誤字とかないか確認するのですが、
見つかるのは投稿した後のことが多いです・・・。
思い込みの力ってすげー。
「とりあえず状況を整理してみましょう」
部屋の中に霊夢の声が響く。
現在、博麗神社の一室では異変に対しての会議が開かれたばかりである。
「まずは紅魔館から」
霊夢がレミリアを指さす。
「紅魔館に関しては、咲夜以外はほぼ全滅といったところね。
美鈴も自慢の身体能力が人間と同じくらいになってしまったし、
私やフランも能力が使えなくなってるわ。
吸血鬼の弱点まで一緒に消えてるのは喜ばしいことなんだけどね。
変化が少ないのは咲夜だけよ」
「分かったわ。次、白玉楼」
霊夢は妖夢を指さそうとしたが、
現在進行形で大泣き中の妖夢の姿に、黙って指の向ける先を幽々子に変えた。
「白玉楼で変化したのは私くらいねえ。
妖夢も一応変化したけど半人半霊から人100%になったようなものだし、
能力も普通に使えるみたいだし。
私の方は能力が使えないって程じゃないけどかなり弱体化してるわ。
少なくとも『死』お与えられるような力は今はないわ。
あ、あと、食べる量が減ったの!すごくない!?」
「嬉しそうに言わない!次!永遠亭!」
ニコニコと嬉しそうに笑う幽々子にツッコミをいれながら霊夢は妹紅を指さす。
「永遠亭はほとんど使い物にならないと言っていいわ。
不老不死になっていた者の不死性はなくなり、輝夜はケンカのダメージで動けない。
永琳は輝夜の治療に忙しいし、なにより私意外の永遠亭メンバーは能力が使えない。
期待はしない方がいいわ」
「さらっと言ってるけど一気に状況がシリアスになった気がするわ。じゃあ守矢神社」
霊夢は早苗を指さす。
「守矢神社では神奈子様と諏訪子様が能力を失ってしまいました。神としての力も同様です。
また、私も神としての力は消えてしまいましたが能力自体はまだ残っています。
今はとりあえず『重すぎるしめ縄をどうするか』について考えています」
「最後でシリアスが台無しよ。最後、人里」
頭を抱えつつ、霊夢は阿求を指さした。
「人里にはほとんど被害がありませんでした。
人里に住んでいたり遊びに来たりする妖怪や妖精などは能力が使えないなどといった
異変が起きているようですが、少なくとも人間の被害は確認しておりません」
「なるほどね・・・こうして聞いてみると変化が起きているのは
妖怪とか神様とかばっかりで人間の被害はあまり見られないってカンジねえ・・・」
うーんと顎に手を当てて考えていた霊夢だったが、何かに気づいたように顔を上げた。
「そういえば、命蓮寺の連中はどうしたのよ?
他はもう来てるし人里に近いんだから遅れるような距離でもないでしょ?」
霊夢にそう言われて部屋中が言われてみれば・・・という空気になる。
異変で何か深刻な事態になったのかそれとも・・・。
「命蓮寺ならこないぞ」
突如部屋の戸がガラリと開き、少し疲れた様子の藍が入ってきた。
「藍?紫は・・・そっか、もう冬眠準備の時期なのね。
まあそれはいいとして、命蓮寺の奴らが来ないってどういうことよ?」
「その前に水を貰えないだろうか?流石に妖怪としての力を失っている状態で
神社の階段を上るには少し段数が多すぎてな・・・」
どうやら力を失った結果として、空を飛ぶこともできなくなっているようだ。
そういえば今日は皆歩いて神社に来て皆軽く疲れてたなと霊夢は思いながら
飲み物を取りに行った。
・・・・・・・・・
「はい、麦茶でいい?」
「ああ、ありがとう」
霊夢からコップを受け取り麦茶を飲む藍。
その様子を見ながら想夢は「麦茶、流行ってるのか?」と考えていた。
「それで、藍?命蓮寺の連中が来ないってどういうこと?
大体の予想はつくけど・・・」
「ああ、霊夢の予想通りだ。今回の異変、発生源は命蓮寺だ」
藍はコップをテーブルに置きながらそう言った。
「ちょっと待って?異変の発生源が命蓮寺って、どういうこと?
命蓮寺で異変は起きてるけど命蓮寺は異変の首謀者ではないってこと?
