僕は美夢さんを連れてゲームセンターから少し歩いたところにある穴場の喫茶店に来ていた。
結衣に勧められたレトロチックな喫茶店だ。
結衣は『美夢さんは華やかな雰囲気より落ち着いた雰囲気のお店の方が好きなはず!』と言っていたがどうだろうか…。
「ほぇ〜、良い雰囲気ですね、こういう所私好きですよ」
「喜んでもらえそうでよかったです」
店員さんに案内され奥の席へ、そして2人でメニューを見て注文をする。
「ミルクティーと…ショートケーキを一つお願いします」
「僕は、ホットコーヒーとチーズケーキをお願いします」
「かしこまりました」
しばらく会話をしていると注文の品が届いたので飲食をしながら会話を続ける。
「ましろさんはブラックコーヒーが飲めるんですね、私は挑戦してみた*1のですが、苦くて飲めなかったんですよね」
「僕は中学生になった頃にはブラックで飲んでいましたね、慣れや好みの問題もあると思います」
「大人っぽくてカッコ良いですね」
「そ…そうですか?」
美夢さんにカッコ良いとか言われると凄いドキドキしてしまう…この姿だし男としてという意味ではないとわかっているけど…!
「私は味覚が幼いのかそういった物が美味しくいただけないので、憧れます」
「そんなこと考えていたんですね…熱心で……その…良いと思います」
今日は美夢さんの知らない一面を見れてよかった…かな?
「ここのケーキ美味しい…心が満たされます!」
ケーキを美味しそうに食べている美夢さんがとても可愛い、先ほどから僕のチーズケーキをチラチラと見ては目を逸らしている…。
「えっと、僕のも1口食べます?」
「良いの!?あ、いや、せっかく来たなら違う味も楽しんでみたいなと、私のショートケーキも少しあげますね!」
美夢さんがスプーンでショートケーキを少しわけ僕の皿に置く、僕は美夢さんがくれたものより少し大きめにチーズケーキを分けてあげた。
あ、このショートケーキ、美夢さんが口をつけた部分がある…間接キスだ。
僕は口をつけてないところを選んで切り分けたけど…僕の気にしすぎなのかな?女の子同士だとこうなの?わかんないよ!
「ん〜!チーズケーキも美味しい!最高です!」
「ショートケーキも…美味しいですね」
関節キスを意識していたら味がよくわからなかった…そもそも女の子って甘いものが好きなイメージがあるけれど…ここまで反応を示すものなのだろうか、いや結衣も甘いものを食べた時、美夢さんほどじゃないけれど美味しそうに食べていたなぁ。
僕も今の体は女の子だけれど味覚は男の時とあまり変わりがない*2、ケーキも美味しいとは思うけど、ここまで心が惹かれるわけではないというか…僕1人だったら、カツサンドとかを頼んでいたかもしれない。
でも美夢さんが喜んでくれたのでケーキを選んでよかった。
会話を楽しみながらも飲食を終える頃には残された時間も僅かになっていた。
「そろそろお店を出ますか」
「そうですね、時間をかけすぎるのも良くないでしょうし、体調は問題ありませんか?」
「はい!大丈夫です…!」
予定より長くなってしまったが、急いで結衣と合流すれば大丈夫、そう思っていた。
2人でお店を出て、これから解散しようという時だった、男に戻る時の吐き気や体の痛みが突如襲ってきた、まだ時間は残っているはず…なんで!?
「ましろさん!?大丈夫ですか!?」
美夢さんが、心配そうな目で僕を見つめてくる、まずい離れないと…幸い周囲に他の人はいない、美夢さんにさえ見られなければ…!
「体調悪いなら無理して動かない方が良いですよ、何か薬のようなものは…あ、それより救急車が先かな…」
「待って…ください…私は大丈夫ですか、救急車も平気です…美夢さんは先に帰っていてくれれば…」
「こんな状態で置いて帰れるわけがないじゃないですか!」
痛みが強くなってきた…不味い…もう戻ってしまう…。
誰かが駆け寄ってくる音が聞こえる。
「結衣さん…?何故ここに?」
「あ、実はお兄…ましろさんの事情を知っているんです!ましろさんは私が連れて行きます!」
結衣が僕を連れ出そうとするものの間に合わず体が男に戻っていく、もう1人誰かが駆け寄ってくる音が聞こえるがそれが誰なのか確認するだけの余裕はない。
美夢さんの顔が青くなっているのがわかる、自分の体を確認するとパツパツの下着だけの姿になっていて…終わった…全てバレてしまった。
「美夢、一旦帰るよ。そこの2人美夢をどうして騙していたのか今度ゆっくり聞かせてもらうから」
篠宮さんの僕たちを責めるような冷たい声が聞こえる。
先程駆け寄って来たもう1人の人物は篠宮さんだったのだろう、どうしてここに居たのかはわからないけれど。
篠宮さんが現世さんを連れて立ち去っていく、美夢さんの表情をもう一度見る勇気は僕にはなかった。
最終的に僕と結衣だけがこの場に残された。
「お兄ちゃん…」
悲しげな表情で結衣は僕のことを見つめてくる。
「仕方ないよ、嘘をついて近づいた僕が悪かったんだ…」
「とりあえず早く隠れて!服着て!帰るよ!」
放心状態のまま結衣に連れられ着替えて帰った、今日薬が早く切れてしまったことを彩縁に伝えると、30分の薬を高頻度で使っていた為耐性ができたのでは無いかということだ、調整して2時間続くようにしてくれると言ってくれたけれど…今から手に入ったところで…。
僕はどうするべきなのだろうか、LIMEで現世さんとのトーク履歴を見ながらも何も送ることはできず時間が過ぎていった。
ハピエン厨なのでバッドエンドにするつもりはないです。