人外少女たちの愛情表現が難解すぎる 作:龍川芥/タツガワアクタ
―――カランカラン、と入店のベルが明るく響く。
デート(仮)開始から1時間ほど。
昼も過ぎた頃合いだというのに、その店は明るく賑わっていた。
温かみのある焦げ茶色のフローリングに、清潔な印象を与える白い壁。
大き目の窓から差し込む陽光と、規則正しく並んだ天井の照明が、室内から翳りという翳りを追い出している。
カウンターを除けば、テーブルの数は十と少し。当然椅子はその二倍。
特徴的なのは観葉植物がそこかしこに配置されていることで、人工の自然色は心を落ち着ける癒しにも、人が自然を征服し切った
そんな店内を満たすのは、和気藹々、の一歩手前とも評せる落ち着いた賑わいだ。
席の六割ほどを埋めた客たちは、提供された料理・飲料の味に集中するのではなく、専ら同行者や店主との会話に花を咲かせるほうに注力している。
喩えるならば日中の酒場。太陽の目から逃げ隠れする退廃の色を漂白された、上品で和やかな、老若男女を受け入れる憩いの場。
そんな店内、一番奥のテーブル席で。
注文を聞き届けた若い女給が厨房に去っていくのを眺めながら、俺はちょっとした感動と共に呟いた。
「……初めてだ。こういう“喫茶店”に入るのは」
「ワラワもだ。ジャック、ここはどういう店なのだ?」
オシャレな現代風の店の中、思いっきり背景から浮いているローブ姿の白い魔女が、テーブルを挟んだ真正面から尋ねてくる。彼女、レフィーリアが興味深そうに店内を見回すたび、嘴みたいなとんがり帽子が落ち着きなくきょろきょろ揺れる。
そんな様子を半目になって睨みながら、俺は椅子の背もたれに身を預けて嘆息した。
「折角の機会だから選んだってだけで、俺も詳しくは知らないよ。最近王都で流行っている、食事よりも居心地の良さに重きを置いた飲食店、ということくらいだ。
言っただろ、案内役には向いてないって」
何しろ普段の俺がこういう店に入ろうものなら、客だけでなく従業員まで悲鳴を上げて逃げていくだろうし。
それは流石に迷惑なので、俺は通常、王都では決まった店にしか行かないようにしている。
要するに、俺に流行りの店の実情を知る機会などない。いいとこ噂に聞くだけだ。
「ふぅん? ならばなぜ、キサマはこの店を選んだのだ?」
「あのなあ、君が『デートしたい』って言ったんだろ。知り合いの話によれば、その手の目的にはこういう店が定番らしい。俺なりに気を効かせたつもりだが……よくよく考えれば、昼飯として牛を一頭丸ごと盗んでくる君のことだ。精肉店とかのほうが明快でよかったみたいだな」
そう皮肉を言ってみるが、残念ながら最後のほうは魔女の耳に届かなかったらしく。
いつも通り都合のいい部分だけ耳に入れたらしいレフィーリアは、いたく感動した様子で歓喜に打ち震えていた。
「―――おぉう。珍しくジャックが優しい、これが労働の報酬か……! ニンゲンのなんと侮れんことよ、ここまで甘美な餌を用意されては、つい下働きに精を出してしまうではないか……!」
「ちょ、大声を出すなっ。“加護”とやらが消えたらどうする……!」
その瞬間店じゅう大パニックかもしれないんだぞ、分かってるのか……!?
