超能力登校レースでカーストが決まる学校を『デコピン』の能力で生き抜けってバカじゃないの? 作:一般通過生徒T
あれから五日。
なにごともなく登校決闘に勝った二人は、晴れて自由の身になった。
今日は、前にできなかったパーティーをする日だ。
三人で材料を買いに行って、翔さんの部屋で料理やお菓子を食べる。
私たちの関係はすっかり元通りになった。
「本当に、勝ててよかったなぁ」
しみじみ呟くと、恭子ちゃんがからかってきた。
「私は見捨てられたと思っていたわ」
「そんなこと……まぁないとは言わないけど」
勝てる算段がつかなかったら挑むつもりがなかったしね。
「まぁまぁ。こうして珠姫ちゃんが戦ってくれて、勝ったんだからいいじゃない」
ちょっと危なかったけど、頑張った甲斐があったよ。
自分にも自信がついたし。
感慨に浸っていると、恭子ちゃんが口を開いた。
「そういえば知ってる? 大善先輩、休学したって」
その事実に、少し驚く。
でも、納得できることもある。
「パラソルテーブル見なくなったと思ってたら、そんなことになってたんだ」
「まぁ学校にこなければ、他の人に登校決闘挑まれなくなるしね。流石の判断の速さといったところかしら」
「それでも留年するってことだから、相当な覚悟が必要だったと思うけど。経歴に傷がつくってことだし」
「負け続けて言うこと聞くよりかは、って感じなのかかもよ。あの人プライド高そうだもの」
二人で悪魔のことを話していると、翔さんが止めに入った。
「せっかく楽しいパーティーだし、大善さんのことは置いておかない? 実はボク、あの人あんまり好きじゃないから」
そりゃあんなことされて好きな人がいるわけないよね。思い出させるようで、気が利かなかったかも。
「ごめんなさい。じゃあ、別の話をしますか。そういえば、恭子ちゃんと特訓した日の約束、まだはたして貰ってないよね?」
げ。と言いたそうなくらい、恭子ちゃんの顔が曇った。
「な、なんのことかしら?」
「その反応は覚えてるよね? 私に負けてほしくなかった理由、教えてよ」
恭子ちゃんは顔を赤くして、黙りこくってしまった。
そんなに怒ることなのかな。なんだか怖くなってきた。やっぱり聞くのやめようかな。
そう思っていたら、恭子ちゃんは勢いよく口を開いた。
「好きな人に酷い目にあって欲しくないと思うのはそんなに変なことかしら!?」
「へ。恭子ちゃん、私のこと好きなの?」
「あ。勿論、友達としてよ? それ以外の意味なんてないから」
「あ、ってなにさ。そういえば、前にキスしようとしてたよね。あれってそういうことだったの?」
「違うから!」
焦る恭子ちゃんに、翔さんが追い打ちをかける。
「あれー、恭子ちゃんはボクのことが好きだと思ってたけど違ったのか。残念だなぁ」
「ざ、残念って脈アリってことでしょうか?」
「残念ながらないね」
「そんなぁ……」
好きって言われた時はびっくりしたけど、そんなに悪い気はしない。まぁ、友達以上恋人未満だから言えることだと思うけどね。それって親友ってことだし。
「恭子ちゃんは浮気者だなぁ」
元の仲に戻って。ううん。
前以上の仲になって、また三人で集まれるようになった。
それはきっと、かけがえのないことなのだと思う。
また誰かに害されることがあるかもしれないけれど。
また立ち向かって取り戻したい。
それくらい、この輪が大好きだから。
卒業するまで。いや、卒業してからも、三人で仲良くできたらいいな。
久しぶりの穏やかな時間を味わって、心から、そう思った。