何かがおかしいブルーアーカイブ   作:千ノ宮チノ

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はぁ……着弾を確認。
これで契約通りに、本日の役目は終了です。
これ以上、貴方の顔を見るのも不愉快ですので帰ります。



第43話:燃える戦場の読み合い

 

『アビドス最強』VS『ゲヘナ最強』。

 

 二人は、互いに銃を構える。

 

 先に動いたのは──、

 小鳥遊(たかなし) ホシノだった。

 

「──ふっ!」

 

 燃え盛る戦場の中、ホシノが地面を蹴り、火の粉が舞い上がる。

 ミカとの距離が、瞬く間に縮まる。

 

「速いねっ!」

 

 ミカも笑いながら銃を構える。

 

 ──ダダダダダッ!!! 

 

 至近距離から銃弾が飛び交う。

 ホシノは身体を低くしながら、被弾を最小限に抑えて、ミカの懐へ潜り込む。

 

「そこだねぇ」

 

 ホシノはショットガンを突き出す。

 

「──っ!」

 

 ミカが咄嗟に銃身を逸らした。

 

 その瞬間──、

 ホシノの膝が、ミカの腹部へ叩き込まれた。

 

 ──ドゴッ!! 

 

「ぐっ……!」

 

 ミカの身体が僅かに浮いた。

 その隙をホシノは逃さず、銃を回転させて、散弾をミカへ容赦なく叩き込む。

 

 しかし──ミカは口角を上げる。

 

「……アハッ!」

 

 ミカは笑った。

 散弾をもろに食らいながらも、空中で身体を捻る。

 そして、その勢いのまま脚を振り抜いた。

 

「──っ!?」

 

 ホシノは咄嗟に、蹴りをショットガンで受ける。

 

 ──ガァンッ!! 

 

 手が痺れる程の衝撃が、ホシノの襲う。

 ホシノはミカの蹴りに耐え切れず、その身体が地面を跳ねて、瓦礫に衝突する。

 

(これは、本当にまずいねぇ……)

 

「……はぁ、はぁ」

 

 ホシノは立ち上がり、数メートル離れた場所に立つミカを見据える。

 ホシノは頬を伝う血を拭った。

 

(今のおじさんじゃ……きっと、()()()()()()()()()

 

 呼吸が荒れ、身体の反応も、いつもより鈍い。

 ミサイルによるダメージが、未だに身体へ残っていた。

 

(けれど、私は、この子を倒せなくてもいい) 

 

 ホシノは自分の背後にいる()()を思い浮かべる。

 

(先生が逃げるだけの時間を確保できれば、それでいい)

 

 ホシノは、ゆっくりとショットガンを構え直した。

 その視線は、ミカから一瞬たりとも離れない。

 

「ん……?」

 

 ミカが首を傾げる。

 

「立ち止まって、どうしちゃったの? 私と正面からやり合うって宣言してたでしょう? かかってきなよ☆」

「ん〜? まあまあ、焦らないの〜」

 

 ホシノは、いつもの気怠げな笑みを浮かべる。

 

「……ふーん?」

 

 ミカはホシノをじっと見つめる。

 

「ならさ、一つだけ聞いてもいいかな?」

「いいよぉ〜。おじさんに答えられることならね?」

「やったぁ!」

 

 ミカは嬉しそうに笑い、銃口を下げる。

 

「それじゃあ、質問なんだけど……これって、私からすると凄く珍しいんだよ?」

「うんうん、何かな、副委員長ちゃん?」

 

「──()()()()()は何て言うの?」

 

 ミカの瞳がギラリと煌めく。

 

(何で今そんなことを……)

 

「……小鳥遊(たかなし) ホシノだよ」

「へぇ〜! ホシノちゃんって言うんだ! ふふっ、覚えちゃったからね!」 

「……そりゃどうも」

 

 ホシノは肩を竦める。

 

「でも、名前なんて聞いてどうするのかなぁ〜?」

「んー?」

 

 ミカは少しだけ考えるように首を傾げた。

 

