機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes 作:伴都さん
「それは、事実なのかい?」
私の前に座る、かつてのジオンのプリンスは、実に神妙な顔で、そう問いかけた。
「はい。私自身、シャア大佐に直接聞かされました」
何度かお会いしたこともある彼だが、今回の表情は、実に絶妙だった。
馬鹿にしているのではない。
同じ話を聞いた時の私を、彷彿とさせるものだ。むしろ親近感が沸く。
「そうか……、そうだったか……」
彼はシャア・アズナブルとは長い付き合いだ。
記憶と照り合わせて、合点の行く事が、さぞ多かったのだろう。
ガルマ・ザビ氏は、うなされるように、記憶を掘り起こしているようだった。
落ち着いたらしいガルマ氏は、私に問う。
「今の、彼の居場所は?」
「アジアの何処かとだけ。
彼の神出鬼没ぶりは、よくご存知でしょう?」
「……会いたいな。
…………いや、顔も合わせられないか。
……我が家のせいだしな」
彼は本当に意気消沈していた。
「私だって、キャスバルとは幼い頃に会っていたんだよ。
……全く気づかなかったとは」
「雰囲気がまるで違っていたのでは?
私も木星帰りの直後は、知人に気づかれませんでしたよ」
「……そんなものかね?」
私は本題に入る。
「……では、よろしいのですね?」
「君の言う動画は用意しよう。すぐ送らせるが、期限はあるかい?」
「では、この日までに。通信で送っていただいて構いません」
「純正データのスタンプはしこたま付けておくよ」
「助かります」
ガルマ氏は、少しばかりは肩の力が抜けた様子だ。
「そういえば、シャリア・ブル」
随分とリラックスされたようだ。
「あのワインはどうだった?」
「なかなかの逸品でしたよ」
「それは良かった。あそこは私も出資しているところでね。まあ、妻の勧めだったんだがね」
「奥様は御息災ですか?」
「ああ、これをみてくれよ」
彼が差し出したフォトフレームには、ソファに並んだ奥様と男女一人づつのお子さんたち。
とても朗らかな写真だ。
「……今はこれが、私の全てだ」
人によっては、貴方は貴方の責務を果たす気は無いのか?
と、叱責もしよう。
だが、彼の顔を見て、それをできてしまう人間を、
私は信用しない。
〈ガルマ・ザビ氏送迎任務〉往路、ジオン公海編。
「これで2回目ですか。アレで終わりなら良かったですね」
「……笑ってる場合じゃないです。中佐ぁ」
いくらかキモも座ったかと思ってましたが、コモリ少尉もまだまだでしたか。
事前にこの辺りの方が厳しいだろうと、伝えておくべきでした。
『エグザベ・オリベ、出ます!』
予告も無しに現れる不審船に対処すること、2回目。
エグザベ中尉のMS部隊が近づけば、おそらく今度も逃げて行く。
「艦長、組織だった動きは見えますか?」
「船舶の数はあります。ただそれが、全て組織的かと言われると、まだ何とも言えません」
「では艦長、全周波数でアレを流してください」
「……いいんですか?」
「御本人の希望です」
それは〈ソドン〉のモニターにも映された。
『ザビ家に忠義を抱く諸君、ガルマ・ザビだ。
諸君の、我が父、兄たち、姉に対する忠義心を、私は忘れたりしていない。
だが諸君、もう、ジオン独立は成し遂げたのだ。
今はもう、国を育てる時なのだ。
……わかってほしい。
諸君には申し訳無いが、私はこの度の式には参加しない。
したがって、今の諸君らの行動には意味は無い。
諸君には、私は逃げ出した者と写っているだろう。
そんな私にも、家族ができたのだ。
守らねばならないのだ、どうか、わかってほしい』
コモリ少尉が問う。
「中佐? 何故か最後の方だけ、凄く迫力があったのは、気の所為ですか?」
「……気の所為ではないですね」
私は、それだけ答えた。
今の〈ソドン〉乗組員には、アルテイシア様支持を取り付けてある。
かつてはキシリア派の者も多かったが、当のキシリアはいなくなり、私が実利を問うたのも効いていた。
それでも、ガルマ・ザビ氏の主張に、落胆の色を浮かべた者はいる。
ならば、未だザビ家の名に期待を抱いていた者はどうだろう?
いずれにせよ、いつも通り枝を伸ばして観測するのみだ。
「中佐、これで少しは私たち、楽になりますか?」
コモリ少尉は疑問を裏付けしてほしそうに言う。
私は静かに笑いかけた。
「……そんなわけ、ないですよね」
それでこそ、私の部下です。