異世界で楽しく生きるつもりが、 人生かけて日本に帰ろうとした同郷から託されて、帰るしかない件。   作:帰途灯

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第26話 洞窟探検に行こう

 

 少しの、いやかなりの後悔がある。

 でもなぁ受け取ったらセイルさんが困りそうだったしなぁ。

 仕方ない、少しの格好つけた感もあるがしょうがない。

 

 それはそれとして、大銀貨4枚ほど稼がなくてはいけない。

 

 ギルド近くのレストランに戻ってきた。

 張り紙を眺める。

 

 割のいい奴は……。

 

 この紙結構前からあったような?

 

『洞窟探索同行依頼』

 

 

 この街の近くにある洞窟の探索に同行してほしいと。

 護衛も兼ねているため、魔物が出現した際には守ってほしいと。

 

 依頼としてはどうなんだ?

 残っているということはそれなりに難易度が高いということだが……。

 

 

「あの?」

 

 後ろから声をかけられる。

 

「はい?」

 

 呼ばれた方を振り向く。

 そこにはフードを着けた同い年ぐらいの女性がいた。

 

 

「その依頼を受ける気はありますか?」

 

 これは、あれか。もしかして依頼料引き上げを狙っている人か?

 

「少し悩み中ですね」

 

 まぁ受けるかどうかは悩んでいるが、目の前の人にとっては微妙なのかもしれない。

 

「そうですか……」

 

 あれ?受けないほうが悲しいってどういうことだ?

 

「あなたも受けるか悩んでいるんですか?」

 

「いえ、その依頼書の依頼主はわたしです」

 

「ああ、そうだったんですね」

 

 じーっとこちらを見ている。

 いやまぁ受けるかもしれない人だからか。

 

 とりあえず依頼書を戻して、テーブルに着いた。

 

 そして少女と呼んでいいのか、フードを着た人も同じテーブルに着いた。

 

 なぜ付いてくる。

 

「えーと」

「…………」

「その」

「……」

 

 無言が続いた。

 

「はぁ、俺の名前はアオイって言います、あなたはなんて呼べばいいですか?」

「私のことは、ノアでもアルでもティアでも好きに呼んでいただいて構いません」

 

 何で名前が複数あるんだよ……偽名なのか。

 このパターンは初めてだよ。

 もしかして天然なのかな。

 

「ちなみに本名はなんて言うんですか?」

 

「ノアルティアです」

 

 全部乗せかよ。

 つい口に出そうになる。

 

「……じゃあノアさんって呼びますね」

「さんはいらない」

「分かりました、ノア。俺になんの用ですか?」

「あの依頼を受けてもらいたくて」

 

「ちょっとだけ詳しく聞きたいんだけど、この洞窟には何があるの?」

 

 少し考えた素振りを見せる。

 

「そこの洞窟には魔力結晶があるらしいから見てみたい」

 

「魔力結晶?」

 

「とても綺麗で見てみたいので」

 

 外見の感想は聞いていないが……。

 

「でそこは危ない感じですかね?」

「町の人によると魔物がいるかもしれないから一人では危険と……」

「なるほどね、もし魔物が出たら守ってほしいと」

 

 頷いている。

 

 悩む、かなり悩む。

 正直洞窟の中ということで危険度が未知数すぎるのと、人手が足りない。

 まぁ最悪ジェスを巻き込んで護衛二人なら……。

 

「ノアは魔法とか使える?」

「ええ、使えますよ」

 

 そういって後ろにあった杖を掲げた。

 

「へぇーって、あの人か。そういえば前に一瞬だけ会ってるよね?」

 

 何回かすれ違った様子を思い浮かべた。

 

「はい、あの時は剣を振る音が聞こえたので少し見に行きましたね」

「なるほど」

 

 まぁだいぶ怪しい人だったからな、あの時の俺。

 

「魔法で自衛とかはできますか?こちらで護衛はしますが、いざというときのために」

「それぐらいならできます」

 

「じゃあ、一応俺のほかにもう一人入れて3人なら出来なくはないかもしれません。やばそうなら撤退という条件で」

 