「だって、こんなに強い子の名前を知らないまま倒しちゃうのは、なんだか勿体ないでしょ?」

「へぇ……おじさんのことを、もう倒した前提なんだ?」

「うん!」

 

 ホシノの口元が僅かに引き攣る。

 

「だって、私、最強じゃんね☆」

 

 ミカは、当然のことのように言い放つ。

 

「……」

 

 ホシノの表情から、僅かに笑みが消えた。

 

 目の前の少女は笑いながら、その言葉には一切の迷いがない。

 

(……やっぱり、この子は危ないねぇ)

 

 ホシノは改めて思う。

 

 ミカは戦いを楽しんでいる。

 それも、ただ勝つことを楽しんでいるわけではない。

 

 強い相手と戦い、自分の限界を試すことそのものすら、楽しんでいる。

 

「……ゲヘナは、この子のことを何だと……」

「それじゃあさ、ホシノちゃん! もっと私を楽しませてよ?」

「……あはは」

 

 ミカが前に一歩踏み出し、ホシノは小さく笑う。

 

「困った副委員長ちゃんだねぇ?」

 

 次の瞬間、二人が同時に地面を蹴った。 

 地面が爆ぜて、瓦礫が宙へ舞う。

 

 ホシノは真正面から突っ込み、ミカが引き金を引く。

 銃弾が飛び交い、ホシノは身体を左右へ振りながら、弾丸を紙一重で躱す。

 

 二人の戦いは、更に戦場の奥へと移っていく。

 

 □■□■□■□■□■□■□

 

 ──バンッ!!! 

 

 銃声が鳴り、トキの頬を銃弾が掠める。

 トキは即座に瓦礫の陰に飛び込む。

 

「……」

 

 頬に触れる。

 指先に、僅かに血が付着していた。

 

「……かなり正確な射撃ですね」

 

 トキは眉を顰めて、小さく呟く。

 

 瓦礫の向こう側、そこにはイオリの姿は見えない。

 

 だが──、

 トキには分かっていた。

 

 トキの背後には、先生とチナツがいる。

 この状況では、トキが不用意に身を晒すことはできない。

 

「なるほど……」

 

 トキが目を細める。

 

「私がこの場から動けないことを利用するつもりですか」

「正解だ」

 

 瓦礫の向こうから、イオリの声が響いた。

 

「便利屋のトキがどれだけ強くても、守るものがあれば、その動きは制限される」

「……」

「ましてや、後ろには負傷した先生と、それを治療するアビドス生徒がいる」

 

 イオリがスナイパーライフルを構える。

 

「なら、こっちはジリジリと追い詰めるだけでいいんだ」

 

 ──バンッ!!! 

 

 イオリから放たれる銃弾が瓦礫を砕く。

 

「っ……!」

 

 トキが身を伏せる。

 その直後、別の方向から銃声。

 

「くっ……!」

 

 トキが顔を上げて、横に飛ぶ。

 先程までトキがいた場所の、瓦礫が爆ぜる。

 

(常に、移動している……)

 

 イオリは瓦礫を一つ一つ利用しながら、射線を変えている。

 

 ──正面。

 ──右。

 ──左。

 

 そして、トキが隠れている瓦礫の背後。

 

「っ……!」

 

 トキが立ち上がろうとした、その瞬間──、

 

「トキさん! 右です!!」

 

 チナツの声が響く。

 トキは反射的に身体を捻った。

 

 ──バンッ!!! 

 

 銃弾が、トキのいた場所を貫いた。

 

「っ……助かりました、チナツ」

「い、いえ……!」

 

 チナツが先生を庇いながら周囲を警戒する。

 

「でも……このままでは……」

「はい。チナツが言いたい事は分かります」

 

 トキは頷く。

 

「このままでは、こちら側が不利です」

 

 こちらは先生を守りながら戦わなければならない。

 しかも、敵はイオリだけでは無い。

 

 時間をかければかけるほど、他の風紀委員がこの場所へ集まってくる。

 

(イオリ先輩は、私が先生を守るために動くことを利用している)

 

 それなら──、

 

「チナツ。一時的に先生の護衛を任せました」

「え? ……トキさん?」

「相手の予測そのものを覆します」

 

 次の瞬間──、

 トキは瓦礫から飛び出した。

 

「──っ!?」

 

 イオリがその行動に目を見開き、急いでトキの動きに合わせて銃口を向ける。

 

 ──バンッ!!! 

