機動戦士Gundam GQuuuuuuX Meeeeeantimes 作:伴都さん
「通達5号、イディアルとフィアースは、朝礼の後、整備主任に付いてシミュレーションを続けてください。
地球育ちは考慮しているので、地道にスキルを上げてください」
タムラ内務主任の朝のブリーフィングが進行する。
課員全員に対する通達もあれば、名指しの通達もある。
名指しの場合は少々気まずいかも知れないが、ウチの連中のうち、元ペガサスJr.クルーはあまり気にしない。
ジオン独立戦争終結期、良いこともミスも沢山あったからだ。
それでも名指しされた者は、晒された気分になるのだろう。
特にフィアースは、プライドを傷つけられた表情をしているようだ。
例えフランクに応援されていてもだ。
「通達6号、酒保の取り扱い商品を拡大の検討をします。リクエストは内務課へ」
何人か拍手する。
「商品によっては手数料が発生するので、それも考慮の上で。但し君らへの負担はなるべく減らす方針です」
拍手した者は少しがっかりした。
「通達7号、これまで短期の警護業務、哨戒業務を経験してきたが、この度、社内一丸となる大仕事がオーダーされた」
皆、タムラ主任に注目する。
「ジオン公国からの依頼は、ガルマ・ザビ氏の警護引き継ぎ業務だ。
地球より上がった氏のシャトルから、警護ポッドを軌道上で引き取り、月軌道にて公国の艦隊に渡す。
時間は短いが、重大な業務であるので、皆、気を引き締めてください」
本日のトップシークレット公開だ。
一瞬の沈黙の後、どよめきが湧く。
「課ごとの業務詳細は、後日課ごとに渡します。よく目を通してください」
通達は10号まで続き、社員ざわめきの中、朝礼は終わる。
以降、初の大仕事に、〈シービスケット〉船内は活力を増した。
「さて、今回のガルマ・ザビ氏護衛業務だが……」
船長室に幹部3人が集まり、デュークの次の言葉を待つ。
「ガルマ・ザビ氏については、ダミーだ」
あたしたちの顔に、次のセリフのテロップがボードのまま貼り付いた。
【…………どうすんだよ、コレ】
あたしたちの表情に構わずデュークは続ける。
「但し、基本的にやることは変わらない。
ガルマ氏が乗っているとされるシャトルの警護ポッドを受け取り、ジオン艦隊に引き渡す。ポッドの中身とは接触しない」
あたしたちはデュークの拡げた作戦指示書に注目する。
「ああ……つまり」
タムラさんの言葉を引き継いでデュークは言った。
「そう、この時に湧き出す何かに、対応するのが我々の業務だ」
あたしは念のため、訊いてみた。
「社員にサプライズ仕掛けるわけじゃないんでしょ?」
「もちろん、そうだ。社員には徐々に浸透させる。……但し」
「ああ……特定の社員には伏せるんだ」
「そうだ。……タムラさん?」
「まぁ……元ペガサスJr.クルーなら、直前でも対応できますね」
「新顔は整備と戦術にいるわけだが、どうだリュウ?」
「感触としては、うちの課員で真相を知っておかしくなるのはいなさそうだ」
「戦術は? シマ」
「内火艇など搭載機の連中は、たぶん大丈夫。問題はやっぱり、あの二人だね」
フィアースとイディアルのことだ。
「アイツラの素性はわからないよ。でもサボタージュしそうか? と問われれば、イエスだね」
「シミュレーションを見てて思ったんだが、彼らはもしかすると、もっとMSをまともに扱えるかもしれません」
これはリュウの意見。
タムラさんが言う。
「確か、彼らは船長のコネからの紹介でしたね?」
「紹介してきたアイツはまともだと思ってたんだがな……」
デュークは心から残念そうに呟く。
「彼らがただの怠け者ならいい。目的がサボタージュや破壊活動なら、それ相応の対応が必要になる」
あたしは提案した。
「程度がわかるまで、もう少し泳がす?」
デュークはしばし考えて決断した。
「シマ、あの権限をおまえに渡す。ただのサボタージュなら放置。いざとなれば行使しろ」
「いいの?……状況によっては死ぬよ?」
「その時はその時だ」
「……うえ、やだなあ」
リュウがあたしの肩をポンポンと叩く。
多少は済まなそうな顔をしたデュークはあたしたちに向き直して言った。
「彼ら以外にも、違和感のある社員は報告してくれ。……それから、連携するジオン部隊が来る。しっかり顔合わせをしておこう」
方針ははっきりしているが、不穏ではあるなぁ。
と、あたしは考えていた。