回答。明日はブルーアーカイブ5.5周年でハーフアニバーサリーです!
おめでとうございます!
おめでたいので、投稿主は今日は二話投稿するそうです!
……私の出番は、まだでしょうか。
それから直ぐに、私は教室にいるアビドスの四人と自己紹介をした。
姿を見て分かってはいたが、此処にいる生徒は原作知識とは違う。
──アズサ、ノア、サキ、チナツ。
私は原作のシロコ達がどこへ行ってしまったんだと心の中で思いつつも、この状況を受け入れる。
ちなみにだが、先程、アビドス高等学校に配達物が届いた。
それは、私が連邦生徒会に発注した弾薬や補給品等のその他の物資であった。
私は配達業者が遭難する事なく、無事に物資を届けられた事に少しほっとした。
これでリンちゃんに怒られることはない。
その物資を教室へと運び、今はその仕分けをしている最中だ。
「それにしても、支援要請が受理されて良かったですね──チナツちゃん」
「本当に一安心です、ノアさん。弾薬もあと僅かでしたので、先生が来てくださったおかげで……」
ノアとチナツは、しゃがみ込んでダンボールに入った弾薬を一つずつ取り出していく。
弾薬の箱を確認していたチナツは、そこで言葉を区切ると、私へと身体の向きを変えて立ち上がった。
「先生。本当にありがとうございます」
「いやいや! お礼を言われるようなことじゃないよ!」
私は慌てて手を振った。
大人の責任として、当然のことだ。
暴力組織に襲われている学校があって、それを支援することは。
「アビドスから支援要請があって、それに応えただけだからね。むしろ、遅くなってしまって申し訳ないくらいだよ」
「そんなことはありません……! 先生のお陰で、私達はまだ戦うことができますから」
チナツはすぐに首を横に振ると、弾薬を自身の銃に装填しているアズサとサキに目を向ける。
「ふふっ、ゲリラ戦なら任せてくれ」
「あぁ──私もこれなら、学校を守るための作戦を続行できるぞ! ありがとうな、先生!」
アズサとサキが頼もしそうに胸を張る。
彼女たちは、何の疑いもなく銃を手に取って戦う。
その姿を見ていると、彼女たちがどれほど危険な状況に置かれているのかを、改めて実感させられた。
目の前にいるのは、どう見てもまだ学生の少女たちだ。
それなのに、彼女たちは当然のように学校を守るために銃を手に取り、戦おうとしている。
そんな光景を目の当たりにして──まだキヴォトスに来て少ししか経っていない身としては、胸の奥がざわついた。
「……先生?」
そんな私の様子に、目敏く気づいたのだろうか。
ノアが弾薬の整理する手を止めると、静かに声をかけてくる。
「大丈夫ですか?」
「あ、うん。大丈夫だよ」
私は慌てて笑顔を作り、教室にいる四人を見渡す。
白州 アズサ。
生塩 ノア。
空井 サキ。
火宮 チナツ。
今一度、私は彼女達について紹介しようと思う。
アズサは前に語った通りなので、原作知識で他の三人を語るとすると──、
ノアはミレニアムサイエンススクールの生徒会にあたる組織『セミナー』で書記をしている生徒だ。
類い稀なる完全記憶能力を持つ生徒であり、ミニマリストで意外と悪戯好きな一面もある可愛らしい生徒だ。
先日のシャーレ奪還作戦にて、一緒に戦ってくれたユウカとは仲も良好で、二人のカップリングが私は大好きだった。
そして──サキはSRT特殊学園のRABBIT小隊にいる生徒だ。
厳格な性格と、男勝りな口調だが──かなり立派なものをお持ちになっている。