いまいち命蓮寺の立ち位置が見えてこないんだけど」
藍の言葉にいち早く反応したのは幽々子だった。
「はい、今回の異変、発生源は命蓮寺ですが異変の首謀者は別にいます。
ただ、命蓮寺は異変の被害者というわけではなく、首謀者と協力関係を築いているようです」
幽々子の言葉に頷いて、藍はそのまま説明を続ける。
「それで、異変の首謀者ってのは誰なんだ?」
「ああ、そのことだが・・・」
魔理沙が質問すると、藍は想夢の方を向いた。
「想夢、君は今回の異変の黒幕の正体、分かってるんじゃないか?」
「え?そうなのか?」
藍の言葉に魔理沙が不思議そうに想夢を見る。
周りの視線が想夢に向く。
そして、
「・・・佐藤壱人・・・ですよね?」
「ああ、その通りだ」
想夢の言葉に藍は肯定で返すのだった。
「佐藤壱人ってあの・・・?」
ある者は信じられないといった反応をし、
「佐藤壱人?あー・・・駄目ね、覚えてないわ」
ある者は誰だか分からないといった反応をし、
「佐藤壱人・・・まさか彼にそんな力が・・・」
またある者は別の意味で信じられないという顔をしていた。
「ちょっと待って、佐藤壱人の能力は自分の影を薄くするようなものでしょ?
それに彼の霊力じゃ異変の影響を幻想郷の各地に広げる程の力はないはず・・・。
本当に壱人が異変の黒幕なの?」
そんな中で霊夢は想夢に疑問をぶつける。
「うん、佐藤君は言ってたよ。
『モブキャラになれる程度の能力』は自分が持つ能力の中では最も地味だけど最も強力だって。
つまり、佐藤君は他にもまだ能力を持っているんだよ。
この異変を起こすために能力を誰にも見せずに今日まで過ごして来たんだと思う。
一体どんな能力でこんな異変を起こしているのかは分からないけど」
想夢には壱人の狙いが何なのかまだ分からない。
ただ、彼が自分に対して何か強い想いを持っていることは先日の件で分かっていた。
「そう、それならとにかく命蓮寺に向かいましょう。
出遅れちゃったけど、場所が分かったならさっさと異変を解決しちゃわないと」
そう言って霊夢が立ち上がる。
それに続くように、魔理沙、早苗、妖夢、咲夜の4人も立ち上がった。
「おっと、異変の解決ならこの魔理沙様を忘れてもらっちゃあ困るぜ!」
「現人神としての力はありませんが、まだ皇女としての力は残っています」
「私も弱体化しているとはいえ、戦えるだけの能力はまだ残っています」
「弱くなってないのは私くらいってことかしら?お嬢様、ちょっと行ってきます」
さらに、
「まともに戦える奴が少ないし、人数は多い方がいいでしょ?今回は私も行くよ」
そう言って妹紅が立ち上がる。
「まあ、妖怪達は戦える程の力が残ってないし、任せるわ」
そんな彼女達にレミリアは畳の上に横になりながら手を振る。
「あんたねぇ・・・まあいいけど神社の食料勝手に食べるんじゃないわよ?」
呆れたように言いながら、霊夢は部屋を出て行った。
魔理沙達もそれぞれ部屋を出て行く。
最後に想夢が部屋を出ようとして、
「想夢、ちょっといいか?」
藍に呼び止められた。
「なんですか?」
「紫様からの伝言だ。
今回の異変、決着は君がつけるべきだと紫様はおっしゃっていたよ」
「分かりました。ありがとうございます」
そう言って想夢は改めて部屋を出る。
もしかしたら紫は全てお見通しなのかもしれない。
別の幻想郷での壱人とのあの会話すら、彼女は把握しているのかもしれない。
そんなことを考えながら想夢は命蓮寺へと向かっていった。
・・・・・・・・・
そのころ、件の命蓮寺では。
「壱人さん、壱人さーん!」
神社の縁側で休んでいた想夢の前に、1人の少女が慌てた様子で近づいてきた。
「星さん、どうかしました?」
星と呼ばれた金髪に黒色の混じった少女は、少し慌てた様子で壱人に近づいて来た。
「異変に気付かれました!霊夢達がここに向かっているようです!」
「予定よりも少し速いですね・・・もう少し様子を見れると思ったんですが」
星に対して、壱人は冷静で、何かを考えている様子だった。
「・・・星さん、命蓮寺の皆さんに伝えておいて欲しいことがあります」
「はい、何でしょう?」
「異変解決に来る人物の中にはきっと博麗想夢がいるでしょう。
彼が来たら僕の所に連れてきてほしいと伝えてください。
彼とは、僕が戦います」
そう言う壱人の目は溢れんばかりの決意に満ちている。
