幻想パラレル(古)   作:灰色平行線

22 / 79
時々タイトルが言葉遊びではなくなんだかシリアス(?)な感じに
なっていますが、深い意味はありません。
話の内容にあった言葉遊びが思いつかなかったり、
なんとなく「この話はこういうタイトルにしようかなー」って
考えてたりするだけです。
そんなワケで、シリアス(?)な本編どうぞ。


19・私の存在証明

「・・・あれ?ここは?」

気が付くと、想夢は知らない場所にいた。

ここは、川辺だろうか?目の前に巨大な川が見える。

川には木製のボートが浮かんでおり、何人かボートに乗っているのが見える。

それ以外には何も見当たらない。川と石ばかりが続いている。

「どうですか?『三途の川』を初めて見た感想は」

後ろから声が聞こえて振り返ると、少女が立っていた。

背は霊夢と大体同じくらいだろうか。

手には何か書かれた木の板のような物を持っている。

「三途の・・・川?」

「ええ、よく『川の向こうのお花畑でお婆ちゃんが手を振ってる』なんてギャグが

ありますが、実際はご覧の通りです。

花なんて生えてません。探せば彼岸花の1本位は見つかるかもしれませんが」

少女は淡々と言う。

「それで、貴方は誰なんです?」

この少女が見た目通りの年齢をしているなら阿求のように普通にタメ口で話すのだが、

レミリアを見てから幻想郷の住人の年齢が信用できなくなり、

初対面の相手への敬語がすっかりクセがついてしまった。

子供扱いして怒った相手に殺される、なんて展開は勘弁したい。

「ああ、そういえば自己紹介がまだでしたね。

私の名前は四季(しき)映姫(えいき)・・・いや、ヤマザナドゥまでいれるべき?

でも今回は仕事できてる訳じゃないし・・・」

「あの・・・四季さん?それとも映姫さん?」

「いや失礼、改めて私の名前は四季映姫。地獄で裁判長をしております。

まあ、要するに閻魔様です」

「閻魔様って、あの!?」

「はい、その閻魔様です」

「小さい子供にシャクを奪われて3匹の子鬼を奪回に向かわせたあの!?」

「違います!なんでそこでおじゃる●が出てくるんですか!?」

「ってか、そこに伏せ字入れたら伏せ字の意味がないんじゃ・・・」

「細かいことは気にしない!そもそも貴方が話を脱線させたんでしょう!?」

閻魔様はツッコミが激しかった。

「・・・はあ、話を戻しますよ?

まず、第一にここは三途の川ですが、貴方は死んだ訳ではありません。

私が閻魔の権限で貴方の魂のみをここに連れて来たんです。

肉体は白玉楼で寝ていますので、夢の中にいるとでもお考えください。

そして、ここからが本題です」

映姫がこちらをじっと見つめる。

まるで何かを確かめるように。

「私が貴方をここに呼んだのは貴方に忠告をするためです。

本当はもっと早くに忠告をしたかったのですが、私のスケジュールも会いませんし

地獄に来てもらおうにも、地獄には生きている者は入れない。

どうしようかと悩んでいた所、貴方が冥界に来てくれたので助かりました。

本来ならば冥界も地獄と同じく生きている者は入れない。

しかし、今の冥界には生きたまま行くことができる。

本来死者しかいない冥界の中にいる時ならば、生きている者でも地獄に呼ぶこともしできる。

冥界の結界を緩めている八雲紫には感謝しなければなりませんね、

普段なら説教するところですが・・・。

・・・おっと、また話が脱線するところでしたね、すいません。

さて、まず、貴への忠告ですが、

 

今のまま、人生を終えれば貴方は輪廻の輪から外れ、

理性を失いただの化け物へと成り下がるでしょう」

 

「・・・へ?」

理解が出来ない。目の前のガキ・・・じゃなくて小娘は今なんと言った?

「ガキでも小娘でもアウトですからね?失礼なのは変わりませんからね?」

「いや何ナチュラルに人の思考読んでるんですか?」

「とにかく、今の段階では貴方は死んだら幻想郷を滅ぼしかねない化け物に

なるかもしれないと言っているんです。

そうなれば、すぐさま幻想郷の全ての戦力を使い貴方を抹殺した後、

地獄に封印し永遠に終わらない責め苦を受けることになるでしょう」

「な、なんでそんなことに!?」

幻想郷に来てからそんなに悪いことをしただろうか?

