異世界で楽しく生きるつもりが、 人生かけて日本に帰ろうとした同郷から託されて、帰るしかない件。   作:帰途灯

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第3話 武器選び

 

 うーむ馬鹿にされてるのか。

 それとも心配されているのか。

 まぁ大人の余裕で聞いてあげよう。

 

 メイン通りを歩いて、それっぽい建物の前まで移動をする。

 ここが武器屋かな。

 入り口には大きな鎧が飾ってあった。

 これはさすがに着れる気がしないな。

 ドアを開くと、鈴の音が鳴り響く。

 

 店内を見渡すが槍や剣、弓など様々なものが飾ってある。

 棚を眺めて、大きめの剣が目につく。

 ロングソードを手に取る。

 重い、数センチぐらい持ち上げられるが、それ以上は上がらない。

 これをもって戦うことはできないな。戦う以上は振らなきゃ意味無いしな。

 それだと、自分に合った武器ってどうやって選べばいいんだろうか。

 

 ちょっと店員を見る。

 どう見ても堅気じゃなさそうな男が、そこに立っていた。

 

「坊主」

 

 目を合わせてしまった。

 

「はい!」

「なんか用か?」

 

 怖えぇ、今にも殴りかかられるんじゃないか。

 

「おすすめの武器か?」

 

 ゆっくりとした言葉で聞かれる。

 

「はい!自分に合った武器を探してます!」

 

 生徒指導の時の指導を受けたときのようにハキハキと答える。

 いやマジで怖い、威圧感がある。

 

「そりゃお前、素人は槍がいいだろうが」

 

 やくざみたいな人が槍の棚のほうを見る。

 俺もつられてそちらの方を見た。

 

「槍かぁ」

 

 そこまで……かっこいいかな。

 いやまぁ便利ではありそうだけど、なんか雑魚キャラが振っているイメージしかない。

 いやでも使いこなせればかっこいいのか?

 

「なんだ、そもそも何に使うんだ?冒険か?対人戦か?狩りか?用途によって分けられる」

 

 なるほど、用途によって分けられる、それは盲点だった。

 俺がやりたいことは……。

 

「とにかくかっこよくて、様になってるやつが欲しいです!」

 

 気分は凄腕冒険者のような、スタイリッシュに戦っている奴だ。

 

「お前、ふざけてるのか?」

「あーいやふざけてないです……なんかこう、剣を振るうっていいじゃないですかそういうのにあこがれる年頃って言うか……」

 

 棚に隠れて、ドキドキしながら思ったことを口に出す。

 

「なんだ、騎士にでもなりたい口か?」

「まぁそんな感じです……」

「じゃあ、ショートソードでいいんじゃないか?これならお前でも振ることはできる」

 

 強面店員が、棚の前に来て剣をこっちに渡す。

 重いけどまあ、振れないことはないか。鞘から出して、剣を見る。指とか切れそうで怖いな。

 ちらりと店員を見る。これは、感想を求めている顔だ、俺にはわかる。

 

「なかなか、いい剣ですね!」

 (よくわからないけど)

 

「よくわかってるじゃねぇか」

 (わかっているらしい)

 

「そうだな、これなら銀貨10枚でいい」

 

 10枚か悩むなこれなら槍の値段とか比較して買った方が……。

 

「お前ベルトもってるのか、今ならサービスで腰に帯刀できるようにしてやるよ」

「買います!」

 

 ベルトを外してカウンターの上に置く。

 そして銀貨10枚も隣に置いた。

 

「即決か悪かねぇ。調整に少しかかるから、待っててくれ」

 

 おやっさんがベルトと鞘を手に取り奥の方へ入っていった

 数分後、ベルトと剣に鞘が取り付けられた状態で持ってきた。

 

「つけてみてくれ」

 

 外套を外して机の上のベルトを手に取る。

 なかなかいい仕事をする。

 いや、かなりファンタジーしているんじゃないか。

 外套をひらりとはためかせ、剣を抜く。

 

「おい、その抜き方だと外套を切るぞ」

 

