生徒を飛び降りさせた鴨志田も最悪ですが、実際に人間を死なせている上に、弟子の人生を滅茶苦茶にしまくっているという点で、邪悪さでは大差ない斑目。
本作では、「事故」で全部終わります。「事故」です。あしからず。
学校がばたついている中、杏に誘われて気分転換に出かける。私の格好を見て、杏が目を丸くしたが。
「あんた何それ。 えっと、カウボーイか何か?」
「私服をほとんど持っていないのでな。 なんだかド迫力に見えるらしいのを着ている」
「まあ、別の意味でド迫力だな……」
「此奴家でもこれ着ててさ……」
竜司がぼやくと、モルガナも言う。
なんだかモルガナに気に入られたらしくて、家に住み着かれた。
まあ親なんて来ない家なので、猫くらいはそれこそどうでもいい。餌も猫と同じで良いし、トイレなんかも問題なさそうだが。
まあ問題なのはワクチンなどの接種だが、猫ではないと言い張るのでどうしようか困ってはいる。
ノミが湧いたりしたら対応はしようと思うが。
カウボーイみたいと言われた私の私服は、半ズボンに短めのシャツという非常に簡素なものであり。
これだと胸と足がよくわからんが目立つらしい。
それもあって、中学時代に友人とかろうじて言えるくらいの仲の人間が一人だけいたのだけれど。
その子が、大迫力だとか言っていたのを覚えている。
よく分からないが迫力があるのは良いことだと思って、これをいつも着て出てきているのだが。
ちなみに髪はいつもポニーである。めんどうなので。
それで、鴨志田ぶっ潰したパーティでもやろうかと店を物色していたのだが。そうしたら、いきなりなんだか線が細い青年に声を掛けられた。
道路際であり、どうも追い駆けてきたらしい。
そして、杏に向けて、貴方こそ探していた人だと、いきなりプロポーズみたいな事を言ったのだった。
喜多川祐介と名乗ったこの青年の話によると、現在斑目一流斎なる人物の弟子として働いている画家見習いで、美大に行くべく専門校で勉強をしているところだそうである。何でも一芸特化の学生が集まっている専門高校で、此処から美大に向かう人間は珍しくもないのだそうである。
その喜多川は線が細くて独特の雰囲気であり、ぐいぐい来るので調子が戻った杏も圧倒されていたが。
それはそれとして、私の方を見て、これもこれで興味深いとか言われた。
「興味深いとはどうしてだ」
「何というか、戦士の肉体をしていると思ってな。 現在日本の女性というよりは、武術と生まれながらにあったような……」
「サムライかなんかかよ」
竜司が突っ込みを入れるが。
祐介が丁寧にフォローを入れる。
「巴御前を例に出すまでもなく、古くは武芸を納めた女性は珍しくもなかった。 戦国時代にも、武芸が優れていて名を残した女性は何人もいる」
「そうなんだな……」
「それで蓮、そのなんというかワイルドさって……」
「まだ二人には話していなかったが、ある実戦武術を私は幼い頃からやっていてな。 計画的に肉体改造をした結果だ」
そうなのかと、喜多川が何度も頷く。
竜司は怖いから絶対に逆らわないでおこうとぼやいていて。それがどうしてかちょっと面白かった。
それはそれとして、喜多川は何やらチケットをくれる。
師匠の展覧会だそうである。
これを是非見に来て、それで師匠の素晴らしさを理解してほしいと。そして、それが分かったら。
その弟子である祐介の絵のモデルをしてほしいと。
まあ、別に良いかとは思ったのだが。
少しばかり気になることがあった。
少し前から、モルガナに言われて、この辺りにあるパレス……メメントスと言うらしいのだが。それに潜っているのだ。
何でも強烈な自我を持つ奴は個人としてパレスを持っているそうなのだが。この辺りにあるパレス「メメントス」は、人間の集合的無意識……人間全部のパレスであるらしい。
確かに渋谷駅地下と言えば、新宿駅ほどではないが、途轍もない人数が行き交う大動脈のような場所だ。
そこで、悪さをする人間の影。シャドウをモルガナに頼まれてぶちのめして回っているのだが。
其処でぶちのめしたストーカーの影の口から、斑目の名前が出たのだ。
なんでも斑目という画家に弟子として住み込みをしていたのだが。虐待を受け、描いた絵を全て盗作され。挙げ句の果てに着想も全て奪い取られて放り出されたと。
