「……ヒ、ヒナ会長が?」
カリンの唖然とした呟きが、部屋に響いた。
ミネの言葉に、全員の表情が凍りつき、誰もが窓の外から目を離せない。
確かにまだ遠い。
けれど──見間違える筈のない。
銀色の髪。
小柄な体格。
そして、深夜の『廃墟』地区を、迷いなく歩くその堂々とした姿と存在感。
それは間違いなく──『
「……ど、どういう事でしょうか?」
アカネが未だに信じられないものを見るような目で、ヒナを見つめる。
「セミナーが『廃墟』地区へ? しかも、あのお忙しい
普段であれば、ミレニアムの各種業務に追われている筈のセミナーの会長。
そんな彼女が、こんな深夜に。
しかも、たった一人で。
愛銃である
「っ……どうしてだ……どうして、こうも……!」
ユキノは歯を軋ませた。
「あの会長が……
ユキノの胸の奥に、嫌な予感が走る。
ユキノは、セミナーの指示に従わず、長い間、ミレニアムから姿を消していた。
そして──今回の
セミナーに対して、
それにも関わらず、ヒナは単独で『廃墟』地区へと足を運び、迷うことなくこちらへ向かってきている。
ユキノは冷静に状況を分析し、一つ舌打ちをする。
「……私たちの居場所が、割れた、のか」
ユキノが低く呟いた。
「恐らく……その可能性が高いでしょうね」
ミネが振り返り、ユキノの目を真っ直ぐに見つめて頷く。
「ユキノさん、
「っ……」
ユキノはミネの追及に、思わず視線を逸らす。
「……それは」
言葉が続かない。
ミネの言う通りだった。
C&Cに協力を求めたものの、ユキノ自身が何をしようとしているのか、その全てを彼女たちに話したわけではない。
というよりも──
だからこそ、必要最低限の情報だけを伝えて、今の状況がある。
「……私にも、事情がある」
ようやく絞り出した声は、ユキノ自身でも驚くほど弱かった。
「分かっています。貴方は
ミネは静かに答える。
「だからこそ、責めているわけではありません……たとえセミナーと敵対する事になっても、私は
「……ミネ」
ユキノは、僅かに目を見開いた。
その言葉には、迷いがなかった。
「ですが、一つだけ約束してください」
ミネは真っ直ぐにユキノを見つめる。
「これ以上、一人で全てを背負わないでください」
「……」
「貴方が何かを守ろうとしていることくらいは、分かります。だから──話せる時になったら、私たちに話してください」
ミネは、ゆっくりと言葉を続ける。
「──これは『
ミネは微笑みながら、ユキノに告げる。
「っ……
「そういう時は『ありがとう』ですよ、ユキノさん」
「っ……すま……ありがとう、ミネ」
ユキノの返事に、ミネは満足気に一つ頷く。
そして──、盾とショットガンを持ち、部屋の出口へと向かっていく。
「それでは──私がヒナ会長を
「っ……! 分かりました、ミネ先輩」
ミネの後ろをアカネが慌てて、ついて行く。
「カリンさんは、別のビルにある狙撃ポイントより、後方火力支援を……会長の隙をついて狙撃をお願いします」
「……分かった。まだ私は納得していないけど、それでも……ミネ先輩の事は信じてるから」
カリンはそれだけ言い放つと、ユキノに鋭い視線を向けた後、ミネの後を追う。
「っ……私は……」
「……ユキノさん、貴方は
ミネは一度言葉を切り、ユキノを真っ直ぐに見つめた。
「……私が、するべきこと?」
「はい」
ミネは、静かに頷く。
「連れてきた『
「っ……!」
ユキノの表情が僅かに揺れる。
「ヒナ会長がここまで来た理由が、独断で動く
ミネは、窓の外へ最後に視線を向ける。
「ですが、どちらにせよ……彼女を無防備にしておくわけにはいきません。貴方が傍にいてあげてください」
「……分かった」
ユキノは小さく頷きに、ミネは微笑んだ。
「私たちが、ヒナ会長をここで止めますから」
「……頼んだ」
ユキノはそう言うと、踵を返して部屋を退出していく。
その背中を見送ったミネは、小さく息を吐くと、僅かに表情を引き締めた。
「……アカネさん、カリンさん」
「「はい!」」
「覚悟を決めてください。相手は私たち──C&Cですら警戒する『