 武器屋の主人が冷静な一言を飛ばしてくる。

 いや、おやっさんだって、剣をはじめて触ったときにはこんな気持だっただろうに。

 まぁいい、外套が切れそうとか逆に使った人にしか分からない玄人感を知れたなら。

 かっこよく納刀する。

 

「いい、剣ですね」

「おまえ、それ言いたいだけだろ。で防具の方はどうする」

 

 防具か、RPGでは剣を買ったら防具は後回しにしている俺だったが……。

 

「防具は武器よりも金をかけたほうがいいぞ、お前のその感じは早死にしそうだから」

 

 道具屋のおばちゃんとおなじようなことを言ってくる。そんなに死にそうか俺?……。

 でも防具か、流石に動けないレベルだと困るけど、ないのは寂しい。

 でもそう考えると、一部だけ防具っていうのがいいのかな。

 

「おやっさん!おすすめあるか」

 

 剣と外套で気を良くした俺は武器屋の主人に笑顔で聞いた。

 

「それは、お前が何を優先するかによる。おまえどんな風になりたいんだ」

 

 それはもう、めちゃくちゃかっこいいファンタジーの冒険者で……っていうと怒られそうなので。

 

「安定感のある冒険者で……」

「……」

「どんな状況にも対応ができて……」

「……」

 

 おやっさんの目線が痛い。疑うような目を向けてくる。

 いや俺には理想はあるが、あるけど向こう見ずの馬鹿には思われたくないという気持ちはある

 

「……まぁそうだな胸当てだけ買っていけ。他は慣れてからでいい」

 

 そういって革でできた胸当てを渡される。

 思ったよりずっしりくるな、武器を置いて装備する。

 動けるか、もしかしたら今だと中ロリぐらいになるかもしれん。

 

「そういえば、この店って兜が置いてないけど着けた方がいいの?」

 

 店の中で兜だけ飾ってないのが気になった。

 よくある、城の兵士が付けているのを思い浮かべるが、ここにはない。

 あんまりかっこいいとは思えないが、安全ならつけておいた方が無難だとも思う。

 

 返事がなく、おやっさんのほうを見る。

 だいぶ言葉を選んでいるような、なんて答えるか悩んでいる顔だ。

 

「お前、冒険者になって何日目なんだ?」

 

 そうだな、大体ギルドに行って道具屋から移動を含めると…

 

「2時間ぐらい?」

「新人どころの騒ぎじゃねえな。まぁ知らなくても無理はないか」

 

 腕を組んで、主人は語り始めた。

 

「昔あるところに、セドリックって騎士がいたんだ……」

 

 かなり長い話だったので要約すると。

 セドリックという騎士はフルプレートで兜をかぶる騎士だったらしい。

 竜と長い戦闘の末、勝利をおさめたが彼の悲劇は戦闘後にある。

 戦いが終わり兜を外そうとしたが留め具が運悪く破損をしていた。

 うまく外すことができず彼は転倒してしまったようだ。

 そしてさらに運が悪くそのまま少し下の崖まで落ち死亡してしまったらしい。

 この話から、兜があったから死んだんだ派と兜がなければ竜と戦うことはできなかった派で二分されたらしい。

 最終的に兜がいらない派といる派にわかれ未だに答えが出ていない。

 

「……ってなわけで、その手の話題はタブーになったんだ」

 

 長々と聞いていたが、あまりの熱の入り方に、ややドン引きしていた。

 いやまぁ悲劇なんだが、そういった宗派ってどこの世界にあるんだな。

 

「……分かりました、じゃあ無しで行きましょう」

 

 おやっさんはどっちなんですかって喉元まで出かかっていたが何とか堪えた。

 

「分かりました、ありがとうございます」

 

「武器が怪しかったら、すぐ来いよ点検はしてやるから」

 

 どっと疲れた状態で武器屋を出る。

 

 目の前を通った冒険者が兜をつけて歩いていた。

 あ、あの人はつける派なんだな……。

 

 知りたかったのは、そこじゃない気もする。

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