「ふぅ……」
あれから何度かO-01-311n、改め『花守り』の収容室を訪れること数回。完成した管理情報をまとめた書類を、自室で確認していた。
今は業務終了後。社内寮での休憩時間である。
「ビックリするほど無害だったな」
あれから何度か実験も兼ねて、『花守り』への作業や交流を繰り返した結果分かったことは「本当に無害」ということである。
「作業での精神汚染は軽微。あったとしてもあっちから自発的に回復してくれることもある。失敗した時のデメリットは特になく、花を傷つけなければ非常に穏やか。傷つけたとしても悲しむだけ……本当にアブノーマリティか?こいつ」
いやまぁ、初日収容という点で罪善さんと同じ枠だし、理不尽な能力を出されても困るのだが。
それでも彼女、『花守り』は驚くほど温厚でかつ、作成できる装備も優秀だった。
「再序盤から拳銃……遠距離攻撃手段ってのはデカいな。パニック鎮圧にも使えるし」
彼女の自我から抽出された武具であるE.G.Oは、精神へ影響を及ぼす拳銃。敵に撃てば精神汚染を、味方に撃てば精神安定を。
「ひとまず当面はコレを着て業務だろうな」
改めて性能を確認した後、間違っても暴発など無いよう丁重にしまっておいた。
「にしても……社員寮には驚かされたなぁ」
ゲーム本編では、アブノーマリティの管理がメインだったので、それ以外の社内施設はほとんど描写されてなかったのだが……この社員寮、T社の時間技術が大いに活用されているらしい。
寮内は内部時間が加速されており、睡眠や食事をゆっくり摂っても問題なし。アブノーマリティの収容部署への移動時にも時差などが発生しないよう調整が施されるらしく、つまりゆっくりしてても管理業務には影響が出づらいのである。
もちろん一切影響がないワケではないので、寝坊などは普通に怒られる。そりゃそうだ。
「大浴場に食堂があって、寝室も手狭ではあるが個室……翼のエージェントとはいえ、ここまで好待遇とは思わなかったな」
……まぁ、問題があるとすれば。
「誰も居ないのは寂しいが……」
現状、雇われているエージェントが俺一人なせいで、寮を利用するのも俺一人だけ。
立派な設備に伴うよう、寮内はかなり、というか異様に広く作られている――多分これも翼の技術――のだが、そこに俺だけなせいでだいぶ寂しい。ってか心細い。
どうしよう。すでに『花守り』が恋しい。一人ぼっちは寂しいもんな。
「……良いもんね。居ないなら居ないで、一人だからこそ出来ることはある。手始めに歌って踊りながらの文字通り踊り食いパーティだな」
「楽しそうですね。混ぜてもらっても?」
「ギャア!!!誰!?!?!?」
唐突に後ろから声をかけられ、飛び上がる。
くすくすと笑う、不意打ちで声をかけてきやがった人物。金髪のその女とは、少なくとも、出会い方は最悪に近いと言えただろう。
社内寮に関しては完全に独自設定です。
仕事を終えたあとや、出勤前や業務開始前に、職員たちでわちゃわちゃしたり、平和に過ごしている様子も書きたかったし見たかった。