機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes 作:伴都さん
酒保に行くと、在庫確認をしているタムラさんたちがいた。
「どしたの? タムラさん渋い顔して」
「シマか。……ああ、冷凍庫に届き物が来ているから、持っていってもいいですよ」
「ホント? タイミングよかったな」
「地球から取り寄せだから、輸送料がわりとするけど、いいのかい?」
「その分、美味いからさ。今度は干物だよ。タムラさんにも分けたげる」
タムラさんの目が輝く。
「おお…………。じゃあまた送料は給料から引いとくから」
「了解」
そういえば表情の理由を聞いていない。
「ねぇ、渋い顔してたのはどしたの?」
「ああ、塩がね」
「塩?」
「食堂の在庫が合わないから、こちらを調べてるトコなんだ」
ああ、戦時にもあったな。
もっと切実なヤツが。
「また〈ペガサスJr.〉の時みたい?」
「そこまでじゃないよ。流通が戻って買えるしね」
それはまさしく、あたしが実感してる。
「みつからないのは、海水塩の方でね」
「ああ……」
「私たち日系には、馴染み深いでしょ」
「そだね」
岩塩は水を飛ばさない分、海水塩よりはコストがかからない。
HLVで打ち上げられるのも、岩塩の方が多いのだ。
ただね、味噌や醤油には海水塩だろ。
日系の多いサイド6のイズマでは、戦時は大変だったらしい。
代替醤油とか……。
「コロニーでも塩は作れるんだけどね」
「足りないの?」
「醤油や味噌まで回らないんだよ。同じ醸造でも日本酒はいけるんだが」
「何処かに紛れ込んだんだと思うんだけどねぇ……」
「塩でそんなに困るんだ」
「そういえば、〈ペガサスJr.〉の時はどうしてたの? 塩……」
「排水システムからのリサイクルだよ。地球の時のあれは、塩湖がありそうだったから、別の話」
「コロニーと変わらないか〜」
と、その時、タムラさんの目の色がちょっと変わった。何故か共犯者を求める目。
「実はコロニーとは少しばかり違うんだよ」
「……何が?」
「……生活排水で足りないから、排水全部が対象。あ、整備関連は混ざってないよ」
「……全部?」
「……そう、全部」
「やめて」
「フッ…これで私たち以外にも共有できた……」
「タムラさん、怖い」
知りたくなかった事実を共有されたあたしは、干物の箱を抱えて、自室に帰った。
その後、タムラさん以下内務課による〈シービスケット〉棚卸し大会が繰り広げられたところ、犯人判明。
犯人は、ブリッジ・オペレーターのグエンと、整備士のイマイーダだった。
工業塩に食用塩が紛れ込んでいたのを、魔が差してくすねたそうだ。
てか、おまえ今枝だったんかい!?
グエンの言。
「ニョクマムがなかなか手に入らなくて……」
イマイーダ改めイマエダの言。
「漬物の味が恋し過ぎまして……」
タムラさんは爽やかに笑って言った。
「ま、そういうこともあるね。
…………没収ね」
『……はい』
後日、食堂にランチを食べに来た。
横にトレーを持ったタムラさんが座る。
「……今日の味はどうだい?」
「……ん? 美味しいよ」
「良かった。少し塩味が薄かったもんな」
「……ん?」
「塩は前より効かせてるんだよ」
「…………んん?」
「安心しなさい。買ったやつだから」