16話とエピローグの間のお話その1。
皆で海に行く回です、といいつつ祐希と美夢の話がメインです。
夏休みがやってきた僕たちは、いつの間にか美夢さんや篠宮さんとも仲良くなっていた結衣が僕を含めた4人を誘い、車を出すと立候補してくれたらしい美夢さんのお兄さんを加えた計5人で県内の海水浴場に来ていた。
僕は女子更衣室に入る訳にはいかないし、薬の時間制限の問題もあるので男としてやってきている。
美夢さんはどんな水着で来るのだろうかとドキドキしていると女子更衣室の方面から3人が歩いてきた。
篠宮さんの水着は競泳水着と呼ばれるタイプの水着だろう、スレンダーで大人っぽい柚葉が着るとカッコ良い。
結衣の水着はフリルがふんだんに使われた白と黄色の混ざった可愛らしいビキニ、客観的に見ると豊満な胸がとてつもなく目を引くが、相手は妹なのでそこまで気になるものでもない。
そして美夢さん…美夢さんが着ているのは黒のワンピースタイプの水着、ビキニを着ている結衣と比べると露出は少ないが、黒い水着が美夢さんの真っ白な肌を一際目立たせているし、大人らしさも感じる水着でとても綺麗だ、比較的露出が少ないとはいえ普段と比べると肌が出ている服装は刺激的で…
美夢さんの水着に見惚れていると、美夢さんのお兄さんが3人に寄っていった。
「おお!黒の水着は美夢の白く美しい肌がより強調されて魅力的に見えるぞ!素晴らしいな!柚葉ちゃんはいつものクールさがより際立っていて素晴らしい!結衣君は活発さを感じる色合いに、フリルで可愛さも両立していてとても似合っている!素晴らしいな!」
流れるように全員のことを褒めている、この子達の水着を前にして自然に話しかけられるのは凄いと思う。
結衣が僕に近づいて小声で話しかけてくる。
「何黙ってるのお兄ちゃん、美夢さんの水着をちゃんと褒めてあげないと!ほら行って!」
「その大人っぽく見える水着で…その…美夢さんにとても似合っていると思い…ます」
「あ…ありがとう、そう思ってくれるなら俺も嬉しい」
水着を褒めるだけなのにとても恥ずかしくて直視できなかった。
海に来て何をして遊べば良いか迷っていると結衣がボールを持って勢いよく走ってきた。
「ビーチバレーしましょう!」
「5人居るしチーム分けはどうするの?」
「俺は撮影係に徹しよう!若い者達で楽しむと良い!」
「じゃああたしは美夢と…」
「くじで決めましょう!用意してきたんですよ!」
「お兄ちゃんと美夢さんが組めるようにしておいてあげる」
こっそりと結衣が僕に言ってくる。
くじで選ばれたペアは結衣が言ったとおりで、美夢さんと僕、篠宮さんと結衣のペアだった、篠宮さんがとても不満そうだ…。
そして試合が始まったのだが…。
結衣のサーブを受けようた美夢さんが砂に足を取られて転けた。
美夢さんがボールを取ろうとして距離感をミスって頭にぶつかった。
美夢さんがサーブを打とうとしてから振った。
ボールを取りにいった僕と美夢さんが衝突した。
美夢さんの運動音痴は相当なものかもしれない…!
そのまま僕達は負けてしまった、けれど楽しかったから良かったと思う。
「祐希君…足を引っ張ってごめん…」
「い、いや楽しかったからよかったですよ!運動ができないのは仕方ないですって!」
「相変わらず美夢は運動がダメだねぇ、そんなところも好きだけど」
「美夢さん!お兄ちゃん!罰ゲームの買い出しお願いね!私はカレーが食べたい!」
「あたしは、焼きそばでよろしく」
「俺は美夢が選んでくれるなら何でも良いぞ!」
「りょーかい」
僕は美夢さんと砂浜を歩き、海の家に向かっていた。
隣を歩く美夢さんは少し大人びた水着姿、全身が濡れていて色気を感じさせる、身長差があるからか僕と話す時は上目遣いになっていて可愛げもある。
好きな人の水着姿はここまで破壊力があるだなんて…!
美夢さんの姿を意識すると緊張して言葉が出なくなる。
でもここで黙っているだけじゃダメだ、仲を深めなければ送り出してくれた結衣に示しがつかない。
今日の結衣は僕のことをサポートしてくれている、水着を褒めるように促してくれたり、罰ゲームと称して2人きりで歩く機会を用意してくれたり…海に皆を誘ってセッティングしてくれたのも結衣だ。
ここまでしてくれているのだから、僕も頑張らないと…!