「その場合の依頼料はどうなりますか?」

 

「その時は…………その時は無くて大丈夫です」

 

 もしかして成功報酬と依頼の報酬で分けるべきだったか。

 交渉事の正解が分からない。

 

「じゃあとりあえず、受ける方向性ということで詳しくは仲間のジェスと相談しますね」

 

 頷いている。

 そのまま、席を立ってどこか行ってしまった。

 

 悪い人ではないが未知との遭遇すぎる。

 とりあえず、ジェスが来るのを待った。

 

 

「よぉ、なんかいい依頼あったか?」

 

「……まぁ、なくはない」

「その間はなんだよ」

 

 笑いながらこっちに突っ込んでくる。

 まぁそれはそうなんだけど。

 

「いや、この依頼を見てほしい」

「これは洞窟の調査と護衛か、ふむふむ。これいいんじゃないか?いやでも何が出るか分からないのか?」

 

 ジェスも悩んだ顔をしている。

 まぁそう思うよな。

 

「俺もそう思う」

「依頼者は?」

 

「俺たちと同い年ぐらいの女の人で、魔法は使えるらしい」

 

「でアオイは受ける気なのか?」

 

「受けたい気持ちはあるけど、難しいならって言うのはある。ただやばそうなら撤退でもいいって言ってある」

 

 ジェスが疑った目をしている。

 

「その場合の依頼料は?」

 

「……タダです」

 

「お前それじゃあ困るだろうが。船代稼ぐって話は?」

 

 心が痛い。

 正論だなぁ。

 

「まぁそうなるよな。いやしょうがない。受けないでおこう」

「……でも受けるか悩んでいるんだろ?」

 

 鋭いな、まぁ受けたい気持ちもある。

 

「まぁね、でも仲間が断るなら断るよ」

「ったくしょうがねぇな。一緒に行ってやるよ」

 

 なんかそんなセリフを他人に言わせる機会が多いような気がする。

 

「ありがとう! 果実水一つください」

 

 感謝の意を込めて果実水をウェイトレスに頼む。

 

「はぁ……ってこれ報酬が大銀貨4枚だぞ!」

 

「え、本当!?」

 

 依頼書を見る。

 本当に書いてある。

 

「結構やばい依頼なんじゃねぇの?」

 

「まぁその時はその時ということで……」

 

 やれやれみたいな顔をしている。

 

 

 まぁその日は洞窟のことを調べたりして終わった。

 

 

 後日、セイレーンの杯にて。

 

「ノア、こちらが俺の仲間のジェスです」

 

 俺とジェスとノアの3人でテーブルを囲み椅子に腰かけている。

 

「アオイさん、依頼はどうなりましたか?」

 

 単刀直入に聞いてくる。

 

「とりあえずジェスも了承してくれたので3人で洞窟に向かってみますか」

 

 ジェスが素直に了承をしたわけじゃないみたいな視線を送ってくるが無視をしておこう。

 

「それは、ありがとうございます」

「その前にいくつか決めたいことがあって」

 

 その1、洞窟内での判断は自分たちにまかせてほしい、撤退する場合にはこれを了承すること。

 その2、最大限守るつもりではあるが、少なくとも危険なところに行くことを留意してほしい。

 その3、撤退した場合でも少しばかり依頼料をもらう(ジェス案)

 

「とりあえずこの3つで」

「分かりました、いくらかというのは?」

「具体的に揉めそうな気がするので、最低でも銀貨5枚くらいで」

「それなら大丈夫です」

 

 とりあえず依頼は受領した。

 

「じゃあ行く準備として灯りは買っておこうか」

 

「魔法じゃダメなんですか?」

 

 た、確かに、でもカンテラ持ちながらってかっこよくないか。

 かっこよくないか?

 

「まぁそれでもいいけど、床に置いたりできるからね」

 

 道具屋でカンテラみたいな道具を買った。

 

「洞窟の場所は?」

 

「街を出て西の方の山にありますね、距離としては徒歩で行けるものになります」

 

「じゃあ行きますか」

「おう」

「お願いします」

 

 城門から3人で出た。

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