漫画の単行本の最後の方にあるおまけ漫画のようなカンジ。
博麗神社に巫女が増えたらしい。
その巫女はどうやら男らしい。
その巫女は今の博麗の巫女よりも昔に存在していたらしい。
始めはそのような噂を耳にする程度だった。
別に気にするようなことではない、ウチはウチ、他所は他所。
守矢の信仰が奪われないのならば問題ないと、神奈子様は笑っていた。
ここ最近、神奈子様は大分丸くなったように思う。体型ではなく性格の話。
昔は信仰を得ようと必死だったような気もする。
今では博麗神社や妙蓮寺ともそこそこ良い関係を築けていると私は思う。
だから新しい巫女なんて特に気にするようなことではない。
どんな人間なのか、ちょっとした好奇心で一目見ればそれで充分な存在だと、私は思っていた。
「早苗、こっちは博麗想夢。あなたも巫女なら知っているかもしれないけど、
霊夢とは別に現れた博麗の巫女よ」
実際に一目見るまでは。
人里のカフェで偶然出会った博麗想夢という人間は、私の知る人間と同じ見た目をしていた。
そっくりさんとかそういうレベルではない。
先に咲夜に紹介されていなければ、私は彼が幻想入りしたのだと勘違いしていただろう。
だから私は努めて明るく振る舞った。私の動揺を目の前の2人に見られないように。
私という人間に違和感を与えないように。
好奇心は猫を殺すと言うが、この時の猫の立ち位置にいる私は、
自分から好奇心に踏み込むこともなく、好奇心の中に入ってしまったのだろう。
猫と好奇心は出会ってしまった時点で死からは逃れられないのだ。
「ああ、想夢さん!お久しぶりです!」
文化祭の出し物を決める際に私はまた博麗想夢に出会った。
2度目の出会いも偶然だった。
この時はただ友人に会った程度の気持ちでしかなかった。
楽観視していたのだろう。
守矢神社に招待したりもした。
その日からだった。
諏訪子様が博麗想夢を「そー君」と呼ぶようになったのは。
思えば、あの人もとある同級生にそんな風に呼ばれていたような気がする。
どこまで似てしまうのか。
彼を見ているとあの人を思い出してしまう。
ここからだった。
好奇心が本格的に私を殺しに来たのは。
「ああ、そうでした!想夢さん手伝ってもらえませんか!?」
私は博麗想夢と共に別の世界の幻想郷に迷い込んでしまった。
そして、私は博麗想夢と共闘した。
妖怪の山で天狗達と戦った。
山の頂上で、もう1人の神奈子様の話を聞いた。
この世界の博麗の巫女が外来人の男を殺したという話。
その後、守矢の巫女が失踪したという話。
私と博麗想夢が元の世界に戻る直前、神奈子様は呟いた。
「お前もアイツ程強ければ死なずにすんだのかもしれないな。
見た目は何も変わらないのに」
私には聞こえてしまったのだ。
博麗想夢の顔を見ながら神奈子様がなんと言っていたのか。
恐らく、博麗の巫女が殺したという外来人は・・・。
「明日の文化祭、もしよかったら一緒に回りませんか?」
その後、何事もなく、文化祭は始まった。
私は、博麗想夢に文化祭を一緒に見て回るという約束を取り付けた。
博麗想夢と一緒にいることであの人と一緒にいると思いたかったのかもしれない。
だが、仲良くなるべきではなかったのだ。
出会うべきではなかったのだ。
私が猫なら彼は好奇心そのものだ。
猫と好奇心は一緒にいてはいけなかったのだ。
私という存在が不安定になる。
過去の私が今の私を糾弾する。
私がケリをつけた過去を私はまた繰り返すのかと。
私が捨てたモノをお前はまた拾おうとするのかと。
私が私であるために必要なのは何なのかと。
だから私は・・・。