幻想パラレル(古)   作:灰色平行線

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二次創作なんだし原作と設定に食い違いが出ても多少はね?
・・・と思ったりもしたけど、
よくよく考えたらオリ主なんて出してる時点でなあ・・・。


25・巫女の話、過去の話

にとり「むかーしむかーしのお話です。ある所にシンデレラという少女が住んでいました。

    シンデレラは意地悪な母親とお姉さん達に毎日のようにいじめられてました」

 

神奈子「シンデレラ?なあに?これは?」

 

想夢 「め、目玉焼き・・・です」

 

神奈子「私は目玉焼きには醤油って言ったわよねえ?なんで塩がかかってるのかしら?

    本当に使えない子だねえ、お前は」

 

想夢 「ご、ごめんなさ・・・」

 

早苗 「ちょっと待ってお母様!目玉焼きにはソースですよ!?」

 

諏訪子「何言ってるのさ!?目玉焼きにはケチャップに決まってるじゃないか!?」

 

神奈子「ええい何を言うか!目玉焼きには醤油・・・」

 

「ストーップ!守矢一家の食卓事情を劇の中に持ち込まないで!!

ちゃんと台本通りにやって頂戴!!!」

アリスの声がマヨヒガに響く。シンデレラ序盤、3回目のNGだった。

 

・・・・・・・・・

 

「さて、台本も完成したし、今日から劇に使う道具を作りましょう」

劇『シンデレラ』の練習4日目。

「おお!!じゃあ私の出番ってわけだね!」

にとりの目が輝く。

「そういうことね。それじゃあここからはにとりに任せるわ」

指示を出していたアリスがにとりにバトンタッチする。

「にとりって工作得意なの?」

なんとなく隣に立っている魔理沙に聞いてみる。

「ああ、にとりは河童って妖怪でな?河童は分かるだろ?川で尻を狙ってるアレだ。

んで、河童てのは手先が器用で独自の技術を持ってるんだ。

何かを作ることに関しては、河童は幻想郷トップクラスの種族ってワケだな」

「ふーん・・・尻?尻子玉だよね?ねえ?」

ぱん!ぱん!と、にとりが手を叩く。

「それじゃあまずは衣装から作ろう!

最初はシンデレラの衣装から始めようか。

想夢は役と性別が違うからね、体のサイズを測るところから始めないと。

王子様役も性別が違うけど、そっちは最悪の場合『変化』が使えるしね。

んじゃあ、想夢はこっち来てー、サイズ図るからー。

あと誰か想夢の衣装作るの手伝ってくれない?」

「あ、じゃあ私が手伝います!」

にとりが呼びかけると、早苗が勢いよく手を挙げた。

「よーし、想夢と早苗と私で想夢の服のサイズを測ろうか。

他は・・・誰か裁縫ができる人いるー?」

にとりの質問に手を挙げたのはアリスと藍だった。

「私は人形の衣装とか作ってるから裁縫ならできるわ」

「私も裁縫ならある程度はできる」

「なら、2人が中心となって残りのメンバーでシンデレラの母親と姉片方の服を作って。

見た目は2人に任せるよ」

にとりの仕切りによってそれぞれが作業に移る。

 

「それじゃあ想夢、服脱いでー、それとも脱がしてほしい?」

「脱ぐからその手を止めてくれ」

にとりが手をわきわきさせながら想夢にじりじりと近づいていく。

想夢は身構えながら、じりじりとにとりから離れていく。

「あの、そろそろ始めませんか?」

そんな2人を見て早苗は苦笑いをしながら2人に呼びかける。

「そうだね、んじゃ脱いでー」

「あいよー」

さっきの茶番はなんだったのやら、実にあっさりと2人は作業に戻る。切り替えが早い。

「おお、やっぱり細いね」

上半身裸の想夢を見て興味津々な顔したにとりが呟く。

「これは・・・なるほど・・・ほほう・・・ふえぇ・・・」

早苗が顔を赤くしながら意味のない言葉を呟く。

「やっぱり巫女なんだねえ、もしも想夢が普通の人間なら妖怪には勝てないかもね。

負けないことはできるかもだけど勝つことはできないね」

「そうですねえ・・・私も巫女だから妖怪退治とかできますけど、

能力を持たない人間が妖怪に勝つとなるとかなりの筋力や身体能力が必要ですもんね」

そして真顔に戻って話す2人。切り替えが早い。

「で、サイズ図らないの?」

「ああ、そうだった!早苗、巻尺のそっち側持って!」

「はーい!」

とにかく切り替えも早い3人だった。

 

