なんだこのL社!?!?!?   作:夜月朝陽

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【彼らを守るため、永遠にここに居続けることを選びました】


一日目 O-01-311n

「……」

 

 どうしよう。どうすべきだ?なんで罪善さんではない?

 

 扉を開けた先にいたのが、居るだろうと予想……いや、確信していた存在ではなく。あまつさえ、前世の知識に一切いない存在だったため、俺の思考は大いに混乱した。

 

 全身が蔦で作られた、植物少女とでも言うしかないような存在。間違いなくアブノーマリティだ。

 

 それも、完全に未知の。

 

 誰だ彼女は。アブノーマリティなのは確かだろう。どういう能力を持っている。初日にいるならランクは低いはず。しかし即死がある可能性は?罪善さんが居ないなら「アイツ」はどうなる。

 

 ぐるぐる、ぐるぐる。思考だけが動く。身体は動かない。動けない。

 

 当然だ、相手はアブノーマリティ。不死身の化け物であり、それも未知の存在。一体どうすれば――……

 

「ー、ー……?」

 

「っ」

 

 ……一体どれくらいそうして固まっていたのか。全身を蔦で編まれた少女は、こちらを見上げ、首をかしげていた。

 

 その様子が、こっちを心配しているように見えた。それで少しだけ落ち着いた。

 

「あー……とぉ。すまんな、取り乱した。言葉は分かるのか?」

 

「!」

 

 話しかけながら近付ていくと、反応があった。ぱたぱたと緑色の手を振っている。

 

 どうやら言葉は分かるし……この分だと、喋れはしないが、交流は出来そうだ。

 

 行う作業は愛着になるだろう。元からそのつもりではあった。

 

「んーと、いくつか質問をしてもいいか?」

 

 こくり、と少女が頷いた。少ししゃがみ込んで目線を合わせる。

 

 少女らしい体躯な上に、上半身だけになっているせいで、かなり身長が違うのだ。愛着作業なら、こっちの方が良い……と思う。

 

「それじゃ……その花は、君にとって大事な物?」

 

 再びこくりと頷く。やはり喋れはしないらしい。

 

「涙を流してるのは……あぁ、水やりなのか。それで花を維持している」

 

 少女は頷いた。

 

「綺麗に咲いているよな。よければ少しだけ貰っても……っと」

 

 貰っても良いのか、と言いかけたところで少女が動いた。思わず立ち上がって距離を取る。

 

 首をぶんぶん振りながら、両手を広げてこちらに立ちはだかっている。どうやら花を持っていったりするのはアウトらしい……が。

 

「……それだと、守るにはちょっと心もとないんじゃねぇか?」

 

 特に何か、特別なことが起こったわけじゃなく……植物の少女が、可愛らしく駄々をこねてるようにしか見えない。というか、実際そんな感じなのだろう。

 

 俺の指摘にショックを受けたらしい少女は、俯いてぽろぽろと涙を――別に最初からずっと流している。誤解しないでほしい――流し始めたのだった。

 

「悪かったよ。君がこの花を大事にしてるなら、俺も大事にするから」

 

 そう言うと少女は顔を上げた。

 

《作業終了時間です 退室してください》

 

「……っと。そろそろ時間だ。じゃ、また来るよ」

 

 インカムから通信が入ったので、作業を切り上げて背を向ける。

 

 その時、ふわりと微かに花の甘い香りがした。

 

「これは」

 

「……」

 

 思わず振り返ると、蔦の少女が変わらず佇んだまま、ひらひらと手を振っていた。

 

「……ありがとう。じゃあ、また」

 

 改めて手を振り返して、収容室を後にした。

 

 ま、初めての作業にしては、上手くやれた方なんじゃねぇかな。

 

 

 

***

 

 

 

 昔々、平和な村に、花を愛する少女がおりました。

 

 ある時、戦火が迫り、村を離れねばならない時が来ました。

 

 しかしそれでも、少女は花と共に居続けるを選んだのです。

 

 たった一人残されても、火が迫ってきても、自分が花になろうとも。

 

 愛した彼らを守るため、永遠にここに居続けることを選びました。

 

 長い時が過ぎ、涙を流している理由を忘れた今でも。

 

 永遠に。




【管理情報:O-01-311n】
登録名『花守り』

危険レベル:ZAYIN
攻撃属性 :WHITE
カウンター:-
非脱走オブジェクト

■管理方法1
作業結果が良かった場合、花守りの作業を終えた職員の精神力が回復しました。

■管理方法2
抑圧作業を行ったあと、花守りの作業を終えた職員はWHITEダメージを受けました。

【概要】
シロツメクサらしき小さな花畑と、その中央に存在する蔦で作られた上半身のみの少女の姿をしたアブノーマリティ。本体は少女であり、顔の目にあたる部分から涙を流し続けている。
涙は花を世話するのに使われており、絶えることはない。少女はこの花たちを大切に育て、守ることを何より大切にしている。
そのため、決して花を傷つけたり、持って行ったりしてはいけない。少女がとっても悲しむからである。

【作業好感度】
本能:普通普通普通低い低い
洞察:高い高い普通普通普通
愛着:高い高い高い高い高い
抑圧:低い低い低い低い低い

【E.G.O】
◆ギフト「シロツメクサ」
部位:頭部1
効果:精神力+2
説明:シロツメクサで編まれた花冠。草と花の香りがする。

◆武器「シロツメクサ」
形状:拳銃
属性:WHITE 1~2ダメージ
速度:最高速
射程:長距離
説明:白い花の装飾が施された薄緑色の拳銃。撃つたびに花の香りがする。

◆防具「シロツメクサ」
R:0.8
W:0.8
B:1.0
P:2.0
説明:白い花の装飾があしらわれた薄緑色のスーツ。かすかに草の香りがする。
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