 

 銃弾が飛ぶ。

 だが、トキの速度を見誤り、弾道は外れる。

 

「なっ……!」

 

 トキがすかさず、瓦礫を蹴り、さらに加速する。

 イオリが後退しながら、急いでリロードをする。

 

「私が先生から離れられないと思っていましたか?」

 

 トキは笑わない。

 ただ、真っ直ぐにイオリへ迫る。

 

「それが貴方の間違いです」

 

 ──ダダダダダッ!!! 

 

 二挺の拳銃が火を噴いた。

 放たれた銃弾はイオリに命中する。

 

「ぐっ……!」

 

(私の方からイオリ先輩との距離を詰める……! これ以上、先輩の有利な立ち回りにはさせません!)

 

「チッ! 私を舐めるな、トキ!」

 

 イオリが瓦礫から飛び出し、引き金を引く。

 

 放たれた銃弾が交差する。

 互いに一発も無駄にしない。

 

 トキは射撃しながら距離を詰める。

 イオリは後退しつつ、スナイパーライフルでトキを狙う。

 

「くっ……!」

 

 トキの肩を銃弾が掠める。

 それでも、トキは止まらない。

 

「私がスナイパーライフルだからといって、近接戦闘が出来ないと思うなよ!」

 

 イオリが瓦礫を滑りながら、スナイパーライフルで突貫してくる。

 

「……!?」

 

 次の瞬間──、

 二人の銃身が激突した。

 

 トキが拳銃を捻る。

 イオリもそれを弾き返す。

 

 銃撃ではなく、銃を使った格闘。

 互いの距離は、僅か数十センチ。

 

「お前……!」

 

 イオリが銃床を振り抜く。

 トキは腕で受け止めた。

 

「っ……!」

 

 痺れる腕。

 しかし、トキはそのまま身体を回転させる。

 

 ──ドンッ!! 

 

 肘がイオリの脇腹へ叩き込まれた。

 

「ぐっ……!」

 

 イオリの身体が僅かに崩れる。

 その隙を、トキは逃さない。

 

「──ここです!!」

 

 至近距離から銃口をイオリへと向ける。

 

「しまっ──!」

 

 ──ダダダダダッ!!! 

 

 銃弾がイオリの身体を撃ち抜く。

 イオリが後方へ吹き飛び、瓦礫の上を転がった。

 

「……はぁ、はぁ……」

 

 トキは荒い息を吐く。

 瓦礫の向こうから、イオリが立ち上がった。

 

 制服は破れ、身体にはいくつもの傷。

 それでも、その目は死んでいない。

 

「便利屋の戦闘担当という肩書きは、伊達じゃないらしいな」

「そちらこそ」

 

 トキは銃を構える。

 

「流石は風紀委員会のNo.2、といったところですか……簡単には倒れてくれませんね」

「当たり前だ……覚悟しろ、規則違反者共め!」

 

 

 □■□■□■□■□■□■□

 

 一方その頃。

 

 風紀委員との前線。

 

「──サキ! 右は任せた!」

「分かった、アズサ先輩!」

 

 ──ダダダダダダダッ!!! 

 

 大量の銃弾が、アズサとサキの頭上を通過する。

 アズサは瓦礫の陰へ滑り込む。

 

「数が多すぎる!」

「だったら、減らせばいいんだ! 私に任せろ!」

 

 瓦礫から顔を出すと、サキが銃を構えて連射する。

 

 ──ダダダダダダダダッ!!! 

