幻想パラレル(古)   作:灰色平行線

67 / 79
年末年始は風邪ひいてました。(涙)



57・裏方の話、裏側の話

聖白蓮が想夢を連れて行った後、

命蓮寺の庭にて。

 

「さぁさ、どれが本物か分かるかのう?」

「どれもこれもみぃーんな同じ、迷え迷えー!」

霊夢の周りには何十という数のUFOが浮かんでいた。

UFO達は一斉に弾を発射して、弾幕を形作る。

霊夢は弾を躱しながら札を2枚手にとる。

そして、

「こんにゃろうが!!」

数ある中から2つのUFOに向かって札を1枚ずつ飛ばす。

霊力の込められた札はUFOに当たるとボンッ!っと小さな爆発を起こした。

「ぶへっ!?」

「痛いっ!?」

札の爆発によってダメージを受けたUFOが姿を変えて地面に落ちる。

1つはタヌキの尻尾の少女に。

もう1つは赤と青の翼の少女に。

そして、2人の少女につられるように、他のUFO達も姿が変わる。

木の葉、木の枝、小石、土の塊、庭にあるいろいろなモノになって地面に落ちる。

「いってて、折角完成させた儂の変化とぬえの『能力』の合わせ技だとゆーのに

博麗め、あっさりと攻略しおってからに」

そう言いながらタヌキの少女が頭をかきながら起き上がる。

「うっそぉ・・・仕込みはカンペキだったハズでしょー?

アンタなんだって本物が分かったのよー?」

尻もちをついたのか、お尻をさすりながら翼の少女は起き上がった。

「本物か偽物かなんていちいち調べてたら日が暮れちゃうわよ、ちまちま探すよりだったら

こんなもんとにかく勘で殴りゃいいのよ勘で」

会話の最中であっても霊夢は手を緩めない。

相手の言葉に返しながらも、札を飛ばし続ける。

「勘!?勘って言った!?そんな運試しみたいな感覚で私の『正体不明』は破られたっての!?」

「かっはっは!勘ときたか!『博麗の巫女は勘で異変の元凶を見つけてる』という噂は

本当のことじゃったか!」

「ちょっとマミゾウ!笑ってないで何か対策考えないと!」

霊夢の飛ばす札の弾幕を躱しながら、2人は会話する。

「対策ゆーてものう?儂ら『変化』と『正体不明』が売りの妖怪じゃろう?

惑わすのを得意とする妖怪が2人ががりで惑わせておるのにそれを勘で突破されたらのう?

・・・のう?」

「『のう?』じゃねーよ!変なトコで可愛い子アピールしないで!

現在進行形で攻撃されてんだからちょっとは真面目に考える素振りを見せて―!」

「フリでいいのか?」

「できればちゃんと考えてくれると嬉しいです!!」

札を避けながら妙な会話を続ける2人に霊夢の手がプルプルと震える。

「随分とまあ余裕じゃないの・・・決めたわ!アンタ達2人は絶対ボコる!」

そう言うと、霊夢はさっきまでの数倍の量の札を一度に飛ばす。

その目には苛立ちに似た感情がこもっている。

「増えた!マミゾウ!アンタが怒らせるからぁ!!」

「儂のせいか?つーかあの巫女も一体どこにあんなに札を持っておるんかのう?」

怒りの札飛ばしを繰り返す霊夢に対して、変わらず2人は会話を続けている。

「このままっじゃあいつまで経っても終わらないわね・・・仕方ない」

霊夢は唐突に札を投げるのを止め、地面に手の平をつける。

霊夢の様子が変わったことで、タヌキの少女と翼の少女も不審に思い霊夢を見る。

次の瞬間、霊夢の周りに魔法陣が現れ、霊夢の体を光が包みこむ。

「出し惜しみはナシよ。とっておきを見せてあげる」

そう言うと霊夢は、手を地面につけて何かを呟いた。

 

その瞬間、霊夢の周りの地面に光る魔法陣が現れた。

 

・・・・・・・・・

 