「美夢さん…楽しいですね」
「そうだね、まさかこんな水着を着て海に遊びに来ることになるとは思ってなかったよ」
そう言って美夢さんは腕を大きく広げてその場で回ってみせた、スカートがふわりと舞い、体についた水が飛ぶ、その姿は…まるで。
「妖精みたいで…綺麗だなぁ…」
「よ、妖精?」
「あ、ごめんなさい!思ってた事をつい言ってしまって」
「いや…その…褒めてくれるのは嬉しいし、本音で言ってくれてるって事だから構わないんだけど、照れるよね」
恥ずかしそうに顔を赤らめて頬をかく美夢さんはとても可愛らしかった。
「遅くなってもあれなので、早く買いにいきましょうか!」
「うん、了解」
僕たちは海の家に辿り着き、頼まれたものや他にも様々な食べ物を買っていた。
「あ…これめっちゃ気になるなぁ…」
「抹茶味のチョコバナナですか?買っていけば良いんじゃないですかねこれなら歩きながら食べれますし」
「買っちゃおうか」
「荷物たくさん持たせちゃって悪いね」
「鍛えてるので大丈夫ですよ、それに美夢さんに持たせすぎると心配ですし」
「力が弱そうって言いたいのかな?」
「それもありますけど、なんか転んだりしちゃいそうじゃないですか?」
「…ビーチバレーの時も砂に足を取られたし否定できないんだよね」
「だから僕に任せておいてください!」
「…そうだ、荷物を持ってくれている祐希君にお礼としてこれをあげよう」
「お礼…ですか?」
お礼と言われて、あの日僕が想いを告げた日の膝枕を思い出す…いやいや、ここでそんな事はしない…よね?
「ちょっと屈んでくれる…?」
美夢さんの言う通りに屈む、すると僕の口の前に食べかけのチョコバナナを差し出してきて。
「お礼にこのチョコバナナを一口あげよう、結構美味しいんだよ?これ、ほら口を開けて、あーん」
「あ、あーん」
差し出されたチョコバナナを一口食べる、抹茶味で苦味があるはずなのにとても甘く感じた。
「美味しかっただろ?」
そう言って、残りのチョコバナナを食べる美夢さんの顔はとても真っ赤だ、多分僕も同じくらい赤くなっているのだろう…。
「その…ごめんね?」
美夢さんが顔を俯かせながらそう言った。
「えっと、何が…ですか?」
「ほら、思わせぶりな態度を取っちゃってるでしょ?」
「自覚はあったんですね」
「その、なんていうか、確かめたくてさ」
「何をですか?」
「俺が男に恋をできるのか、そして君のことを好きになれるのかを」
美夢さんは僕と向き合おうとした結果、先程のような言動をしていたんだろう、その気持ちはとても嬉しかった。
「急いで結論を出そうとしなくても良いんですよ、美夢さんのペースで良いんです、それに謝る必要もないです、僕は美夢さんにああいったことをされるのは…その…嫌じゃないので、でも美夢さんがしっかりと考えてくれるのは嬉しいです!僕も協力するので、僕にできる事があったら何でも言ってください!」
「何でも…ねぇ?その言葉覚えておくよ」
「あっ…いや、僕にできる事ですよ!?」
「無理難題は言わないよ」
僕は間違えたことを言ってしまったのかもしれない…。
その後、皆の元に戻った僕達は、皆で食事をして、泳いだりスイカ割りをしたり楽しく遊んだ。
あたりも暗くなってきた所で、美夢さんのお兄さんが線香花火を持ってきてそれを眺めていた。
少し時間がたったあたりで、結衣が気を利かせてくれたのか、篠宮さん達を無理矢理連れ出して僕と美夢さんを2人きりにしてくれた。
「線香花火、思ったより風情があって良いね」
「そうですね、想像していたより綺麗です」
「『でも君の方が綺麗だよ。』みたいなセリフは言ってくれないのかな?」
美夢さんが揶揄うように言ってくる。
「言って欲しいんですか?」
「そりゃ、ロマンチックで憧れるシチュエーションでしょう」
美夢さんは話し方が男っぽいところはあるけれど、こういった憧れがあったり、甘いものに目がなかったり女の子らしい一面も多い人だと思う。
「美夢さんの方が綺麗ですよ」
「言われてから言うんじゃなくて察して言ってくれたら満点だったね!」
「女の子と接するのに慣れていないので難しいですよ…」
「慣れてないとは言うけれど、祐希君って他の女の子を見ても目移りしたり照れたりとかはあまりしないよね、結衣ちゃんとか色々と凄いから男なら目で追ってしまってもおかしくないと思うんだけどね、ビーチバレーの時とかすごかったよ?」
「人の妹を変な目で見ないでくださいよ…結衣は妹ですし…それに僕の好きな人は美夢さんで、美夢さんしか目に入りませんから…」
「…そ、そっか」
線香花火の灯りに照らされる美夢さんの表情は、どこか嬉しそうに見えた。
後日、美夢さんから一つ紙袋と手紙を受け取った、まずは手紙を読む。
『何でも協力してくれると言ってくれた祐希君へ、ましろちゃんに着てほしい水着を用意しました、俺が女の子のことが好きなのか確かめるためにそれを着て写真を送ってくれませんか?』
紙袋の中身を確認する、スクール水着だった、しかも旧スクと呼ばれるタイプ、えぇ...マニアック過ぎない...?
ましろになって着た、写真も送った、これって必要だったのかなぁ...?
喜んでるみたいだし良いかな?
参考程度に
主要キャラの胸部の大きさ。
結衣>美夢>ましろ>柚葉
結衣がめっちゃデカくて、柚葉が壁、美夢が普通で、ましろが控えめです。
おまけはとりあえず明日投稿するバレンタイン回までは書いてあって、あとは気が向いたら書きます。