異世界帰還TS美少女Vtuber、田中エンフィールド 作:恥谷きゆう
※リブライまとめファンサイトより
・田中エンフィールド
自称、超天才大魔導士にしてTSっ娘。甘い声をしているが、性格はかなりクソガキ。褒められると簡単に増長して、可愛い笑い声を披露してくれる。
演技が上手く、朗読やゲームの読み上げなどは迫真
愛称は田中ァ、師匠、フィーちゃん、など
ファンネームは「弟子たち」。彼女曰く、大魔導士である彼女の元に集っているものは全員弟子とのこと。
フィーちゃんと呼ぶのは、特に彼女を小動物的に可愛がる女性ファンが多い。
彼女のご飯配信は特に女性にも人気がある模様。ハムスターに餌付けしているような楽しさを感じられる。
参照 →【雑談】ハンバーガーをいっぱい食べる!!! 【リブライ/田中エンフィールド】
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【雑談】とっておきの魔法を教えてあげよう 【リブライ二期生/田中】
田中エンフィールド/Tanaka Enfield
今日の配信のテーマは魔法。ボクの話す異世界関係の話を、みんなはVtuberの設定として受け入れてくれているようだ。そう勘違いしてくれた方が都合が良い。
「まあ、魔法っていうのは極めるとだいたいなんでもできるんだよ。たとえば、急にコメントを打ってる皆の隣に現れて、背中をとんとんするとかね」
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・え、こわ ・なんでそんなことするの? ・まさか昨日のあれは…… ・場所はどうやって特定するんや |
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「場所はね、意志の糸を辿れば分かるよ。画面上に見える文字列の意志と、同じ意志の発せられる場所を観測すればいい。今聞いた人は……某所のマンションの3階だね。コーラのペットボトルちょっと片づけた方がいいんじゃない?」
・え、怖い怖い怖い怖い怖い
・流石に当てずっぽうやろ
・ホラー?
「やろうと思えば無礼な言葉を吐いたやつのところに瞬間移動して、「ボクにメロメロになる魔法」をかけることだってできるってわけ。ま、これでボクの恐ろしさが分かったと思うので、君たちはあんまりボクに生意気な口を効かないことだね」
・ししょー、ちび
・ばーかばーか
・田中のバーカ
・かあいいねえ
・どーてー
「おい、全員舐めすぎだろ! 数が多すぎて対処できない……!」
なんでこんな時だけ団結力が高いんだ……!
「ま、今の暴言はボクの寛大な心で一度許してやるするよ。感謝したまえよ」
◆心を読む魔法
『リブザライブの二期生が集結! オフコラボでの雑談企画を開催します!』
この企画の話が届いた時、ボクは特に悩みもせず承諾した。
デビューから二週間で、リブザライブの二期生──つまりボクの同期の配信はチェック済みだ。
「皆さんごきげんよう。リブザライブ二期生、歌とみんなを元気にしたい、クールな女子高生、
音宮
「ひああああああ!? 待って待って待って待って!」
「うわああああ!」
「待って無理……叫びすぎて喉が痛い……」
その様は視聴者に「主人公と感覚リンクしてる?」と言われるほどに感情豊かだ。既にクールの皮が剝がれつつある、けれど歌う時は文句なしのクールビューティー。それが音宮祈というVtuberだ。
「みんなおはよーッ! リブザライブ二期生、元気いっぱいの
リブザライブ二期生、陽乃屋ヒノメは自己紹介の通り元気いっぱいの女の子だ。その有り余るバイタリティーは、ゲーム配信でその本領を発揮する。
「うわあああ! あとちょっとで倒せたのに! もっかいもっかい!」
「ラスト右! ピンのとこ! ミリミリ!*1 ……よっしゃあチャンピオンきたあああ!」
