故に、事件や異変が起きれば大抵は人に聞いたりして
さっさと話が先に進んでいきます。
トリックは苦手ですが、推理小説が嫌いってわけじゃありません。
戯●シリーズは大好きです。
がくん!と、咲夜の頭が下がりナイフを構えたまま動かなくなった。
想夢もその場で動かないままでいる。
特に何か合図があったわけではなかった。
だが、動き始めたのは同時だった。
咲夜がナイフを想夢に向かって真っすぐに投げ飛ばし、
想夢は片ひざをつく形でその場にしゃがんだ。
ナイフは想夢の頭上を通り過ぎた。
そして、想夢が立ち上がると、
「ッ!!」
ナイフ、ナイフ、ナイフ・・・
前も後ろも上も横も、無数のナイフが刃先をこちらに向けてその場に静止していた。
まるで、ナイフが咲夜の手を離れた瞬間にその時間を止めたかのように。
「・・・」
咲夜は何も言わない。
何も言わないが、表情は狂気的で楽しそうだ。
破壊衝動を抑えることを止めた咲夜に相手を殺すことに迷いなどなかった。
ただ、ぱちんとフィンガースナップで指を鳴らす。
それだけで、ナイフが一斉にこちらに飛んでくる。
抜け出せる程のな隙間などあるはずもなく、想夢の体は多量のナイフに貫かれる。
そう、咲夜は思っていた。
ナイフが動き出すと同時、想夢の服装が幻想郷に来た当初の博麗の巫女服に変わった。
右手には、1本の刀。
刀を横に薙ぎながら想夢は前方に飛んだ。
刀にはじかれナイフの軌道が変わり、他のナイフとぶつかり合い安置が生まれる。
安置に逃げ込む。運よくナイフには1本も当たらなかった。
「おやあ・・・?その姿はあ・・・?」
咲夜が口を開いた。気怠げだが、どこか楽しそうな口調だった。
「ああ・・・噂に聞く博麗の巫女ってヤツですかあ・・・でも、
その刀は聞いたことがありませんねえ・・・」
「
僕は男だからか博麗の巫女としての力も弱いんで、
全力を出すためにはこうして力を引き出し、強化するための媒体が必要なんです」
この幻想郷の歴史では、博麗想夢という人間は歴代の博麗の巫女の中でも最弱だった。
この幻想郷に名を遺した博麗想夢と今この場にいる博麗想夢は別人ではあるが、
はっきり言って弱いことに変わりはないのだ。
故に、想夢は巫女服や博麗刀などで、己の能力の底上げ、強化をする。
少しでも弱さを補うために。
「そうですかあ・・・まあ、別にどうでもいいです・・・」
話しながらも、咲夜は攻撃の手を緩めない。
一体どこから出しているのか、大量のナイフが想夢の方へと飛んでいく。
想夢は刀を振ってひたすらナイフをはじく。
「埒が明かないですねえ・・・やり方を変えましょうかあ・・・」
咲夜はナイフを投げるのを止め両手に1本ずつナイフを構える。
そしてそのまま腰を低して想夢の方へ走り出し、右手に持つナイフを飛ばした。
想夢がナイフをはじくと、咲夜は目の前まで迫って来ていた。
咲夜が左手のナイフをに振り上げ、想夢が刀を横に薙ぐ。
ッキィン!!と鋭い音がなったが、そこにははじかれ空中を舞うナイフがあるだけだった。
「こっちですよお・・・?」
後ろを振り向くと咲夜が新たなナイフを手に持ち振り下ろそうとしていた。
「くそっ!!」
想夢はとっさに前に転がる。
巫女服が少し破れたが、体に傷はつかなかった。
「よくよけましたねえ・・・しかも反射的に動いたようにも見えますけどお・・・
やっぱり戦い慣れしてますよねえ・・・?」
「そりゃあ、どうも・・・」
「まあ、何があったかは聞きませんよお・・・今はお話する気分じゃあないんでえ・・・」
咲夜は、笑みを見せながら突撃していく。
想夢は刀でナイフを防ごうとすれば咲夜は姿を消し別の方向から襲ってくる。
フェイントを数回に渡って使ってくる時もあれば、そのままナイフを振る時もある。
咲夜の動きが読めない上に、咲夜自身のスピードが速い。
想夢は防戦一方となってしまっていた。
咲夜がまた真正面から突撃してくる。
そして、また想夢の目の前まで近づいて消える。
今度はどこから来る?後ろか、右か、左か、それとも上か?
そして・・・
「そこかぁ!!!」
真後ろに向かって刀を振る。
ナイフと刀がぶつかり合い、咲夜と想夢が向かい合い鍔迫り合いとなる。
だが、
「甘いですよお・・・?」
突然、鍔迫り合いを止めて咲夜が後ろに下がる。
「ッ!!?」
次の瞬間、想夢の上から大量のナイフが降ってきた。
(まず・・・避けられな・・・!!)