□■□■□■□■□
──その頃。
ヒナの視界には、廃墟地区の暗い街並みが広がっていた。
街灯のほとんどは消えている。
崩れかけた建物。
ひび割れた道路。
放置された車両。
深夜の静寂が、辺り一帯を包み込んでいた。
その先にあるのは──ユキノ達が潜伏していると思われる建物。
「……あそこね」
ヒナは足を止める。
右手には、愛銃の
ヒナは建物を見つめるが、未だに敵の姿は不明。
……少なくとも、目視できる範囲には。
ヒナは、ポケットの中に手を入れた。
指先に触れたのは、通信妨害を受けて使用できないスマホ。
「……やっぱり、駄目ね」
画面には、通信圏外を示す表示。
ここまで来る途中で、既に通信が遮断されていることは確認していた。
つまり──この先にいる相手は、ミレニアムに対して通信妨害できる程度の設備を用意している。
それだけでも、相手がそこらのチンピラでもなく、ただの誘拐犯でもないことは分かる。
「……C&C」
ヒナは小さく呟いた。
ヒナ自身が知っている彼女たちなら、その程度は容易い。
また、この状況において、無策に待ち構えているとは思えない。
当然、周囲には警戒網が張られているだろう。
狙撃地点も。
退路も。
そして──敵を迎え撃つための戦力も。
「……まあ、彼女達ならそうするわよね」
ヒナは小さく息を吐いた。
相手はC&Cであれば、それぞれが別々の分野で高い戦闘能力を持つ生徒達だ。
正面から全員を相手にすれば、いくらヒナでも無傷では済まない。
それでも──、
「……行かないと」
ヒナは、再び歩き始めた。
一歩。
また一歩。
静寂に包まれた『廃墟』地区へ、足音だけが響いていく。
──隠れるつもりはない。
──気配を消すつもりもない。
むしろ──その逆だった。
自分がここにいることを、
自分一人で来たことを
そして──ヒナが、ここを制圧するつもりであることを相手に
ヒナは通信妨害を受けて使えなくなったスマホを握り締める。
「……
ヒナは、この『廃墟』地区に来る道中の事を思い返した。
□■□■□■□■□■□■□
──数十分前。装甲車の車内。
運転席では先生がハンドルを握り、その隣にはノアが座っていた。
後部座席には、ホシノ、アズサ、チナツ。
そして──ヒナ。
普段ならば、対策委員会メンバーが軽口の一つや二つが飛び交っていてもおかしくない車内だった。
しかし──今だけは、誰も口を開かなかった。
車内に響いているのは、エンジン音と路面を走るタイヤの音だけ。
やがて、先生が口を開いた。
「……ヒナ」
「なに、先生?」
「考えている作戦があるって言ってたよね? それはどういう作戦を考えているの?」
先生が握るハンドルには手汗が滲んでいた。
「『廃墟』地区に入ったら、私たちは二手に分かれるわ」
ヒナが顔を上げて、指を二つ立てる。
「先生と対策委員会は、そのまま『廃墟』地区の外周を回ってもらう。そして──私は
「っ! ──そ、それは!」
先生がブレーキを少し踏みながら、声を荒らげる。
「そういうことですか。ヒナ先輩が、私たちの為に……
先生の隣に座るノアが、目を細めて確認をする。
「そういうことよ」
ヒナは短く頷いた。
しかし──先生は車を路肩に止めると、心配そうにヒナへと振り返る。
「……ダメだよ、ヒナ。その作戦だと、ヒナへの負担が大きすぎる……いくらヒナでも無傷とはいかないんじゃないかな?」
「っ……先生」
先生の言葉にヒナは言葉が詰まる。
けれど、ヒナは一度深呼吸をすると、先生の目を見つめる。
「……分かっているわ」
ヒナは、静かに答えた。
「私だって、C&Cを相手にして、無傷で済むとは思ってない」
「だったら──!」
「でもっ!」
ヒナは先生の言葉を遮るように、声を荒らげる。
そして、ゆっくりと対策委員会メンバーと先生を見回す。
「それでも、この作戦が一番成功する可能性が高い」
「っ……どうして? そう言い切れるの、ヒナ?」
「C&Cは、私を見れば必ず放っておけないからよ」
ヒナは、淡々とした口調で続ける。
