現況が纏められていた。
(艦長ジェイクフォード少佐――スコットランドの貴族? これはまた、凄まじい経歴ですね。
シマ・ハチジョウ中尉――あぁ、あの時のパイロットですか。
カイ・シデン少尉――彼には会ったことがありますね。ジャーナリストでした。
リュウ・ホセイ中尉――パイロット候補から整備畑ですか。
タムラ准尉――料理長? いや主計士官でしたか……)
シャリア・ブルは端末上の気になった文言を、指で押さえながらページを進める。
オペレーター、操舵士、通信士、MSパイロット、医者、主だった乗組員たちの動向は大体掴んでいた。ほぼ、民間人となっていた。
「……どうされます?」
少尉は若干面倒くさそうな表情をするが、これから提示される彼の指示には逆らわないだろう。
コモリ・ハーコートはそれ以上口を出さず、静かに中佐の言葉を待つ。
押し黙ったシャリア・ブルを、コモリは神妙に眺める。慣れてきてはいるが、中佐の考えを読めなんて課題が出たら、御免こうむりたい。
シャリア・ブルは資料を閉じた。
「まだ準備段階ですか。しかし〈ペガサスJr.〉の元艦長が民間軍事会社とは……」
「はい。ですが、元乗組員たち、集まっている面々を見る限り、放っておくには惜しいかと」
「ええ。見届ける価値はありそうですね」
彼は考えたのかそうでないのかわからない一瞬の後、こう言った。
「彼にも話を通しましょう。あの方のお気持ちも和まれるかもしれませんからね」
シャリア・ブルは再び資料を開き、静かに視線を落とした。