酷い扱いを受けた弟子の中には、自殺者までいるらしい。
どうも喜多川が言う凄い画家と言うのと、その斑目の名前が被って仕方がない。
とりあえず、妙だという意見は竜司と杏にも共有。ついでにモルガナとも話しておいて。実際に展覧会に出てみた。
竜司は乗り気ではなかったが。
杏にモデルに成ってほしいらしい祐介は、杏を誘って解説行脚に出向く。で、だ。
展覧会の絵を見ていくが。
明らかにおかしいと、私は思った。
退屈そうにあくびをしている竜司に肘鉄を噛ます。それだけでごっとガタイがいい竜司が吹き飛びそうになるのだが、ちょっと大げさだろう。背は竜司の方が高いのだから。
「おまえダンプカーかよ! パワーおかしいんだよ!」
「大声を出すな。 それよりも妙だと思わないかこれらの絵」
「俺にはわかんね」
「どう妙だと思うんだ?」
モルガナに言われたので、統一感がなさ過ぎることを告げる。
盗作。
そうメメントスでぶちのめしたストーカーが言っていたが。これは明らかにおかしい。険しい顔のおっさんを見つける。絵の知識がありそうだが。
私はとりあえず話しかけてみる。
「どうも妙な個展ですね」
「あ、う、うむ。 そうだな……」
「絵に統一感が全くない。 それにこの絵、明らかに左利きで描いているように見えますが。 こっちの絵は、右利きで描いているように見えますね」
「……鋭いな君は。 斑目も、昔はこうではなかったのだがな。 あの男は。どこまで業を積み上げるつもりなのだか」
嘆息するおじさん。
絵を見ていくと、違和感は増すばかりだ。
作家にはテーマ性というのがどうしてもある。
例えば伊藤若冲という江戸時代の画家は自然や動物を極めて巧みに描き、特に鶏の絵については右に出る者がいない。
大迫力の絵を描くので、見応えがあるものばかりだ。精密さにしても躍動感にしても、素人が見ても凄いと一発で分かる。
ちょうどスマホで画像が出てきたので、竜司とモルガナにも見せる。
竜司もすごさが分かるようで、おおと感動の声を上げていた。
「こういう作家の個性はどうしても出る。 いくら色々な絵を描ける作家だとしても、右利き、左利きまで使い分けられるのか」
「君は鋭いな。 だが、その観察眼はとっておきなさい。 此処では言わない方がいいだろうね」
目を細める。おじさんはそそくさと行く。
斑目については、ここに来る前に調べたが。日本画壇においては第一人者といっていい存在のようである。
だとすると、下手なことを言って目をつけられたら。
絵を売るような仕事にいる人間は、食っていけなくなるのかも知れなかった。
まあ私はあんまり関係ないが。
とりあえず杏と祐介に追いつく。サユリという美しい女性画を前に、祐介が熱弁していた。
確かに素晴らしい絵だ。
それに関しては確かではあるのだが。どうにもこれもおかしい。技量が根本的に他と違う。そういう結論が出る。
ちなみにこの展示されているのは模写だそうだ。本物は表に出せないそうである。
「杏」
「どうしたの?」
「モデルの話受けろ」
「えっ……」
私も、自分で受けても良いのだがと言うと。祐介は少し考え込んだ後、杏の方が良いらしく、視線をそらす。
別に脱ぐくらいはしてやってもいいが。減るものでもないし。
そう告げると、杏が流石にぎょっとしたのか。それとも私の発言を覚悟か何かとでも勘違いしたのか。
ともかく、モデルの話を受けることにしてくれた。
善は急げだ。
早速その日のうちにアトリエに。
資産数十億はくだらないらしい斑目だが、家はぼろ屋だ。いや、これも妙だな。質素な生活をしているフリがプンプンする。ついでにパレスの反応もあるらしい。まあ、これで確定だろう。
斑目は家の中にいるらしい。
間取りを確認。一カ所、あからさまにおかしいところがある。斑目は温厚そうな老人だったが。どうにも笑顔が嘘くさい。
向こうで祐介が杏とモデルで脱ぐ脱がないでもめている間に、打ち合わせをしておく。モルガナはパレスに潜りたいらしいが、私としてはそんなことをしなくても、一発でけりをつければいいと思うので。
斑目が、好々爺を装ってこっちに来た瞬間。
力の加減を工夫して、震脚を床に入れ。
斑目を、思いっきり転ばせた。
あ、というまでもなく、すっ飛ぶように前に転んだ斑目が。間取りが明らかにおかしい場所に頭から突っ込む。