・・・・・・・・・

 

夕方に差し掛かろうとした頃、

という「よーし、今日はここまでにしよう!続きはまた明日ね!」

にとりの掛け声で作業が終了する。

作業に使った材料をマヨヒガの家の中にしまっておく。

「人に見せられないモノは時がくるまでしまっちゃおうねー・・・」

独り言を呟きながら物をしまっていく想夢。

「あ、想夢さん今日って時間ありますか?」

そんな想夢に早苗が話しかける。

「時間?」

「はい、できればウチの神社に来て頂けませんか?」

「あー、今日は霊夢に作業が終わったらすぐ帰るって言っちゃってるから

ちょっと行けそうにないや、ごめんね?明日とかなら大丈夫だけど」

「はい!全然大丈夫です!それでは!」

そう言って早苗は去って行った。

その背中を見つめながら想夢は、

「・・・片づけのこと忘れてるなあの子・・・」

1人呟いた。

 

・・・・・・・・・

 

「明日、文化祭準備の後で守矢神社に行ってくる」

「そう、気を付けてね」

夜、博麗神社にて霊夢に明日の予定を報告する。

「ところで、早苗も巫女なんだよね?博麗の巫女とはどう違うの?」

「まず博麗の巫女っていうのは幻想郷を存続させるためのバランスを保つ存在なの。

外の世界と幻想郷を隔てる『博麗大結界』の管理や異変の解決もその仕事の内ね。

妖怪も人間も存在できるように幻想郷を管理しないといけない。

博麗の巫女は幻想郷のために存在していると言ってもいいわ。

それに対して守矢の巫女は幻想郷の外からやって来た存在、

信仰の対象となる神もハッキリしている。

人間の信仰を得るために妖怪退治や異変の解決をするけれど、幻想郷のためってわけじゃない。

仕事内容は似ているかもしれないけど、存在そのものが大きく違っているの。

でも・・・」

霊夢は一呼吸置いて笑顔で語る。

「私は『幻想郷のためだから』『幻想郷を守るため』なんて理由で巫女なんかやってないわ。

私の行動はあくまでも私のため。大層な理由なんて堅苦しくて持ってられないもの。

自分勝手な奴だと思った?

もしそう思ったんならそれは大正解。私は自分勝手なの。

それはきっと守矢神社の面々も同じだし、この幻想郷に住む者は大体自分勝手よ。

自分勝手で自由気ままで面白そうなことが大好きな奴らばっかりなの。

そんな皆が最低限のルールの中で自分勝手に自由気ままに楽しく毎日を生きている。

そんな光景をきっと『幻想的』って言うんじゃないかしら?

まあ、私がこんなんだから本当は博麗の巫女も守矢の巫女もそんなに違わないのかもね」

霊夢は最後に「いつも楽しいって訳にはいかないけど」と付け加えた。

霊夢の言葉を聞きながら、想夢は幻想郷に来てからのことを思い出していた。

阿求に茶屋に連れられ、レミリアに紅魔館に招待され、魔理沙に闇鍋に誘われ、

幽々子に白玉楼に招待され、妖夢に勝負を申し込まれ、咲夜にデートに誘われた。

思い返すと、基本的に想夢から何かやりだしたことはない。

幻想郷を回ってみようと思うと言いながらも、紅魔館も白玉楼も相手からの誘いがあったから

行ったようなものだ。

そういえば、女装コンテストも勝手に推薦されたのだった。

なるほど、確かに幻想郷の住人は自分勝手で自由気ままらしい。

女装には未だに抵抗があるが、悪いことばかりではなかった。楽しいこともあった。

ただなんとなく守矢の巫女について聞いてみただけだったが、

想夢の幻想郷に対する見方が少し変わった夜だった。

 

