TS転生者と初恋拗らせ可変TS娘   作:綺羅星瑠奈

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今までで一番短めかもしれない。



15話『初恋拗らせ男子は決意する』

 僕の初恋はもう叶わない、現世さんと友達のように接することすらもうできない。

 僕は暗い気持ちで日々を過ごしていた。

 趣味の絵にも身が入らない。

 

 謝ろうと思った。けれど何を言えば良いのかわからなかった。

 LIMEの画面を見ても動く気配はない、それはそうだ、向こうからしたら僕は女の子のフリして近付いた怪しい男だ。

 あちらから話しかけてくることはないだろう。

 

 

 平日の放課後、結衣と共に科学実験部の部室に顔を出すと彩縁が話しかけてくる。

 

「恋という物は面倒だな」

「彩縁は興味もなさそうだもんね」

「ないな、しかしそれが理由で祐希暗い顔のままなのは気に入らない」

「もう僕の初恋は終わっちゃったからね…しばらくはそっとしておいて欲しい」

「長年拗らせた初恋というのはこうも簡単に諦められる物なのか?」

「諦めたくないけど諦めるしかないからこうなってるんだよ、もうどうにもならないから」

「本当に打つ手は無いのか?」

「僕はもう嫌われてしまったから、現世さんを騙して近付いたんだ当然の末路だよ」

「本当にお前は現世美夢に嫌われているのか?」

「あんなことをしたら嫌われるのは当然で…」

 

「本人から聞いたのか?お前は何故女の子になってまでして現世美夢に近づいたのか本人に説明はしたのか?その想いを告げたことはあるのか?」

「ないけど…」

 

「もう一度聞く、お前の長年拗らせた初恋はそう簡単に諦められることなのか?」

「諦めたく…ない」

 

 彩縁の言葉を聞いて自分の気持ちが理解できた、僕は逃げていたんだ、直接気持ちをぶつけるのが怖くて、現世さんから拒絶されるのが怖くて…。

 

 これから僕が取る行動は自己満足かもしれない、現世さんからしたら迷惑な行為なのかもしれない、けど僕は初恋を諦められない。

 

 拒絶されるかもしれない、軽蔑されるかもしれない、良い反応が返ってくる可能性の方が低いだろう。

 でも、僕は現世さんに想いを告げようと思う。

 少しでも僕の想いが伝わるように。

 

 僕の想いを伝えるのであれば普通に話すだけじゃダメだ。

 昔、現世さんに救ってもらった、あの時の僕だと一目でわかる方法を…。

 

 それを行うには僕の力だけでは足りない。

 

「彩縁、結衣…手伝ってくれる?」

「良いよ!」

「友のためなら力を貸そう」

 

 2人に協力してもらいながら準備を進め、全てが揃う頃には梅雨も明け夏休みが近付いていた。

 

 結衣から現世さんに手紙を渡してもらい、ましろとして現世さんと初めて会った、校舎裏の巨木の下に来てもらう…。

 

 現世さんは来てくれるだろうか…どんな反応をされるのだろうか…頭の中は不安でいっぱいだけど、想いを告げると決めたことでスッキリとしたような気持ちもある。

 

 僕は僕にできることをして彼女に想いを伝えるだけだ…。

 

 

 

 

 

 

 今日の予定も全て終え、近付いてきた夏休みに心を踊らせていた時のことだった。

 結衣さんに話しかけられて、手紙を渡された。

 

『現世 美夢さん。伝えたいことがあります、放課後校舎裏、巨木の下で待っています。』

 

 筆跡はどこか違う気がするけれど、ましろちゃんと出会うきっかけになった手紙と同じ文面だ。

 

「現世さん!お兄ちゃんに1回だけ話すチャンスをください!お願いします!」

 

 結衣さんが深く頭を下げている、兄思いの良い妹さんだなとか場違いなことを思ってしまった。

 それを柚葉は怪訝そうな顔で見つめている。

 

「今更何を…?美夢?無理して行かなくても良いからね?」

「…行きましょうか、放課後とのことですが今から向かえば良いのですか?」

「はい、お兄ちゃんは準備して待っているはずです、本当にありがとうございます」

「頭を下げなくても良いですよ、私もいずれ話さなければならないと思っていましたから」

「美夢、大丈夫?無理してない?あたしが一緒に…」

「心配してくれるのはありがたいですが、私一人で行きます、不安なら少し離れたところで見守っていてくれるとありがたいです」

「わかった…」

「これは私が向き合わないといけない問題ですからね、ではいってきます」

 

 そう、俺はこれが向き合わなければいけない問題だろう、ましろちゃんが手紙を渡して友達になろうとしたのは俺なのだから。

 何故あんなことをしたのかしっかりと聞いて俺が自分で判断しなければならない。

 ましろちゃんはきっと悪意があったわけではない、和解する余地は残されているだろう。

 

 少し緊張した気持ちで校舎裏に向かう、ましろちゃんと初めて出会ったのもこの場所だった。

 あの時は誰が呼んだのかもわからず、男に告白されるんだろうと思っていた、いや結果的に男だったのは間違いではなかったんだけれど。

 

 ひときわ目立つ大きな木の下、影になっていてある程度近づくまでは待っている人物の姿形が見えてこない。

 

 あの時と同じように少しずつ近づいていく、そこに待っていたのは予想外の姿をした予想通りの人物だった。

 

 この姿は…まさか……。

 




後2話くらいで本編完結する予定です、後日談とかIFルート的なおまけがある予定です。
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