ドカンと音がして。其処が隠し扉であった事が分かり。ついでに、隠し扉が吹っ飛んで内部が露出する。
斑目は完全に泡を吹いて床に転がっていた。そして、その床の周りには。
「大変だ喜多川! 斑目先生が転んだぞ!」
「何だって!」
喜多川が走ってきて、そして部屋の異様な様子を目撃する。まあ、それはそうだろう。ぼろ屋の中にはアトリエもあるのだが。
其処は明らかに隠し倉庫。
しかも、其処に並んでいるのは。
膨大な、サユリ。
どれもこれもがサユリである。
私が咳払いをすると、竜司が打ち合わせ通りに言う。
「サユリじゃねーか! しかもいっぱいあるぞ!」
「まさかこれって、模写じゃなくて贋作か!?」
「それだけじゃない! 個展にあった絵も他にたくさんある!」
勿論わかりきっていたので、先に台詞を決めていたのだが。
みんな棒読みをもう少しどうにか出来ないのかと、モルガナに突っ込みを入れられてしまった。
「も、模写という可能性も!」
「良く見て。 なんだか人の名前と、売る予定の日時が書かれてるよ!」
「やっぱり盗作じゃねーか?」
「そ、そんな筈は、そんなはずはない! そうですよね、先生!」
相変わらず白目をむいて転がっている斑目。
あれ。
私ある程度震脚を手加減したし、それで転ぶのもそんなに派手に行かないように注意したのだけれどなあ。
死んでないかあれと、小声で竜司に言われて、私も多分大丈夫な筈だと返すけれど。ちょっと心配になった。
とりあえず救急車を呼ぶ。
頭部を強打したかも知れないという話をすると。大慌てで大きめの病院に連れて行ったので。多分大丈夫だろう。
夕方には、意識を取り戻したし。脳に問題も起きていないと連絡が来たので、喜多川がほっとしていた。
それにしてもどうしていきなり転んだのだろうと、心配そうにしていたが。
それ以上に、あの無数のサユリについて、聞きたいのだろう。
ずっとそわそわしていた。
後一押しでこれは事態に気付くだろうな、と判断したので、帰ることにする。
別に無理しなくても、どうせ気付くだろうし。
あの部屋の有様は異常だ。
それに、あれが模写ではなく、贋作である事。しかも本物として売り払うつもりだった事は、あの場に証拠として残されていた。
近々呼ぶのは、警察になるかも知れない。
意外なことに、翌々日。
事態が別の方向から動いた。
斑目一流斎が、いきなりテレビで記者会見を行い始めたのである。
丁度個展を開いている最中だ。
それが急に記者会見である。
斑目は頭に包帯を巻いていたが、そこまで派手にすっころんだっけとちょっとだけ罪悪感が私にも湧いた。
家でテレビで様子を見ていると、斑目はしゃべり始める。
「わ、私は! 今まで多数の弟子達から作品を奪い、それを自分の作品として発表するという、芸術家にあるまじき行いをしてきました! それだけではありません! わ、わが日本画界の現在の至宝! サユリについても、とてつもなくおぞましい罪業を重ねてしまったのです!」
困惑する様子のカメラが揺れる中、大泣きしながら斑目が罪を告白していく。
サユリの作者、喜多川祐介の母は病弱で、死期を悟ったとき、我が子を抱いた自画像を描いた。
元々素晴らしい才能を持っていた彼女の、文字通り魂を全て込めた絵だ。素晴らしいものに仕上がった。
だが、それを見て斑目は邪心を抱いてしまったのだ。
赤子の部分を塗りつぶせば。
バカみたいな評論家どもは、きっとサユリの絵としての意図が分からず、神秘的だと絶賛すると。
更に大量に複製して展示しているのは模写で特別に貴方だけに本物を売ると言いながら太客に売れば、いながらにぼろもうけが出来るのだと。
そんなことを考えた斑目の前で、喜多川祐介の母が発作を起こした。
それをあろうことか、斑目は放置。
死ぬに任せたのだ。
「わ、私は、日本芸術界の至宝とも言える逸材を、み、み、自らの手で、死なせてしまったのです! しかも、愚かしい欲得を求めてです! こ、こんな私は、それで味を、味を占めてっ……! 弟子の絵を、奪って、自分のものとして、発表し続けました! それどころか、弟子達には虐待を続け、じ、自殺に、自殺にまで……追い込んだものまで……う、うぉおおおおおおっ! おおおおっ!」
