時系列は何処でも良い短編の話です!
あれ、俺、何してたんだっけ?ここは……駅前みたい?
あそこに居るのは祐希君かな……?
そうだった、思い出した、今日は祐希君とデー……お出かけするって約束してたんだっけ。
「祐希君、待たせたね」
「いえ、僕も今来たばかりですから、それにもう1人もまだ来ていないですしね?」
もう1人?誰だっけ、結衣ちゃん?柚葉?でもその2人なら俺か祐希君と一緒に来るよな?
ダメだ思い出せない、頑張って思い出そうとしていると後ろから女の子に声を掛けられる。
「すみません!お待たせしました……」
な、なんでましろちゃんが居るの!?おかしいよね!?
「美夢さん?ボク*1どこか変ですか?」
ましろちゃんが不安そうに俺の事を見つめてくる。
「変ってそりゃ、居ること自体が……」
「何言ってるんですか美夢さん、今日は僕とましろと3人でお出かけする予定だったでしょう?」
ん?そうだっけ?言われてみればそうだったような……?
「美夢さんその服とても似合っていますね!」
「ましろとお揃いなんですね、とても可愛らしいです」
ましろちゃんが近づいてきて俺の手を握る、あれ?お揃い……?
ましろちゃんの服は、初めて一緒に出かけた時の黒いゴスロリ、俺が着ている服は……ましろちゃんの服の色が反転したかのような白いゴスロリ服だった、え!?この服でここまで来たの!?恥ずかしいよ!
てか何で今まで気づかなかったんだ?いつ着替えたんだっけ……?
祐希君がいつの間にか撮っていた写真を見る、銀髪で黒い服を着たましろちゃんと、黒髪で白い服を来た俺、並ぶととても映えていて……その写真を見ていると細かい事なんてどうでも良くなってしまっていた。
「それじゃあ行きましょうか僕が案内します」
そう言って祐希君が俺の空いた手を取ってエスコートしてくれる、身長差やごつごつとした手から男女の差を感じる、男の子にこうやってエスコートされるのってロマンチックでとても良い、憧れていた展開だ。
そのまま祐希君とましろちゃんに挟まれながら目的地である水族館へと向かった。
まずは興味があったペンギンやイルカ、迫力のあるサメなど様々な物を見て楽しんだ。
そして今見ているのは。
「クラゲかぁ……なんか見てると癒されるんだよねこれ」
「イラストのモチーフにも使えそうで良いんですよね」
祐希君と会話していると腕にぴたりと何かがくっつく感覚がする。
「ちょっと寒くなってきました……」
ましろちゃんが腕に抱きついていた、ましろちゃんの体温が感じられてとても心地良い。
「美夢さんは寒くない?大丈夫?」
そう言って祐希君が上着を掛けてくれた、今日はましろちゃんも祐希君も至れり尽くせりというか、俺の望んでいることをしてくれてとても良い、こんなに幸せで良いのだろうか。
クラゲのエリアを離れる頃には外もすっかり暗くなってきていたので、俺達はお揃いのキーホルダーや皆へのお土産を買ったりしてから水族館を後にした。
その後の夕食は近くにあったお手ごろな値段の洋食店で食べた。
祐希君とましろちゃんが2人して大量にご飯を胃に流し込む姿を眺めたり、2人からデザートを直接口に運んでもらったりして幸せな時間を過ごした。
夕食を終えた後、祐希君が最後に行きたい場所があると言って俺達をとある場所へ案内してくれた。
祐希君に付いて行き辿り着いたのは、高台で夜景が綺麗に見えるスポット。
穴場なのか辺りには誰もいない、とても静かで世界に俺達3人しか居ないんじゃないかと錯覚してしまうほどだった。
「祐希君、ここの景色凄い綺麗だね、こんなところを知っているだなんて驚いたよ」
「この日の為に色々調べたんです」