「現状、ユキノが何を考えているのかは分からない……でも、C&Cが私を発見した場合、彼女達は、こんな深夜に一人で向かってくる私という存在を絶対に無視できない」
「うへぇ〜……確かに」
そんなヒナに対し、ホシノが腕を組みながら、一つ頷く。
「おじさんには分かるけど、会長ちゃんって、
「
ヒナは頷き、先生を真っ直ぐに見つめる。
「
「……その隙に、私たちがサキさんを助けるんですか?」
チナツが確認する。
「えぇ、そうよ……チナツ。貴方は友達を助ける事に集中して」
ヒナは車内にて、スマホを操作すると画面上に地図を表示させる。
それを座席の中央にホログラムとして展開する。
「先生と対策委員会は、私とは反対側から侵入する」
ヒナの指が展開された地図上を滑っていく。
「……ここは、裏手の路地か?」
アズサが尋ねる。
「そう。建物の裏側には、廃棄された地下施設がある。今は使われていないみたいだけど、この施設は、目標とするビルの地下倉庫に繋がっている」
「そんなところまで調べたんですか?」
ノアが驚いたように尋ねる。
「一応ね……まあ、お礼はヴェリタスのイロハにしてちょうだい」
ヒナは淡々と答えて、その裏路地を拡大する。
「セミナーのデータベースに残っていた古い『廃墟』地区の都市計画図と、現地の衛星写真を照合した。少し時間はかかったけど……侵入経路として使えそうなのは、そこくらい」
「うへぇ〜、なるほどねぇ……」
ホシノが地図を覗き込む。
「会長ちゃんが派手に暴れてる間に、おじさん達がこっそりビルの中に入って、サキちゃんを連れて帰れば、作戦成功かぁ〜」
「えぇ、そういう作戦よ」
ヒナはそう言うと、地図を指で叩く。
「ただし、いくつか条件がある」
「……条件? それは何かな、ヒナ?」
「まず、私がC&Cを引き付けている間、先生達は絶対に私の援護をしないこと」
「……っ!」
「先生達が、私を助けようとして姿を見せたら、この作戦は失敗する」
ヒナは先生を真っ直ぐに見つめた。
「先生達がいると分かった瞬間、C&Cは私を無視して先生達を狙う可能性があるから」
「……」
先生は、何も言えなかった。
ヒナの言っていることは正しい。
先生達が彼女の援護に入れば、C&Cは当然こちらにも意識を向ける。
そうなれば、サキの救出に向かう別働隊の存在まで露見する可能性が高い。
──分かっている。
分かっているからこそ。
「……でも」
先生は、ハンドルを強く握り締める。
「それでも──私は、ヒナ一人を囮にする作戦なんて……私は納得できないよ」
「……先生」
ヒナが困ったような表情を浮かべる。
「ヒナが強いことは知ってる。C&Cが相手でも、簡単には負けないことも分かった」
先生は一度、深く息を吐いた。
「でも、強いからって、一人で全部背負っていい理由にはならない」
「……」
ヒナは黙って先生を見つめる。
「敵と仮定されるC&Cのメンバーの詳細は、さっき聞いたから分かってる……ユキノ、アカネ、カリン……そして、ミネ、なんだよね?」
先生はゆっくりと、確かめるようにヒナに問いかける。
「えぇ、そのメンバーだわ」
「なら、狙撃手であるカリンは……ごめん。
「ん? 私か?」
先生は後部座席に座るアズサに視線を向ける。
「何を言っているの、先生? それだと、対策委員会の存在が、敵に露見して……」
「アズサには
「……っ!」
アズサの目が僅かに見開かれる。
「先生、それはコレか?」
アズサはバッグの中から、
「そういうこと。アズサがガスマスク状態で戦うのなら、アビドス対策委員会の存在は敵に悟られないと思う」
「分かった、先生」
アズサは迷いなく答え、手にしたガスマスク直ぐさま装着する。
「確かに、これなら顔は見えない。制服も隠せば、私が誰なのかを判断するのは難しい」
「うん。それに──」
先生は、地図上の建物を指差した。
「一番の問題は、カリンだと思うんだ」
「……狙撃手、ですね」
チナツが眉を顰めて呟く。
「ヒナ先輩がC&Cを引き付けている中、別の建物からの狙撃はかなり厄介と考えます」
先生はチナツの言葉に頷き、アズサを見る。