・・・・・・・・・

 

翌日。

「よーし!今日はここまでにしよう!お疲れさまー!」

いつものように劇の準備をし、時間がきてにとりの声で終わる。

「それじゃあ想夢さん、行きましょうか」

「うん」

片づけをして想夢は早苗、神奈子、諏訪子の案内で守矢神社へと向かう。

「そういえばさ」

守矢神社に向かう途中で諏訪子が想夢に話しかける。

「そー君はさ、なんで今の幻想郷に現れたんだい?」

「諏訪子様?それは、どういう・・・」

早苗が諏訪子に聞くと諏訪子は当然の疑問だと言わんばかりに言った。

「だってさ、そー君は3代目の博麗の巫女でずっと昔の人間でしょ?

ただの人間だから寿命も人と変わらない。人の範疇でしか生きれないはずだよね?

つまりそー君が今の時代の幻想郷にいるってことは、何らかの方法で過去から未来に来たって

ことだよね?

そんなことをするんだもん。何かしらの理由はあるはずなんだよ。

話したくないならいいんだけどさ、何でなんだろうなあって、ちょっと気になっただけだから」

諏訪湖の問いに対して、想夢は

「・・・何でなんだろうなあ?自分でもよく分からないや。

過去の幻想郷についてはほとんど覚えてないし、ずっと封印されてたから」

と答えた。

「ふ、封印!?初耳ですよ!?」

「何か封印されるようなことでもしたのかい?」

早苗が驚き、神奈子が聞くが、

「どうなんでしょう?」

想夢にはとぼけるしかなかった。

封印などあるはずもない。

そんなのはただの作り話だ。

そもそも『この幻想郷』の博麗想夢ではないのだから過去の幻想郷など知るはずもない。

それどころか、自分はパラレルワールドの住人だ。

それも『幻想郷の存在しない』世界の博麗想夢なのだ。

幻想郷のことなど1つだって分かるものか。

ただ、自分がパラレルワールドの住人だとバレたくなかった。

だから嘘をつく。

設定を考える。

嘘を重ね、設定を重ね、自分の見てくれを構成する。

・・・少し、重い空気になってしまった。

「そういえば諏訪子、さっきから言ってる『そー君』ってなんだい?」

「あ、それは私も気になってました」

場の空気を変えようと神奈子が諏訪子に尋ね、それに早苗も乗っかる。

「んー?それはホラ、博麗想夢でしょ?『そうむ』だから『そー君』だよ。

あれ?嫌だった?」

「嫌ではないよ」

想夢は笑って答える。むしろ想夢にとっては新鮮な感じだった。

「うん!そー君は心が広いね!」

諏訪子も笑う。

2人で笑っている。

「あ、着きましたよ!」

早苗の声で、想夢は視線を諏訪子から前方に移す。

そうこうしているうちに、守矢神社についた。

博麗神社とあまり変わらないように見える。

そもそも想夢には神社の違いなど分からない。

「さあ想夢さん!ようこそ我が神社へ!」

「特になんにもないけどゆっくりしていってね!」

「存分にくつろぐがいい!」

ビシイイィィッ!!!と効果音がなりそうな、

後ろが爆発しそうな、まるで日曜朝の戦隊モノのように、

早苗、諏訪子、神奈子は決めポーズをとった。

そんな姿を見て想夢は、

 

「どっちかっていうと悪役に見えるね」

と言った。

 

「・・・」

「・・・」

 

気まずい空気が流れた。

 

・・・・・・・・・

 

想夢が自分と同じ巫女だからなのか、早苗は想夢に対して好意的だった。

 

