TS転生者と初恋拗らせ可変TS娘   作:綺羅星瑠奈

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美夢の幼馴染兼親友の柚葉視点です。
というかダブル主人公的な部分があるとはいえ主人公の視点がプロローグ以降一切なかった…次話は主人公視点になるはずです…


4話 『幼馴染は恋心を自覚しない』

 美夢は男子からの人気が高い。

 男っぽい性格を隠していなかった中学時代ですら、その突出した容姿から告白されることが多かった。

 高校に入ってからはより酷くなった。

 美夢なりに清楚系美少女を演じているが、時折素が抜けきれていない部分がある。清楚系美少女が男らしい言動を時々見せる、そんなギャップに男子達は堕とされているんだろう。

 

 

 

 気持ちはわかる、あの容姿から繰り出される男のような言動はあたしの初恋を奪ったほどなのだから。

 

 家が近所にある美夢とは幼稚園児の頃から仲が良かった。

 幼い頃は男女差も少なく、美夢はショートカットに半袖短パン、話し方も合わせて男の子にしか見えなかった。

 美夢は誰かが喧嘩していれば仲裁に入るし、誰かが泣いてたら慰める。

 あたしが大人に怒られた時は後から、さりげなくフォローしたり大人の意図をわかりやすく説明してくれた、そんな大人びたカッコ良い男の子だと思っていた。

 

 美夢に惚れたのは、美夢の家族とあたしの家族で一緒に遊園地に遊びに行ったあの日だろう。

 子供の頃の記憶だけれど未だに鮮明に覚えている。

 

 遊園地で遊んでいたあたしは当時好きだったキャラクターの着ぐるみが歩いていたのを見つけ、追いかけて行ったところ迷子になってしまった。

 1人で心細くて泣いてしまったところに手を差し伸べてくれたのが美夢だった。

「大丈夫か?」

「美夢…?あたし迷子になっちゃって!怒られるかもしれない!どうしよう!」

「そんなに泣かないで、落ち着いて、大丈夫なんとかするから」

 そう言って美夢はハンカチで涙を拭ってくれた。

 

「最近怒らせてばかりのお父さんをまた怒らせるのが怖いんだろ?柚葉のことを俺が無理やり連れて行っちゃったことにすればそこまで怒られなくて済む。任せとけ、多分バレない、なんとかなる」

「でも、それじゃ美夢が怒られちゃうんじゃ」

「大丈夫、前s…夢でたくさん怒られたんだ、怒られるのには慣れてる」

「ふっ…なにそれ」

 わけのわからない言い訳をするものだからあたしは泣くのをやめて思わず笑ってしまった。

 

「それにさ、怒ってくれるってのは本気で心配してくれてるってことなんだよ、両親と仲が悪いわけでもないだろ?」

「心配してくれてる……そっか……美夢私正直に話してごめんなさいする!」

 

「無理してないか?別に俺に任せてくれても…」

「大丈夫!」

「そっか、まぁ俺も一緒に怒られるからさ、2人で分け合えば辛いことも半分になる?みたいな?」

「半分こってことだね!」

「そゆこと、じゃあ戻るか」

 そう言って笑いながらあたしの手を引いてくれる美夢の後ろ姿を見て胸が高鳴った。

 あたしはこの瞬間恋に落ちていた。

 

 

 

 まぁ、その後小学校に入る頃には美夢が女の子であることを知り、そもそも何で今まで気付かなかったのかと自分で自分に呆れながらも、初恋が崩れていったのを自然に理解した。

 

 ついでに性癖もボロボロだ、男を見ても全く興味が湧かない。

 美夢が基準になってしまって、他の男では満足できなくなってしまった、どうしてくれるんだあの幼馴染は。

 

 

 

 

 

 

 昔は大人びてあたしを導いてくれていた美夢だったが、最近はあたしが美夢に振り回されている、あたしの自業自得な部分もあるんだけどね。

 