大泣きしながら、斑目が机にガンガンと頭をたたきつける。
あーこれはひょっとして。
頭を打って、色々とおかしくなっちゃったかな。
自分がやったことだというのに、私は他人事のようにそんな風に思った。
「も、申し訳、ありませんでしたあああああっ! 今すぐ自首し、罪を償います! 極刑を、私に極刑を……っ!」
それで、会見が「しばらくお待ちください」というボートの画像に切り替わっていた。
竜司からチャットが飛んでくる。
「な、なんだか凄かったな」
「ああ。 パレスを攻略するまでもなかった」
「さっき調べてみたんだが、パレスも消えてたよ。 ひょっとして、これってパレスに入って歪んだ欲望のコアを盗み出すより安上がりで早かったりしてな」
「喜多川くん大丈夫かな……」
杏がぼやく。
とりあえず、喜多川の様子を見に行く。
なんでもすぐに警察が来たらしく、証言を受けた通りのこれから売る予定の贋作が膨大にあったのを押収しに来たそうだ。
喜多川は、迷惑を掛けて済まないと頭を下げてきたが、問題ないと皆で返す。
その後、なんだかんだで気があったと言うことで、チャットを交換。ついでにメメントスに入ったところ、うっかり喜多川も巻き込んでしまい。ついでにペルソナも発現していた。
まあいいか。
とりあえず、問題はなかったのだから。
太った男が、必死に走って逃げている。
今まで警察の捜査を攪乱してくれていた親玉が、春先にいきなり自爆してしまった。その結果、上の方は大混乱。
いわゆる闇バイトで渋谷を根城に若者をターゲットに荒稼ぎしていた男、金城は。組織の上層部が壊滅していき、自分も追われているので、必死に逃げていたのだった。
冗談じゃない。
そう思いながら、金城は走る。
クソ底辺で泥水を舐めていたのが、やっと千載一遇の好機がきたのである。それで稼いで。今まで虐げてきた連中を、今度は虐げる番だ。そう思って、必死にやってきたのに。全てが台無しだ。
もう部下も全部つかまった。
必死に裏路地を抜けて、飛び出したのはどこかの学校の近くだ。警官が見える。元々太めで、必死にスーツを着込んで、それで整髪料で頭を頑張って固めて。それで名士を気取っていても。どうしても素が出る。
警察が見ている。
そう思うと、金城は恐怖で震え上がり、完全に判断を誤っていた。
近くにいる生真面目そうな女子生徒に、躍りかかったのである。
人質にするつもりだった。
そして、車を要求して、逃げるつもりだったのだ。
運がなかったのは、その女子生徒が、合気道を実戦レベルで習得していた事だろう。その女子生徒、新島真というのだが。
襲いかかってきた金城がナイフを取り出すよりも早く、踏み込むと同時に腹に肘打ちをたたき込むと、数発の打撃をぶち込み。悶絶したところを、強烈な蹴りで吹き飛ばしていた。
更に金城が運が悪かったのは、吹っ飛んだ先にもっとやばい存在がいたことである。
飛んできた金城をつかんだのは、金城より更に背が高い女子生徒だった。凄まじい激痛に意識朦朧としている金城は、雨宮という女子生徒に。
そのままつかまれると、ジャーマンスープレックスで。アスファルトにたたき込まれていた。
下がマットだったらまだ分からないでもないが。
道路で行う柔道が、致命的なダメージを容易に与えるのと同じ事。
一瞬で金城は意識を消し飛ばしていた。
金城が警察に連行されていく。ナイフどころか多額の現金、更には何かの帳簿、ついでに薬物まで持っていたらしく。フルコースと言うことで。警察がたくさん来て、私も聴取された。
別にやましいことはしていない。
ちなみに、隣に新島真生徒会長もいる。そう。この人は一年上の生徒会長である。少し前から、なんか事件があると私たちがいると言うことで、目をつけられていたらしい。それで知り合いになったのだが。
今回、一緒に金城をぶん投げて制圧したことで。
どうしてか妙な連帯感が生じていた。
私が以前獅童を放り投げた「痴漢ハゲ撃退動画」の女子高生だと知ったか、警察は顔色を変えて何かひそひそと話していたが。
程なくして、検事だという人が来る。
検事だとすると相当だ。
あれ、ただの血迷ったデブではなかったということか。
「お姉ちゃん……」
「真、貴方は帰っていなさい」