 

 その正確な射撃により、前方の風紀委員が次々に倒れていく。

 

「っ! サキ、見ないうちに、また強くなったか?」

「お? 分かるか、アズサ先輩! 実は最近、教本というものを知ってだな……また今度、先輩にも教えてあげるぞ?」

「なるほど。楽しみにしてる」

 

 サキの笑顔にアズサは嬉しそうに頷き、瓦礫から顔を出して、同時に射撃する。

 だが──、

 

「皆さん! 左前方から敵が増員です!」

 

 後方にいたノアが叫ぶ。

 

「……嘘でしょ!?」

 

 その報告に、近くにいたセリカが思わず声を上げている。

 

 瓦礫の向こうから現れた風紀委員たちは、さらにその数を増していた。

 

 ──十人。

 ──二十人。

 ──いや、それ以上。

 

 まるで、この場所へ誘導されることを最初から想定していたかのように、風紀委員たちが左右から展開していく。

 

「おい、まだ来るのか?!」

 

 サキが目を見開く。

 

「数で押し潰すつもりか」

 

 アズサは冷静に、銃をリロードする。

 

「アズサ先輩!」

「っ! どうした、サキ?」

「私が正面を抑える! だから先輩は──」

 

 サキが周囲を見渡す。

 燃え盛る建物。

 崩れた道路。

 大量の瓦礫。

 

 そして──、

 風紀委員たちが集中している()()()()()

 

「……あそこだ! 」

 

 サキが指を差す。

 

「アズサ先輩、あそこを制圧するのはどうだ?!」

「っ……! なるほど、了解した。一気に敵陣を抜ける! サキ、援護を!」

「了解だ! アズサ先輩!」

 

 アズサが銃を構えて、一つ息を吐く。

 

「私がアズサ先輩の道を作る!」

「なら、私は突っ込む!」

 

 アズサが銃を構えて駆け出す。

 

「──行くぞ!」

 

 サキが引き金を引いた。

 

 ──ダダダダダダッ!!! 

 

 風紀委員たちが次々と身を伏せる。

 

「今だ!」

 

 アズサが瓦礫を蹴り、風紀委員と一気に距離を詰める。

 

「──っ!?」

 

 風紀委員が銃を構える。

 

「近付いてくるぞ! 撃て!! 撃てぇぇ!!」

 

 ──ダダダダダッ!!! 

 

 アズサは身体を低くしながら、銃弾の雨を掻い潜る。

 

「ゲリラ戦なら任せてくれ! その程度の反応なら遅い!」

 

 ──バンッ!!! 

 

 一人。

 

 ──バンッ!!! 

 

 二人。

 

 アズサは風紀委員の間を縫い、次々と無力化しながら、敵陣の中央へと切り込んでいく。

 

「な、なんだこいつ……!?」

「は、速すぎるぞ!!」

「囲め! 囲め! 敵は一人だ! 左右から挟み込め!」

 

 風紀委員たちが一斉に動く。

 だが──、

 

「アズサ先輩を、一人にさせるか!」

 

 サキが即座に銃口を向ける。

 

 ──ダダダダダッ!!! 

 

 左右からアズサを挟もうとしていた風紀委員たちへ、正確な射撃が飛ぶ。 

 

 ──アズサは振り返らない。

 

 サキのことを信頼し、迷いなく進んでいく。

 

 その二人の姿を、後方から見ていたノアが小さく目を細めた。

 

「なるほど……二人はあそこを制圧するために……」

「へぇ〜。あの二人は、やるわね! それでこそ、私たちを一度だけでも倒した対策委員会だわ!」

 

 そんなノアに、アルがスナイパーライフルで風紀委員を牽制しながら近付いてくる。

 

「アルさんですか。ちょうど相談事があります。敵の様子を見ていて……何かがおかしいんです」

「おかしい? それはどういうこと?」

「はい。この乱戦状態においても、風紀委員の動きが統制させすぎている気がします。まるで、私たちの居場所が常に()()されているかのように……?」

 