 

 美夢は進学する高校を決める時急に「ちょっと離れた高校に行って清楚系美少女として高校デビューしてくるわ〜」とか言い始めた。

 

 あたしは焦った、あたしは美夢と同じ高校に進学すると決めていた。しかし美夢が進学すると言った高校は自宅から片道3時間はかかる高校で、気軽に行くと言い出せるような場所ではなかった。

 

 当の本人は「兄貴の家に住ませてもらうことにした!」らしい。

 せめて幼馴染に相談くらいしない?同じ高校に行きたいとは一言も言ってなかったあたしも悪いけどさぁ…。

 

 あたしも同居できるよう美夢の兄、朝日(あさひ)さんに頼み込み、両親も説得してなんとかそこを目指すことを許してもらえた。

 美夢と同居できるのは役得だった。

 

 そこからも大変だった、美夢が進学する高校はあたしの学力では相当厳しいところだった、必死に勉強した。

 美夢にも頼み込んだ、というか美夢はあたしにほとんど付きっきりで教えてくれた。

 2人きりで勉強できたのは楽しかった。

 でも、あたしに時間を使いまくってたのに主席で合格したのは内心ちょっとキレた。

 

 朝日さんの家にあたしも同居すると言った時、美夢は驚いていた、いつも驚かされるばかりのあたしが美夢を驚かせることができたのは楽しかった。

 どこから通うと思ってたのか聞いてみたら「家から?それか一人暮らし…とか?」と言ってきた、美夢はそこまであたしのことを気にしてなかったみたいに思えて少し悔しかった。

 

 

 美夢兄妹との同居、基本的に不満は少ないが一つだけ大きな不満がある。

 美夢は風呂上がりに下着のまま、というかパンツだけで歩き回っている、美夢の見た目でそんなおっさんみたいなことをされると我慢ができなくなりそうで辛い、理性を保たなきゃいけないこっちの身にもなって欲しい、本当に…。

 

 

 こんなに美夢のことを気にしてしまうのは美夢のことが好きだから…なのかな。

 初恋は美夢で間違いない、けれどあの頃は男の子だと勘違いしていた。

 今の気持ちが恋なのか幼馴染としての友情なのかあたしには分からない。

 

 

 

 

 美夢が手紙で呼び出された現場にこっそり着いて行った。

 美夢は気付いていないけれど、美夢が呼び出される度にあたしは毎回着いて行く。

 告白を断られた相手が逆上して、美夢に危害を加えようとしたら偶然のふりをして近づいて助けてあげる為…告白の是非が気になるわけではない。

 

 どうせいつも通り男の子に告白されて、今日も断るんだろう、そうあたしは考えていた。

 

 でもそこに待っていたのはあたしより可愛い女の子で…。

 最初はお互いに緊張していたけれど徐々に仲良く話し始めて…。

 

 美夢があんな表情をするのは初めて見た、あたしの前ではそんな顔しないのに。

 美夢が女の子を抱きしめていた、あたしですら美夢からは抱きしめられたことなんてないのに。

 美夢が女の子と楽しそうに笑っている、それは良い事なはずなのにあたしは喜べない。

 

 凄くモヤモヤする、この感情が何なのかあたしはまだ答えが出せない。

 

 

 出してしまったら美夢との関係性が変わってしまう、そんな気がするから。

 

 

 

 あの子、学校で見たことないな、あれだけ可愛くて、あのような髪色をしていたら普通は目立ってあたしの目にも入ってくるはずだ…。

 怪しい、調べてみよう。

 

 美夢に悪い虫が付かないように…いや違う、美夢が騙されないようにあたしが守らないと。

 




美夢の学力は前世知識で履いた下駄と努力で上位にいますが秀才レベル、科学関係では彩縁に負けていたりと本物の天才には敵わないけれど平均が高い器用貧乏タイプです。
体育だけは苦手。
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