・・・・・・・・・
「うー・・・任せるとは言ったけど、やっぱり・・・うー・・・」
紅魔館の屋上へ続く階段にレミリアは立っていた。その表情は不安げで、今にも泣きそうだ。
「あれー?お姉様ー?ぼーっとマヌケ面で突っ立ってどうしたの?」
不意に後ろから声をかけられる。
「ま、まままマヌケ面って何よ!?フラン!」
レミリアが後ろを振り向くとフランが階段を上って来ていた。
「ほらほらすぐそうやって狼狽えない。そんなだから馬鹿にされるのよ?」
「う、うー・・・」
「あーもう泣きそうな顔しちゃって、本当に1人だとメンタルが弱くなるんだから・・・
それで、そんなとこに突っ立ってどうしたの?屋上行くなら行けばいいのに」
「そ、それは・・・」
レミリアが、口ごもっていると、
「フラン、レミィを、いじるのも、そこそこに、して、おきなさい」
別の声が聞こえてきた。
「パ、パチェ!?何でここに!?」
更にパチュリーが階段を上って来た。
・・・今にも倒れそうな姿で。
「ゼェ・・・ハァ・・・フラン、階段、上るの、速すぎ・・・」
「いや、パチュリーが遅すぎるんだって、もっと体鍛えようよ・・・
流石にちょっと疲れすぎだって」
「そ、そんなことよりどうして2人ともここに?」
レミリア怪訝な顔をして尋ねる。
紅魔館の屋上など紅魔館の誰もが使わない。
2人がここに来ること自体がレミリアにとっては不可解だった。
「屋上を、結界で、覆う、ため・・・ふう・・・」
パチュリーがなんてことないとでもいうように・・・身体的には大問題だが
なんてことないとでもいうように答えた。
「結界?何で?」
理由を聞いてもレミリアは納得できない。
さっきまで楽しそうに笑っていたフランが、真面目な顔になった。
「屋上で、咲夜と想夢が戦っているんでしょう?」
「何でそれを・・・!?」
フランの言葉にレミリアが驚く。
「それくらい分かるわよ」
フランの言葉に続くようにパチュリーが口を開く。
体はなんとか落ち着いたようだ。
「レミィ、分からないと思ってた?私達だって紅魔館のメンバーだもの、
咲夜が何か隠しているのは分かっていたわ。
でも、咲夜自身が何も言わずにいたからこっちも何も言わなかったけど、
それが仇となってしまうとはね・・・。
で、今屋上では咲夜の問題を解決するために想夢が戦っているんでしょう?
紅魔館に呼んだお客様にこんなことを頼む形になってしまうなんて情けないけど、
こうなったら私達もサポートしないとね?
美鈴はいつも通り門番として誰も入れないように見張ってもらってる。
妖精メイド達も咲夜がいない分を補うためにいつもより気合いを入れて仕事をしてる。
私達は2人にバレないように屋上を結界で覆うわ。
どんな戦いになるか分からないからね、とにかく被害が紅魔館の外に及ばないようにしないと。
レミィも手伝って頂戴」
パチュリーが魔導書を開き、魔法陣を描き始める。
「私の魔法で結界を張り、レミィとフランの2人の魔力で結界を強化するわ。
準備しておいて」
フランが魔法陣制作を手伝う。
「お姉様、咲夜が大事なのはお姉様だけじゃないんだからね?」
レミリアは、表情がまともになった。
そして、屋上の扉に手を当てて、
「改めて、任せたわよ?想夢」
小さな声で言葉を発し、結界制作の手伝いに加わった。
・・・・・・・・・
屋上にて、
「・・・危なかった」
想夢は無事だった。
ナイフは頭上で全て防がれていた。
想夢とナイフの間には半透明の薄い壁のようなものがあり、ナイフは全てそれに刺さっている。
「結界ですか・・・やっぱり、博麗の巫女なんですね・・・」
咲夜の声から楽しそうなニュアンスが消えた。
表情もさっきよりも真面目なものになっているが、まだ狂気は消えない。
「あまり、使わせないでくれよ?霊夢と違って好き勝手に使える訳じゃないんだ」
「それが素の口調ですか・・・?いや、今はいいです・・・」
「とことん他のことに興味が消えてるなあ!!」
想夢は刀を構えて走り出す。
咲夜もナイフを飛ばして応戦するが、想夢の勢いが消えることはない。
咲夜の目の前まで近づいて刀を振るう。
咲夜もナイフを振るうが想夢の勢いに押し負けナイフがはじかれてしまう。
元々同じ人間の男女だ。筋力の差というものがあるし、はじかれることは気にしない。
咲夜はすぐに次の一手を打とうとする。
が、
「ッ!!何で・・・何で時間が止まらないんですか!?」
咲夜の能力が発動しない。
「ネタの出し惜しみは止めだ!」
更に想夢が刀を振るうが、バックステップで避けられてしまう。
「貴方の・・・能力ですか・・・?」