 ノアは戦場を見渡した。

 アズサとサキが敵陣を突破している。

 

 その反対側で、別の風紀委員たちが二人を回り込もうとしている。

 

「っ……確かにあの二人を挟み込むように、先回りしているわね」

「……やはり、そうですよね」

 

 ノアが呟く。

 

「風紀委員の皆さんは、私たちの動きを見てから対応しているわけではありません。まるで、こちらが動く前から、次にどこへ移動するのかを知っています」

 

 ノアの視線が鋭くなる。

 そして──不意に、ノアは顔を上げる。

 

 燃え盛る炎と立ち込める煙によって、空はほとんど見えない。

 

 けれど、その煙の奥に、何か()()()()を見つける。

 

「あれは……っ! まさか!」

 

 ノアは何かに気が付き、アルにその影を指差す。

 

「アルさん、あの影……いえ、()()()()を撃ち抜けますか?」

「え? ドローンですって?」

 

 アルが目を細める。

 煙の向こう──炎に照らされながら、白い円形の物体が静かに空中を旋回している。

 

「……ふふっ。なるほどね、理解したわ! やるじゃない、ノア!」

 

 アルが笑い、スナイパーライフルを上空へと向ける。

 

 呼吸を整える。

 風向き。

 距離。

 ドローンの動きを予測。

 

 アルは、全てを一瞬で見極める。

 

「できれば、向こうに気が付かれる前に、処理したいです。つまりは、外すことは……」

「ふふっ、分かってるわよ」

 

 アルの指が、引き金へ掛かる。

 

「私を誰だと思っているの──()()で落とすわよ!」

 

 ──バンッ!!!! 

 

 銃声が戦場に響き渡った。 

 アルから放たれた銃弾は、真っ直ぐに空を駆け抜け──ドローンの中央を正確に撃ち抜いた。

 

 白い機体が大きく揺れ、そのドローンは、火花を散らしながら、制御を失って落下していく。 

 

 地面へ墜落したドローンが、瓦礫の上で何度か跳ねた。

 

「やったわ! これで、私たちの動きは読まれなくなるんじゃない!?」

「っ! ありがとうございます! これで、きっと──」

 

 ノアは風紀委員が困惑し、大多数が足を止める──つまりは、統制が、途端に崩れる様子を目にした。

 

「正解だったようですね」

 

 ノアは無意識のうちに、ゲヘナの風紀委員長──調月(つかつき) リオを脳裏に思い浮かべ、落下したドローンを見つめた。

 

「先ほどまでの異常な統制は、あのドローンによって維持されていたのでしょう」

「だったら……!」

 

 アルが笑う。

 

「今がチャンスってことね!」

「はい! 今ならこちらから押し込めます!」

 

 ノアは頷いた。

 

「よし! それなら──みんな、敵の目は潰したわ! 今がチャンスよ! 押し込むわよ!!」

 

 セリカが銃を構える。

 

「了解! だったら一気に行くわ!」

「やるじゃないか、アル! 了解だ!」

 

 その声に呼応するように、セリカと便利屋68が一斉に前進する。

 

 風紀委員たちは、明らかに動揺していた。

 

「隊列を組め!」

「どこから来る!?」

「誰か指示を──!」

 

 先ほどまで完璧だった連携が、完全に崩れている。

 

 それを見て、ノアは確信した。

 

(流れが変わり、これなら勝てます)

 

 しかし──、

 ノアは、すぐに表情を引き締めた。

 

(しかし……)

 

 視線を戦場の奥へ向ける。

 

 そこでは──、

 今もなお、()()()()()が戦っている。

 

「──アハハッ!」

「……っ!」

 

 ──聖園(みその) ミカ VS 小鳥遊(たかなし)ホシノ。

 

 そして、その反対側では、

 

「……まだ終わっていません」

 

 ── 飛鳥馬(あすま) トキ VS 銀鏡(しろみ) イオリ。

 

 この二つの戦いだけは、戦場全体の状況など関係なく、続いていたのだった。

 

 

 

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