ちょうど女給が飲み物を持って来たところだったため、俺の焦りは更に加速する―――余談だが、現在この店で給仕係をしているのはこのうら若い女給だけらしい。慌ただしく店内を飛び回る様子は、仕事とはいえ少しだけ不憫だ。
そんな俺とは対照的に、レフィーリアのやつは実にリラックスした仕草で注文を受け取っていた。
「は、案ずるなジャック。この程度で月の加護は消えんとも。なのでそらっ、遠慮せずワラワを甘やかせ―――む、このレモネードとかいう果実水は美味いぞジャック! そこなニンゲン、もひとつ同じのを持ってこい!」
「……つくづく、スケールがデカいんだか小さいんだか分からない奴だな、君は」
聞いた事もない謎の力をいくつも使える癖に、望むのはそんな俗なこととは。
呆れながら提供されたコーヒーを一口。
……業腹だが、その点では素直に感謝しないといけないだろう。
こうして彼女が加護とやらを与えてくれなければ、俺はここのコーヒーの味すら知ることができなかったのだから。
―――けれど、それは本当に知るべきことだったのか。
ふと。
首の後ろから、そんな声が聞こえた、気がした。
シン、と背骨が冷えていく。
体の中がカラッポになって、和やかな店内の喧騒が痛いくらいに反響する錯覚。
穏やかな談笑、柔らかな空気。
この店には居心地のいい要素が溢れている。客もこの雰囲気こそを求めて足を運んでいるのだろう。
だけどそれは、彼等が平和に生きる者だからこそだ。
それは居心地が悪い、なんてものじゃない。自分が居るべきではない、という強迫観念に近かったと思う。
まるで日向の大通りに引き摺り出された蝙蝠だ。
周囲の空気が真っ当であるほど、そうでない者は耐えられない。
―――何が折角の機会だから、だ。
先に続いて気の迷いにも程がある。
どうして俺は、こんな日向に入ってみたいと思ったのか―――。
と、早々にグラスを空にしてしまって手持ち無沙汰だったのだろう。
レフィーリアは屈託のない子供っぽい笑顔で、対面の俺に話を振って来た。
「それで。この店では何をするのだ?」
―――。
長いこと呆けていた気がするが、実際には一瞬のこと。
それも話しかけられることで終了し、俺の意識は平穏な現実へと立ち戻った。
「……いや。何をするのかって、君が今した以上のことは何も。あくまで茶屋、飲食店だし。そうだな、強いて言うなら……雑談、とか?」
「雑談! なかなかによい響きだ。監獄では話し相手も碌におらんからな、今日はとことん語り明かそうではないかジャック!」
「……おそらくだが、ここで言う雑談はそういうノリじゃないと思うぞ、魔女」
「ふむ? ならどういうノリなのだ?」
真剣な顔で尋ねてくる魔女。
……自分で言っておいてなんだが、いざ訊かれると対処に困る。
「……それは、その。最近元気か、とか?」
「うむ。最近も何も、ワラワが万全でないときなど無いぞ。そうさな、少なくともここ二百年は元気だ。それで、次は?」
「……ええと。いい天気だな、とか」
「ふむ、キサマはこういう天気が好きなのだな。ワラワは微妙だ。まだ太陽は顔を出しているとはいえ、今日は少し雲が多い。もう少し雲が少ないほうが、飛んだとき空が広い感じがして気持ちがよいぞ? いや、一面の雲海を飛ぶのも趣があってよいのだが、それはそれで専売特許を奪われているようで複雑だし……それで、次は?」
「う。いや、それは……」
言葉が続かず口籠る。
話題はとっくに弾切れだ。
なのに魔女は、わくわくと期待に満ちた顔で俺を見ていて―――。
「―――ああもう、俺が知るわけないだろうっ。言ってるだろう向いてないって。どうせ俺は生首ばかり相手にしてる、人でなしの『首斬り』なんだから!」
つい、そんな風に声を荒げてしまった。
ガチャンと音を立てる陶器のソーサー。
いきなりの乱暴な口調を受けて、魔女が目を白黒させている。
「なぬっ? では、今までのは雑談ではなかったのか?」
「雑談にしちゃあ下の下だろうさ。当然だ、俺に人間らしい会話のやり方なんて分かるもんか。実際、この街で俺を人間扱いしてるのは君とイヴくらいのものだろうよ」
言葉は止まらない。堰を切ったように溢れてくる。
……さっきの錯覚。アレがまだ尾を引いているらしい、と他人事のように理解する。つまりそれは他人の身勝手な感慨に似ていて、俺自身の口はぜんぜん止まる気配がなかった。
まるで俺の心情を代弁するように、店内の光量が僅か下がる。
窓の外、風に流された分厚い雲が、陽射しの大元たる太陽を覆い隠したのだ。
それは本当に僅かな変化だったが、今までの店内がひたすらに明るかったからこそ、僅かな翳りは何十倍もの存在感を持って店内を覆った。
「? 分からんな。ジャック、キサマがいったい、人間以外の何だというのだ」
「決まってるだろ。人でなし、死神、冷血漢……悪名高き『首斬りジャック』。それが俺だ。いくら人外の前で真人間ぶったって、本質は誤魔化せやしない。
だってそうだろう? 首を斬り落とすのだけが取り柄の男なんて、それに足る罪を犯した悪人が居ない限り存在すらしちゃいけない、怪物みたいなモノなんだから」
―――我ながら、なんて無様。
この魔女に『人の生き方』を語った俺が、人外たちを監督する人間代表としての俺が……今自分を『人』だと言い切れなくなっている、なんて。
「むう、らしくないなジャック。ヘンなものでも食べたか?」
それはずいぶんと子供扱いな台詞だったが、彼女なりに心配してくれているのだけは伝わって来て。それで俺も、少しだけ
「…………ああ、そうだな。似たようなものだ。ここ最近は慣れないことをやり過ぎた……微量な毒も毎日のように摂取すれば、ちょっとした食傷くらい起こすさ」
そうだ。
この動転の直接の理由は、たぶん―――俺が初めて自分の判断で生かした相手、イヴ・エメスの存在だった。
イヴが屋敷に来てからの一週間。
魔女が言っていた通り。彼女は毎朝俺を起こしに来て……俺はその度に、彼女を殺しかけている。最初の日と同じように、無意識に剣を取って首を狙い、慌てて止めるの繰り返し。
もう一週間が経つというのに、俺は未だ反射で剣を振ってしまう。
まるで俺自身が
―――殺さない仕事も悪くない?
