ましろちゃんとメッセージのやり取りをしつつ、直接会うことはないまま平日は過ぎていった。
そして迎えた休日、俺は柚葉と共に兄貴の車に乗り、ショッピングモールへとやってきた。
今日の服装は、パーカーにショートパンツの比較的ラフな格好だ。
兄貴には周辺で暇を潰してもらうことにして、柚葉と共にアパレルショップへと向かった。
色とりどりの服に圧倒されながらも周囲を見渡していると、見覚えのある人物がいることに気付く。
「あれってクラスメイトの真城さん?」
「あ、本当だ、美夢のイメージ的には今の格好を見られない方が良い?」
「そうだね、一旦離れて…」
真城さんと目があった、こちらに近づいてくる。さらに真城さんを後ろから追うように体格が良く、背も高い男性が付いてきた、彼氏さんかな?
「見つかっちゃったね」
「柚葉さん、現世さん!こんにちは!こんなところで会うなんて奇遇ですね!今日は何をしに?」
「こんにちは、今日はそこに居る美夢の服を選びに来たんだ」
「こんにちは、真城さん。後ろの方はお連れの方ですか?」
流石に彼氏ですか?と直接聞くのはキャラが崩れるけど、どういう関係なのかは気になる。
「双子の兄です!ショッピングに付き合ってもらってるんです。同じ学校でC組なんですよ!」
「あ…結衣の兄、祐希です…。」
あ、兄妹なのねこの2人。しかも同じ学校の同じ学年か、俺(と柚葉と真城さん)はA組だから関わりはなかったけど。
「真城祐希くんね、あたしは篠宮柚葉、よろしくね」
「現世美夢です。よろしくお願いします」
自己紹介をしていると真城さん…。
兄妹揃ってると紛らわしいので、結衣さんが俺の姿を下から上まで眺めてくる。
「現世さんって、こういう服装も着るんですね!清楚でどこか抜けてる優等生!って感じのイメージだったのでカジュアルな服装を着てるのは意外でした!」
柚葉がめっちゃ笑い堪えてる、まずいぞ築き上げてきた清楚系美少女のイメージを守るにはどうしたら…!
「あたしが着せてみたの、美夢にはこういう服装も似合うでしょ?結構様になってるよね」
と言って柚葉が俺の肩に手を回してくる。ありがとう!フォローしてくれて!
「そうなんです、私としてもたまにはこの様な衣服に身を包むのも悪くないと思いまして」
「確かに、似合いますね!制服とは印象も大きく変わって、カッコ良くみえます!お兄ちゃんも似合ってると思うよね?」
「え、僕?現世さんなら何着ても似合うと思うけど…」
何着ても似合うってなんか適当に言われてるみたいで気に食わないんだよな、ちょっと揶揄ってみようか。
「何着ても似合うと思う…ですか、では想像してみてください、私が『清楚系美少女』という文字が書かれているだけの白いTシャツ1枚だけ着ていても似合うと思いますか?」
とドヤ顔で言ってやった。俗にいうクソダサTシャツという奴まで似合うとは言わないだろう。
真城兄は暫く考えるようなそぶりを見せたあと少し顔を赤くしてこう言った。
「似合う…と思いますけどTシャツ1枚だけは少し過激というか…」
「か、過激?」
「そりゃ、Tシャツ1枚
俺の姿でTシャツ1枚だけ………この言い方だとズボンやスカートもないから多分ブカブカのシャツをワンピースみたいに着ているはず。
シャツの隙間から胸元がチラつくし、生足は曝け出されている、それに動くたびにパンツが見えてしまわないか心配になる服装だろう。
その姿を見せるということはそれなりに深い関係性でもあるんだろう。
あれ?冷静に考えて想像してみると、Tシャツ1枚だけってめっちゃえっちなのでは!?
俺は男心というのをいつの間にか忘れていたらしい、うわこれを想像してみろとか男に言ったんでしょ?めっちゃ恥ずかしい…。
「うわ、美夢めっちゃ顔赤い、その場のノリで会話してるからそうなるんだよ」
「そこ、うるさいです。貴方も今回のことは忘れてください」
「忘れようとしても無理ですよ…」
「現世さんって清楚な優等生に見えるけど、時々抜けてるところがありますよね…」
頑張ってロールプレイしているけど、完璧にできているわけではない自覚はある、恥ずかしい。
その後は買い物が終わったところだったらしい結城兄妹と別れて、柚葉と一緒に服を沢山買った。
柚葉がノリノリで服を着せてくるので、どんどん買うものが増えてしまった、正直本当に着るのかわからないものまで買ってしまった。
兄貴の金なので申し訳ないとは思ったけれど「美夢よ!お兄ちゃんにも新しい服で着飾った姿を見せてくれ!写真も撮らせてほしい!」
と、本人は満足そうなので、兄貴の要望には応えるという形で恩を返すことにしよう。
その日の夜。
バシャッ
「柚葉ちゃんのセンスは最高だ!美夢の魅力がより引き立てられている!」
バシャッ
「でしょ、美夢を美しく魅せることに関してはあたしの右に出るものはいないからね」
バシャッ
「手でスカートの端を軽く摘んでそう!」
バシャッ
「完璧だよ美夢、どこかの令嬢だと言われても違和感ないね」
買ってきた衣装を次々と着せ替えされて、写真を撮られまくっていた、撮影会というやつだ。
2人には色々と助けられてるから受け入れはするけどさぁ、恥ずかしいね!これ!
こういう思わせぶりなこと無自覚にするから中学時代も男から告白されてたんじゃねーの?みたいなやつ
祐希と美夢の現在の距離感はこんな感じです。
美夢は昔絵が上手くて体格が良い男の子がいた程度のことは覚えていますが名前や細かいところまでは覚えていないし、特に意識もしていなければ同じ学校にいるだなんて考えてません。
祐希はましろの時以上に緊張しています。