原作屈指のヘイトタンクであり、此奴がきつすぎてペルソナ5を止めてしまったという人も多いという鴨志田卓。日本だけでなく海外でも滅茶苦茶嫌われているとか。
バレー男子で金メダルという凄い快挙を成し遂げているのに、たかが知れた(設備も露骨に古い)学校の部活顧問なんてやっている時点で、色々あったことはお察しですよね。
没データなどで彼がどうして闇落ちしたかはある程度分かるのですが(原作ではヘイトタンクにする必要があったこともあって、その辺はカットしたようです)。原作でもペルソナに覚醒した竜司や杏にびびりまくっていたり、抵抗できない相手にしか強く出られなかったことがよく分かります。
学校が彼を化け物に育ててしまいましたが、素では臆病な男だったのです。
秀尽は内部の設備が異様に古く、これは本当に平成の学校で、しかも都心にあるものなのかと小首をかしげた。
ともかく転校初日は問題なく過ごしていたのだが。
すぐにろくでもない噂を聞くことになった。
鴨志田という男。
体罰の噂があるようである。
しかも女子生徒相手に、性的暴行を働いているという噂まであるとか。
転校してから数日過ごしたある日。
帰路で、女子生徒と問答をしているのを見た。明らかに嫌がる女子生徒に、鴨志田が詰め寄っている。
金……いや灰色気味の髪の女子生徒……あれはハーフか。帰国子女かもしれない。
長身だが、流石に鴨志田と比べると頭一つ以上小さい。
車に乗せて送ってやると鴨志田が言っているが女子生徒はこれから撮影があるからと断っていて。
舌打ちすると、鴨志田は強引に手を引こうとした。
女子生徒が明らかに怯えるのを見て。
私は無言で動いていた。
「高巻。 今日撮影だったろ。 急がないと遅刻するぞ」
「え、う、うん! それじゃあ、失礼します!」
私が手を引いたことで、高巻杏と言われるその生徒は、さっと逃げ出して。舌打ちした鴨志田は。
私をにらみつけようとして。
ぎょっとしたようだった。
私の胸は自分でも邪魔だなと思うほど馬鹿でかいのだが。
それを露骨に見てきたので。ああ、なるほど。
噂は本当だな。
そうとしか、思えなかった。
「見たことがない女子生徒だな。 転校生か」
「ええ、来たばかりですよ」
「そうか。 バレーをやるつもりはないか」
「……今度球技大会がありますね。 それで実力を見せてくれたら話を聞きましょうか」
それを聞いて、意味を理解できなかったのか。
鴨志田はくつくつと笑うと、おっけいといって車を飛ばしていった。
馬鹿な奴だ。
今の動きを見たが、鴨志田は衰えきっている。
一応全国区にバレー部を導いている実績があるらしいのだが、ザコばっかり相手にしていて、同格かそれ以上の選手と切磋琢磨している形跡がない。
オリンピック選手も、こうも衰えるのだな。
そう思うと、ちょっと滑稽だった。
さて、帰るか。
そう思うと、長身の男子生徒が声を掛けてくる。制服を着崩していて、金髪に染めているいかにもなヤンキーである。
「オイ。 見ねえツラだな」
「転校生だ。 雨宮という」
「おもしれー口調だな。 鴨志田の野郎に目をつけられっぞ」
「同じクラスの人間が、アレにホテルに連れ込まれそうになっていたからな。 助けただけだ」
不意に警戒から、同士を見つけた顔に変わる。
坂本竜司と名乗った男子生徒に誘われて、牛丼屋に行く。ちなみに私も制服はどちらかといえば着崩しているし。
他の女子生徒より頭一つ近く背が高いこともあって、周りは明らかに初日から怖がって近寄ってこない。
だから実は話しかけてきたのは坂本が初めてだったりする。
牛丼屋で、坂本から話を聞く。
何でもあの鴨志田には、体罰の噂があるという。
他にも女子生徒に様々な嫌がらせをしているとかで。女子バレー部員は目が死んでいるそうだ。
「最低のクソ野郎だぜあいつ。 今は高巻に目をつけているようでな。 執拗に口説いてやがる」
「そのようだな」
「お、分かるか」