ああ、そんなことも一度は思ったけれど。
アレはしょせん一時の気の迷いだ。初日だったから言えた世迷言だ。
そのことを証明するように、俺の心は日を追うごとに、どんどんと重くなっている。
俺は今まで、『殺す』ことだけを仕事にしてきた。
だから知らなかったのだ。
『生かす』ということがどれだけ大変で、そして責任の重いことなのかを。
もしもイヴが人間を裏切ったら。誰かを殺したら。
ありえないと一度は確信した仮定なのに、考えるだけで胃に鉛が沈んだような気分になる。
だってそうなったとき。
独断で彼女を生かした俺は、そのときこそ、社会の中で生きていける『正義』の免罪符を失うことになるだろうから―――。
「……白状するとさ。俺は自分の意志でそれを選んでおきながら……君たちを生かしたことが、どうしようもなく不安なんだ」
今まで『殺せば終わり』だった職責を、生かしたことで背負い込み続けることになった。初めて味わう。想像を遥かに超える“捨てられない責任”の重さが、俺の心をじわじわと疲労させている。
いや……
そんな告解めいた俺の言葉を、魔女は真剣な顔で聞いていた。
ああ、いつも通り突拍子のないことを言ってくれれば、俺だってこんな独白はやめられたのに。
今日に限って赤い瞳は凪いでいて、だから俺の言葉は、無風の湖に漕ぎ出した船のように止まらなかった。
「―――俺だって、自分がおかしいんだと分かってはいるさ。
生きている、ということは、あらゆる可能性を内包している、ということだ。
死体は逆。そこにはどんな可能性も存在しない。ずっとゼロのまま、プラスにもマイナスにもなることはない。
……なのに、俺はその後者にこそ安心する。生きているのに死に安堵し、死んでいないのに生を恐れるなんて、そんな奴はどうかしているだろう?」
知らず、皮肉気に口端が吊り上がる。
そうだ、普通は逆だと分かっている。
死はその人が持つ『全ての可能性』の喪失だ。
正常な人間は、他人の可能性の全てを奪うことに耐えられない。
だってそれをしてしまったら、その人と今以上に親しくなる可能性も、その人がたくさんの笑顔を作る可能性も消えるのだ。
しかもその変化は不可逆で、後には後悔と憎悪が残るだけ。
だから半端な動機じゃあ人は人を殺さない―――否。
何かが壊れてしまわない限り、人は人を殺そうとは思わない。
―――それが普通。
俺には遠い世界の話のような、みんなが共有している当たり前の
「俺は人を殺しても、良心の呵責をまるで感じない。むしろホッとするくらいだ。
これが悪人相手だからなのか、それとも万人に適用されるのかは、分からないし知りたくもないが……悪人だからスッパリやれる、迷いも悩みも一切ナシ、っていうのは、むしろ君たち人外の価値観に近いんだろう」
劇的な何かがあった訳じゃない。
家柄も経験も関係ない。
ただ、神様がパーツを付け忘れたように、最初からそうであっただけ。
何かが壊れてしまわない限り、人は人を殺せないというなら。
俺はきっと、生まれた時から壊れていた。
それが生きていくうちに思い知った、どうしようもない現実の話。
「死神公である父やその跡目の兄でさえ、処刑の後は食事が喉を通らなかったり、嘔吐したり、何時間も冥福を祈ったりするというのに……俺にはその感覚が分からない。いや、死んだモノを恐れる意味も、死んだモノに祈りを捧げる意義も、理屈としては理解しているさ。
―――でも本心では、何もない。俺は首を斬ったとき、達成感とか安堵とか、そういうものだけを感じている。
根本的に
だから『殺人の天才』。
技量だけでなくその精神も……ジャン=ジャクザール・マギロティオンという男は、骨の髄まで『人を殺す』という行為に特化した人間だ。
でも、だからこそ同時にこう思う。
―――
“死ぬのが先か、生きる価値を失うのが先か―――”
処刑人の誇りも、『法典』の縛りも、俺が自分から負った
欠けた俺が
けれど、そんなのはしょせん借り物で。本物の良心によるブレーキじゃないから、自分から背負ったハズの重量が、どうしようもなく邪魔くさく感じる
その重さを捨てることは、存在の価値を放棄することだと知っているのに―――。
だからこそ、俺は根本から人でなしなのだろう。
自らの良心によってではなく、借り物の理屈によってしか己を律せない人殺し。
何一つ生み出さず、守ることすら覚束ない、奪うことだけ達者な羅刹。
俺は、平和を守りたいと心の底から思いながら。
とても平和の中では生きられない、ひどく禍々しいカタチをしていた。
「あるいは……君なら俺を理解してくれるか。人ならぬモノ、人喰いの魔女よ」
奪うこと、壊すことしか能のないモノは、果たして何の意味があってこの世に生まれ落ちたのか。
