機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes 作:伴都さん
敵の襲撃タイミングは良い方だったと思う。あたしが仕掛ける方なら、選択肢の一つに入れる。
ただ、送迎艦隊への短い移送時間だ。
目的は対象の抹殺が関の山だろう。
あたしなら諦めると言う選択肢もあった。
だからデュークは減速した〈シービスケット〉ごと合流するのではなく、なるべく早く警護ポッドを引き渡したかった、と言う体で行動した。
これは襲撃者に掛けた網でもあり、対象が〈ガルマ・ザビ氏〉か、〈シービスケット(あたしたち)〉かの見極めでもあった。
デュークが言っていたじゃないか。新顔2人は破壊工作員かも、と。
自力で緊急制動を掛け漂うフォワードを尻目に、フォロワーがこの場を離脱する。
どっちに向かう?
母船か、それとも。
『スタウスキ! ハチソン!』
返事は無い。
だが2人は健在なのは、あたしは判る。
フォロワーの動き…………、仲間と合流か。
数的バランスを何とかしようと考えている。パイロットとしてはなかなかやるな。
『マチュ、アイツを追う。距離は保て!』
『りょーかい!』
警護ポッドは……、あ、エグザベ君だから自力でなんとかするか。
秒単位でスタ・ハチ組交戦ポイントとの距離を詰める。
フォロワーが着いて2対3になる前にできれば4対3にしたい。
交戦の火花っぽい光が見えた。
さらに。
二条のビームが交差した。
『姐さん! こちらスタウスキ&ハチソン、1機を機能停止!』
『よくやった!』
合流を図ったフォロワーが、躊躇したように見えた。
あたしはタイミングを計る。
一瞬。
『マチュ!!』
『ハイ!』
『アイツ、やっちまえ!!』
あたしは軌道を塞ぐ。
マチュは回り込む。
フォロワーの〈ULキャノン〉はそれでも抜け出そうと試みる。
刹那、〈ジークアクス〉は再び相手の首を叩き斬った。
共通信号で降伏を打診する。
共用通信で返答があった。
スタ・ハチ組の側にいた、最後の1機からだ。
『……武装解除の上、降伏する』
あたしが〈シービスケット〉と交信を図ろうとした際、足元のハロが見えた。
目が淡く光っている。
あたしにはそれが、ドヤ顔に見えた。
『デューク!?』
「……このまま予定通り進め。MSを惹きつけろ。こちらの近くに、たぶん母船がいる」
あたしにデュークが指示を出した少し後だ。
「船長、前方で戦闘開始! ……それから後方に熱源! データからすると、サラミス級です」
オペレーターのグエンが報告する。
「制式か、払下げか?」
「兵装からすると、払下げと思われます」
「動きはどうだ?」
デュークが続けて訊く。
「距離は保ったまま、メガ粒子砲の砲撃用意は整っていると思われます。但し最適有効射程外」
砲撃士のジョイスに訊く。
「こちらの迎撃態勢は?」
「前方及び後方メガ粒子砲、出力調整中。ただ、今撃てたって、届きません」
「こっちは元々カッター船だしな……」
「但し、アレは使えます。近づけば……」
グエンが叫ぶ。
「メガ粒子砲、来ます!」
〈シービスケット〉を掠めることなく、光弾は離れた脇を過ぎる。明らかな威嚇だ。
「……敵船から入電」
通信士のセラムが言う。
「通せ」
『我々はいつでも貴船を沈められる。降伏しろ』
モニターに姿を見せることはしない。デュークはその声に耳を澄ます。
「……こちらにガルマ・ザビ氏はいない。降伏以前の話であるが?」
『関係無い、邪魔をすれば沈める』
操舵士のデ・ライトに親指で指示する。
〈シービスケット〉は回頭する。
『……何をする!?……無駄なことを!』
相対速度を併せたまま、船首を相対した。
メガ粒子砲の威嚇がもう一度。
「……ジョイス」
「了解!」
……カチ、カチ、カチ。
モニタリングのクラック音が鳴る。
『船長、レーザーサイトです!』
『……何のつもりだ?』
あちらの会話が筒抜けだ。
カチカチカチカチ…………
クラック音が連続する。
『……サイトじゃない、レーザーガンです!』
『…………おまえらッ!! 何のつもりだッ!! そんなもので何になる!?』
敵船長は〈シービスケット〉に怒鳴る。
大出力なら、ミノフスキー粒子普及前の主力兵装、長射程でも、今はメガ粒子砲に威力は遥か及ばず、ミノフスキー粒子で減衰もする、副兵装として用いる者も少ない。
せいぜいデブリ破壊用だ。
カカカカカカカカカカカカカカカカカ……
クラック音がほぼ一音となる。
だが、照射回数が増えれば別だ。
一筋は艦船の外板を焦がす程度でも、秒間数十、数百と重なるうち、外板は抉られる。
穴が簡単に空くわけではない。だが照射のフィードバックで照準が絞られていく。
敵船ブリッジの窓が半分抉られた時、中は明らかに動揺の色に染まった。
『……や、やめッ、……やめろぉッ!!』
「デ・ライト!!」
「オーケイ!!」
〈シービスケット〉は全力加速した。わずかにドリフトを掛け、敵との相対ベクトルを崩す。
敵のメガ粒子砲が連発されるが当たらない。
サラミスに肉薄した。
『ジョイス!!』
デュークに応え、アレが起動する。
2連装2基4門、レーザーガンをガイドに、レールガンが質量弾を叩き込む。
少質量だが、降り注ぐ弾に敵母船は沈黙する。ブリッジは歪んでいた。
「……船長、姐さんから入電!」
デュークは告げた。
「シマか。こちらも今終わったところだ」
〈ソドン〉以下送迎艦隊が目視できる頃には、〈シービスケット〉周りに、動けない〈ザク〉2機、〈ULキャノン〉4機、動ける〈ガーベラ・ヘキサ〉3機と警護ポッドを集結させた。
〈ジークアクス〉はポッドに収容された。
『マチュ、まずは、ありがとう。……助かった』
『お役に立てて何よりです』
モニター越しに見える彼女は、やはりどう見たってJKだ。どんな経緯でこうなったかツッコミたくてたまらないが、今は時間が無いかな。
それを察したのかどうかしらないが、マチュはどうでもいいことを言う。
『シマリン、髪が綺麗なお姉さんだったんだね』
モニター越しに、ヘルメットを脱いだあたしを見て言う。
『……そりゃ、どうも』
『ヒゲマンによると、あたしは隠し武器らしいので、今回はこれでお別れだね』
『今度会ったら、アンタの状況にツッコミ入れまくってやる』
『ハハ……』
マチュの声のトーンがわずかに下がったが、スルーしといた。
『じゃあな、マチュ』
『じゃあね、シマリン』
敵母船は、航行不能となり、大きなデブリと化した。
〈ソドン〉から臨検隊がやってくる中、合流したあたしたちはブリッジにいた連中をひとまず〈シービスケット〉に運んだ。