それを見て星は少し意外そうな顔をした。
「珍しいですね、貴方が面と向かって誰かと戦うことを望むなんて。
貴方は陰ながらこっそりと誰かを助けるやり方をとる人だったと思いますけど」
「彼だけは別です。
隠れていては彼の本質を見ることはできません。
僕はどうしても彼の隠しているものを知りたい。
だからこそ、僕の方から踏み込んで彼が腹の中に包み隠しているモノに手を伸ばすんです」
そう言いながら、壱人は考える。
もうすぐここに想夢がやって来る。
自身の起こした異変を終わらせるために。
「さて、僕は待つとしよう」
前回の異世界では見られなかったモノを見るために。
今の世界ではつかめないモノをつかむために。
壱人はこれから始まる戦いを想像して小さく笑うのだった。
・・・・・・・・・
「さて、命蓮寺についたわね」
場面は再び霊夢達の方へと戻る。
命蓮寺に着いた霊夢達は、石段を登り神社の正門の前に立っていた。
だが、
「・・・閉まってますね」
「閉まってるなあ」
閉じた命蓮寺の門を見上げながら早苗と魔理沙が呟く。
他のメンバーはともかく想夢は空を飛ぶことができないので
神社の中に入ることができなければ異変解決以前の問題になってしまう。
「なによ、相手に入れる気がないならこっちも勝手に入るだけよ」
皆が門を見上げる中で、霊夢だけは問題ないという顔をしていた。
霊夢は門の前に立ち、
「博麗直伝!ゴリ押し巫女さんキィィィイイック!!!」
そのまま門を蹴った。
門を蹴った瞬間、内側の方でなにやらベキィッ!!という音がしたが、門は動かない。
だが、霊夢が門を軽く押すと、キィィと音をたてながら、
驚くほどあっさりと門は開いてしまった。
こんな入り方で本当にいいのだろうかと考えたりしてしまうが、
さっさと命蓮寺の中に入ってしまった霊夢を追って慌てて想夢達も続いて入っていく。
神社の内側から門を見ると、門の前に真っ二つに割れた木の板があった。
おそらくは門の鍵として使っていたものだろう。
「あ、あー!なんてことしてくれてんですかー!?」
想夢達が割れた木の板を見ていたら、悲鳴に近い叫び声が聞こえてきた。
見れば神社の本堂の方から1人の少女がやって来るではないか。
「せっかく新しい木の板に変えたばっかりなのにそんなあっさりー!」
垂れた犬のような耳が頭から生えているそ少女は、よく通る声をしている。
「ただ鍵として使ってる木の板とはいえ特注品なんですよ!?加工とか・・・」
「やかましいッ!!」
叫びながら近づいて来る少女に向かって霊夢は霊力で作った弾を撃ち出す。
「いろいろ値段とかぶべぇ!!!」
霊夢の撃ち出した弾は見事に少女の顔面に命中した。
少女の言葉は最後まで続くことなく、弾が当たった勢いで後ろに吹っ飛んで倒れてしまった。
「ぐるぐるー・・・」
「ありゃ、目ェ回しちゃってるよ、まだ勝負始まってすらないのに」
ギャグ表現なら目が渦巻きになってそうな顔で気絶してしまった少女。
魔理沙はそんな少女の頬をつねったりつついたりしてみるが、起きる気配はない。
「先手必勝よ。私達は異変解決に来てるんだから、無駄に体力を消耗させる必要はないわ」
霊夢は全く気にする様子もなく進む。
「まあ、それもそうか」
魔理沙も納得したように進みだす。
咲夜や早苗、妹紅は特に気にしてる様子もなかった。
まるでこれくらいのことなら見慣れていると言わんばかりだ。
どうやら「弾幕ごっこ」が存在してもこの幻想郷の異変解決というのは
物騒なものなのかもしれないと、
思い出してみればこの世界での異変解決は初めての想夢は考えるのだった。
神社の境内を進んでいく想夢達。
博麗神社よりも大分大きいなと考えながら進んでいくと、
「お待ちしておりました」
1人の女性が立っていた。
「あんた・・・」
女性を見た霊夢は訝しげにその女性を見る。
紫に金のグラデーションがかかった髪。
ゴスロリのようなフワフワしたドレスを纏っているが、派手な印象は全く受けない。
大人びていて物静か、おっとりしていて優しそう。
「聖?いきなり大ボス様のご登場か?」
魔理沙が茶化すように言うが、
聖と呼ばれた女性は気にする様子もなくやんわりと柔らかい微笑みを返すだけである。
「博麗想夢さん、ですね?佐藤壱人の所までご案内しましょう」
彼女はじっと想夢を見つめると、柔らかい笑みのままそう言うのだった。