「ここ数日だけで色々見てきたが、バレー部員は生傷が多すぎる。 あれはハードな訓練を受けている、というだけじゃない。 だが、妙だな。 女子生徒にはセクハラをしているとして、別に手を出しても平気そうな女性教師には一切興味を見せないし、一見すると紳士的に振る舞っている。 というか、明らかに距離を置いているな」
坂本が黙り込むと。
おまえ探偵、とか聞かれた。
探偵じゃないと返すと。
坂本はぼやく。
「あの野郎には色々因縁があるんだ。 なんとかして、奴の城みたいになってる学校をどうにかしてえ」
「分かった。 協力しよう」
「話早!」
「私としても、過ごしやすい学校が一番なのでな」
割り勘にして店を出る。
その後なんだか変なパレスだとか言う空間に坂本と一緒に紛れ込んで、変な喋るモルガナとかいう二本足で立って歩く猫に出会ったが。
出てきた変な奴は全部拳で粉砕して、あっさり脱出に成功。
なんだか妙な格好を……パン一の上からマントだけ羽織った王冠を被った鴨志田がいたような気がするが。
よく分からん。
坂本も困惑していたし。
よくわからんものを全部徒手空拳でぶちのめす私を見て、モルガナとかいう猫は終始呆然としていたが。
ともかく、鴨志田が変な格好をして暴れているらしいことは分かった。
これは排除一択だな。
そう私は判断していた。
学校に出ると、鴨志田が私を露骨に……てか私の胸を、露骨にじろじろ見ている。まあどうでもいい。
猿にパンツを見られて何か思うところがあるだろうか。
昔の鴨志田はそれなりにチームスポーツが出来る人物だったようだが。
今の鴨志田は猿だ。
以上。
あの後何度かパレスだとかいうのに入って、高巻も巻き込まれて。自分以外はなんだかペルソナとか言うのを出せるようになったが。
よく分からないのでどうでもいい。
私は出てくる変な存在……モルガナ曰くシャドウとかいうのを全部徒手空拳で粉砕できるので。別に困らないからだ。
モルガナが必死に説明してくれたところによると。
欲望によって認知が歪んだ世界がパレスで。
桁外れに強い欲望を持った奴がパレスを作るのだとか。
まあ実際に目で見たので否定するつもりはない。
パレスの奥のお宝とか言うのがモルガナの目的であり、何なら自分は本当は人間なのだとか言っていたが。
それもすこぶるどうでも良かった。
ちなみに鴨志田は私にはそれほど敵対的ではなく、球技大会を楽しみにしているとだけ言っていた。
高巻が声を掛けてくる。
「球技大会ってどういうこと?」
「ああ、それは後で分かる。 鴨志田の鼻どころか肋骨とか腕とかもへし折ってやるから、待っていてくれ」
「ちょ、何するつもり!?」
「心配しなくても合法的にやる」
高巻もペルソナとか言うのが出て超人的な動きが出来るように(パレス内では)なっているが。
私としてはそれはどうでも良くて。
現実世界で。
鴨志田を。
拳でぶちのめすべきであると。しかも公衆の面前で。と思っている。
この学校で高巻や坂本の話を聞き、更にはバレー部の手ひどい痛めつけられぶりを見る限り、鴨志田の凶行は明らかだ。
それに女子生徒は多分あれは、体を触る程度では済んでいないな。一目で分かるくらい精神的に追い詰められている。
しかも誰も逆らえない空気が出来ていて、それが露骨すぎる。
なんだかマザーグースに出てくるハンプティダンプティみたいな体型の校長が鴨志田に揉み手をしているのを見た。教頭もほとんど同レベルのようだ。
この学校の知名度を上げるために、鴨志田とバレー部を利用している。
だから、誰も逆らえない空気が出来ている。
何度かパレスに潜った後、坂本から聞いたが。
坂本の足を折り、陸上部として再起不能にしたのは鴨志田であるらしく。
ついでに陸上部を潰し、バレー部以外の目立つ部活も全て潰して自分の城にこの秀尽とか言う学校をしているようだ。
全部口から吐かせて、それで社会的にブッ殺すべきである。
さて。
球技大会の日が来た。
此処が勝負所だ。
教師チーム対生徒チームで、バレーの試合が行われている。ほとんど一方的だが。私は鴨志田が明らかに全盛期の面影もないほど衰えているのを確認。
本当に衰えたんだな。
そう思いつつ、壁で腕組みして待つ。