「ファミコン?随分懐かしいモノ持ってるね」

「はい!まだまだ現役です!想夢さんもファミコン持ってるんですか?」

「いや、僕はスーファミが最初だったからファミコンは持ってないんだ」

「へぇ、スーファミですか。初めて遊んだソフトとかって覚えてます?」

「たしか『スーパード●キーコング』だったな、マ●オよりも

ド●キーコングの方が僕にとっては有名だったよ」

「ド●キーコングですか、アレは難しかったですね。特に2が」

「そう、特に2が。そういえば知ってる?最近ファミ通が何の略か知らない人が

増えてきたみたいだよ?」

「そうなんですか!?」

「やっぱり『フ●ミリーコンピュータ』なんてもう古いのかねえ・・・」

「ソフトは『バーチャルコン●ール』とかでまだまだ現役なんですけどねえ・・・」

 

夕食をご馳走になって、特に意味のない、友達同士がするような会話をする。

なんというか、安心感のある楽しい時間だった。

 

夜、守矢神社に泊まるために布団の準備をする。

歯を磨き、あとは寝るだけとなったところで想夢は神奈子の姿を見つけた。

縁側で1人で酒を飲んでいる。

「何してるんですか?」

「ああ、想夢か。ちょっと月見酒をな。お前も飲むか?」

「いえ、もう歯も磨きましたし、あんまりお酒飲めないんです」

「そうか。それは残念だ」

そう言って神奈子は薄く笑う。

月明かりに照らされた、ほんのり赤い神奈子の顔には普段とは違う色気があった。

想夢は神奈子の隣に座る。

「・・・早苗には悪いことをしてしまったと思っているよ」

神奈子が語りだす。

「私達は元々外の世界にいたんだが、外の世界じゃあ信仰が得られなくてね。

神様は信じてくれる人がいるから存在できる。それは妖怪も変わらない。

外の世界で神様を信じてくれる人なんてほとんどいない。

ましてや、特定の神様を信じてくれるような人なんてね。

それまで溜めてた信仰を使ってなんとか存在していたような状態さ。

だから新たに信仰を集めるために幻想郷にやってきた」

「・・・神様も大変なんですね」

「そうだな。例えるなら貯金を崩してニート生活をしていたが、

このままじゃヤバイと思い仕事を探した結果、幻想郷に引っ越すことになったと

いったところか・・・」

「うわあ・・・いっきにギャグっぽくなった・・・」

「まあそれは冗談として、早苗には辛い選択だっただろう。

それまでに築き上げたモノを捨てることになるのだから・・・。

幻想郷に来て大分時間が経った。早苗も心から笑えるようになった。幻想郷での友達も作れた。

だが・・・今でも思ってしまうのだよ。

早苗を幻想郷に連れて来たのは本当に正しかったのかと。

本当は辛くて苦しいのを我慢しているだけなんじゃないかと。

早苗にはもう私と諏訪子しか家族と呼べる者がいなくてなあ、

守矢の神様であると同時に、早苗の親でありたい。

親でありたい者としては、この心配は拭えんよなあ・・・」

神奈子は何かを思い出すように、何かをかみしめるように、目を閉じる。

「・・・随分と変なことを話してしまったな。

もしかしたら自分で思っている以上に酔っているのかもしれんな。

もう寝るとしようか」

そう言って神奈子は立ち上がる。

想夢も立ち上がり寝室に移動しようとするが、

「想夢」

神奈子に呼ばれて足を止める。

「早苗と、仲良くしてくれ」

「それは、友達としてという意味ですか?」

想夢は神奈子に背を向けたまま尋ねる。

「そうだな、友達が多いことはいいことだからな。まあ、親のお節介とでも思ってくれ」

神奈子の足音がだんだん遠ざかっていく音が聞こえる。

想夢もそのまま歩き出し、寝室へと向かった。

 

・・・・・・・・・

 

同時刻、博麗神社。

ふと、本当にたまたま、何の前触れもなく、ただなんとなく霊夢は思った。

 

「幻想郷のない世界。そこに博麗の巫女がいたとしたら、その存在理由は何?」

 

博麗想夢について、少し疑問を抱えながら霊夢は床に就いた。

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