こんな平穏の中でコーヒーを啜る権利はあるのか否か。
そんな問いに答えられるのは、きっと王都には彼女だけ。
神話の時代から生きていて、人喰いと畏れられるほど人を殺した、『
―――あるいは、彼女であれば。
ことり、と。
タイミングが良いのか悪いのか、二杯目のレモネードがやってくる。
注文のグラスを受け取った魔女は、俺の話を嚥下するようにそれをゆっくりと啜って……そうして、いかにも神妙に口を開いた。
「―――なるほど。それが今日一日、微妙に覇気のなかった理由か」
「……茶化すな、魔女。俺は真剣に訊いているんだ」
わざわざ茶化さずとも分かってるさ、自分が無様なことくらい。
社会とか正義とか偉そうなことを語っておいて、些細なことで揺れている俺はどう考えても笑い者だし。
「いや、茶化してなどおらんとも。むしろそう、嬉しいのだ、これは。キサマがワラワを真正面から頼るのは、これが初めてのことだからな」
「―――む」
そう言われるとなんだか途端に恥ずかしいというか、普段とは異なる穏やかな笑顔が妙に直視しづらいというか。
「いいのだ、恥じるなジャック。キサマらヒトは我々のように確固たる【属性】によって定義されず、ゆえにその
だからこそキサマのように―――迷いながらも矜持を捨てない頑固者が、ワラワにはいっとう輝いて見えるのだ。ついつい贔屓したくなるほどにな」
「……知ったふうなことを」
「カッカッ、許せ、年上の余裕というやつよ」
どこまで本気なのか、冗談めかした口調で笑うレフィーリア。
そんな彼女の表情は、本当にいつもより大人びている気がした。
……いや、じっさい千年とか生きてるみたいだし、普段みたいに子供っぽいほうがヘンなんだろうが。
ぎしり、正面の椅子が軋む。
もはや魔女の仕草から幼さは完全に消えていた。彼女はレモネードを優雅に飲んで、これまた優雅にグラスを置き、出逢った夜を思わせる妖艶さで足を組み替える。
流れる白髪、赤い流し目。
今更ながら―――こいつは偶に、ゾッとするほど美しい。
「ともかくだ。あの木偶人形ではなく、ワラワに問うた判断は正しいぞ、ジャック。
ワラワこそこの地で唯一の、キサマ以上の殺戮者。
怪しく笑う魔女。
その弧を描く口から放たれた、カミ、という響きを契機に。
白い睫毛に彩られた紅玉の目が、俺の意識を刹那呑んだ。
「―――な。神、だって……?」
「うむ。ワラワたちが最初に踊った場所、憶えておるか?」
―――憶えているかも何も、あの夜を忘れられようハズもない。
アレは月夜に沈んだ廃墟の街。
そして、その最奥に待ち構えていた大魔女と、彼女が坐していた……。
「……朽ち果てた、『教会』」
「そう。アレはワラワの信徒たちが建てた、ワラワのための教会なのだ。尤も、キサマら“聖教”に異端と認識され随分前に滅びたがな」
確かにそうだ。改めて思い直してみれば、あれは確かに教会で、その祭壇の奥で眠っていたのがこの魔女だった。
教会と魔女。今まで全く繋がっていなかった二つの要素が、いま突飛な言葉の証明となって、眼前の相手に得も言われぬ迫力を与えていた。
「君は、かつて異端の神として崇められていた―――」
それはなんて壮大な。
……けれど、信じられない、という感情は不思議と湧いてこない。
だって、聖教にて語られる神ではなく、神話―――“離神戦争”以前に語られる神とはそういうものだ。
一柱が一国に匹敵するスケールを持つ、強大かつ壮麗な自然の化身。
気まぐれで人を殺し、気の迷いで人を愛する、人には理解できぬもの。
現代で広く崇められている、人にとって都合のいい全知全能の“
つまり、目の前の魔女は―――正確に言えばあの日戦った怪物は、そんな“神”の在り方によく似ていた。いいや、それは似ているどころではなく
だから、俺は自分でも驚くほど素直に、壮大な話に納得してしまったのだ。
この
「……それは、分かった。だが、それと俺の話に何の関係がある。俺は君の過去ではなく、過剰な暴力を持つ俺のような者が存在する意味を聞いているんだ。本筋から逃げているだけならこれ以上の会話は切り上げるが」
「いや、これは大事なことだ。
「勘違い、だと?」
「うむ」
訝しむ俺に対し、自信満々に頷いて。
かつて神と崇められた、雪のように美しい
「―――よいかジャック。
確かに今語った通り、ただ居るだけで神と崇められることもあれば、逆に異端として敵視されることもある。
だが、そんなところに本質はない。どんな
つまり……誰に肯定されたとて、キサマの内にあるその息苦しさは治らぬよ」
「――――――」
射貫くような赤い視線に。
真実、心臓を貫かれたかと、思った。