「うん、そうだね。ユキノやミネ、アカネは、ヒナが正面から相手をすれば対応できる。でもカリンだけは違う。ヒナがどれだけ強くても、見えない場所から撃たれ続ければ、いつか必ず隙が生まれる」
「……そう、ね」
ヒナも頷いた。
「カリンの狙撃能力は高い。私が正面の敵に集中している間に狙われれば、避け続けるのは難しいとは、思ってはいたわ」
「うん──だからこそ、アズサには私達と分かれて、カリンを任せたい」
「了解した、先生! 私に任せてくれ!」
アズサは頼られたのが嬉しそうに、胸を張ると、先生に対してはっきりと頷いた。
「ヒナは直接、近接戦闘をする敵の対応を。アズサはヒナを狙う狙撃手に対して奇襲を。そして、残りの私たちはサキの救出に向かう──三手に分かれて作戦を遂行しよう!」
「ヒナ先輩とアズサちゃん。そして、私たち……ですね」
ノアが、地図を見つめながら呟く言葉に、先生は頷く。
「これなら、ヒナ一人に全部を任せる必要はない」
「……先生」
ヒナが、少し驚いたように先生を見る。
「でも、それじゃあ……
「それはヒナも同じだよ」
「っ……」
「だからこそ、二人で戦ってほしい」
先生は、ヒナの目を真っ直ぐに見つめる。
「アズサなら、カリンの狙撃を止められる可能性がある。そしてヒナは、ユキノ達の相手に集中できる」
「……でも!」
「分かってるよ。アズサから私たちの存在が、露見する危険性があるのは分かってる」
先生は、少しだけ苦笑した。
「だけど、ヒナが一人で全部背負うよりはずっといい」
「……先生って、本当に頑固ね」
ヒナは小さく息を吐いた。
「私が何を言っても、考えを変えるつもりはないんでしょう?」
「うん、そうだね。だって、救出作戦で一番避けるべきなのは、助けに行った側まで倒れることだからね!」
「……そう」
ヒナは少しだけ俯く。
そして──小さく笑った。
「……分かったわ」
「ヒナ?」
「私は、
ヒナはアズサを見る。
「お願いできるかしら?」
「もちろんだ」
アズサはガスマスク越しに、力強く頷いた。
「先生から任された以上、必ずやり遂げる」
「……ありがとう」
ヒナが、ほんの少しだけ目を細める。
「でも、無理はしないで」
「それはヒナにも言えることだ」
「っ……」
「一人で全部背負うなと、先生に言われたばかりだろう? 一人で戦うのは辛いことだし、私たちは背中を預ける仲間だ。頼ってくれ」
「……アズサ」
ヒナは一瞬だけ目を丸くする。
そして──、
「……ふふっ。分かったわ──その作戦で行きましょう」
ヒナはほんの僅かに、口元を緩めたのだった。
□■□■□■□■□■□■□
──そうして、現在。
「ふふっ。良い仲間を持ったものね……
ヒナは少し微笑むと、目の前の建物を見上げた。
「……もうすぐね」
小さく呟き、右手に握った『終幕:デストロイヤー』の感触を確かめる。
敵の位置は、まだ分からない。
けれど──向こうはこちらを見ている。
そんな確信が、ヒナにはあった。
「……さて」
ヒナは一歩、前へ踏み出した。
その瞬間──、
──カチッ。
ヒナの耳元に、何かが作動する音がした。
「……!」
ヒナは反射的に、地面を蹴って後退する。
次の瞬間──耳が張り裂ける程の轟音共に、地面が爆ぜる。
(ッ……! これは、
ヒナは無傷で地面に着地すると、直ぐさま横に飛ぶ。
その瞬間──一発の銃弾が通り抜けた。
その銃弾は背後の壁に着弾し、コンクリート片が弾け飛ぶ。
「……これは、カリンね」
ヒナは、ほとんど確信に近い声で呟き、驚くことなく、銃弾の飛んできた方向を見る。
遠くに見える建物。
その屋上。
そこに──一瞬だけ、人影が見えた。
だが──、
「──そこです!!」
背後から、声が響く。
「……!?」
ヒナが咄嗟に振り返るが、次の瞬間、路地の暗闇から、一人の少女が飛び出してくる。
左腕には大型の盾。
右手にはショットガン。
メイド服を纏ったミネが、ショットガンを発砲しながら、一直線にヒナへと突っ込んでくる。
「っ──ミネ!」
ミネのショットガンの被弾を最小限に抑えながらも、ヒナは大きく横へ跳んだ。
──ドォンッ!!