女の子と激しい戦闘を繰り広げたりしたが、アレは合意の上だし・・・。

「別に貴方が何かしたという訳ではありません。

ただ、貴方の存在そのものが非常に危ういのです。

私の持つ能力は『白黒はっきりつける程度の能力』と言います。

この能力も使って私は裁判長として死者に対して転生、地獄行きなどのの判決を

言い渡します。

ですが、貴方ははっきり言ってこの世界に対して異物です。

異世界からやってくる程度なら、幻想郷の住人として迎えてやればいい。

この世界の住人として死後の裁判を行うことができる。

だけど貴方の場合、貴方は幻想郷に住みながら幻想郷の住人として認められていない。

この世界の全ての住人が貴方をこの世界の住人だと認めても、

 

この世界そのものは貴方をこの世界の住人だとは認めない。

 

私の持ち物の中に『浄玻璃(じょうはり)の鏡』というものがあります。

これは死者の生前の行いを映すための物ですが、要するに過去を映す鏡です。

誰かが捨てた過去だろうが忘れ去りたい黒歴史だろうがこの鏡は問答無用で映します。

ですが、貴方はこの鏡に映らない。

 

『博麗想夢』という人間は、この鏡に映らない。

 

貴方が博麗想夢という人間である限り、貴方の未来は決まっている。

 

・・・ふう、長々と話しました。

こんなに長く話し続けるのも久しぶりです。

いきなりこんな超展開なことを言われて読者もきっと混乱してるでしょう?

話についていけてないと思いますが・・・

貴方は分かっていますよね?

どうしてこんなことになっているのか。どうすればそれを回避できるのか。

ねえ?博麗想夢(・・・・)さん?」

「・・・」

想夢は答えない。

「忠告はしましたからね?私としても、貴方を地獄に永遠に閉じ込めなければならないなんて

ことにはしたくないので。

ですから、わざわざ忠告までしに来たんですから。

では、言うべきことも言ったので私はさよならするとしましょう。

それでは、裁判で会う時に貴方が人間のままでいることを祈ります」

そう言って、映姫は去って行った。

想夢は、その場に立ち尽くしていた。

 

・・・・・・・・・

 

「・・・あれ?」

目線の先には天井が見える。

ここは、白玉楼の一室だ。

「さっきのは、本当に夢だった・・・?」

さっきまでの会話も、映姫が三途の川だと言っていた場所も、映姫の存在自体が

ただの夢だったというのだろうか。

「想夢さん、起きてますか?」

想夢が考えていると、襖の向こうから妖夢の声が聞こえて来た。

「ああ、起きてる」

「入ってもよろしいでしょうか?」

「うん」

「では、失礼します」

襖が開いて妖夢が入ってくる。

「まずは、想夢さん。昨日は私のワガママに付き合っていただき、ありがとうございます。

それと、ご迷惑おかけしてすいませんでした」

「・・・うん」

「あの後、私なりに考えてみたんです。

そもそも、私が貴方に勝負を挑んだのは、貴方のことが信用できなかったからです。

だから剣を通して貴方という人間を理解しようとしました」

正直な話、妖夢は想夢に対してあまりいい感情を抱いていなかった。

この男に紫や幽々子が好意的な理由が分からなかった。

自分にあっさりと負けてしまうような男がそんなに重要な存在か?

どうしてこの男が幻想郷とって危険な人物だと言い切れる?

