異世界で楽しく生きるつもりが、 人生かけて日本に帰ろうとした同郷から託されて、帰るしかない件。 作:帰途灯
頭が痛い……。
なんか昨日の夜に間違えてグレンのほうの飲み物を飲んでからの記憶がない。
今、何時だ?あーそうだ、時計ないんだった。
のそのそと動きながら、窓の外を見る。
昼前かな。まだ頭がガンガンするが、ご飯でも食べに行くか。
適当なテーブルで朝食を食べる。水がうめぇ。
昨日のことを思い出すが、何か約束はしていただろうか。
魔法を教えてもらうみたいな話はした記憶はあるんだが。
……全然思い出せん。
重要な用事なら、もう一回来るだろう。
ご飯を食べながら、今日の予定を考える。
魔法をグレンに教えてもらって、あとは素振りして特訓でもしようかな。
いやでも腕がまだ若干痛いな。右手だけで振るのもありかもしれない。
魔法を教わるって言ってたけどグレンの住んでる場所知らねぇな。
ここで待っていればいつかは来るかな。
ご飯をゆっくり食べていると、グレンがやってきた。
「よぉ、早いな」
「グレン! いや待ってましたよ、昨日はそのなんて言えばいいか……」
「そういえば昨日の後半はめちゃくちゃ酔っ払ってたよな」
笑いを堪えるように話している。
昨日の俺は何をしていたんだ……。
「昨日のことは忘れてください!」
「分かったよ。で、魔法のことだったな、午後からって話だったが今からでもいいか」
午後から俺は約束していたらしい。
適当に話を合わせておこう。
「そうですね、早い方がいいですから」
「じゃあその飯食べ終わったらやるか」
水で流し込みながら、勢いよく朝食を食べた。
少しでも早く魔法のことを知りたい。
「お待たせしました」
「お? 早かったな」
「早く知りたかったので」
「じゃあ、これから始めるがいいか?」
「はい、お願いします!」
待ちに待った、俺の魔法の勉強が!
「どこから話せばいいか……そうだな。昨日見せた魔法は、魔力というものを使って発動できる。魔力を蓄積できる人は、魔法適性があるってことらしい」
なるほど、ここまではよくあるファンタジーの世界の魔法だな。
MPがあるかどうか、なければ使えないしあるなら使える。単純明快だ。
「で魔力ってのは体力と似たようなもので休んだり、魔法を使わなければ回復する」
相槌を打って反応をする。
「ここまではいいか?」
「はい、分かりやすいですね!」
よくあるRPGそのままだな。
「元の世界って、魔法無いんだよな。それにしては理解が早いな。で魔法には威力や用途に応じて段階分けがされている」
ファンタジー漫画とかRPGは程よくやっているので、と心の中でドヤ顔をしておく。
「初心者向けのものを
そういってグレンは目の前で指の先から火をともした。
おお、かっこいい。
これでたばこの火とかつけたらおしゃれそうだな。吸ったことないけど。
「この魔法の名前が燈火って言うんですか?」
「あーここがややこしいんだが、詠唱のいらない初級の魔法を燈火級って呼んでいるな。
呼び方としては燈火級魔法の《ルーメン》ってなるかな」
「《ルーメン》って、なんか光ってそうな感ありますね」
「そうか、あんまり感じないけどな」
そうですか、聞き覚えがあるけどもしかしたら、外国語とかなのかな。
「で階級分けだが、下から順に
紙に書いてくれてるが、全く読めない。
「一番上が天象級ですか……」
天象級とか想像つかないが、一面を焼け野原にできそうだな。
「まぁ上の方は一握りしか使えないからあんまり関係ないな」
「俺が前に使っていたのが、篝火級魔法の《イグニス》だ、階級としては下から2番目になる」
なるほど規模で階級を分けているみたいだな。
少し気になるのが、グレンがどれぐらい使えるのかだ。聞いてもいいかな、怒られないかな。
「グレンってどこまで使えるんですか?なんとなく
「俺は、篝火級までだな」
気まずい、めっちゃ気まずい。
炉火使えないのかい。なんとなく上のほうまで使えそうな雰囲気出してるやん。
「何考えてるか分からんが、炉火級以上は杖が必要だからな。戦闘時に持ち運べないなら篝火が最大になる」
なるほど、杖を携帯すると威力の高い魔法を使える。
冒険者にとっては持ち運びに苦労するからどっちを取るかって話だな。
なんかこの選択をしてるのも熟練冒険者っぽいな。
「でここまでなんか質問あるか?」
「気になったんだけど、炎以外の魔法はある?」
「一応水とか、
ふむふむ、なるほど?となると?
「じゃあ例えば水魔法の初級はなんて言うんですか?」
「俺は魔法名を知らないが、燈火級の水魔法とか呼ぶんじゃないか」
「水なのに燈火なんですか」
「あーそこは気になるよな、基本的に炎の魔法って魔力の変換とかいらないんだよ。だから階級名は基準の炎になってる。だいぶ詰め込んでいるが大丈夫そうか?」
全人類炎属性みたいな話なのかな。
とりあえず階級が5段階に分かれていて、炉火からは杖が必要で火以外は変換が必要と。
まとめての話だったが、問題ないはずだ。
「じゃあこっからは実技だな、まずは《ルーメン》からやってみろ。これは感覚として覚えるしかないが、右手でも左手でもいいから、魔力を貯める。で貯めた魔力をもとに火をつける」
グレンが簡単だろみたいな顔してるが、全く分からない。
一応右手を挙げて力を込めるが、特に反応はない。
「つかないですね」
「そんな早くはできねぇよ。まぁ右手に貯めるイメージしてればそのうちできるようになる。個人差があるが、大体2週間ぐらいでできるんじゃないか」
思ったよりも早い。
「《ルーメン》だけなら使えるやつは沢山いるぞ、冒険者じゃなくても、ランプ付けたり、焚き火つけられるし、便利な魔法だよ」
そんなショッピング番組みたいに言われましても。
まぁ使えたほうが便利なのはわかるので、とりあえず練習しよう。
「じゃあ魔法の練習頑張れよ」
伝えることは伝えたみたいな顔をしているが、気になることがある。
「詠唱のやり方とかは?」
「少なくとも燈火級できてからでいいだろ」
「確かに」
それはそうなんだけど、詠唱しながら発動をとかやってみたかった。
俺の期待も知らずにグレンはどこか行ってしまった。
右手を見つめながら魔力をためるが、全然起きないな。
今日は何をしようか、左手が痛いし素振りとかするわけにもいかないしな。
それからは、道具屋や武器屋を冷やかして一日を過ごした。