人里の話を何話か書いたら
次は紅魔館へ(いけたらいいな)。
ちなみに、想夢は人を見た目で判断しています。
といっても年上なら敬語で、年下又は同い年ならタメ口でという
程度ですが。
「博麗の巫女っていうのは正義の味方ではないの」
夢を見ていた。
前回同様、喫茶店のような場所で、
前回とは違う女性と話をしていた。
「正義の味方に憧れるのも正義の味方の真似事をするのもいい。
でも、自分は正義の味方ではないことを忘れてはいけない。
博麗の巫女の仕事は異変を解決すること。
決して人助けではないの。
私が人を助けているのはただの自己満足、偽善に過ぎないわ。
だって異変を起こすのはいつだって妖怪や神様の類、人間はただ困るだけ。
だから人を助けて、異変の原因をぶん殴る。
だけどね、人間が異変を起こさないとは限らないでしょう?
人間は決して妖怪や神様に比べて弱っちい存在なんかじゃないんだから。
自分が気づいてないだけで異変位起こそうと思えば起こせるのよ。
もしも、人間が異変を起こしたらアナタはどうする?
私は、その人間を殺してでも異変を止めるわよ?」
そう言った目の前の巫女服を着た彼女は、
「まあ、そんなことあるとは思えないけど」と付け足した。
・・・・・・・・・
想夢が幻想郷にやってきて2日目、
想夢の服装は昨日の巫女服ではなく、外の世界では珍しくもないような私服だった。
「あら?アナタ巫女服以外にも服持ってたの?
ここに来たときに荷物なんて見なかったけど」
と、霊夢が尋ねる。
「ああ、あの巫女服は能力の一部だよ。
僕が能力を使おうとすると服装が巫女服に変化するんだ」
と、想夢が答える。
「ふーんそうなの、なら話なら今日は人里に行きましょう?
これからの生活に必要な物を揃えなきゃだしね」
「分かった。
・・・ああ、そうだ霊夢、1つ聞いていいか?」
「・・・何よ?」
想夢の真剣な表情に、霊夢も緊張する。
「博麗の巫女ってどんな存在だと思う?」
「どんなって・・・異変を解決する存在なんじゃないの?」
少し間があったものの、霊夢が質問に対して悩む様子は見られなかった。
・・・・・・・・・
博麗神社から少し離れた場所に位置する人間達の集まっている場所。
人里。
町とも村とも表現するわけにはいかず、
このような表現になってしまうことには目を瞑ってほしい。
想夢は今1人だ。
事前に主な店の場所を教えてもらっているので1人でも
買い物できないこともない。
外の世界のお金も使えると聞いている。
・・・といっても不安なので霊夢から幻想郷のお金を小遣いとして
いくらかもらっている。
「必ず返しなさいよね!」と、何度も言われたので
多分小遣いという認識は間違っている気もするが。
「お邪魔しまーす」
最初は小物屋に入ってみた。
「いらっしゃい!ん?兄ちゃん見ない顔だね?人里に来るのは初めてかい?」
小物屋の店主はなかなかに人のいいオジサンだった。
「はい、いわゆる外来人ってヤツらしいです」
外来人についての知識も人里に行く途中で霊夢から聞いている。
想夢としては自分のことを説明するには丁度いいと思った以外には
あまりピンとくるような話でもなかった。
「そうかそうかハッハッハ!
外から来た人は外来人って言葉になかなか馴染めねえからな、
けど安心しな!どうせ半月もすりゃあ初対面の奴でもなきゃあ外来人なんて
呼び方するような奴は滅多にいなくなるからよ!」
豪快なオジサンだなと、想夢は思った。
「しかし、随分と凝った模様ですね、僕に美のセンスはないので
すごいとしか言えませんが、本当にすごいです」
「そうか!気に入ってくれたか!?いやあ嬉しいねえ!
この棚に置いてある小物の模様は全部俺が描いているんだ!」
「店主が!?」
繊細なオジサンだなと、想夢は思った。
ハッハッハ!と笑いながら小物屋のオジサンは、
「よっしゃ!気に入った!
お近づきの印に1つだけ兄ちゃんにタダでプレゼントしてやろう!」と言った。
「いいんですか?」
「おうよ、男に二言はねえ!どれでも好きなのを選んでくれい!」
「じゃあ、これを」
想夢が選んだのはティーカップだった。
「ほう、ティーカップか」
「なんというか、意外で。
人里には和風の建物がほとんどだし、この店も並んでる商品は和風が多いけど
洋風な物もあるんだなって思いまして」
「ああ、昔は和の物ばっかりだったんだけどよ、
幻想郷に紅魔館があらわれてからは洋物も置くようにしたんだ。
それに外の世界から来た人には洋物の方が肌に合う場合もあるからな、
俗にいう『数多のニーズに答える』ってヤツさ」
「随分と今ドキな言葉知ってますね」
「おうよ!幻想郷は見た目こそ昔風だが、こういった文化は常に進んでいくのさ」
「へぇ・・・」
知的なオジサンだと、想夢は思った。
「部屋の明かりに蛍光灯を使ってる家も最近は多いんだぜ?」
「マジですか!?」
「風呂を自動で沸かしてくれる装置がある家も最近になって増えてきたんじゃないか?」
「電気とかどうしてるんだ・・・?」
謎は深まるばかりである。
・・・・・・・・・
想夢が店を出てから数分後、
小物店に1人の女性が入っていった。
「こんにちは」
「おう、メイドの姉ちゃんか!いらっしゃい!今日もいつものおつかいかい?」
「ええ、お嬢様に言われてティーカップを買いに・・・
あら?今日はティーカップが少し少ないようだけど、誰か買ったのかしら?」
「おう、さっき新しく外から来た兄ちゃんが買ってったな、
オレの繊細な芸術が分かるなかなかイイ男だったぜ!」
「へえ、お嬢様と似たセンスを持っているのかしら?
外から来たってことはその人って人里に住んでるのかしら?」
「いや、兄ちゃんから聞いた話だと博麗神社にお世話になっているらしい。
会ってみたいなら博麗神社を訪ねてみるといいんじゃねえか?」
「へえ、あの巫女の・・・とりあえずはお嬢様に報告ね、
すぐに連れて来いとおっしゃるでしょうけど」
女性は、クスリと笑った。
・・・・・・・・・
一方、小物屋を後にしてその後、
服屋でこれからの私服を買ったので霊夢との待ち合わせ時間まで
どうしようか悩んでいた想夢は、
「お兄さん、よければ私とそこの茶屋でお茶でもどうでしょう?」
「お嬢ちゃん、その年で逆ナンはまだ早い、それについて行ったら多分
僕は白い目で見られると思うからできれば遠慮したいのだが」
「お金なら心配しないでください、私が全額払いますから」
「いや、そういう問題じゃなくてね?」
高級そうな着物に身を包んだ小さな女の子からお茶に誘われている最中であった。