「そこまでしてくれてたんだね……」
「ロマンチックで良いですよね、ボクはこの夜景を背景にして美夢さんを絵に収めたいです」
「それなら描いてもらっちゃおうかなぁ」
「この場で描くのは難しいので後で描きますね!資料用に写真を撮りたいのでそこのベンチに座って貰えませんか?」
「ん?わかったよ」
ましろちゃんの指さしたベンチへと座る、ましろちゃんは手持ちのスマホを使い様々な角度で写真を撮っていく。
ましろちゃんが後ろに回った、後ろ姿も撮りたいのかな?と思っていると、急に後ろから抱き着いてきた。
俺の横にましろちゃんの顔が近づいてくる。
「美夢さん……好きです」
ましろちゃんが俺の頬に口付けをする、驚いている俺の目の前には跪いた祐希君、祐希君は固まった俺の手を取り、手の甲に口付けをした。
「僕も美夢さんの事が好きです」
鼓動が激しく高鳴る、展開の速さに思考は追い付いていない。
「美夢さんはボクの方が好きですよね?」
ましろちゃんの囁き声が耳に響いてくる。
すると祐希君が立ち上がり俺の顎に触れ顔を持ち上げた。
「美夢さん……美夢さんは僕の事を選んでくれますよね……?」
祐希君の顔が近くまで迫ってくる、このまま進めば口と口が触れ合ってしまうかもしれない、そう思うととてもドキドキする。
「美夢さん、選ぶのはボクの事の方……ですよね?」
ましろちゃんが耳元で囁いてくる、吐息もかかる様な近さでゾクゾクする。
目の前には祐希君、後ろにはましろちゃん、俺はどっちを選べば良いんだ!?
祐希君の顔が少しずつ近づいてくる、顎には手が添えられたままだ、振り払おうと思えば振り払える、けれどそれをする気にはなれなかった。
「ひうっ……」
ましろちゃんが俺の耳を甘噛みしてくる、ましろちゃんを選ぶのであればましろちゃんの方を向けば良い、簡単だ。
このまま何もしなければ祐希君とキスを……することになるだろう、祐希君を振り払い後ろを向けばましろちゃんとの関係が進展するだろう、こちらもそのまま勢いでキスしてしまったりするのかもしれない。
俺は祐希君もましろちゃんも好きだ、でもどちらかを選ぶのであれば……。
「美夢さん、このまま僕に身を委ねてください……」
祐希君の出した甘い声を聞いて力が抜ける。
「美夢さん、ボクを選んでくれないんですか……?こっちを向いてくれないんですか……?」
ましろちゃんの寂しげな声に惹かれてしまう。
俺はどっちを選べば良いんだ!?俺は……俺は……!
「俺は……!」
目を開ける、視界に入ったのは見慣れた天井だった。
「ゆ、夢かぁ……」
それはそうだ、そもそも祐希君とましろちゃんが同時に存在している時点でおかしかったんだ違和感だらけの夢じゃないか、何故気付かなかったんだ。
でもどうしてあんな夢を見たんだろうか、無意識にあのような展開を望んでいるとでもいうのだろうか。
確かに?俺は攻めるより攻められたいというか?グイグイ来て欲しいというか?強引に迫られたいというか?求められたいというか?そう言う願望はあるのかもしれないよ?
ロマンチックな展開には憧れがあるし?ましろちゃんとはベタベタしたいし?祐希君にはカッコ良くエスコートして欲しいとか思っているかもしれないよ?
でも流石に夢の中の2人はグイグイ来すぎじゃない?流石に現実の祐希君やましろちゃんはあそこまでしないよ……なぁ。
付き合い始めたらあれくらい求めてくれたりしないかなぁ……。
祐希とましろに両サイドから攻められる美夢が書きたかった!
でも夢オチにでもしないと実現できない展開なので、彩縁の薬に頼るか悩んだ結果夢オチにしました。
夢オチなので全体的にはっちゃけました……。