異世界帰還TS美少女Vtuber、田中エンフィールド 作:恥谷きゆう
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【マシマロ読み】悪友コラボでマシマロを読むぞ!【リブライ二期生/悪友コラボ】
田中エンフィールド/Tanaka Enfield
「第二回!! 悪友コラボマシマロ雑談!! イエーッ!」
「イエーッ!」
ボクがハイテンションにタイトルコールすると、隣に座るヒノメがノリノリで続いた。ついでにマラカスをシャカシャカ振る。我が家には賑やかしの道具も完備してある。
「今回は、最近色々あったらしいヒノメとマシマロを食べていくよ。色々……あったらしいね?」
「べ、別に何もねえし……」
わざとらしく目を逸らすヒノメの頬は薄っすら赤い。
まあ、はぐらかされても全部知っているのだが。
「まあ、何かあったのか、マシマロに聞いていこうか。それじゃさっそくこちら!」
・ヒノメちゃんの妹シチュ最高でした! 次は私のママになってください! マシマロ
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「ならないよ!? ていうかママになるって何!?」
いきなりの高火力にヒノメが絶叫する。
「まあ、気持ちは分かるけどね。普段は元気いっぱいなのに、あんな母性溢れる声出されたら期待されちゃうよ」
「フィーちゃんまで何を言ってるの!?」
包容力、とでも言えばいいのだろうか。彼女のこちらをいたわる声には、不思議な安心感がある。
普段元気な彼女にそんな声を出されては、こちらも狂ってしまうというもの。(ここで言う狂うとは、夢中になっちまうことを指す)
「まあ、やっぱり今回のマシマロはヒノメのボイスについての話が多かったね。どう、これからもやっていく予定は?」
「ないよ!! 気の迷いだからね!!」
「またまたー」
「またまたじゃない!!」
おお、打てば響くとはこのことか。ヒノメは顔を真っ赤にして言い返してくる。
そんな様子も面白くて愛らしい。
「まあまあ。さっきみたいなマシマロはいっぱい来てたからね。ヒノメには今後の展開も検討してもらいたいところだよね。同僚としてだけでなく、イチ視聴者として、ね」
「うう……ま、まあ、意外と楽しかったし、考えないこともない、けど……」
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| ・うおおおお! ・うおおおおおおおおおお! ・ありがとうございますありがとうございます! ・ありがとう、田中ァ…… |
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「あー、もう! この話おわり! おわりったらおわり! ほら、私の話ばっかりしてるのもアレだからさ、フィーちゃん宛ての読も!」
そう言って、ヒノメは他のマシマロを引っ張ってきた。
二人で遊んだりしたエピソードあれば聞きたいです マシマロ
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「あー、あるある。あるけど、どこまでを配信で話したんだっけ?」
「あ、あれ話してないんじゃない? お泊り」
「おー! あったね、お泊り!」
・お泊り!?
・一夜を共にしたってコト!?
・くわしく、説明してください……!
「まあ特別なことはしてないんだけどね。パーティーゲームして、お菓子食べて、お話しただけ。二人とも気づいたら寝落ちしてた、みたいなね」
「そうそう! 久しぶりに会ったからいっぱい話したいことがあってね! あと、愚痴とかも聞いてもらって助かっちゃった。ありがとね、フィーちゃん」
「いいんだよ。ま、大魔導士たるボクには分からない苦しみではあったけどね。聞くだけならできるよ」
「そう? ……ま、そうやってわざとらしく悪びれるところ、可愛くて嫌いじゃないよ」
「……ハーッ!? 別に悪びれてねえけど! 本当にヒノメの悩みとか分からないけど! 超天才大魔導士だから!」
「照れ隠しが下手だねフィーちゃん……」
「あ、はーい! 次! 次のマシマロに、いくよーッ!」
ヒノメがごちゃごちゃ言ってるが、無視だ、無視。
お互いの印象で最初から変わったところがあれば教えてください マシマロ