生徒チームは、ほとんどがバレー部員だが、明らかに腰が引けている。その中の一人である三島という同クラスの男子は、特に顔中にあざを作っていて、とても厳しい訓練で受けた傷とは思えなかった。
その三島が、容赦のない鴨志田のスパイク(全盛期に比べると論外レベルだが)を受けて、耐えきれずに吹っ飛ぶ。
倒れた三島を、形だけは助けて、保健室に連れて行かせる鴨志田。
女子生徒が黄色い声を上げている。
鴨志田先生凄い、とか。
あの子可哀想とか。
勿論、可哀想と言っていながら嘲笑している。坂本が、非常に不愉快そうにしていた。
では行くか。腰を私は上げていた。
「では行ってくる」
「お、おう。 本当に大丈夫だろうな」
「任せておけ。 今のを見たが、鴨志田にもう全盛期の力はない。 勝てる」
「……」
坂本が生唾を飲み込んでいる。
後、もう一言付け加えておいた。
「巻き込まれるから少し離れていろ」
「おまえ、本当に人間?」
「多分な」
そのまま、代わりの生徒に入れと鴨志田が言っている中。
私が堂々と、腰が引けているバレー部員に代わって入る。ちなみに残り五人は男子バレー部員だが、背丈はあんまり私と代わらない。
「えっ!? 転校生?」
「丁度退屈していましたのでね。 私が代わりに入ります。 セッター!」
「ひっ!? は、はい?」
「ただ単純に高く上げろ。 それだけでいい」
教師陣が呆然としているが、鴨志田がまあ良いじゃないですかとにやついている。
此奴、相手の実力を見て分からないほど衰えたのか。
一応全国区にバレー部を連れて行っているのに。どうやら既に、この男は檻の中の虎ところか、太り果てた飼い猫に果てたらしかった。
今のはラフプレーだから、サーブ権をくれてやると鴨志田がバレーボールを放ってくる。
ちなみに得点は生徒チームが負ける寸前。
普通なら絶体絶命だが。
バカが。
サーブ権を渡した時点で終わりだ。
バレーボールを受け取ると、ふっと音を立てて、私は上空に放り投げる。
いわゆる天井サーブである。
実際には見栄えが良いには良いが、あまり実用性がない技術で知られているが。そのまま私は走りながら跳躍して、そこからサーブをたたき込んでいた。
高さ、申し分なし。
私の垂直跳びのジャンプ力は122㎝。
これに私の身長、腕の長さも加えると、インパクトの打点は地上三メートルを軽く超える。
オリンピックの現役代表だったらそれでも対応できるだろう。
だが、明らかに鴨志田は、それを見て唖然とし。
しかも出遅れた。
ガゴンと一瞬遅れて、サーブが教師陣の合間を抜けて、床を直撃。鴨志田も当然対応できなかった。
しかもボールは体育館の壁にぶつかると、凄まじい回転をしながら、しばらく其処でギャリギャリと音を立て。
そして、こっちに跳ね返ってくる。
誰もが絶句する中、私は帰ってきたバレーボールをつかみながら、審判に言う。
「審判! 得点は」
「せ、生徒チーム!」
「次行くぞ」
再び天井サーブである。
完全に今ので腰が引けた男性教師達。鴨志田は顔が真っ青になっている。
そういえばこいつ。
パレスで高巻がペルソナとかいうのに目覚めた時、真っ青になっていたな。
ひょっとして逆らえない相手にしか強く出られないのか。それとも逆らう能力がある女子にはむしろ恐怖を覚えるのか。
まあどうでもいい。
二本目の天井サーブ。
炸裂。
鴨志田の至近を抜けたボールが、床を直撃。ガゴンと、また凄まじい音がした。
壁に炸裂して、転がっていくバレーボール。
呆然とコート側でみている女子生徒に声を掛けておく。
「其処の女子生徒! もう少し離れていろ。 巻き込まれるぞ」
「ひっ!」
「い、いこ! あんなの擦っただけで死んじゃうよ!」
慌てて離れ始める女子生徒達。
男性教師が、半笑いで言う。
「な、なかなか将来有望な転校生ですな鴨志田先生!」
「……は、はい、そうですね」
なんだ。
もう萎縮したのか。
三本目。
今度は鴨志田の股下を抜いてやる。
無駄にタッパばかりある鴨志田は、筋肉はそれなりに鍛えているようだ。それなりにガタイがいい坂本の足を容易に折る程度には。