事実、その指摘は核心を突いていた。
俺自身でさえ言葉に出来なかった、心の澱の底の底。
お行儀のいい理屈と道理の奥に隠れていた、あらゆる苦悩の源泉たる願望。
俺はただ―――殺ししか出来ない自分にどうにも自信が持てなかった。
だからこそ、こんな
そのために『自分が居る意味』が、これさえ達成できれば認めてもらえるという明確な指標が欲しかったのだ。
何の意味があって生まれてきたのか、という問いは、そんな子供じみた願望の発露に過ぎない。
そのことを……そしてその願いの果てさえも、魔女はその紅玉の瞳を以て的確に言い当て、そのままテーブルの上に引き摺り出したのだ。
考えるまでもなく。
自らの外側に与えられる
ぐらり、傾きかけた体を椅子の背もたれに押し付け、何とか持ち直す。
体に力が戻ったのは、魔女の言葉に容認できない部分があったからだ。
半ば無理矢理手を動かし、残っていたコーヒーを勢いよく飲み干して。喉に残る苦味に励まされるように口を開く。
「……そうだとして。君は今、存在する意味を持つ者なんて無い、と言ったな。それは
ならばそんな戯言は聞く価値もない、と―――既に核心を突かれていながら―――毅然として魔女を睨む。
けれど赤い瞳は怯むどころか悠然と構えていて、むしろ睨んだ俺を包み込むような深みを湛えて微笑んだ。
「いいや。世の万物において、確かに
「……何だと?」
それでは矛盾していないか、と困惑する暇も与えず魔女は続けた。
「キサマの言う“意味”とはつまり、何かを為したモノに与えられる報酬だ。
たとえばの話。作られたばかりの剣には、何の意味も宿ってはいない。当然だ。ただ壁に立てかけられているだけでは、それが剣である意味など無かろう。
だが、その剣のお陰で持ち主が敵を倒せた、というようなことがあれば話は違う。そういう実績を得た剣は、そこで初めて“主人の役に立った”という意味を与えられる。しかしながら、これも真理などではない。なにせ斬られた敵のほうは、その剣に“自分を敗北させた”という悪い意味を与えるだろうからな。
分かるか、ジャック。ヒトの言う意味とは最初からある絶対の真理などではない。それは『もう終わったこと』に対して好き勝手に与えられるモノであって、次々に変化していく脆い幻想に過ぎないのだ」
「意味は、後から与えられるモノ―――」
「そう。それはニンゲンでも同じこと。自分にどういう意味があったか、なぞ、ことが終わってみるまでは誰にも分からぬ。意味とはしょせん後付けのラベル。そんなモノが生きる指針に―――未来への道標になるものか」
だから、と魔女は続けた。
―――おまえの苦悩は、その前提から既に間違えているのだと。
「生きていてもいいのか、などという疑問はそれこそ無意味だ。そんなものは全てが終わった後にしか分からない。
何の意味があって生まれたのか、も同様だ。それをキサマ自身が知る日なぞ、永遠に訪れることはないのだから」
「―――、それ、は」
喉が詰まる。
呼吸を忘れる。
反論なんて思いつきもしない。
足元すら見えない暗闇に投げ出されたような、どこまでも落ちていくような錯覚だけが、俺の体を満たしていく。
『意味』が後から与えられ、貼り替えられ付け加えられていくモノである以上、魔女の言う通り何の指針にもなっていない。
それは「この通りに生きればよい」という道標ではなく、
それは「このように生きたのだな」という足跡でしかないのだから。
でも、それじゃあ。
俺はこれからも、借り物の理屈だけを頼りに、報われる保障もない窮屈な
「―――然るに。
「え…………?」
落下の錯覚が停止する。
顔を上げれば、目の前には真剣な顔の
「考えてもみろ。
自由なれども孤独に非ず、縛られはせども報いはあれり。全く、これを幸運と呼ばずして何とする!」
―――意味が無いからこそ、意味に縛られることもない。
その響きは余りにも鮮烈に、俺の胸を打ち全身を巡った。
暗闇の錯覚が消えていく。
喉が呼吸を思い出す。
まるで暗い水底から救い出されたかのような。あるいは生まれ変わったかのような解放感。
……だが、相手が魔女だという警戒がまだ残っていたのだろう。
俺の心は僅かに反発を覚えて、心を動かされかけた自分を騙すように、「信じられない」とポーズを取った。
「それじゃあ、君は……生きる意味なんて必要ない、と言うのか……?」
「うむ。というより、そもそもキサマはそこを間違えているのだ、ジャック」
だが、欺瞞だらけの俺に対し、レフィーリアはどこまでも迷いなく。
いいか、なんて前置きして、白い神様は真理を告げる。
「我らは誰かから許されて生まれてきたのではなく、ただ生まれたから生きるのだ。
