機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes   作:伴都さん

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meantime 名詞 〜の間 ≒meanwhile 一方その時


Meantime 3.〈回転重力区画と猫〉

 

 

「そういえば、なんでコイツはピートなんです?」

 

 回転重力区画、食堂と酒保の間にあるラウンジで、

 あたしの膝の上に座ってるピートを見て、ダヴィ・スタウスキが訊く。

 

「正確には護民官ペトロニウスと言うんだ」

「何でそんな大仰な名前に?」

 

「元ネタがあったんだよ。

 

 小説の主人公が飼ってる猫で、どの季節でも扉を開ければ夏に繋がってると思って、ドアを開けまくる猫。

 

 洒落てるでしょ?」

 

「……よくわかりません」

「なんだ、つまらん」

 

「とは言え、200年くらい前の小説だからな、今の感覚で見るとヒロインの扱いがモヤッとするけど」

「……そうなんです?」

 

「でもいい話だったよ。読む?」

「……また今度にしときます」

 

 

 自分をクリクリな目で見つめるピートを見て、ダヴィは頭を撫でた。

 

 ピートは喉を鳴らして目を細めているが、あたしは一つ注意事項を言い忘れた。

 

「おまえ、猫、慣れてたっけ?」

「え? いや、コロニーってペット飼ってる家、あんまり無いですよ」

 

「ペットに回せる酸素はなかなかって話?」

「そうですそうです。

 そういうカフェに行くしか、オレらにはなかったすね」

 

「だよな。……ちなみにこやつはとても人好きな猫だから大丈夫だけど、

 そのへんの猫に安易に手を出すなよ。引っかかれるぞ」

 

「そもそも、そのへんの猫にあまり会わないっすよ」

「あ〜〜」

 

 

 そんなこんな話してるうちに、周りに何人か集まって、ピートを見ている。

 

「なにあんたたち、猫触りたいの?」

 

 ウンウンと頷く。

 

「おまえ人気者だな。

 …………順番にね。あと、乱暴にしない」

 

 可愛がってもらえるのはいいのだが、コイツラが猫吸いとか覚えたら厄介だな。

 と、ふと思った。

 

 

 

 後日、デュークに呼び出される。

 

「船長、なんすか?」

「要望が出ててな」

「要望?」

 

「端的に言うと、シマ主任が猫独占してるのズルい。……だそうだ」

「あたし飼い主なんだけど」

 

 それと、人数的に、ソロモンでピートを保護した時、あたしに押し付けたヤツが要望出した中にいるはずだ。

 今さら何を言う。

 

 デュークが珍しく困った顔をして言う。

「君が連れ歩いてるのを見ると、癒されるんだそうだ」

「……どうせならあたしに癒されろ」

 

 デュークは押し黙る。

 いや、待て、ここはツッコんで。

 

 まあ確かにピートは部屋の外ではあたしにくっついてウロウロする賢い猫だ。

 

 とはいえどうしろと?

 あたしは頭を回転させる。

 

 アニマル・セラピーと言うのもあるしなぁ……

 

 猫あまり見たこと無いから、興味あるヤツもいるだろうしな。

 

「妥協案として、居住区画の一部に出してやる?

 但し色々条件が付くよ」

 

「言ってみろ」

 

「回転重力区画の中央通路とラウンジだけに限定する。

 

 猫脱走防止ドアを付ける。

 特に回転部から出ないように。

 

 猫飼いのデメリットも周知させる。

 トイレの臭さとか爪研ぎとか色々。

 ピートはそれほど気にすることはないけど。

 

 世話係を掛け持ちさせて、少なくとも何人かには熟知させる。

 

 ま、まずはそんなトコかな?」

 

 

 デュークは30秒ほど考えていた。

「……少々先走りしてないか?」

 

 あたしは答える。

「え? だって複数飼い考えてるでしょ?

 ピート1匹で済むわけないじゃん」

 

「直近で猫を世話してたのはお前だけだが、負担にならないか?」

 

「地球生まれで家で飼ってたのもいるでしょ? そのへんから手を付けるよ」

 

 ここは地球生まれ、宇宙生まれ、地球育ち、宇宙育ちが入り混じってるから、適任者はいることだろう。

 

 

 ということで、タムラさんからも予算を取り付けた。

 

 

 

 回転重力区画、〈シービスケット〉のそれは、巾20m、内径42m、厚さ4mの梱包用テープの芯みたいなものだ。

 

 回転軸は無い。

 レールに沿って外輪が回す形。

 

 通路が端と中の3つ、20mの巾のうち6mくらい取って一周し、残りが部屋割されている。

 

 中央通路はいくらか途切れて、ラウンジの一部になっていて、

 通路のみなら大体100m。

 

 

 ピートはあたしの部屋から出され、猫カメラでモニターされながら、様子を伺うことになった。

 

 思った以上にピートは愛想が良く、手の空いたスタッフから可愛がられている。

 

 テストケースとしては良いんじゃないだろうか?

 

 

 

 何日か後、リュウに呼び出される。

 

「どしたの? リュウ」

「ピートのことなんだが」

「なに? なんかクレームでもあった?」

 

「いや……これを見て意見が欲しいんだ。コレ、何をやってんだ?」

「……どれどれ」

 

 それはピートの猫カメラの画像だ。

 移動可能範囲をウロウロしてる。

 

 ラウンジでひとしきり人間の相手をしてから、通路に出る。

 

 カメラ目線に、前に真っ直ぐ伸びる通路。

 

 おもむろにカメラが動き出す。

 それはすごいスピードで。

 

 え、あたし、アイツの全力疾走見たことなかったぞ。

 

 しばらくして、ラウンジに戻る。

 また、そこにいる人間の相手をして。

 

 今度はゆっくり目の走り。

 

 これを小1時間続けていた。

 

「何だろね? コレ」

「飼い主でもわからないか」

「こんなに走るの、あたしも知らなかったからなぁ」

 

 一体何が面白いかわからないが、何か面白いことがあるのだろう。ヤツには。

 

 

 しばし考えて、思いつきはした。

「リュウ、あんたの実家近くでも、猫飼ってたりしたよね?」

「……まあね」

 

「ネズミが回す車の猫版があるの知ってる?」

「……ん? 知ってる。

 …………え? そういうこと?」

 

「……わからん、わからんがそうかもしれない」

 

 猫の考えることなど、人間にはわからないのである。

 

 

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