咲夜が初めて興味を向ける。
「まあ、な」
咲夜の能力「時を操る程度の能力」は、強力な能力だが、対抗策がないわけではない。
例えば、博麗霊夢の能力「空を飛ぶ程度の能力」は、あらゆるものから
できる。言い方を変えればあらゆる干渉を受けなくなるという意味でもあるのだ。
時間という「概念」から浮くことで咲夜が時間を操っても霊夢はその影響を受けない。
例えば、八雲紫の能力「境界を操る程度の能力」は、境界、つまり境い目を操る。
通常の時間の流れと、咲夜の操る時間の境い目を操ることで、
咲夜の能力に干渉し、影響を受けないどころか、能力の発動を防ぐこともできる。
また、ある者は「永遠と須臾を操る程度の能力」を持っている。
永遠とは未来永劫の不変を操る。
須臾とは数字では1000兆分の1を表す。
言葉としての須臾は「しばらくの間、わずかの間」という意味を持っている。
かなり簡単にいってしまえば、「時間を操る能力」とも言えるのだ。
それは、同じく時間を操る咲夜の能力を相殺してしまうことができる。
そして、想夢の場合、
「『断ち切る程度の能力』・・・これが僕の能力だ」
「断ち切る・・・?」
「戦闘中だし、詳しいことは言わない。だが、今何をしたのかは言っておく。
貴方が能力を使う瞬間に合わせて貴方と貴方の能力の関係性を
「!!?」
咲夜の顔が驚愕に歪んだ。
「とりあえずは、上手くいったようで。タイミングが合って本当に良かった。
貴方は一時的に能力が使えない状態となった。ずっと能力を封じておくことはできないが、
この勝負が終わるまではなんとか封じ続けてみせるさ」
そして、想夢は刀を構える。
「ここからは能力の介入しない純粋な勝負だ。
時間が止められなければナイフを新しく出すことはできないだろう?」
「・・・だからなんだというのです?」
咲夜も近くに落ちていたナイフを1本拾い、右手に構える。
「ナイフの予備なら飛ばしたものがいくらでもあります・・・。
それに、私は別に能力に頼らなきゃ何もできないわけではありません」
「そうか、それじゃあ改めて・・・」
想夢と咲夜が前に1歩踏み出す。
「「勝負!!!」」
刀とナイフが交差した。
そこからは、お互いにその場から移動することはほとんどなかった。
ひたすらに刀とナイフがぶつかり合い、その度に鋭い音が鳴り響いた。
パワーは想夢の方があるが、テクニックは咲夜の方がダントツで上だ。
想夢の振る刀に対して、咲夜は的確に受け流すようにナイフを振るう。
隙を見つけては想夢は刀を振るうが、全て咲夜には避けられてしまう。
また、咲夜も隙を見つけて想夢にナイフを振るったり突き刺そうとしたりするが、
全て想夢の服を小さく破くだけで、肉体へのダメージには至らなかった。
だが、お互いに激しく打ち合うにつれ、徐々に疲れが溜まっていった。
そして何度も何度も打ち合いどれだけ時間が経ったか分からなくなってきた頃、
キィン・・・と音がして、ナイフが宙を舞い、地面に落ちた。
打ち合いの末、勝ったのは想夢だった。
「これで・・・」
終わりだと、想夢は続けようとしたが、
「やっぱり、甘いですね」
突然、真正面からの衝撃が想夢の頬に襲い掛かり、想夢は大きく後ろに吹っ飛び
うつ伏せに倒れた。
吹っ飛んだ衝撃で、手から刀を落としてしまう。
頭を前に向けると、左片手を握りしめ、左腕を前に出した咲夜の姿が見えた。
「ナイフを弾き飛ばしたからって、新しいナイフが出せないからって、
それで勝負が決まるわけじゃあ、ありません。最後まで油断は禁物ですよ?」
咲夜が歩いてこちらに近づいてくる。
想夢もなんとか立ち上がる。
「両手で、一生懸命に刀を振って、もうボロボロでしょう?
私、片手でナイフを使ってたから、もう片方の手はまだまだ大丈夫なんですよ」
また、2人の距離がほぼゼロになる。
「お互い、武器も落としてしまったし、殴り合いで決着つけましょうか?
私、体術もそこそこいけるんですよ」
「は、ハハハ・・・まいったなこりゃあ・・・」
そして、咲夜のパンチが飛んでくる。
そのパンチは、想夢の顔に突き刺さる。
「やっぱ、強いなあ・・・」
想夢の体がまたしても後ろに吹っ飛び地面に落ちた。
「・・・終わり、ですか?」
咲夜が問いかけても想夢は答えない。
想夢は、気を失っていた。
「・・・・・・・・・」
気を失った想夢を、咲夜は、ぼうっと眺めていた。
今回はバトルシーンでした。
トリックも苦手ですが、バトルシーンも苦手。
読むのは好きです。
漫画も、ライトノベルも好きです。
ゲームも、どんな話か知りたくてラノベ感覚で買うことが多いです。