直後、ミネから放たれた銃弾が、先ほどまでヒナの立っていた場所を穿つ。
「……っ!」
着地と同時に、ヒナは
そして、即座に引き金を引く。
──キュイン! ダダダダダダダダダッ!!!
しかし──、
「覚悟の上です!」
ミネが盾を前面に構え、そのまま突進してくる。
銃弾が盾へと叩き込まれる。
しかし、ミネは止まらない。
「っ……!」
盾の陰に身を隠しながら、一歩。
さらに一歩。
銃弾を受けながらも、確実に距離を詰めてくる。
「……流石ね」
ヒナは小さく呟いた。
──盾の扱い。
──銃弾の嵐にも耐える踏み込み。
──射撃の間合い。
その全てが、ミネの戦闘能力の高さを物語る。
そして、弾幕の間を縫い、ヒナへと最短距離で接近している。
ミネが盾を僅かに傾ける。
その次の瞬間──、
「っ!?」
盾の横からショットガンが突き出された。
──ドォンッ!!
ヒナは咄嗟に身体を捻る。
至近距離を散弾が掠め、銀色の髪が数本舞った。
「くっ……!」
ヒナは後方へ跳ぶ。
しかし、ミネは距離を直ぐさま詰めて逃がさない。
「そこです!」
ミネがさらに踏み込む。
ヒナが銃口を向け直すより早く、ミネの盾が迫る。
「──っ!」
ヒナは『終幕:デストロイヤー』を咄嗟に横に構える。
──ガァンッ!!
盾と銃身が正面から衝突し、凄まじい衝撃が腕を走る。
「──っ!!」
ヒナの足が、地面を僅かに滑った。
ミネもまた、その場で踏み止まる。
二人の間に、ほとんど距離はない。
盾の向こうから、ミネの瞳がヒナを真っ直ぐに見据えていた。
「……お久しぶりですね、ヒナ会長」
「……ミネ。私に対しての、今回の先制攻撃……覚悟は出来ているんでしょうね」
ヒナは銃で盾を押し返しながら、ミネを鋭く見つめる。
「こんなところで、ミネに会うとは思わなかったわ」
「私もです」
ミネは微笑んだ。
「まさか会長自ら、
「っ……それは、貴方達が、セミナーに何も言わず、勝手なことをしているからでしょう」
「それは……耳が痛いですね」
ミネは苦笑する。
「ですが──」
ミネの腕に力が入り、ヒナが押される。
「リーダーの為にも、ここから先に貴方を行かせる訳にはいきません」
「……そう」
ヒナの目が細くなる。
「なら──」
ヒナは銃身を僅かに捻った。
「私も、手加減する理由はないわ」
──ギィンッ!!
二人が同時に力を込める。
盾と銃が軋み、金属音が廃墟の路地に響く。
「くっ……コールサイン『ゼロワン』
ミレニアム近郊『廃墟』地区にて──深夜の街に、銃声が響く。
それは、守る者と助ける者。
譲れないものを抱えた二つの意志が、今、正面から激突する。
こうして──、
ミレニアムの誇る『
「うへぇ〜、なんなのこれ?」
「パンッパンね……パンッパン」(弾薬を見て)
「すごーい、全然ショットガンと違うねぇ〜」
「……撃つところが見たいの?」
「うん、みたい〜!」
「そう……じゃあ撃ってみるわ!」
──キュイン! ダダダダダダダダダッ!!!
「あぁ〜! 7コスの音ォ〜!!」