因みに任務中は規則通りに鉄帽の着用を徹底していて、この世界のサキも鉄帽はしっかりと被っているようだ。
是非とも、鉄帽をとってあげたい。
最後のチナツは、ゲヘナ学園の風紀委員会にいる生徒だ。
元々はゲヘナで救急医学部だったらしく、医療に通じており、キャラの個性の強い風紀委員会の中では、トップのヒナを除けば唯一のストッパー役だと思う。
そんなゲヘナの中でも良識人で眼鏡がチャーミングな女の子が、チナツなのだ。
こうして四人を見ていると──特に、アズサやサキは武力派の生徒という印象が強い。
この世界でも、その戦闘力の高さが健在なのであれば、アビドスの戦力は、私の知る世界よりも高くなっているのかもしれない。
(……と言いつつも、原作のアビドス生徒って少数精鋭で、みんな強いよね)
きっと過酷なアビドスで頑張ってきたからこそ、なんだろうなと私は原作のアビドスの生徒達を思い浮かべる。
しかし、今ここにいる彼女たちは、シロコ、ノノミ、セリカ、アヤネではない。
それでも──今目の前にいる彼女たちを見ていると、
(……この世界のアビドスには、この世界のアビドス生徒が紡ぐ物語がある)
ゲームの中で見てきた物語を、無理に重ね合わせる必要はない。
目の前にいる彼女たちは、私が知っている彼女たちとはきっと違う。
けれど──だからといって、彼女たちが偽物というわけではない。
(私は少しずつでもいいから、この世界のアビドスを知っていこう)
そう考えると、胸の奥にあった奇妙な違和感が、少しだけ薄れた気がした。
「……先生?」
ノアが、再びこちらを見ていた。
「あ、ごめん。ちょっと考え事をしていた」
「そうですか? さっきから私たちの事をじっと見ていましたので……」
「うん。みんなのことを、もっと知りたいなって思ってね」
私がそう言うと、アズサが少しだけ目を見開いた。
「私たちのことを?」
「うん。これから一緒に戦うことになるかもしれないし、私は物資を渡してそれだけで終わるとは思っていないよ。寧ろみんなの仲間になりたいからね」
「仲間……」
アズサが小さく呟く。
その言葉に、彼女の表情がほんの少しだけ柔らかくなった。
「そうだな。あぁ。先生は私たちの仲間だ!」
「……ふふふ、アズサさんは、先生のことをもう随分と気に入っているんですね」
「なっ!?」
チナツが何気なく口にした言葉に、アズサが勢いよく振り返った。
「ち、違う! そういう意味ではない!」
「そういう意味とは、どういう意味ですか?」
「そ、それは……! わ、私も分からない!」
アズサは言葉に詰まる。
そんな彼女の様子を見て、サキが豪快に笑った。
「ははは! アズサ先輩は、先生のことが好きなのか!」
「サ、サキ!?」
「違うのか?」
「ち、違う! あ、いや……ち、違わないけど違う!」
「そうか?」
「そうだ!」
「ふふっ……アズサ先輩、珍しいですね」
チナツが小さく笑いを漏らす。
「サキちゃん〜。あまりアズサちゃんをからかわないでくださいね」
「っ! 私は事実を確認しただけだぞ、ノア先輩!」
「く、くっ……せ、先生。みんなが私を揶揄うんだ」
アズサが子犬のように私の方へと駆け寄り、声を上げる。
そんな彼女たちのやり取りを見ながら、私は思わず苦笑した。
(……なるほどな)
ここにいる生徒達は原作とは違う。
それでも、彼女たちは確かに──アビドス高等学校に通う仲間同士なのだ。
そして、そんな彼女達が守ろうとしている場所が、
──このアビドス高等学校なんだ。
「それにしても、ノア先輩!