「っはああああぁぁぁぁああああ!!」

「くっ!宝塔よ!」

別の場所では全身に炎を纏った妹紅が虎の少女に向かって駆けていく。

虎の少女は自身が「宝塔」と呼ぶ置物の水晶部分から光を集めレーザーとして発射するが、

右へ左へと複雑にステップを踏みながら近づいて来る妹紅には当たらない。

「食らいなよ!!」

虎の少女の目の前まで近づき、握った燃える拳を勢いをつけて振るう妹紅。

しかし、2人の間に2本の棒を構えたネズミの少女が割って入った。

ゴン!と鈍い音がして妹紅の拳はネズミ少女の棒に当たる。

「チッ!外したか・・・」

態勢を立て直すように妹紅は後ろにステップを踏む。

「助かりました、ナズーリン」

「やれやれ、ご主人はもう少ししっかりしてくれたまえ。

貴方は仮にも毘沙門天様の代理人であらせられるのだから」

礼を言う虎の少女に対して、ネズミ少女は軽くため息を吐く。

「仮にもは余計です!そりゃあ確かに体術は苦手ですけども・・・」

「限度というものがあるよ。少しは向上するように努力してくれたまえ」

「まあそれについてはまたの機会にしましょう。今は目の前の敵を倒すのが先です!」

虎の少女はそう言うと、距離をとった妹紅に対して再び宝塔によるレーザー光線を繰り出す。

「ちゃんと後で話すからね?ご主人」

虎の少女に続いてネズミ少女も妖力の弾を弾幕として撃ち出す。

「おらぁ!!」

妹紅も燃える炎の弾を作り出し、弾幕としてとばす。

両者の弾幕がぶつかり合う。その威力は互角だ。

「2人がかりでこれですか・・・」

「まあ妖怪とはいえ、私もご主人も獣だからね。炎とは相性が悪いよ」

弾幕を飛ばしながら虎とネズミの少女は呟く。

「しかしこれでは・・・埒があきませんね。ナズーリンのネズミ達はどうですか?」

「馬鹿を言わないでくれたまえ。あんな比喩表現じゃなく燃える少女にネズミを飛ばすなんて

出来る訳ないじゃないか」

ネズミ少女は「はぁ」とため息を吐く。

「こうなったら最後の手段に出るかな」

 

そう言いながら、ネズミ少女はニヤリと笑った。

 

・・・・・・・・・

 

さらに別の場所。

「ふっ!!」

「はぁっ!!」

キイィン!と鋭い音が響く。

そこでは刀を構えた妖夢と碇を構えたセーラー服の少女がお互いの武器をぶつけ合っていた。

重い碇の衝撃に負けないように、妖夢は両手でしっかりと刀を握る。

「―――――」

妖夢の後ろでは早苗が片膝をついた態勢で何らやブツブツと呟いていた。

「せあっ!!」

「っ!」

刀と碇の重さの差だろうか。

妖夢の斬撃を受けることができず、セーラー服の少女は後ろに跳んで躱す。

しかし、痛みを感じて見てみると、腕に小さな切り傷がついていた。

「切っ先が当たったか・・・それにしても、貴方の身体能力どうなってんのよ?

この異変で力は失ってるハズでしょ?妖怪相手にほぼ互角じゃない。

後ろで何かしてる巫女さんが関係してるっての?」

「さて、どうでしょうかね!」

刀を握り直して妖夢は相手に突撃する。

セーラー服の少女は碇を構えながら妖夢に向かって弾幕を放つ。

妖夢は弾幕を刀で斬ろうとするが、弾幕と一緒にセーラー服の少女が突っ込んできた。

「くぅらえぇいっ!!」

「くっ!」

セーラー服の少女は碇を妖夢目がけて力一杯に振り下ろす。

妖夢はなんとか刀で碇を受け止める。

しかし弾幕はどうしようもできず、妖夢の後ろの早苗の方へと飛んで行く。

「早苗さんっ!!」

「その反応・・・やっぱり貴方の身体能力は後ろの巫女の力によるものね。

しかも彼女は貴方の身体強化のために動くことすらできない。

そうでなければ自分の身ぐらい自分で守れるハズだものね」

結論から言ってしまえばセーラー服の少女の読みは当たっていた。

早苗の持つ「奇跡を起こす程度の能力」は、奇跡を起こす準備として、呪文詠唱が必要となる。

現在、早苗は奇跡の力を使って妖夢の身体能力を強化することによって

妖夢の弱体化を相殺していた。

しかし、早苗自身も弱体化している現状、

早苗は妖夢の強化のために呪文を詠唱し続けなければならない状態となっていた。

早苗が詠唱をやめれば妖夢の強化が解かれてしまう。

妖夢が早苗の方へ助けに行こうにも、刀にのしかかるセーラー服の少女の碇がそれを許さない。

「もらったァ!!!」

勝利を確信したセーラー服の少女は獰猛な笑みを浮かべる。

 

弾幕が早苗に当たるその直前。

突如として弾幕が消え去った。

 

「・・・は?」

セーラー服の少女の表情が変わる。

「危機的状況に颯爽と現れて状況を変える。メインヒロインの私だからこそ出来る芸当よね」

早苗と妖夢の間。弾幕の消えた辺りにはナイフが落ちていた。

そして、早苗の前にはドヤ顔で立つ咲夜の姿があった。

「うまいこと皆が敵を分散して相手してくれてるおかげで私に空きができてしまったわ。

というワケで妖夢!早苗は私が守ってあげるから貴方は敵を倒すことに集中しなさい!」

「咲夜さん・・・!なんか顔がムカつくけどありがとうございます!」

ドヤ顔のまま言い放つ咲夜に礼を言い、妖夢は改めて相手を見る。

「くっ・・・!」

セーラー服の少女は焦っていた。

今攻めているはこちらのハズなのに、まるで自分が追い詰められているような感覚だった。

「さあ!ここからが本番です!!」

妖夢は叫ぶと、腕に力を込めて碇をはじき返す。

「なっ!?さっきよりも力が強くなってる!?どこまで強化されてんのよ!!」

セーラー服の少女は、碇を手放さないようにしながら慌てて後ろに下がる。

その最中にも、少女の目には妖夢がどんどん強さを増しているように見えた。

「確かに早苗さんの強化も含まれているのでしょう。

でもそれだけじゃありません。咲夜さんのおかげで私は貴方だけに集中できる。

つまりは私の気分の問題です!今の気分なら言っても問題ない気がします!!