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「ヒノメの印象で変わったところかあ……意外と頭いいな、とか?」
「え、意外って何?」
「いや、そういうタイプに見えなかったからさ。なんていうか、猪突猛進な感じかと」
「失礼! どう見てもインテリジェンスガールでしょうが!」
「あー、そうそう。インテリインテリ」
「適当!」
お互いに顔を見合わせて笑う。
「まあ真面目な話、ヒノメは色んなこと考えてるなって思った。相談とか愚痴とか聞いてるとね。ボクみたいなお気楽大魔導士は『そんなに気にしなくても』と思ったりするけど、それはヒノメの優しさや真面目さの表れなのかなって思ったり」
「……そう、かな。私は逆に、フィーちゃんの割り切った考え方が凄いと思ったけどね。物事の線引きをするのが上手いっていうかさ。私にはできないなって」
「まあ、似たタイプに見えて正反対なところもあるのかもね、ボクたち」
案外、それくらいの方が付き合いやすいのかもしれないな。
久しぶりの二人でのコラボ配信は、相変わらず息ピッタリだった、気がする。
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【ナイトメアコテージ】禊ホラゲの時間です 【リブライ二期生/音宮 祈/田中エンフィールド】
音宮 祈/Otomiya Inori
「ついに、始まっちゃった……」
「ついにこの時が来たぜ……音宮祈、ホラゲー配信だああああ!」
「や、やだあああああ!」
オープニング画面へと進むと、おどろおどろしいBGMとタイトルコールが流れる。
すると、隣に座る祈ちゃんがひしと腕に抱き着いてきた。
「ちょ、ちょっと、動きづらいんだけど……」
「いやでも、怖いし……」
拗ねたような言い方が可愛くて、つい許してしまいそうになる。
しかし、ダメだ。今回の配信はみそぎ、なのだから。
「ダメだよ祈ちゃん! この間の配信で大寝坊した謝罪をするんでしょ!」
「うう……その節は本当に申し訳なく……」
どうにも彼女は、配信の枠を取って告知まで済ませた後で昼寝してしまったらしい。
生真面目な彼女の珍しいミスを、大抵のファンは笑って許してくれた。
しかし、真面目ゆえに彼女自身が自分を許せない。
そんな困った状況を見たボクは、エンタメらしく、面白い解決策を提案したのだ。
「はい進む進む! このまま画面変わらなかったら放送事故だよ!」
「う、ううう……!」
祈ちゃんが震える指でボタンを押す。
「new game」を選択して、ゲームスタート。
一人称ホラーゲーム、「ナイトメアコテージ」のストーリーは主人公の男の視点で進んでいく。
目を覚ました男は、見覚えのない古洋館にいることに気づく。
動揺するままに、部屋に置いてあった手紙を読む。その中には──
この場所にはいくつかのルールがあります。これはその一部です。
・大きな音を立てない
・赤い目を見ない
1階まで辿り着けたなら、あなたはこの悪夢から目覚めるでしょう。
「え、なに、どういうこと?」
「これやったら怪物に襲われる……みたいなことかな? 探索して一番下の階を目指すみたいだねー」
手紙を置いた祈ちゃんはカメラを回して周囲の様子を確認する。
黒いシミのついた壁紙。謎の傷の刻まれた床。ボロボロのカーテン。真っ暗な窓からヒューヒューと風が吹き込んできている。
「こ、ここから出るの……?」
「そうだねー」
カタカタと震える祈ちゃんが何かを訴えるような目でこちらを見てくる。しかし、ボクは笑顔のまま次に行くように促した。
「そ、そうだ……私はみんなに愛してもらえる音宮祈……情けない姿を見せるわけには……!」
ブツブツ言いながらドアを開ける。
薄暗い廊下は突き当りが見えないほど真っ暗だ。
ギィギィと音を立てる床を踏み締めて前へ──
直後、異常に気付いた。自分の他に、もう一つ足音がある。
「え、なに……何かいる……?」
足を止めると、足音も止まる。床板が軋む音が止まると、ビュービューという風音が遠くから聞こえてきた。
「祈ちゃん。後ろ、じゃない?」
「う、そ……」
祈ちゃんが恐る恐るカメラを回転させる。
赤、だった。魚のような顔に収まる、血のように赤い瞳。双眸が、こちらをじっと見つめていた。
「いやああああああ!?」
目が合うと化け物が動きした。人間の1.5倍ほどの二足歩行のシルエットが一瞬で近づいてきて、首を掴まれる。