「で、でも。 最初にあの男に襲われたのは私よ。 彼女は犯人を制圧するのを手助けしただけで、もしあいつを逃がしていたら」
「良いから。 別に何かを問い詰めたりするつもりはないわ」
不満そうにしながらも。
新島生徒会長はその場を後にする。警察が連れて行った。多分別室で軽く調書を取った後、帰してくれるのだろう。
さて、私は何をされるのかな。
とりあえず、目の前で席に着いた新島生徒会長の姉だという検事。新島冴と言ったか。とにかくびしっとして、隙がない人物に見える。その人が、一つずつ説明してくれる。
「獅童正義を唐突に葬った貴方が、度々捜査線上に出てくる。 これは何かの偶然なのかしら」
「捜査線上?」
「獅童正義が会見で言っていたでしょう。 様々な悪事をしていたって。 今、獅童から聴取を受けながら、それを調べているのだけれどね。 斑目、金城、どちらも獅童の財源であった事が判明しているのよ」
「はあ……」
とはいってもなあ。
斑目と接触したのは偶然であるし。
まああいつがろくでもない輩なのはメメントスで知ったけれど。あくまで「転んだ」のは「偶然」である。
それに金城に至っては、そのままなんかよく分からない状況でいきなり襲われた挙げ句、ただ黙らせただけ。
蠅を払っただけである。
勿論メメントスは話せないが、それらを淡々と説明すると。
じっとこちらを見る新島検事。
私もじっと視線を帰す。
やましいことなんぞしていない。
少なくとも、私は正しいと思ったことをやっただけである。
「少し前に貴方の学校で大きな騒ぎがあったらしいわね」
「ああ、変態セクハラ教師が自爆した」
「球技大会で大立ち回りをしたそうね。 バレー部の、しかも全国出場経験がある男子生徒を子供扱いするレベルの実力で、衰えたりとはいえ金メダリストを圧倒したと。 何者かしら貴方。 格闘技の大会で全国大会での優勝経験はあるようだけれど」
「ただの格闘技の伝承者ですが」
まあ、隠しておいても仕方がないだろう。
私はある長きにわたって伝承されている格闘技、それも実戦型の伝承者である。
一子相伝とかではないのだが、私の両親はそういうのに興味がなく。祖父が私に伝承したのだ。
その過程でむっちゃくちゃに体を鍛えたし。
計画的に食事をして体を強くしたので。
気がついたら、オリンピックで普通にてっぺんとれるくらいの格闘戦能力が身についていた。
それだけの話である。
「ただの格闘技の伝承者が、いくら何でも色々関わりすぎだと思うのだけれど。 何か妙なことをしていないでしょうね」
「そう言われても……」
「はあ、分かったわ。 ただし貴方監視がついている事を忘れないで」
それは気付いている。
斑目があの号泣会見をした直後くらいから、どうも公安らしい警官が尾行してきている。
まあ私としては何も悪さはしていないので、堂々としているし。
夜とかには、見張りについている警官に背後から挨拶して、差し入れをしたりしている。それで警察も、目を白黒させているようだ。
どうでも良いことだが。
とりあえず解放された。
竜司と杏が待っていてくれた。
「災難だったな。 変質者に絡まれたんだろ。 ナイフまで持ってたって」
「物騒ね全く」
「いや、絡まれたのは新島生徒会長だ。 私は生徒会長がぼっこぼこにした相手を、完全に制圧したに過ぎない」
そういうと、二人は顔を見合わせる。
それから、数日後。
新島生徒会長が来て、今まで尾行して済まなかったと謝ってきた。別に謝られても困る。
それでまた偶然メメントスに新島生徒会長も巻き込まれて、あっさりペルソナがでた。
むしろこっちの方が意図的に起きているのではないのだろうか。
そうとさえ、私は思うのだった。
ちなみに金城ですが、あいつのイベントで新島生徒会長があっさりチンピラにつかまっているの納得いかない人も多いかと思います。あの戦闘力でなんでだろう……
ひょっとして怖い動画でも見せられたのかな?
それはそれとして、本作で金城が逃げていたのは、獅童が先に破滅した結果、検察も獅童を見限り、足きりにその財源だった反社を潰したからです。結果金城は行き場がなくなり、よりにもよって逃げている途中で、原作と違ってデバフが掛かっていない状態の世紀末覇者先輩に遭遇しぶちのめされ、更にはそれをも超える実力を誇る主人公に粉砕されてしまったのです。