 

楼観剣に、斬れぬもの無しッ!!!」

 

・・・・・・・・・

 

「マスタースパークッ!!!」

雲山(うんざん)ッ!!!」

上空では、魔理沙とフードの少女が対峙していた。

魔理沙は手に持つ小さな八卦炉(はっけろ)から巨大なレーザーを撃ち出す。

フードの少女の方は後ろに巨大な雲で出来た老人男性の頭のみという奇妙な姿の妖怪がいた。

「雲山」と呼ばれた雲の妖怪は、自分の横に巨大な右腕を生み出し、

豪快なパンチを繰り出した。

魔理沙のレーザーと妖怪のパンチが正面からぶつかる。

結果、魔理沙のレーザーはかき消され、妖怪の腕は霧散してしまった。

両者の力は互角だった。

「チッ!マスタースパークと同じ威力とはな・・・。

パワー(勢い)がダメならパワー(量)で勝負してやるぜ!」

そう言うと魔理沙は、フードの少女にむかって大量の星型の弾幕を撃ち出した。

「雲山の腕が消し飛ぶなんて・・・!

いいわ!そっちがパワー(量)で来るっていうならこっちはパワー(手数)よ!」

フ-ドの少女がそう言うと、今度は両腕を生み出す。

そして2つの腕によるパンチのラッシュで魔理沙の弾幕を壊していく。

魔理沙の弾幕は底が見えず、妖怪のラッシュも休まる気配がない。

「むう・・・」

「ぐぬぬ・・・」

このままではキリがない。

 

「やっぱり弾幕はパワー(勢い)だぜ!!」

「やっぱり弾幕はパワー(勢い)よね!!」

 

「マスタアアァァァスパアアアァァァァアアアアック!!!」

「雲山パアアアアアアァァァァァァアアアアアンチッ!!!」

またして魔理沙のレーザーと妖怪の全力パンチが正面衝突する。

さっきよりも気合は入っているものの、威力が上がっているかどうかは微妙なところだ。

しかしながら、結果は変わらず。

またしても魔理沙のレーザーはかき消され、妖怪の腕は霧散する。

「まだまだこれからだぜ!!まぁぁぁすぅぅぅたぁぁぁあぁぁぁ・・・」

「これで終わりじゃないわ!!雲山!!さっきよももっともっと強く!!」

 

「スップヮアアアアアアァァァァックウウウウゥゥゥゥ!!!」

「プヮアアアアアァァァァァンツィイイイイイィィィィ!!!」

叫び声が元の言葉から大分離れてきたものの、2人の気合いはさらに大きく激しくなっていた。

 

その後も2人は気合いによるゴリ押しで決着をつけようとするのだった。

 

・・・・・・・・・

 

「奥の手」を使い、霊夢が魔法陣を出す。

「さあ、ここからが本番よ」

 

「最後の手段」を使おうとネズミ少女が笑う。

「『逃げるが勝ち』って言葉を知ってるかね?」

 

「集中」した妖夢が改めて刀を構える。

「攻めて攻めて攻めまくります!!」

 

「勢い」に乗った2人はさらに技をぶつけ合う。

「マスパッ!!」「雲山ッ!!」

 

それぞれの場所でそれぞれの戦いがそれぞれの方向に向かって動こうとしていた。

まさにその瞬間。

 

「お待たせしました」

 

それぞれの戦いは聞こえてきた短いセリフによって中断させられた。

誰もが声のした方を向く。

そこには、白蓮がいた。

「想夢さんはしっかりと目的の場所までお連れしました。

そういうワケですので、ここからは私も参戦しますが、よろしいですね」

そう言って白蓮はニッコリと笑う。

しかし、その全身からは威圧感を感じる。

笑ってはいるものの、今すぐにでも暴れ出しそうな、凶暴さを周りに放っていた。

「・・・咲夜!」

そんな白蓮を見て霊夢は咲夜に呼びかける。

「何かしら?」

「ちょっとこのメタ●ン2匹の相手、お願いしていい?

私、ちょっと他に相手しないといけないヤツが出来ちゃったから」

「・・・分かったわ。私しか動けそうにないしね」

誰がメタ●ンだとプンスカ怒る翼の少女を無視して、咲夜は返事をする。

 

返事を聞くと、確かに似てるとケラケラ笑うタヌキの少女を無視して

霊夢は改めて白蓮の方を向いた。

白蓮もまた、霊夢の方を向く。

 

次の瞬間、目にも止まらぬ速さで激突した2人によって周りに衝撃派が走った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。