気が付いたら真っ暗闇にいたよ!?って話です。
分裂〜そして転移〜
『全員逃げろぉ!!!』
視界に映る世界の全てが、白く染まる。
そんな世界の只中で、
……しかし悲しきかな。
俺の叫びとは裏腹に、足元から出現したその白光は、あっという間に俺と俺の周りにいた子達を飲み込んでいく。
ふと、目には見えない
……いや、もっと分かりやすく言おう。
俺、幽体離脱してね?(汗)
光に包まれて
……ダ、ダメだ、頭がゲシュタルト崩壊を起こしそうだ。
あ、ちょま、何なのこの抗いがたい力はぁ!?
普段ならゴリ押しで何とか出来るはずなのに、あ、やだ、やめて、向こうの俺が白なら俺は黒い世界に……。
うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?
人生は、ジェットコースターだぁぁぁぁぁぁ!!!
「うあ"ぁぁぁ"ぁぁ"ぁぁ―――あ?」
な、なんだぁ此処は……?
右を見る。
左を見る。
見上げる。
見下ろす。
振り返ってみる。
……暗い。暗いにも程があるぜよ。
取り敢えず、手近なところを触ってみる。
ゴツゴツの手に収まる感触……石だなこりゃ。
色んなところをさすりまくってみる。
……岩場、そして多少の湿り気。
間違いない。多分ここ洞窟だ。
それと同時に、どうやら触覚は機能することに気付き、ホッと胸を撫で下ろす。
目鼻耳が利かずとも、触っている感覚さえあれば敵襲が来ても最低限対処できそうだ。良かった良かっ―――
……ん?
なんだこの……右手に伝わる水風船っぽい感触は?
ん、んん?……さっきまでこんなもの、あったかなぁ?
『……んぎぃぃぃ!?ダメダメ死んじゃうぅぅぅ!!』
「わっ!?」ポイッ
ベチャッ『へぶっ!』
び、びっくりして投げちゃった〜!
なんか急に頭の中に声が響いたと思ったら、もしかして、あの水風船が喋ったのかしら……?
……あ、どんどん目が慣れてきたや。
やっぱりね、此処は洞窟だったワケだ。
で、俺がさっき投げた水風船は……壁の染みになっとる。
あぁ俺はなんてことを……水風船っぽいとはいえ、俺は罪もない子を壁の染みにしてしまったのか……。
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……せめて来世に期待してください。
『うごぉぉぉ壁に当たって超痛―――くない?』
《解。痛覚無効耐性を獲得しているため、痛みは発生しません。物理攻撃耐性スキルによるダメージ軽減が適用されました。身体損傷率は97%です。モンスター〝スライム〟固有スキル『自己再生』が発動しました。ユニークスキル『捕食者』での補助を行いますか?》
?……??………???
なんだこの……珍妙なやりとりは?
俺の頭の中で、二人の人物がコントをしている。
一人は、物凄く人間臭い反応をする誰か。
……それはおそらくあの水風船なのだろう。
そしてもう一人だが、これが分からない。
……一応辺りを見渡すが、俺と水風船以外は誰もいない。
もしかして……あの水風船の脳内彼女だったりして。
……ハッハッハ、そりゃあ流石にないかぁ。
とはいえだ、聞いた感じ言葉は理解るし、何なら意思疎通もこなせるんじゃないかなぁ?
……やってみるか、ファーストコンタクト。
「やぁ。初めまして」
『そりゃあ勿論〝NO〟で―――え、どなた?』
喋る知性を持つ水風船……スライムとの交流が始まった。
やぁ。俺の名前は三上悟。37歳のナイスガイだよ。
後輩に彼女を自慢されて軽く怒りを覚えていた時に、たまたま現れた通り魔から後輩を庇って、そんで代わりに刺されて死んでしまった可哀想な男だ。
……よし、覚えてる。
大丈夫大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない……そう思っていた時期が、俺にもありました。
何も見えないどうしよう?なんて途法に暮れる間もなく、俺はいきなり大ピンチに陥ってしまったのだから。
突然頭……頭というか体?を鷲掴みにされて、万力の如き力で強く握りしめられたと思う。
不思議と痛みはなかったんだけど、通り魔に刺された時と同じような感覚に陥ってしまったのだ。
つまりは、避けられない〝死〟
……それを察知した瞬間、俺は声無き声を張り上げた。
『……んぎぃぃぃ!?ダメダメ死んじゃうぅぅぅ!!』
自分でも不思議に思うほどに柔らかくなった体をブンブンと振り回して必死に抵抗を行う。
そしたらさ、いきなり何かとぶつかったワケよ。
何をされたのかイマイチ分からなかったけど、俺は多分壁か地面に投げ飛ばされたんだろうなと直感した。
『うごぉぉぉ壁に当たって超痛―――くない?』
《解。痛覚無効耐性を獲得しているため、痛みは発生しません。物理攻撃耐性スキルによるダメージ軽減が適用されました。身体損傷率は97%です。モンスター〝スライム〟固有スキル『自己再生』が発動しました。ユニークスキル『捕食者』での補助を行いますか? YES/NO》
突然、俺の脳裏に声(女声っぽい)が響いた。
は?……何、何だって?
ユニークスキル『捕食者』……だと?
てか、この声は何だ?
後輩との会話の最中にも、変な声が聞こえてたような気がしたが、気のせいではなかったのか?
誰かいるのか?……だが、違和感がある。
これは、誰かいるというより……心に言葉が浮かび出ているだけという感じ。
人の意思を感じない。……パソコンの自動音声のような無機質な感じと言えばいいのか。
取り敢えずNO!だ。
何と言っても、俺はNOと言える日本人だしな。
「やぁ。初めまして」
『そりゃあ勿論〝NO〟で―――え、どなた?』
その時になって初めて、俺は俺以外の誰かがその場にいることに気が付いた。
まぁよくよく考えてみればそうだ。
さっき体を掴まれたもん。
「やぁ。聞こえているかな?……さっきは壁に叩きつけて申し訳なかったね」
『あ、いえいえ。こちらこそ驚かせてしまって……』
ってか、壁に叩きつけたんか〜い!
酷えなとは思いつつも、頭の中に直接響く声の主(声の低さから十中八九男性)の申し訳なさそうな雰囲気に当てられ、俺も頭を下げ……あれ、頭ちゃんと下がってるよな?
……ダメだ。何を言われているのか理解るのに、直接見ることが出来ない。
「俺はレイタロウ。どうしてかは分からないけれども、いつの間にか右も左も分からない場所に居たんだ。君ももしかして……?」
『えっマジで!?』
思わず素が出てしまったが、こればかりはしょうがないと思う。
確かに俺は死んだ。
……そう思っていた矢先に、俺もよく分からない場所に居たんだ。
それでも、それでも天は見放さなかった。
こうやって同じ
全っ然、姿が見えないけど!
スライムが負ったダメージ内訳↓
にぎにぎされた時:89%
壁に叩きつけられた時:8%
……スライム生最大の危機が過ぎ去ったとも言う。
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