片腕のない少年の青春日記   作:餃子過多

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第十三ページ、友よ悪夢に別れを告げ、前を見るといい

戦闘開始から十分が過ぎた。

 

「〜君」

 

奥の手はある。

 

「〜君!」

 

正直それでとどめになるとは思えない。

 

「リョウ君!」

 

「!なんですか!ユメ先輩」

 

「リョウ君、髪の毛どうしたの?」

 

「は?」

 

髪?何のことだ?

 

スマホで自身のことを見た。

 

「なん、で」

 

元々の髪の色は黒だった。

 

なのに今は赤になっている。

 

「ハァ、ハァ、ふざけるなよ!?俺はお前じゃ無いんだぞ!?」

 

「リョウ君?」

 

「俺は、お前にはなれないんだよ、錨 リョウ」

 

「え」

 

「ユメ先輩!そっちで何が起きているんですか!!」

 

俺は意識を失った。

 

「リョウ君!?リョウ君!!」

 

「ホシノちゃん!リョウ君が!」

 

「どうしたんですか!!リョウが!」

 

「リョウ君がぁ!倒れちゃったぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂漠が見える。

 

そこには数えきれないほどの墓石があった。

 

そこには一つ一つ、錨 リョウと書かれている。

 

「俺は、何が出来るんだろうな、錨 リョウ」

 

「お前は俺に色んなものをくれた」

 

「俺はお前に対して何にもしてやれなかった」

 

「もう、何も見たくねぇし、聞きたくもねぇし、話したくも無いよ」

 

「どうして、俺が生きているんだろうなぁ」

 

嗚呼、苦痛よ何故貴方はそんなにも残酷なのでしょうか?

 

たった一人の友を奪い去り、貴方は俺に生き地獄を与えてくれた。

 

砂嵐の音が聞こえなくなってきた。

 

「お前は死んでいいようなやつじゃ無いはずだろ?俺と違って」

 

視界が黒くなり何も見えなくなってきた。

 

「俺は人じゃ無いのにさ何で人の言葉を話しているんだろうな」

 

口が何かに閉ざされ開くことができなくなった。

 

俺にはお前である資格はないんだよ。

 

そして俺には生きている資格なんかないんだ。

 

音も聞こえず、世界を見ることもできず、言葉を発することが出来ない俺はただのガラクタだろ?

 

「それは」

 

「それは違うだろ?」

 

何かが俺に触れる。

 

手だ。

 

「お前が苦しむ理由もなければ意味もない」

 

その手は俺の口のあたりを触る。

 

俺は話せるようになってしまった。

 

「俺はな?お前には楽しく生きていて欲しかったんだ」

 

その手は俺の耳のあたりを触る。

 

俺は音が聞こえるようになってしまった。

 

「俺はただ、お前が辛くなったら俺は一緒にいるぞ!って意味で託したんだけどな?」

 

その手は俺の目に触れる。

 

俺は世界を見れるようになってしまった。

 

「そこまで重く考えなくていいんだよ、ばーか」

 

「そんなこと言わなくていいだろ?」

 

「錨 リョウ」

 

「ハハッ」

 

「なんかごめんな?俺のせいでこんなに苦しめちゃってさ」

 

「いいんだよ、俺がお前を助けられなかったのが悪いんだから」

 

「知ってるか?ここにある墓は俺だけじゃ無いってことを」

 

「は?」

 

「お前の可能性の墓場でもあるんだよ」

 

「・・・」

 

「お前は墓石の最前線だ」

 

「お前は進まなきゃ行けない」

 

「お前はぁ、俺を」

 

泣いている。

 

俺の友達である錨 リョウが。

 

「俺を忘れないでくれよぉ」

 

「忘れる訳ないだろ?俺は人じゃないんだからさ」

 

「お前はあの廃墟にあったガラクタだもんな?」

 

「お互いに自己紹介しようぜ」

 

「先に俺からな」

 

「俺の名前は、錨 リョウただの人だ」

 

「そしてお前の親友だ」

 

「あぁ」

 

「俺の名前は」

 

「おっとちゃん錨を付けろよ?」

 

「分かってるさ」

 

「俺の名前は錨 ネイトただの機械だ」

 

あぁ。

 

涙が溢れて来た。

 

「お前の、錨 リョウの親友だ」

 

「俺の偽物さんや」

 

「なんだ?本物」

 

「お前はもう悪夢を見なくていいんだ」

 

「あぁ」

 

「そして前を見ろ」

 

「お前のことは見守っているからさ」

 

「頼んだ」

 

「あぁ、頼まれた」

 

砂漠の世界にはオアシスが出来ていた。

 

錨を上げる時が来た。

 

目が覚めた。

 

「うわぁん・・・リョウ君!!」

 

「はい何でしょう?ユメ先輩」

 

「え」

 

「リョウ?」

 

「おん、リョウだぜ?」

 

「リョウ君!い゛き゛て゛い゛て゛よ゛か゛っ゛た゛ぁ゛」

 

「おら!感動の再会はあとだ!アイツをスクラップにするぞ!」

 

「はい!」

 

「うん!」

 

「あれから五分かぁ」

 

「まぁいいや」

 

「決着付けようぜぇ鯨擬き!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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