掠れた絶叫が洋館に響き渡った。
高く持ち上げられた彼が最後に見た景色は、口内にずらりと並んだ歯で──
GAME OVER
「……」
「あー、残念。見ちゃったから死んだって感じかなー。目が合ったら死ぬタイプ。シャイガイみたいな奴だねー」
祈ちゃんは完全にコントローラーを放り出して机に突っ伏していた。途中から画面も見てなかった。ただ、主人公の断末魔は聞こえていたことだろう。
「無理だよ……これ絶対無理だよ……怖すぎるもん……」
「そうかな? 慣れたらいけるんじゃない?」
「なんでフィーちゃんは大丈夫そうなの……?」
「大魔導士だからね」
もっと悍ましい化け物も見たことがある。内臓とか出てないだけマシだ。
「ほら、ボクは隣にいるから、もう一回やってみよう?」
「う、うう……フィーちゃんが言うなら……」
ノロノロと起き上がった祈ちゃんがコントローラーを握る。ちょっと涙目だ。
男は再び最初の部屋で目を覚ます。悪夢は終わらない。たとえ夢の中で死んだとしても、だ。
今度は、振り返らない。後ろから足音が聞こえてくるが、振り返ってはいけない。
廊下を進むと、扉の空いている部屋があった。順路としてはここに入るのだろう。キョロキョロと見渡しながら、部屋に入る。
目覚めた時と同じ、シングルベッドの置かれた小さな部屋だ。サイドテーブルの上に何か置いてある。それを確認しようと近づき──
「ひやあああ!?」
ゴトッ、と何の前触れもなく額縁が落ちて、祈ちゃんが悲鳴を上げた。
「な、なんで触ってないのに落ちるの!? 大人しくしてて!」
恐怖を通り越して怒りに目覚めつつある祈ちゃん。その動揺を示すように、視点がガタガタ震えている。
「フーッ、フーッ……」
威嚇する子猫のように息を荒げる彼女は恐る恐るテーブルの上を確認する。
そこにあったのは、メモ書きだった。
使用者の焦りを示すように、紙の端はくしゃくしゃになっている。
・目はほとんど見えていない。音で状況を判断する
・目が合った瞬間、食われる。人間の瞳だけ視認できる?
・近づくと腐臭がする
「ヒントくれてるのかな? 活かしたいねえ」
「むり、むり、むり……」
一応語り掛けてみるが、祈ちゃんは応答する余裕がなさそうだ。
むり、むり、と言いながらも、祈ちゃんは着実にゲームを進行させていった。
「いやああああ!」
「ぎゃああああああああ!」
「アッアァ……」
「ふんでょるばー!」
驚かされるたびに奇怪な悲鳴を上げる祈ちゃんを横で眺めているのは楽しかった。
後日、音宮祈悲鳴音MADが作られる悲劇を、この時の彼女はまだ知らなかった。
ストーリーを進め、重要アイテムらしき鍵を手に取る。
「なに……BGMが変わった……?」
不安をあおるような静かな音楽から、アップテンポの緊迫感のあるものへ。
次の瞬間、祈ちゃんの正面の扉が派手に破壊され、化け物が入ってきた。
「アイエエエエ!? なんで!? 見てない! 音立ててない! なんで来たの!?」
「強制チェイスパートだねえ。逃げないとじゃない?」
既に目は合っている。視力の弱い奴が唯一見えるのは、人間の心だ。ナイトメアコテージの怪物は、瞳を覗くことで相手の心を見る。一度心を見れば、奴は相手を逃そうとしない。
「やだああああ! 来ないで!」
床板を踏み潰さんばかりの激しい足音が聞こえてくる。主人公は狭い廊下に出て、障害物を避けながら逃走する。図体のデカい化け物は狭い場所を通るのに苦労しているようだ。破砕音を背に聞きながら、前に進む。
「祈ちゃんあそこ! 階段!」
「ほんとだ!」
今までいくら探しても見つからなかった階段が目の前に現れた。主人公は息を切らしながら階段を下る。
すると、足音はそれ以上追ってくることはなくなった。下階は、別の化け物の縄張りだ。
「ふう……ふう……助かった……?」
「助かったみたいだねえ。1フロア攻略したし、ここで一区切りかな?」
時計を確認すれば、配信開始から二時間近く経っている。絶叫しまくってる祈ちゃんの喉も心配だし、このあたりが辞め時だろう。
「それじゃ、パート2を乞うご期待って事で今日の配信は終わろうか?」
「パ、パート2!? そ、それはその、検討します、ってことで……あ、じゃあ最後にいただいたスパチャを振り返りながら雑談しよっか!」
「そうだねー」
こうして、音宮祈禊ホラゲー配信は終了したのだった。