誰かから認められたから生きていけるのではなく、生きているから誰かに認められたいと望むのだ。
つまり、存在することに資格など要らぬ。キサマの内の『意味が欲しい』という
要するにだな。キサマ自身は殺人に何も感じんと言ったが……意味に赦しを求めた以上、実際にはちゃんと良心の呵責を感じておるのではないか?」
「――――――」
「むろん常人よりいくらか鈍感ではあるのだろうが、鈍感程度で怪物と同列など笑止千万。現にワラワは意味を欲したことなどないし。
なあジャック、キサマは自分を怪物と言ったが―――ワラワから見れば、どうしようもないくらいニンゲンだぞ?」
それがトドメ。
それで俺が抱いていた苦悩は、まるで霧が晴れるかのように急速に薄れていった。
当たり前の話。前提が崩れてしまっては、どんな悩みも続きようがない。
「…………そう、だったのか」
ぎしり、と背もたれに体が沈む。
何に対しての納得なのか、自分でもよく分かっていない。
ただ、安堵があった。
許しなんてなくても生きていける、と言われて、確かに心が軽くなった。
別に何が変わったワケでもない。だというのに悩みが薄れたということは……彼女の言う通り、俺を息苦しくしていたのは他ならぬ俺自身だったのだろう。
だから、俺が“生まれた意味”なんて幻想を……人の役に立てないなら生きている意味が無い、という固定観念を捨てれば万事解決。二度と魔女相手に取り乱すような愚も犯さなくなるだろう―――。
――――――
なのに……心のどこかでそんな声が。
広がっていく納得に比べて余りにも僅かな抵抗感が、どうにも消えきらない苦味みたいに、俺の喉の奥に蟠っている気がして。
……だが。
それを言葉にするよりも先に、これまで完璧だった魔女の、
要するに……彼女はとろんと甘えるように、真っ白だった頬を赤らめて。
「そ・れ・に―――それでも肯定されたい、好かれたいというのなら、ここにとっておきが居るであろう? ワラワはキサマの凄烈さも残酷さも大好きだ。世界がキサマの敵になっても、ワラワだけはキサマの隣に居るぞ、ジャック♡」
……傷心に付け入る、とはこういうことか。
熱っぽい本気の声色、誰憚らない真正面からの「好き」の言葉は、普段なら本題の邪魔だと突っぱねられたハズなのに……今日だけは恐ろしいほど甘やかに、俺の心を溶かしに来た。
あるいは凄腕の魔女らしく、その言葉は魂を篭絡する誘惑の呪文であったのか。
艶やかに流れる白妙の髪も、嫋やかな輪郭を描く白磁の肌も……今はやけに魅力的に映って、なんだか目が離せない、ような。
……ふう、と軽い溜息ひとつで眩暈に似た感慨を廃棄する。
残念ながら。
そういう欲求によって刹那でも忘我できるなら、俺はこんなに悩んでなどいなかったワケで。
「……遠慮するよ。思想や行動ではなく個人に肩入れする、というのは不健全だ。俺の矜持を評価してくれるというなら歓迎だが……」
「それなら大丈夫だ。あの夜に言った通り、キサマの矜持はワラワの矜持も同然。これからもバンバン
「……あのな。そういうのが不健全だと言っているんだよ、俺は」
何という頭の悪い物言いだ、さっきまでの聡明さはどうした。
だいたい、俺の言うことに無条件に賛同してちゃ、俺が道を踏み外したときに被害が大きくなるだろう。
本当に理解者を気取ってくれるなら、間違いを正してくれるほうが俺は嬉しいんだが―――。
……いや。
そういう意味では、よく考えなくても、俺は今間違いを正してもらったのか。
「そうなる、かな。うん、なるよな」
「? どうしたジャック、まだ文句があるのか?」
「いや、そうじゃなくて。
礼を言うよ、魔女。その……相談に乗ってくれてありがとう。助かった」
だいぶ心が軽くなった、と正直に告げる。
もしかすると勢い余って笑ったりしてたかもしれないが、まあ素直な気持ちだし、そこまで肩肘張らなくたっていいだろう。
そんな、誰に向けてか分からない言い訳をしていると……目の前の魔女が「どういたしまして」も言わず、伏し目がちに小さく震えているのに気付いた。
どうした、腹でも冷えたかと聞こうとしたその瞬間。
がばり、と魔女は顔を上げ、
「~~~、任せよっ、どんな相談でも受けるぞワラワは! さあ次の相談をよこせジャック、ワラワが全部解決してやるから!」
目に見えて喜びを爆発させて、もう我慢できないと言いたげに、殆ど机に乗るようにして俺へと飛び掛かって来た。
そのままがしりと両肩を掴まれ、何かをねだるように肩を揺さぶられる。いや、コレはあれだ、木の葉を落とそうと街路樹を揺する分別のない子供そのものだ。
こいつ、さっきまでの大人びた雰囲気はどこに消えた……!?