だがそんな程度の鍛錬。
所詮自分より弱い相手にイキる程度のもの。
そんなことをしているうちに、オリンピックで優勝した頃の力など、とっくに失っていたのだ。
四本目。
教師達は触れることすら出来ない。
五本目。
鴨志田の頬をかすめた一撃が、ガゴンと床を粉砕しそうな音を立てる。ひっと、男性教師が悲鳴を上げていた。
「か、鴨志田先生。 そろそろ本気を……」
「鴨志田先生。 まさか、反応すら出来ないわけじゃないですよね。 私からもお願いしますよ。 是非、凄い実力を見せてください」
私からも言う。
実際、煽っているつもりはない。
この程度か、金メダリストが。そう思って、本気で実力を見せてほしいだけである。
実際問題、オリンピックの準決勝では、総合力で勝る相手に勝利して、決勝に日本チームは進んだ。
少しでも骨が残っているのであれば。
それを見せてみろ。
私の本音だ。
いつの間にか、得点は逆転。後一点となっていた。完全に化け物を見る目でこっちを見ているバレー部員に、私は言う。
「なんだ。 私はバレー部ですらないぞ。 そんな私が入っただけで逆転されて、悔しくないのか。 それとも、トレーニングなんか実際には受けていなくて、体罰でも受けているのか」
「き、君!」
「最後のサーブ行きますよ。 あ、そうそう。 鴨志田先生の実力を見たいので、鴨志田先生めがけてサーブしますね」
それを聞いて、明らかに鴨志田が逃げ腰になる。
やれやれ。
少しでも闘志を見せるようであったら、此処から一対一の勝負を申し込んで、徹底的にぶちのめすつもりだったのだが。
いや、考えが変わった。
ともかく、この試合は勝たせて貰う。
そのまま天井サーブをたたき込む。鴨志田はひっと声を上げて、直撃をかろうじてレシーブしたが。
弾ははじかれて、壁にぶつかって。つまりアウト。
ゲームセットだ。
ハイタッチを求めるが、バレー部員達は全員絶句している。
それよりも、鴨志田は完全に今ので吹っ飛んで、後頭部を激しく床に強打。白目をむいて、口から泡を吹いていた。
「きゅ、救急車!」
「腕が折れてる! 肋骨もだ!」
「急いでくれ!」
教師達が慌てていやがる。
三島があれだけたたきのめされて、完全に戦意喪失した時には嗤っていたくせに。
球技大会はそのまま終わり。
坂本と高巻が来て、声を掛けてきた。
「おまえ、マジすげえな! バレーの経験者か何かか?」
「いや、ただの女子高校生だ」
「何にしても、いい気味だよ。 鴨志田がバレーであんた一人にここまでコテンパンにされたんだよ。 あいつが持ってた権威なんて、これで粉々だね」
「そういうことだ」
坂本は周りが怖がる中声を掛けてきてくれたし。
高巻はパレスの中で助けてからは、ちゃんと話してくれるようになった。
前の学校ではそういう友達もあまりいなかったので。
それだけで充分だし。
そんな友達を苦しめていた鴨志田がコテンパンになったのなら、それでいいのだった。
数日後。
全校朝会の最中に、鴨志田が現れる。鼻にガーゼをつけ、左腕をギプスで固め。更には肋骨も何かで固定しているようだった。
入院中と言うことで、それに誰もが驚いたのだが。
鴨志田は壇上に上がると。
いきなり独白を始めたのである。
「私は……私は……っ! 罪を告白するために、今日は学校に来ました!」
どよめく生徒達。
ああ、ひょっとして。
頭打って、まともになったのか。
鴨志田は涙を垂れ流しながら、ひたすらに独白を始める。ハンプティダンプティみたいな体型の校長が呆然とそれを見ていた。
曰く、男子生徒達への暴行をずっと続けてきていた。
それらは教師も保護者もそろって隠蔽に協力してきた。
それで調子に乗った。
この学校を自分の城と思い込み。
ライバルになるかも知れない陸上部も潰した。
陸上部を潰す際に、担当教師を首にした挙げ句。あからさまな虐待を陸上部に加え、そして。
「意図的に坂本竜司くんを挑発して、殴りかかるように計算した上でしました! そして正当防衛と言いながら、その足を折ったのです! 学生時代の大事な足を! その騒ぎで陸上部は潰れ、坂本君は走れぬ身になってしまったのです! わ、私は、なんと言うことを……っ!」
