翌日の昼休み、僕たちがたまり場にしている科学実験部部室で2人が勢い良く言ってきた。
「現世さんの周りの女の子や、フラれた男子達にそれとなく聞いてきたよ!」
「現世美夢の
「現世さんは男の子を恋愛対象として見れないって言って告白を断ってるらしいよ!」
「現世美夢のTstterアカウント『ヨミ・プラネタリア*2』にはうすほそ儚げ銀髪美少女に抱きついてうなじの匂いを嗅ぎたいといった発言が何度か見られる。それなりの頻度で発言しているから本気とみても良いだろう」
男の子を恋愛対象として見れない?年上が好き?それとも女の子の事が...?
それに彩縁の言ってること、思いっきり黒歴史っぽいけど僕が知って良いの…?
というか抱きついてうなじの匂いを…?えぇ…?本当に?
しかもアカウント名のプラネタリアって昔僕が描いた現世さんの妄想上のキャラクターの苗字じゃなかったっけ、現世さんはもしかして二次元の女の子しか愛せない悲しきモンスターだったりするの...?
「そして祐希、うすほそ銀髪美少女になる薬を用意した。ここまで体を変化させる薬を人間で試すのは初めての事になる、楽しみだな」
彩縁は自慢げな顔で小瓶に入った白色の液体を見せつけてきた。
「彩縁くん?もしかして私に制服の予備を持って来させたのって」
「あぁ、相手の好みをリサーチしそれに近づくのは当然の行為だろう?薬を飲んで相手の好みの女性として告白すればいい」
「そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ」
「ちょっと...!僕はそんなの飲まないからっ…!」
そもそもTstterの発言を本気にするのはおかしいよ!
昼食も食べ終わり教室に戻ろうとしたタイミングで彩縁がさりげなく告げた。
「実はここに来る前に、現世美夢の机に校舎裏で待っていると手紙を置いてきた、手紙に指定された場所に向かい誰もいなかったらきっと、現世美夢はショックを受けることだろう」
「何やってるの!?」
「これでも俺なりのやり方で背中を押してるつもりだ。薬を飲んで会いにいくか、そのまま会いにいくか、どちらにせよそろそろ会ってこい、俺としては前者がオススメだ」
「……良い雰囲気出してるけど実験台にしたいだけだよね?」
「2割程度は本気で応援している」
と言って彩縁は親指を立て去っていた。
手紙で呼び出すなんて告白か何かと勘違いされてない?
男のまま会ったら絶対フラれて気まずくなる!どうしよう…!
放課後、結局僕は校舎裏隅の物陰で薬を飲んでいた。
1分ほどすると軽い体の痛みや吐き気と眩暈がする。
それが治ると体に激しい違和感があり、また周りの物がいつもより高くなったように感じた。
「な…にが…?」
と呟いた声も可愛らしい。
「ふむ、成功したなやはり俺の理論は完璧だ」
「いつも思ってるけど、彩縁くんの薬って凄いね…」
「お兄ちゃん、これ見て?」
結衣がスマホの画面を僕に見せる。そこにはぶかぶかの男子制服を着た銀髪の儚げで可憐な少女が写っていた。
「この子は…?」
「お兄ちゃんだよ!お兄ちゃん!これスマホのインカメだから!」
「え!?これが僕...?」
「俺の想定通りならこの薬は2時間で効果が切れる、その前には抜け出せ」
「お兄ちゃん!早くしないと現世さんが来ちゃうから!着替えさせるよ!脱いで!」
ここで着替えるの!?彩縁もガン見してるよ!?
男子制服を脱いだ僕は自身の体を見て驚いていた、元の自分とはかけ離れた細身で華奢な体、肌もとても白く綺麗で…。
肌に触れてみるとぷにぷにしていてゴツゴツしてた自分の体とは全く違う、これが女の子の体…。
デカくてゴツい体がコンプレックスだった僕がこんなに小さくてか弱い女の子になっていると思うと、とても不思議な気持ちになる。
「うわぁ、凄い美少女。肌も髪も綺麗で現世さんの隣に居ても見劣りしないよ、むしろ様になってるかも」
結衣が興味深そうにペタペタと僕の体を触っていく、結衣の手が胸に触れた時ゾワッとする変な感覚が走って思わず声が漏れてしまった。
「ひゃっ…」
「あ〜ごめんごめん、早く着替えさせなきゃね、下着は持って来てないから男物で上手く誤魔化して!ってデカすぎてブカブカどうしよう」
「下着も持ってくるように伝えるべきだったな失念していた」
「事前に言われたとしても、事情も知らずに下着なんて持ってくるわけないでしょ!この馬鹿!」
「仕方ない俺の下着を使えば良い、元のお前よりは小さいし無理やり着れはするだろう、男同士だから気にする必要はない」
「女の子に自分の下着着せるとか変態!わ、私のでよければその…お兄ちゃんなら着ても良いよ?サイズも私より少し小さいくらいっぽいから着れなくはないだろうし…」
何なのこの2択、そもそも僕は男友達の下着も妹の下着も着たくないんだけど!?そもそも今着てるのをそのままってことだよね?変態じゃん!
「2人のを着るくらいなら僕は下着を履かない!」
「ノ、ノーパン!?それはダメだよ!見られちゃったらどうするの!?」
「み、見られないように頑張る」
結衣達をなんとか押し切ってノーパンのまま制服を着させてもらった。
なにこれめっちゃスースーして恥ずかしい…。
「興味深いな。結衣、君の目から見て祐希の身体はどうだ、女性として違和感はなかったか?」
「この馬鹿!変態!マッドサイエンティスト!堂々と見てるから違和感がなかったけど、女の子の着替えをガン見しちゃダメでしょ!」
「体はどうかと俺は聞いたんだが、それに俺は馬鹿ではない」
結衣はため息を吐いてから呆れた顔で言った。
「私が見る限りは普通の女の子だよ、中身までは分からないけど」
着替えでもわかってたことだけど僕、本当に女の子になっちゃったんだなぁ…。
「さぁお兄ちゃん!現世さんが来る前に待機しておかないと!ファイトだよ!」
「本当にこのまま会うの…?騙してるようで気がひけるというか」
「そのまま会う選択肢もあったのに自分で薬飲んだんでしょ、ほら覚悟決める!大丈夫元の姿とは全く別物だからバレないよ、でもスカートには気をつけてね!ノーパンで呼び出したとかバレたら変態扱いされても仕方ないからね!」
あ〜!めっちゃ恥ずかしいし緊張するし罪悪感もあって僕の心はぐちゃぐちゃだよ!
美夢は転生してから15年は女性として過ごしているので恥じらい要素は基本的に祐希に頑張ってもらおうかと....