(……え? ほ、
私はサキが不意にノアへと話しかけた言葉に、反応してしまう。
その名前を聞いた瞬間──私の胸が僅かに跳ねた。
(こ、この世界にも、アビドスには
それは──
彼女は──私が知っている原作ゲームの中での、アビドスを語る上では、決して欠かせない存在だ。
「ホシノ先輩なら、隣の教室で寝ているはずです。この教室に来る前、ちらっと覗いてきたんですけど、その時は寝ていました」
「……そっか。もう一人、生徒がいるんだね?」
「あっ、そうか! まだ先生はホシノ先輩を知らないよな?」
私は、思わず隣の教室へと視線を向けた。
(この世界にも、ホシノがいるんだね)
アビドスに、アズサがいる。
ノアがいる。
サキもチナツもいる。
そして──
原作とは異なるアビドス高等学校──それでも、彼女だけは原作通りにアビドスに所属している。
「そうですね。ホシノ先輩も先生が来たことを、まだ知らないでしょうから」
ノアが立ち上がる。
「では、先生。案内しますね」
「じゃあ、私達もついてく」
アズサがそう言うと、サキとチナツもそれに続いて立ち上がった。
「ホシノ先輩、先生が来たと知ったら……驚くでしょうか」
「そうだな。きっと、寝ぼけたまま『おじさんはまだ寝てていい?』とか言い出すんじゃないか?」
「そ、それは……ありそうです」
サキの言葉に、チナツが小さく笑う。
その会話を聞きながら、私は隣の教室へと向かって歩き出した。
(……ホシノ、か)
胸の奥が、先ほどとは違う意味で騒がしくなっていた。
ここまでに出会ったアズサも、ノアも、サキも、チナツも──私の知っている世界とは違う場所にいる生徒たちだった。
しかし、今から会うのは、私の知っている通り──ホシノなのだ。
(この世界のホシノは、どんな子なんだろう)
私はそんなことを考えながら、ノアの後ろを歩いていき……やがて、隣の教室の前へと辿り着いた。
「ここです。それでは行きましょうか」
ノアがそう言って、教室の扉へ手をかけ──、
「ホシノ先輩。起きていますか?」
ノアが、扉をゆっくりと開いた。
教室の中は、先ほどの教室よりもさらに静かだった。
机と椅子が並んでいるだけの、どこか寂しげな教室。
その一番奥──窓際の机に、一人のピンク髪の少女が座っている。
彼女は黄昏れるように、肘を机について窓の外の校庭を眺めていた。
「……あれ? 起きてる」
アズサが、少しだけ意外そうな声を漏らす。
「ホシノ先輩、起きていたんですか?」
そのノアの声に反応して、ピンク髪の少女はゆっくりとこちらへ振り返った。
「んー? あれぇ……ノアちゃん? ……あ、見てみて、あの雲、クジラみたいじゃない?」
「……確かに、クジラに似ていますね」
眠そうな声──しかし、その表情はどこか穏やかだった。
「というか、アズサちゃんとサキちゃん、チナツちゃんも一緒かぁ。みんな、勢揃いじゃん〜」
「はい。それと……先生を連れてきました」
ノアがそう言うと、ホシノはゆっくりと首を傾げた。
「……
そして──、彼女の視線が、私のところで止まった。
「……」
ホシノは、じっと私を見つめている。
それは──数秒。
いや、実際にはほんの一瞬だったのかもしれない。
けれど、私には妙に長く感じられた。
「……? 先生をずっと見つめて、どうしたんだ、ホシノ先輩?」
「んー……いや、何でもないよ、アズサちゃん」
ホシノは、少しだけ首を傾げつつも、席から立ち上がると私の方へと向かって歩いてくる。
「いやぁ……大きいね、先生は」
そう言って、ホシノは軽く欠伸をした。
いつものホシノ。
私の知っている、どこか飄々としていて、掴みどころのないホシノ──のように見えた。
けれど。
「……」
彼女は、もう一度だけ私を見た。
ほんの一瞬。
他の誰も気づかないほど短い時間だったと思う。
彼女のオッドアイの瞳は、少し揺れている気がした。
「初めまして、ホシノ。アビドスからの支援要請を受けてやってきた、シャーレの先生だよ」
私は、そう名乗った。
「うへぇ〜、よろしくねぇ、先生。おじさんは
そんなホシノは、私に対して手を差し出す。
差し出された手を、私は握り返す。
彼女の手は少しだけ、ひんやりと冷たく感じた。
「ん。私はいないのにホシノ先輩はいる」
「うへぇ〜。やっぱりおじさんがいないと、アビドスじゃないからねぇ〜、シロコちゃん」