機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes 作:伴都さん
サイド6の大統領主席補佐官、カムラン・ブルームは、
今日も忙しく、大統領官邸ウエスト・ウイングを走り回っていた。
彼の業務は多岐に渡る。
政策提言、
他の補佐官、報道官、秘書(セクレタリー)の取りまとめ。
それらの職務割り当て。
時にはステートメントの文言作成も行う。
特にこの度の、ベルガミノ前大統領の失脚と、新大統領の就任に伴う狭間にあたるこの時期は、激務を極めていた。
彼は有能だった。
サイド6の後ろ暗い部分を知りつつ、絶妙な距離を保ち、
今回のようにそれが一部明るみに出た場合、調停や調整の立場に立つことができた。
ベルガミノのミスに関わらず、新大統領の政党が変わらなかったのも僥倖だった。
そこは、経済政策に長けていたベルガミノに、彼は内心感謝していた。
昼食前の時間、執務室のソファに、カムランは体を預けていた。
そこにセクレタリーが声を掛ける。
「主席補佐官、カイ・シデン様がお見えになりました」
「ああ、いつもの定期取材だね? 通してください」
セクレタリーに促され、部下の補佐官と大差ない出で立ちのジャーナリスト、カイ・シデンが入室した。
「いつもどうも。今回は特に補佐官、いえ、主席補佐官はお疲れのようですね?」
「ああ、今回は特にお手柔らかに頼むよ」
カイが向かいのソファに座ると、ドアが閉じられた。
これで、中の声は漏れない。
渡された資料を見て、カムラン・ブルームは呟く。
「しかし、シャリア・ブルの偽名には何か意味はあるのかね?」
「さあ? 私には判りかねますが、
ヒゲ男をドイツ語読みでカッコよくしたそうです」
「彼は本当に、時に理由のわからない事を始めるな……」
カムランは追加資料を見て渋い顔をする。
「この民間軍事会社は……」
「ええ、私の古巣の関係者たちですね」
「……また何かあったら、便宜を図れと?」
「そこまでは申していません」
「申しているも同然では?」
「御随意に」
「あの癖の強い艦長は健在か……」
「……その節はどうも」
「そういえば、ブライト君は?」
「私たちの部隊のわりに、軍にはいますが、肩身は広くなさそうですね。
先日愚痴られました」
「元気そうではあるんだね?」
「はい」
「それにしても、あなたまで失脚してしまうか、私は冷や汗ものでしたよ。
上手く立ち回りましたね」
「自慢にはならないよ。偶々立場が良かっただけだ」
「……まだ色々抱えているからですか?」
カムランは怒るでもなく、しらばっくれるでもなく言う。
「ノーコメント。
それより君こそ、ジャーナリストと言うより、立派なエージェントだな」
「せめてメッセンジャーと言ってください。
……ま、あなたがトチ狂った際の手札は持ってますが。
カムラン・ブルーム主席補佐官?」
「それは、こちらもだ。カイ・シデン君」
取材は良好に終わったとばかりに笑い合った。
「ああ、大事な事を忘れてました」
カイはいささか芝居じみて言う。
「ヤシマの御令嬢の居場所は未だ不明です。
ただ、亡くなってはいないのは、確定しました」
カムラン・ブルームの表情が、わずかに和らいだ。
「そうか。……それは、ありがとう」
聞かれもしないのに、カムランは続ける。
「彼女とよりを戻したいとか、そういう話ではないんだ。
結婚するつもりではあったからね。
彼女が無事なら、それでいい。
カイ君、その情報は、これで打ち止めで良いよ」
「考えておきます」
「良いんだ。僕の行く末は、この官邸内で燃え尽きるのも一興だ。
そう思わないか?」
「燃え尽きるとかはどうでもいいんで、
くれぐれも、任官中に変な女性に引っかからないでくださいね」
カイは、カムランの青臭さが職務中に発揮されない事を願った。
だが、そこが捩じ曲がらなかった事が、カムラン・ブルームの命脈を繋いだのではないかと、
そう、カイ・シデンは考えた。