「君なっ。前から思ってたが、いちど成功したら過剰に味を占めるその性格は矯正したほうがいい! とにかく何が言いたいかっていうと、揺すっても次の相談なんか出ないから、今すぐこの手を離せってことだ!」
レフィーリアのやつ、少し褒めたらすぐこれだ。
本当に承認欲求が強いのは君のほうじゃないのか、全く……!
そうやって魔女を引き剥がし……今まで話に没頭していた俺は、ようやくここが喫茶店の中だと思い出した。
「―――しまった、少し騒がしかったか?」
慌てて周囲を確認する。
かなり赤裸々な話をしたうえ、何度か大声も上げてしまったが、果たして……。
「聞いてくれよぅ店長。俺の息子が“竜騎兵”になりたいって聞かねえんだ。でも竜騎兵になるって、その辺の盗人を取り締まる憲兵になるのとはわけが違うだろう? 超狭き門で、超危険。だから応援すべきか反対すべきか迷っちまってよぅ……」
「ふむ、それは難しい話ですな……あといつも言っておりますが、私のことは『店長』ではなく『マスター』と呼んで欲しいのですがな」
カウンターで店主と会話している常連客。
「それでさ、この前の銀竜祭でレオリス王子を一目見てさっ。もう一目惚れっていうかー、ずっと忘れられないっていうかー」
「へえ、噂通りイケメンなんだ? でも平民と王族じゃ流石にノーチャンっしょ」
「そうかなー? 夢はでっかく玉の輿、いや王の輿でしょ!」
入口に近いテーブル席の若い女性二人組。
「あのー、注文がずっと届いてないんだけどー。もう二十分は待ってるんだけどー」
「あ、すみませんっ。今持っていきまーす……!」
俺たちの横、店奥の席で店員を呼ぶ客と慌てて反応する女給。
うん。一通り確認してみたが……例の“月の加護”のお陰か、それとも場所柄か、俺たちが人目を引いている様子はないな。店は和気藹々とした雰囲気のまま、俺たちなんて居ないかのように穏やかに運営されている。
その柔らかな空気に安堵し、自分達ももう一杯くらい頼むか、なんて考えたそのときだった。
―――がつん、と。
俺たちのテーブル横を通り過ぎようとしていた若い女給が、床の凹凸に躓いたのは。
「わ、きゃっ!?」
バランスを崩し傾く体。
宙に浮く給仕用トレイとその上のドリンク。
「――――――」
その光景を見て、反射的に体が動いた。
俺は椅子から立ち上がり、空中に浮いたトレイを片手で取って落下してくるドリンクを受け止め、もう片方の手で倒れ込む体を下から支える。
隣に座っていたのは幸運だった。この距離・この程度なら問題なく。女給の転倒を防ぎつつ、受け止めたグラスの中身も断じて床に零してはいない。
「危ない。怪我はないか、君―――あ」
そうやって女給の腰を掴んだ瞬間―――稲妻のように思い出される魔女の忠告。
“注意しておくが……他者に触れたり、長く会話したりすると『加護』は解けるぞ”
ああ、長話ですっかり忘れていたが。
つまり―――やって、しまった。
瞬間、俺ではなく周囲の空気が変容する。
馴染みのない穏やかさは、慣れ親しんだ忌避の視線へ。
「え? あのコートにあるのってマギロティオン家の家紋……てことは、く、『首斬りジャック』? い、いつからそこに……やべ、目合った!? マスター、お勘定!」
「―――(一目散に逃げ出す)」
「ね、ねえ、アレって……」
「もう行こ。お金とかいいからっ、命のが大事だってっ」
「ひ、ひぃ……!? わ、私はきちんと罪を償ってやり直しているのですがな!? もう違法なことはやっていないんですな! だから勘弁して欲しいんですなぁーー!」
ガタガタと、食事の残りも気にせず席を立つ客たち。どころか店主らしき人物さえ店外に逃げ出すのが見えた。
そうして一分と経たないうちに、店はもぬけの殻となった。
先程まであった賑わいは既に死に絶え、ひゅう、と隙間風の音さえ聞こえるさまは、まるで墓場の様相だ。あるいは、
……毎度のことだが流石に傷付く。月の加護が失われた瞬間にこれとは、ちょっと怖がられ過ぎじゃないか? 俺。
そりゃあ思い悩むのも無理ないというか、これで平気だったらそれこそ人間じゃないというか。
―――とはいえ、こればかりは仕方ない。
どれだけ大衆に嫌われようと、俺の剣は
「……む?」
何か、さっきの話と共通する引っかかりを感じる。
