夢を見た。
それは俺ではなかった。
それは可能性だった。
ここにある自分ではない自分の可能性である。
「私は読者だよ」
「私は何度も繰り返される地獄を眺め続けた普通の読者さ」
「私は、君を、君ではない君を幾度となく眺めたのだよ」
「アビドスの墓、ゲヘナの盾、ミレニアムの記憶」
「私は君たちが失敗し世界から消えるのを一人で眺めていたのだよ」
「ある時、私は読者ではなくなった」
「私は君たちのような主人公になったのさ」
「君たちを見ていて分かってしまったことがあってね」
「私たち主人公は、必ず失敗をする」
「もちろん私も君達の様に失敗したさ」
「私はトリニティで灰となった」
「世界から消えた後私は読者に戻った」
「だが世界から主人公が消えた時、私は別の世界の主人公になった」
「結果は失敗さ」
「だが」
「とあるイレギュラーが起きた」
「それは、私たち主人公が一つの世界にいる事だ」
「初めてだよ、主人公が同じ世界に複数いるのはね」
「ならば、今誰が読者なんだろうね」
目が覚めた。
「頭が痛え」
頭の中ではボヤがかかった様で夢の内容をわずかな事しか思い出すことが出来ない。
「また、俺じゃない夢か」
「あの燃えた世界は何だ?」
「・・・学校休みか」
昨日のことがあったため、今日と明日は休みとユメ先輩に伝えられた。
「トリニティに行ってみるか」
「トリニティって安全な場所かなぁ」
数時間後、、、
「ここが、トリニティか、なんかすごい場所だな?」
「で、貴方達は誰でしょうかね?」
「アハハ、気づかれちゃった」
「まぁ、いっか?」
「いや、いいのかよ」
「ごめんね?こんな包囲した状態で、悪気はないんだよ?」
「なら、悪意?」
「そうだね」
「俺なんかした?」
「ううん、貴方は何もしてないよ」
「なら何故かな?頭ピンクの人」
「頭ピンクの人って、まぁいいか、ゲヘナに教える名前なんか無いし」
「?」
「ちなみに何の様でトリニティに来たの?」
「散歩」
「ゲヘナの角付きって散歩感覚に喧嘩売りに来るの?」
「俺角無いんだがな?」
「それじゃあ、丁重にお返ししてあげるよ」
銃声が響き渡る。
「っぶね!?テメェら、死人出す気か!?」
「俺ヘイローとか無いからすぐにお陀仏だぜ?」
「貴方みたいな人が死のうが、ここじゃ誰も気づかないじゃんね?」
「血も涙もなぁい」
それはそうとどうするか。
あれを使うか。
「弱いものいじめして楽しいか!?」
(明らかにこっちが不利、それなら)
「思ったより、素早いね?」
「はは、じゃなきゃしんでしまうからなぁ!?」
「まぁ、ここまで来たらやるしかないかぁ」
「?」
「はぁあ、不平等っていやになるよ、ホント」
「一人で話してて楽しい?」
「不平等を平等に、均衡は保たれる」
世界に異常が走る。
それは、祈りであり、呪いである。
「天秤は傾かない」
「なに?今の」
「分かりやすく説明してやるよ、お嬢さん」
「俺の力は均衡を保つだけの祈りだ」
「まぁ、祈りつっても呪いみたいなものでもあるがな?」
「均衡?」
「その効果は、能力の配分だ、まぁ今この場にいるやつにかけたから、全員同じぐらいの強さだ」
「チョキはチョキに勝てない様に、グーはグーに勝てない様に、パーはパーに勝てない、そんな力だ」
「まぁ、この配分に俺は入れてないから、お前らの能力値が同じぐらいだな」
「数が数だから、相当下がってるよな?頭ピンクの人」
「それじゃあ、雑兵狩りだ」
数十分後
「うーん、ここまで一方的な戦いになるのかぁ」
周りにはトリニティの生徒の倒れた姿が散乱している。
「二人にお菓子でも買っていくか」
「ここ良さそうだな?」
「うーん、美味しそうな物買えて良かった」
「止まれ」
「早いとこ帰るか」
「止まれと言っているだろ」
「やっぱ、俺かぁ」
「次はどちら様?」
「ツルギ!?」
「まぁ、いいや、殴れば解決できるからなぁ!?」
天秤は傾かない。
「あ゛ー゛疲れた」
「数が数だから大変だったぁ」
「やべ!?そろそろ電車が来る!」
「はぁはぁ、何で今日はこんなに疲れるんだ?」
「明日もくるか、次は、シキとエンについてきてもらおうかねぇ」
「おやおや、間に合わなかった様だね」
「どうせまたくるのだろう?主人公よ」
「いや、今の私も主人公だったね」
「さてと、紅茶は用意できたが、何かいいお菓子はないものかねぇ」
「いづれ来るであろう戦いにも備えなければならないし大変なものよ」