悩みのタネは尽きない。

だから、斬る。

その結果、妖夢は負けた。

彼は強かった。それは認めよう。

だが、こんな方法で負けるとは思わなかった。

「弾幕ごっこ」のルールがあるため、ルール無用の戦闘はあまり経験したことがなかった。

それ故に、妖夢は正々堂々と正面からぶつかり合う勝負しかしたことがなかった。

初めて「騙す」という方法を経験した妖夢は、その負け方に動揺した。

動揺して、喚いてしまった。

「幽々子様に言われました。『相手を騙すのはそうしてでも守りたいものがあるからじゃ

ないかしら?』って。

私は、貴方と剣を交えて、悪い人ではないと思いました。ですが、善人でもない。

だから私は貴方に聞きたい。

昨日、剣を交えただけでは分からなかったんですが、

想夢さんの『守りたいもの』って何ですか?」

「・・・難しい質問をするね。

・・・正直、まだよく分からないや。妖夢と戦ってた時だって、ただ勝つために必死だったし。

妖夢は強いからね。

何が1番大切かって聞かれたらそりゃあ自分だって答えるだろうし、

人のために命張るような覚悟は僕にはない」

その答えに妖夢は少し驚いた。

「・・・随分と正直に答えるんですね」

「見栄を張って痛い思いはしたくないからね。

僕は漫画の主人公じゃない。時と場合によって言う内容はころころ変わるさ」

「・・・フフッ」

妖夢が笑った。

「・・・何か変なこと、言っちゃった?」

「いえ、すいません。ちょっと可愛い所もあるんだなって思っちゃいまして。

・・・分かりました。貴方はやっぱり悪い人ではない。

私も、貴方を信用してみようと思います。

それに、悪いことを企てる度胸もなさそうですしね」

「うぐ・・・」

「フフッ」

妖夢は笑う。

想夢は項垂れる。

幽々子はニコニコしながら2人を見ている。

微笑ましい光景がそこにあった。

「・・・ん?幽々子さん?」

想夢が襖の方を見る。

妖夢もつられてそっちを見る。

半開きになった襖から幽々子がこちらを見ている。

「あの、幽々子様?」

「なあに?妖夢?」

「い、一体いつからそこに?」

「妖夢が想夢を起こしに行ってから戻ってこないから気になっちゃってねえ、

覗いてみたらなんだかいい雰囲気だったから思わず覗き続けちゃったわあ」

「い、いやこれは違うんですよ?至って真面目な話でしてね?」

「大丈夫大丈夫、分かってるから」

「それ分かってないパターンですよね!?幽々子様!?」

「ほら、そんなことより早く朝ごはん食べに来なさい。

まったく、貴方が食べた朝ごはんを誰が洗ってると思ってるのかしら?」

「お母さん!?って、食器洗ってるのは少なくとも幽々子様じゃないですよね!?」

何度見てもコントだと想夢は思った。

主と従者というより、先輩と後輩のノリのようにも見える。

「そういえば、幽々子さん」

「あら、なあに?」

「四季映姫って人、知ってますか?」

 

「あら、彼女にあったのかしら?そういえばここは冥界だものね」

 

想夢は確信する。夢で見たあの閻魔と名乗った少女は本物だと。

「さ、難しい話は後にしてまずはご飯にしましょう?

お腹が減ってると考えもまとまらないわよ?」

「お、お母さん・・・!」

おかあ・・・幽々子の言う通り、とりあえず考える前にご飯を頂こう。

想夢の幽々子に対するイメージは「本心の見えない不思議な人」から「お母さん」へと

変わってしまっていた。

 

・・・・・・・・・

 

「ただいまー」

朝食を頂いたあと、例の「スキマ紙」で博麗神社に帰って来た想夢。

霊夢の姿はなかった。

「ん、置手紙?」

 

 想夢へ

 

 仕事があるので神社を開けています。

 お昼はテキトーに済ませておいてください。

 晩御飯には帰るので、できれば作っておいてください。

 

 霊夢

 

「・・・どこの夫婦だよ・・・」

しかも良い関係とは言えない方の。

 

「こんにちは、霊夢いるかしら?」

お昼頃、咲夜が神社を訪ねてきた。

・・・口調が変わった?

「い、いや、霊夢なら今日は仕事ででかけてるみたいですよ?」

「そう、用事があったのだけれど仕方ないわね、急ぎってワケでもないし」

「そういえば咲夜さん、口調変えたんですね」

「ええ、今日はお客様じゃないし、想夢とは友人として接したいから。

その、変・・・かしら?」

「そんなことはないです。ただ、丁寧な口調に慣れてたから少し驚いただけです」

友人として接したい。なんだか嬉しい響きだ。

それに便利な言葉だ。相手を傷つけずに告白を断る時に役立ちそう!

・・・あれ?なんだか悲しくなってきた?なんでだろう?

「フフ、そう言ってもらえると嬉しいわ。

どうせなら、想夢もタメ口で話してもらえないかしら?

想夢ってそっちが素でしょ?」

咲夜が笑顔で問いかけてくる。

「そう・・・だね、分かった。次からはこれでいこう」

「ええ、それで想夢。明日って何か用事はあるかしら?」

「いや、今の所はないけれど」

「そう、なら明日、人里まで付き合ってくれないかしら?

簡単に言うと、デートしてくれない?」

「・・・へ?」

やはり、幻想郷の女性のフレンドリーさは間違っている。

そんな、どこかで聞いたようなフレーズが、想夢の頭に浮かんだ。

「ダメ、かしら?」

咲夜が不安そうに聞いてくる。

「いやダメじゃないけど・・・僕でいいの?」

「勿論!それにデートって男女が一緒にお出かけすることでしょう?

私、お嬢様のお使いで人里にはよく行くんだけど、男の人の知り合いはいるけど

友人って呼べる人はいなくてね。

これが初デートってワケ。初めてってなんだかワクワクするわね?」

「う、うん」

なんだか、咲夜のテンションが高い。

遠足の前の日に興奮してなかなか眠れない小学生のように見えてくる。

ともかく、

 

博麗想夢は明日、幻想郷にて十六夜咲夜とデートに挑むこととなった。

 




言葉を間違えれば相手に殺されるかもしれないと思ってる割に
相手に対してボケる想夢さん。
まあ、ギャグパートで人が死ぬようなことはありません。
というかそんな展開私自身が思いつかないので書けません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。