……いや、今はとにかく状況に対応しなければ。
嘆息をひとつ。
それで気持ちを切り替え、俺は改めて、抱き留めていた若い女給を近くの椅子へ座らせた。
そのまま、ぽかんとした顔の若い女給へ話しかける。
「……欺くような真似をしたことは謝罪する。改めて訊くが、怪我は」
「へっ? は、はい、私はダイジョウブ、です……」
「結構。注文はいちおう床に落ちる前に拾っておいた。代金は店に居た全員分を支払うが、それ以上の賠償が必要であればマギロティオン家へ申し出を」
そうやってテーブルに多めの金額を置く間も、女給はどこか呆気にとられた様子で、少なくとも悲鳴を上げたり逃げ出そうとしたりはしなかった。
俺が『首斬り』と分かっていないのか、それとも分かった上で恩を感じてくれているのか。どちらにせよありがたい。少し顔が赤い気がするが、体調が悪いのだろうか……顔は打っていないハズだし、怪我でないのなら気にかける必要もないか。それよりも早々に立ち去ることがお互いためだろう。
「俺はすぐに店を出る。重ね重ね、店長に謝罪を伝えて欲しい―――行くぞ魔女」
「む、少し待て。キサマが拾ったこれを飲んでからでも……」
「君が注文したものじゃないだろう、それはっ。いいから早く……そうだ、出る前にもう一度加護をかけてくれ。このまま往来に出たら騒がれる」
ちゃきりと腰の剣を鳴らしながら催促してみるが……流石と言うべきか、魔女はまるで動じる気配もなくかぶりを振った。
「残念だが、それはできんな」
「―――何?」
「怖い顔をするなっ。ワラワとて意地悪で言っとるのではないっ」
凄まれたのが不満なのか、むぅ、と頬を膨らませて彼女は言う。
「いいかジャック。月の加護が効力を持つのは一昼夜に一度のみだ。つまり、今日はもう使えん」
「な……そういうことは先に言えっ」
それを知っていたならもっと慎重に行動したのに、と怒鳴りそうになってすんでで堪えた。知っていたとしても俺は同じ行動を取っただろう、と怒鳴る直前に気付いたのだ。
加護がどういうモノであれ、あの場で見捨てる選択肢はなかった。なのに魔女を責めては、それは八つ当たりになってしまう。
しかし、それでも口惜しさが消えたワケじゃない。
そうか……今日はもう、あの便利な“月の加護”に頼ることはできないのか……。
そんな俺の落ち込みようを見てか、渋々と言った具合で魔女が新たに提案をしてきた。ここでいう『渋々』とはつまり、提案の内容に自信はないが言ってみるだけならタダかな、みたいな、いかにも駄目元っぽい雰囲気を滲ませることである。
「ふむ、そうさな。確かに月神の力は品切れだが、“太陽の加護”ならまだあるぞ?」
「太陽……それはどういう効果なんだ?」
「結果だけ言うと、誰もキサマを直視出来なくなる」
「! ならそれを―――」
「ただこちらは月の加護と真逆、『存在感の鮮烈化』だ。眩しいから見れん、という理屈だな。要するに、街中の人間がキサマの存在を壁越しだろうと感じ取る」
期待に目を輝かせたのも束の間、急転直下で半眼になった。
「―――よし、却下だ。なんだその悍ましい加護は」
「うむ、ワラワも同感。腹に収めて千年経つが、未だに太陽のとは気が合わん」
最後によく分からないことを言って、魔女は軽やかに席を立った。
そのまま優雅に店を出るかと思いきや、一度だけ店内にいる俺以外の唯一の人間―――即ち例の女給を振り返って一言。
「そこなニンゲン。この店の果実水は美味かったぞ。次は監獄まで持ってまいれ」
「……なんて尊大な『ごちそうさまでした』だ、神様やってた奴は違うな。ああ、俺からも。ごちそうさまでした、コーヒーは美味しかったと店長に」
迷惑をかけたとはいえ、いや、だからこそ礼儀は出来る限り果たす。
足取りが重いのは名残惜しいからではなく罪悪感から。
カランカランという扉のベルは、二度と来るなよ、と招かれざる客を追い返すよう。
―――どうか悪い噂が立って、この店が潰れませんように。
そう切実に願いながら、俺は魔女と共に、人生初の喫茶店を後にした。
王都の天気は晴れのち曇り……のち、再び晴れ。
日も沈み始めた街の頭上は、いっときの白多めな空模様をほとんど忘れ、蒼と朱が鮮やかに交わるそのときを心待ちにしているようだった。