なんだこのL社!?!?!?   作:夜月朝陽

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【ふと考えが浮かんだ。この文字を書き換えたら、奴らはどうしてしまうのだろう】


二日目 O-05-323n

「……なるほどな」

 

 手元のバインダーに文字を書きながら、ちらりと横目で黒い木材の看板(O-05-323n)を眺める。

 

 全体的に風化した表面には、やはりかすかなペンキの痕跡しかない。が、ふと視線を戻した時に、確かにペンキで文字が書かれるのだ。

 

 そうして気が付くと、その書かれた文字の内容を無意識で行ってしまう。

 

「言ってしまえば、作業内容の強制ってとこか」

 

 アブノーマリティに対して行う作業は、大きく4つに区分されている。これはゲームでも、現実になったここでも同じだ。

 

 食事など、アブノーマリティの欲求を満たす「本能」作業。

 

 清掃など、アブノーマリティに直接触れない「洞察」作業。

 

 会話など、アブノーマリティと交流を試みる「愛着」作業。

 

 暴力など、アブノーマリティへ負荷を与える「抑圧」作業。

 

 これらは収容室に入る前に、管理人からどの作業を行うかの指示があり、基本的に俺たちエージェントはそれに従って作業する……のだが。

 

「『Repair(修理しろ)』『Clean(掃除しろ)』『Write(書け)』……あー、『Prank(ふざけよう)』か?大体この4つみたいだな」

 

 ギミックとしてはシンプルな部類だ。

 

 この看板、O-05-323nは作業する度に白い文字を書き、その文字に対応する作業を指示に関わらず行わせる。

 

 推測も交じるが……古ぼけたぼろっちい看板を直すことがコイツにとって「本能」作業にあたり、清掃はそのまま「洞察」作業、文字を書いて会話?するのが「愛着」作業、看板に直接何かさせるのが「抑圧」作業となる……のではないだろうか。

 

 既に何回か作業をしている、というかさせられているが、実際に作業している間は無意識であり記憶が残っていない。お陰で性質を把握するのに結構な時間を取られてしまった。

 

「……怖いのはいきなり『Daeth』みたいな字を書かれることだが……」

 

 多分、それはそうそう無いだろうな、という感触がある。無意識の間でやっていた『Write』の愛着作業で、きっとこのアブノーマリティの性格を掴んでいたのだろう。

 

 実感は無いが、そういうことをする性格ではない、という理解だけが手元に残っているようだ。

 

「後は抽出できるE.G.Oについても調べたら、今日は上がりで良さそうだな」

 

 作業の合間合間でノルンとコートニーとも話していたが、上手くやっているようだった。明日からは二人もコイツの担当が出来るだろう。

 

 書くべきことは全部書いたので、収容室を退室する。

 

「……」

 

 ……直前、少しだけ違和感を感じて振り返る。

 

 黒い木材。古ぼけた看板。かすれた白いペンキ。先程と変わりはない。

 

 が、ほんの少し……ペンキ痕の位置が違う気がした。

 

「ま、時々来るよ。明日からは他の奴らも来る。寂しくはないさ」

 

 それだけ言い残して、改めて退室した。

 

 しかしまぁ、二日目に収容したアブノーマリティも温厚だったことは幸運としか言いようがない。

 

 これからについて少し憂鬱な気分になりながらも、メインルームへ足を向ける。

 

 ノルンとコートニーの二人が先にいて、こちらへ手を振っていた。

 

 

 

***

 

 

 

 毎日毎日、自分の前を多くの人間が通っていった。

 

 人間たちは自分のことをじろじろと見つめてから歩いて行く。

 

 どうやら自分に書かれている文字を読んで、行き先を決めているらしかった。

 

 その時、ふと考えが浮かんだ。この文字を書き換えたら、奴らはどうしてしまうのだろう。

 

 早速試してみることにした。ある者は戸惑い、ある者は焦り、色々な顔を見せた。

 

 面白くなって、色々な文字に変えた。いたずらをするのは楽しかった。

 

 その内、誰も自分を見なくなり、近寄らなくなるまで、いたずらは続いた。

 

 やめておけばよかったのに。




【管理情報:O-05-323n】
登録名『いたずら看板』

危険レベル:ZAYIN
攻撃属性 :BLACK
カウンター:-
非脱走オブジェクト

■管理方法1
職員が入室した時、いたずら看板に白いペンキで単語が書かれました。書かれる単語は入室するたびにランダムに変化しました。

■管理方法2
書かれた単語によって、職員が行う作業の内容が強制的に変更されました。「Repair」で本能作業を、「Clean」で洞察作業を、「Write」で愛着作業を、「Prank」で抑圧作業を行わされました。

■管理方法3
作業の結果が全てNE-BOXだった場合、書かれている単語は「Death」へと変化し、職員は自身の首を絞め、死亡しました。

【概要】
黒い木材で作られ、白いペンキの痕がかすかに残っている古ぼけた案内看板。
意志を持っており、自分の文字を見た相手に自分がされたいことを強制的に行わせる。命に関わることはよっぽど気分が悪くない限りやらない。しないとは全く言ってない。
ただし、性格としては寂しがりのかまってちゃんであり、誰も来ない場合は酷く寂しがる。

【作業好感度】
本能:普通普通普通高い高い
洞察:普通普通普通普通普通
愛着:高い高い高い高い高い
抑圧:普通普通低い低い低い

【E.G.O】
◆ギフト「道案内」
部位:ブローチ2
効果:体力+2、精神力+2、作業成功率-2、作業速度-2
説明:黒い木片に紐を通したペンダント。時折何処かへ引っ張られるように動く。

◆武器「道案内」
形状:メイス
属性:BLACK 4~5ダメージ
速度:普通
射程:近距離
説明:看板のような形状をした黒色の木製トンカチ。ペンキの痕は何をしても取れない。

◆防具「道案内」
R:0.9
W:0.7
B:0.9
P:2.0
説明:黒色の木材で作られたプロテクターで覆われた防護服。見た目より重たい。
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