ガンガンと壇上に頭をたたきつける鴨志田。
それを見て、流石に生徒達がひそひそ話し始める。
そういえば体罰の噂があった。
でも関わるとまずいから誰も言わないようにしていた。
教師達もみんな鴨志田の味方だった。特に男性教師は。
校長と教頭が、鴨志田を持ち上げているのを何度も見た。ごままですっていた。
そういう話の中。鴨志田は顔を上げる。
「それだけではありません! 私は逆らえないことを良いことに、女子バレー部の部員達には、日常的に性的な嫌がらせをしてきました! 体を触る程度なら日常! 気に入らない時は殴ることもしました! そればかりか、生徒の服を脱がして、写真を撮ったり! それ以上の、きょ、教師にあるまじき事も! それだけではありません! 高巻杏さんにも私は、非道の限りを尽くしました! 彼女の親友の鈴井さんにポジションを約束する代わりに、関係を迫り続けたのです……!」
ごっと、壇上に鴨志田が頭をひときわ強く打ち付けていた。
誰もがしんとなるなか。
鴨志田は額から血を流しながら、顔を上げていた。
「私は、罪を償わなければならない! これより自首します! そして教師の任を辞します! 誰か警察を! この悪党を逮捕するために、警察を呼んでください! さもなければ、私は死んでお詫びしそうだ!」
「か、鴨志田先生! お、落ち着いて!」
「警察を今呼びました」
私が言うと、鴨志田は。
私を見て、それで。
ありがとうと、深々と土下座をしたのだった。
いや、側に竜司と杏がいたからかもしれない。
ともかく警察が来て、日常的な暴行、セクハラ、傷害、恐喝、恫喝などの容疑で鴨志田を逮捕。
去年には転校した生徒もいて、その生徒は恐らく強姦もされたらしいという話があった。
杏が言っていた。
友人の志帆……鈴井とさっき鴨志田が呼んでいた女子生徒だが。恐らく鴨志田に暴行を直に受けていると。
それでも自分にはバレーしかないからと、歯を食いしばって耐えているのだと。
竜司が頭を掻く。
「直にボコしてすっきりしたかったけど、犯罪になっちまうよな……」
「ええ。 ちょっと納得いかないけど、全部罪を告白するつもりみたいだし、何よりもあいつはもう社会復帰できないわ。 それでいいわよ」
杏もそう言う。
まあ、二人が納得しているし。
それでいいか。
それから、バレー部への聴取が行われると。鴨志田が今までやってきた事が全て明らかになり。
しかも鴨志田をあからさまにひいきしていた校長と教頭の姿が目撃されたこともあって、二人も警察に聴取されたようだった。
にわかに学校が慌ただしくなったが、そんな中、黒い猫が現れる。
そいつはモルガナと名乗り、喋った。
あのパレスにいたモルガナらしい。
流石に驚く私に、モルガナは告げるのだった。
「パレスが消えた! お、おまえ一体何やったんだ!」
「何って、鴨志田が得意としてるバレーボールで、鴨志田を完膚なきまでにぶっ潰しただけだが」
「鴨志田って金メダリストだったんだろ……」
「昔の話だ。 全盛期だったらかなわなかったかもな。 今の鴨志田は、牙が抜けた虎どころか、すっかり太って戦い方を忘れた猫に成り下がっていたよ」
そう告げると。
モルガナは、なんだかとんでもないものでも見るかのようになぜか私を見て。
そして、竜司と杏に本当なのかと聞き。
二人も頷いたので、絶句したのだった。
見栄えが派手ですよね天井サーブ。ちなみに天井サーブと言っても、天井近くまで直上(実際には少し前)に投げて、其処にジャンプし打撃を打ち込むタイプと、山なりの軌道を描いて天井近くまで挙げる下撃ちのものがありますが、今回雨宮さんが使ったのは前者です。後者の方が最近では(ハイキューなどで)有名ですね。
天井近くまで放り投げる実用性に若干欠けるこの技を敢えて本作の雨宮さんが選んだのは「魅せプ」です。
動きを見て勝てると判断したので、徹底的に叩き潰すために敢えて派手な大技を選択したのです。