高難易度のアクションゲームや対人のFPSなどを長時間配信し、みるみるうちに上達していく様は見ていて気持ちがいい。そして、10時間以上配信しても元気なままだ。
同期の中でもずば抜けて配信時間の長いVtuber、それが陽乃屋ヒノメだ。
◆
リブザライブのオフィスは思った以上に豪華だった。業界2トップの事務所には劣ると言えど、リブザライブは三番手を狙える気鋭の会社。スタジオも併設するオフィスは都内の一等地に堂々と鎮座していた。
「このあたりでいいですか?」
「うん。サンキュー、クロン」
車を運転していたクロンに礼を言うと、無表情で頷かれる。
メイド服姿で高級車を運転している姿は様になる。スラッとした立ち姿に端正な顔立ちの彼女なら尚の事だ。
しかし実際のところ、これは無免許運転である。免許証は魔法で偽造。バレれば逮捕待ったなしである。
まあ、大丈夫だろ。魔法で知覚能力の強化されてるクロンが事故るわけないからな! ガハハ! *2
オフィスに到着した事をメッセージで伝える。するとすぐに入り口までスーツの女性が来てくれた。
迎えてくれたマネージャーの京子さんはキッチリ仕事をこなすキャリアウーマンだ。リブザライブの二期生は全員彼女によって色々なサポートをしてもらっている。
ただ、話してみると結構はっちゃけた人だ。
「田中さん、お疲れ様です。ご案内します」
「お願いしまーす」
案内されたのは綺麗なオフィスの中の会議室の一つだ。
そこまでついてようやく一息ついたボクは眼鏡を外す。
すると京子さんがこちらをじっと見つめていた。
「……何度見ても信じられませんね。どうして眼鏡一つでその美貌を隠せるのですか?」
「まあ、ボクは大魔導士だからね」
わざと適当な口調で言ってごまかすと、京子さんは納得いかなさそうな顔をしながら引き下がってくれた。実際、これは魔法の効果なのでボクの言葉に偽りはない。向こうが勝手にはぐらかされたと思っているだけだ。
そのまま少し雑談していると、京子さんのスマホが鳴った。玄関まで出て行った彼女が連れてきたのは、同期にして初対面の『音宮祈』だった。
「失礼しまーす……えっ、リアルにフィーちゃんがいる!?」
待って、ちっちゃくて抱きしめたくなる可愛さなんだけど!?
彼女はボクをフィーちゃんと呼ぶ派閥みたいだ。
配信でも聞いていた声をした彼女は、クールな女子高生だった。
キリッとした顔立ちだが、今はポカンと口を開けている。後ろに流れる真っ直ぐな黒髪は後ろで緩く結われている。
学校帰りらしく、今は制服姿だ。手に持っている学生カバンはぬいぐるみなどでゴテゴテと装飾されている。
祈ちゃんは驚きの顔でボクを見たまま硬直してしまっていた。あまり緊張させないよう、ボクは気楽に手をひらひらと振って挨拶をした。
「こんにちはー。田中エンフィールドです。よろしくね?」
「えっ、あっ、その、顔が一緒で……」
「ああ、ボクの顔をモデルにしてもらったからね」
ぶっちゃけ、田中エンフィールドの顔は異世界に居た時のボクの顔そっくりにしてもらった。今のボクとほとんど同じ顔をしている。まあ、ボクの顔が一番可愛すぎるから、モデルも一緒の方が可愛いよね!
「えええ……でもその顔で街なんて歩いたら一瞬で人が集まって……」
「大丈夫大丈夫。この魔法の眼鏡があればね」
懐から取り出した魔法の眼鏡(ほんもの)を付けると、祈ちゃんがキツネに化かされたような顔をする。リアルでも感情表現豊かな子だ。
「嘘でしょ……」
「やっぱり普通そういう反応ですよね。安心しました」
あまりにも自然体なので私の常識を疑うところでした……
後ろで京子さんまで頷いている。
……そんなに大袈裟に反応しなくてもいいと思うんだけどな。こんなの認識誘導程度の魔法だから、科学技術でも再現可能だ。
そんな風に話しているとまた京子さんのスマホが鳴り始めた。
「失礼します」
続けて連れてこられたのは、色々と大きい女の子だった。彼女が
「うおおお、リアル美少女だ! 凄い! ちっちゃい!」
ちっちゃい! かわいい! ちっちゃい!
