美夢さんと別れた僕は、近くで待機していた結衣と彩縁のところへ戻ってきた。
「薬の効果はまだ残っているな、体調も問題なさそうだ」
「お兄ちゃん!どうだった?現世さんとはちゃんと話せた?」
「えっと…美夢さんとはお友達になれて、連絡先も交換できた…かな?」
「下の名前で呼んでる…!?凄い!かなり距離縮まったみたいだね!」
「でも僕、女の子として仲良くなっただけで、これじゃ騙してるようなものじゃないかな?」
「それは…そうかもね」
「別に構わないだろう、多かれ少なかれ人間という存在は自分を偽っている。好きな相手に良く見られようと変わる行為に何の問題がある?」
「凄く正論に聞こえるけど、感情に寄り添ってなくて何か嫌」
友達になれたのは嬉しいけど、騙している罪悪感が凄い。
このまま女の子として関わり続けるのは不誠実で良くないことなのではないか?
でも美夢さんは僕と友達になれて喜んでくれた、友達中学時代、友達が少なかったと言って悲しげな表情をしていた。
僕がこのまま美夢さんから離れてしまうと彼女は悲しんでしまうのではないか。
この体は嘘でできたものだとしても、友達として接してあげるべきなのではないか。
何が正解か僕にはわからない。
「難しい顔してるねお兄ちゃん、きっと騙してることで悩んでるんだよね。でも現世さんを諦める気はないんでしょ?昔からずっと拗らせてたんだし」
「それは諦める気はないけど…」
「なら使える手は使わないと!お兄ちゃんじゃ普通の手段で現世さんを攻略するのは難しいと思うから」
「それは僕もそうだと思う」
「使えるものは使え、薬も使え。そうすれば俺も実験ができて嬉しい」
「うん……そう…するよ」
罪悪感はあるけれど、この恋を叶える為なら僕は女の子にでも何にでもなろう、これくらいしなければこの恋はきっと叶えられないのだから。
「ところで惚れ薬みたいなのって作れないの?」
「作れるが、俺は薬を使う時には非検体の許可を必ず得るようにしているからな、祐希のように流されやすい相手でなければ飲ませるのは厳しいだろう」
「僕のことを流されやすい非検体扱いしてる!?」
3人で会話をしていると、女の子になった時と同じような痛みや吐き気がしてきた。
「そろそろ薬の効果が切れるようだな」
「まずい!お兄ちゃん早く服脱いで!私の制服が破れちゃう!脱がせるよ!彩縁くんも手伝って!」
しばらくの間痛みや吐き気に耐えた僕は体が男に戻っていた…………全裸で。
「早く服を着ろ、こんな姿を見られたら捕まるぞ」
「は、早く着替えてよお兄ちゃん!」
「わ、わかってるよ!」
結衣は赤くなった顔を手で隠し、指の隙間から僕のことをチラチラ見ていた。
恥ずかしいからやめて欲しい。
その後制服に着替えた僕は科学実験部部室で体に異常がないか彩縁に身体検査をされていた。結衣は1人で先に帰って行った。
「異常はなさそうだな、効果時間はちょうど2時間程度といったところか。とりあえず3本薬を渡しておく」
「ありがとう」
「一度男に戻ってからもう一度薬を服用するまでに最低でも12時間は時間を空けろ、そうしなければ体に悪影響が出る。効果時間の調整や間隔を短縮ができないか俺も薬の改善を試みるが直ぐにどうにかなる問題ではないだろう」
2時間という時間制限は、2人で遊びには短く、昼休みに使うには長い、彩縁が改善してくれるならとてもありがたい。
「ここまで力を貸してくれるのは本当に嬉しいよ」
「実験のついでに助けてるだけだ、まぁ2割くらいは応援しているがな」
身体検査が終わり家に帰った僕は結衣に無理難題を突きつけられていた。
「現世さんに連絡!?遊びに誘う!?無理だよそんなの!」
「お兄ちゃん!せっかく連絡先を交換できたんだから距離を詰めないと!呼び方も戻っちゃってるよ!」
「男のまま名前で呼ぶのは無理だよ、連絡も今はしない!」
その後僕がお風呂から上がると、リビングで結衣が僕のスマホを弄っていた。
「現世さんに連絡しちゃった、てへっ?」
「てへっ?じゃないよ!な…何を送ったの?」
慌ててスマホを取り返し履歴を確認する。
Mashiro Yuki:今日はありがとうございました!もしよかったら、今度一緒にお出かけしませんか?
Miyu:こちらこそありがとうございました。是非ご一緒したいです。
もう返信返ってきてるし取り消せない!どうしよう!
「どうするの結衣!僕女の子の服も持ってないんだよ?お出かけなんて…」
「服は今週末にでも買いに行こう、たくさん必要になるだろうからね、現世さんとお出かけの予定を来週以降にすれば間に合うと思う!」
「その方向で会話してみるけど…」
Mashiro Yuki:嬉しいです!予定はどうしましょうか?
Miyu:来週以降の休日だとありがたいです。
Mashiro Yuki:来週の日曜日は空いてますか?
Miyu:空いてます。当日の予定はどうしましょう?
「現世さんと友達みたいな会話ができて嬉しい…!」
「来週の日曜日なら、問題なさそうだね」
「予定を聞かれたんだけど女の子同士のお出かけって何処に行くのが正解なのかな?」
「うーん、でもこういうのって女の子同士なら何処に行くかより、お互いが楽しめるところを選んだ方が良いんじゃない?」
「それもそうだよね…映画なら2人とも楽しめるかなぁ」
「薬の効果が2時間しかないから映画は厳しいんじゃない?そもそも2時間だとちょっと喫茶店や食事するだけでも時間がなくなっちゃうか」
「そうだった!2時間で解散できるようなところにしないと…」
「後薬を飲んで着替えができるような場所も探さないとね、服を買いに行くついでに良い場所がないか見てみよう、私もメッセージ送っちゃったし責任を持って協力するよ」
「うん、とりあえず現世さんには、もう少し考えるって言っておくね」
2時間以内に終わるお出かけを…これはかなりハードモードなんじゃないかな?
参考程度に。
主要キャラの身長
祐希>朝日>柚葉>彩縁>美夢>結衣>ましろ
成績(全教科平均)
美夢>彩縁>祐希>結衣>柚葉
髪色髪型みたいな容姿関係は必要そうならどこかで載せます。