機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes   作:伴都さん

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meantime 〜の間 ≒ meanwhile 一方その頃


Meantime 6.〈エグザベ〉

 

 

「……エグザベ君、これ聴いてみ?」

 

 休暇シフトに入り、

 コモリ・ハーコート少尉は、僕を酒場に誘い恒例の愚痴大会を開催した。

 

 酒場とは言っても、パブかバルか居酒屋か混ぜこぜになって、

 さらにジオン風と言う、いささか奇っ怪な店だった。

 

 ただそれ故に、クダを巻くにもちょうど良い店でもあった。

 

 

 酔い始めたコモリ少尉が愚痴を一通り言い切って、一息ついた頃、

 おもむろに携帯端末で何かしら聴き始め、

 

 しばらく経つと、有線で繋がったイヤホンの片方を、僕に渡した。

 

 よくよく考えてみると、最近僕の方が階級が上になったのである。

 

 それにも関わらず、

 彼女はこういう時にはタメ口と言うか、ざっくばらんと言うか、フランクな態度を崩さない。

 

 まあ、僕もその方が気楽であり、特に注意するものでも無いと思う。

 

 愚痴と言っても、酔いながらも彼女は他人に聞かれては不味いことは回避するし、

 その辺りは、流石に中佐の部下である。

 

 

 

 渡されたイヤホンの片方を耳に入れる。

 

 聴こえてきたのは、シンプルなギター2本とベースとドラムスだけの演奏。

 

《飛行機は飛ばせない、空に夢中だから……》

 

 訛りがキツイが、そんな変な歌詞が聴き取れる。

 

「最後まで意味があるのか無いのかわかんない歌なんだよね〜」

「うん? ……そうだね。それで?」

 

「今から100年以上前の、

 地球のアジア圏の、オルタナティブ・ロックバンドの曲でね〜」

「……うん」

「曲名が〈Xavier〉って言うの」

 

 本当はエグザベって読みでなく、ゼイヴィアとかハビエルって読むんだろうけど……

 と、彼女は続けた。

 

 

 コモリ少尉からもう片方のイヤホンももらって曲を最後まで聴いた。

 

 ベースとドラムスのしっかりしたリズム隊の上に、

 2本のギターが掛け合いのように鳴るいい曲だった。

 

 歌詞は何というか、不思議な感じだったが。

 

 

「……ええと、僕ってこの曲のイメージってこと?」

「……ん〜、変な歌だけど、カッコいいじゃん」

 

 何か反論しようと思ったが、思いつかなかった。

 

 

 

「そういえば、なんでエグザベ君はそういう読みなんだろね?」

 

 それは貴女のコモリと言う名もどうなんだ? と思ったが口にはしない。

 

「アレじゃないかな? 

 スペースノイドになって世代が進むと、

 地球圏とは外した名前を付けるようになった流れの……」

 

「わたしと同じですねぇ」

「そうなの?」

 

「わたし、初めはお婆ちゃんに、コネリーって名前を付けられる予定だったらしい」

「それを捻ってコモリに?」

「……らしいですよぉ。なかなか無い響きにしたいって親が」

 

「本人的にはどうなの?」

「とりあえず、特に文句は無いですねぇ。今は」

 彼女は店員呼び出しボタンを押した。

 

 

 

「……とにかくですねぇ、中佐は変なヒトなんですよ。仮面とか偽名とか」

 

 やや酔いが進んだかに見えるが、僕も彼女も酒にはそれなりに強い。

 このセリフも何回目かの恒例になりつつある。

 

 そういえば最初に聞いた愚痴は、

 僕がサイド6で拘束されていた頃、

 

 イズマコロニーの空に浮かぶ〈ソドン〉に向かい、デモ隊に紛れて、

 

『ジオンは帰れぇ〜〜!!』

 

 と、中佐が叫んだ。

 というものだった。

 

 確かに変なヒトだよ。

 

 

 でも多分、仮面とか偽名とかについては、

 彼女の想像するより、シビアな想いが中佐にはあるはずだ。

 

 シャア・アズナブルとの激闘の末、コクピットブロックのみになった〈キケロガ〉を僕の〈ギャン〉が掴んだ時、

 

 中佐は明らかに、自分の命を何かと引き換えにしようとしていた。

 

 僕に握り潰されようと、軍事法廷で極刑に処されようと、

 どちらでも構わなかったと思われる。

 

 その時中佐に、生きて償え、的な事を怒鳴ったのは僕だ。

 おそらく中佐は、その様にしているのだろう。

 

 だから、いわゆるキシリア親衛隊の仲間たちが中佐に殲滅されても、

 今のところ、恨む気はない。

 

 それを、こんなところで彼女に話す事は無いけどね。

 

 

 

 コモリ少尉が黙々と酒を啜るモードに入ったので、

 さっきの曲をまた聴かせてもらっている。

 

 途中の歌詞にこんなフレーズがあった。

 

《白昼夢を見る者になった彼女は最高に美しい変わり者》

 

 どういう意味だろうと考えると、なにか可笑しくなって、

 僕はクスクスと笑った。

 

 

 

 

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