ボクの顔を見た瞬間歓声を上げた彼女は、パッと見た感じ女子大生のように見えた。先程の祈ちゃんよりはやや大人な印象。そんな印象を与える最大の要因は、大きく膨らんだ胸部だろう。
「うおっ、でっか。……身長がね?」
あ、マズい。心の声がつい漏れちまったぜ。慌てて背のことにして誤魔化すと、彼女はキラキラと目を輝かせて笑顔になった。そういう表情をしていると子どもっぽくなるな。
「えー、身長小っちゃいの気にしてるのかな? 可愛いなあああ!」
「や、やめ……離せっ、子ども扱いするな!」
ぐしゃぐしゃと頭を撫でられるので必死に抵抗する。ボクはこれでも魔法を極めた賢人と呼ぶべき存在だ。
そんな扱いをして良い存在ではないぞ!! 色々と柔らかい感触に体が熱くなってしまう。
なんとか、魔法を使わずに脱出することができた。
「ふう……君がヒノメさん、でいいんだよね?」
「うん! よろしく、フィーちゃん!」
満面の笑みで手を差し伸べて来た彼女と握手を交わす。
本当に、配信で見た通りの元気いっぱいの子だ。
「皆さん、挨拶は済みましたね。さっそくですが、打ち合わせに入らせてください」
京子さんの真面目な声が聞こえてきたので、意識を切り替える。
各々が席について、モニターの前に座った京子さんの方に向き直った。
「まずは、こちらの資料を一部ずつ取ってください」
どこからか持ってきたらしい紙の資料を全員に配る京子さん。テキパキと進行する様はまさにキャリアウーマンというった感じだ。
キリッとした顔でさっそく切り出す。
「さて、今回は『リブライ二期生全員監禁! ~皆さんには、これから殺し合いをしてもらいます~』ということで──」
「──待って待って待って! なに、それ。タイトル?」
「ええ、見ての通りです」
「ボクたちはデスゲームさせられるの!?」
あまりにも真顔で言うから反応が遅れたじゃないか。
京子さんは至極真面目な表情で頷いた。
「エンタメの飽和する現代社会ではインパクトこそ大事です。まずは刺激的な企画をして視聴者に大きく印象付けて……」
「どんな印象付けようとしてるの!? ボクたち殺し合いをする感じのVtuberじゃないよ!」
ぶっ飛んだことを言いだす京子さんを改心させようと、必死に訴える。
マズい……このままじゃ、会社の方針でデスゲーム系Vtuberにされてしまう……!
勢いで誤魔化してもダメか……
「冗談です。これは同僚に却下されたB案。実際の企画は次のページからになります」
「あ、本当だ」
資料の二ページ目を見ると、先程の物騒なタイトルなどなかったかのように真面目な企画書が乗っていた。
「もしかして、ボクたちの反応が良かったらしれっとデスゲームに変えようとしてた?」
「……社会人とはイレギュラーを想定していくつも案を用意するものです」
答えになってないんだけど!
京子さんはぼそぼそと言い訳をすると、咳払いをしてまた堂々と話し始めた。
「初めてのコラボということで、こちらのトークテーマに答えていただき、そこから話を広げていく雑談形式を考えています。一応台本はありますが、ここから逸れてもらって問題ありません。視聴者さんが見たいのは皆さんのありのままの姿かと思われますから」
なるほど、思ったより柔軟な考え方をしているみたいだ。さっきの企画書もあくまで枠組みだけを作って実際の中身はボクたちが作る感じを想定していたんだろう。……そうだよね?
「へえー、面白そう! この辺とか気になるなあ……好きなゲームについて!」
ゲーム好きなヒノメさんはやはり、ゲーム関係の話がしたいらしい。
「……私は、そういうのあまり話せないかも。ゲームをし始めたのが配信を始めてからだから」
「えー、それならオススメのゲームとか教えてあげるよ! どういうのが良かった?」
「そうだなあ……」
「──ストップです。そのあたりは、視聴者さんの前で話してあげてください」
話が盛り上がろうとしたヒノメさんと祈ちゃんを、京子さんが制止する。
「今の感じなら本番も大丈夫そうですね。何か疑問点などありますか?」
「あ、これは二人にも聞きたいんだけど。NGというか、話題にしない方がいいこととかある? ほら、恋バナはダメとか」
地雷みたいなのは事前に確認しておくのが吉だ。
「会社としては明確にNGというのはありません。コンプラに大きくそれることでなければ」
「コンプラね。ちなみにデスゲームはコンプラに反してなかったの?」
「反していません。エンタメとして面白いので」
「滅茶苦茶だよ……」
大丈夫かこの人。
常識人っぽく見えて結構ぶっとんでる京子さんは一旦置いておいて、同期の二人に目を向ける。
「祈ちゃんは?」
「私は……あ、ごめん。昔の話とかは、ちょっと」
「分かった」
暗い表情で言った祈ちゃんの様子が少々気になった。
そういえば、配信で彼女が過去の話をしているところを見たことがない。……いつか、話せる時が来ればいいのだが。
「私はそういうの大丈夫! いっぱい話そーっ!」
元気いっぱいに返事をしてくれたヒノメさんはしばらく大丈夫そうだ。
「ボクは……まあ、昔の事とかあんまり覚えてなかったりするけど……別に話せないわけでもないかな」
正直言って、異世界に行く前の細かいことは忘れてしまった。魔法の研鑽が記憶として鮮烈すぎる。まあそこは、ボクのとっておき異世界エピソードで誤魔化していくことにするか。