転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

111 / 111

ルミナス様が降臨するよって話です。


神と魔王

 

 

「魔王レイタロウよ、迷惑をかけたようじゃな」

 

「それほどでもないさ。ま――ルミナス」

 

 

ヤバいヤバい。

魔王、だなんて言わないほうが良さそうだなぁ。

 

空間を割くように現れた巨大な門。

そこから現れた特徴的な銀髪と金銀妖瞳(ヘテロクロミア)の美しい少女。

 

誰あろう、夜魔の女王(クイーン・オブ・ナイトメア)ルミナス・バレンタインその人がやって来たのである。概(・)ね(・)予(・)想(・)通(・)り(・)に(・)。

 

 

「げ、げぇッ!?」

 

「貴女は、貴女様は――ッ!!?」

 

「なぜ貴女様がこのような場所へ……」

 

 

見るからに〝七曜〟達が怯えていた。

驚愕し、そしてそれ以上に萎縮して、その場に跪く。

 

そして、そのルミナスより先に外に出て彼女の手を取っている男が、魔王ヴァレンタイン……の双子の兄である法皇役のルイ・ヴァレンタイン。

 

ルミナスの影武者を務めていた弟のロイと比べても、その顔立ちは一目見ただけでは判別がつかない。

 

さて、それはそうとルミナスはどう出るのかな?

迷惑をかけたという言葉から察するに、争うつもりがないのは雰囲気から見てもわかるけども……。

 

と思っていると、法皇役のルイが口を開いた。

 

 

「控えよ。余は法皇ルイである。そして、こちらにおわす御方こそ我らが神――ルミナス様であらせられるぞ!」

 

 

よく通る声で、そう宣言した。

聖騎士達の反応は、それはもう凄かったよ。

 

名前を聞いただけで即座に跪いたんだもの。

 

 

「ル、ルミナス様!?」

 

「あの方が……神!?」

 

「嘘だろ、おい……」

 

「フリッツ黙って!」

 

 

これで印籠とかを掲げていたら、それこそ何処ぞの隠居した副将軍そのまんまである。

そんなふうに呆れ気味に思いつつも、俺はそのまま成り行きを見守ることにした。

 

しかし、魔王が神を名乗るとはね。

……いやね?火付け役と火消し役を両立するのは支配者側からしたら効率的ではあるけど、大胆でもあるなぁと思いもするワケなんですよ。

 

有り体に言ってマッチポンプも良いところだけど、人間を支配する上で宗教をプロパガンダに使う手法は極めて効率が良いのかもしれないなぁ。

 

いや、真似はしないけどね?

 

しかし聖騎士達の様子から推し量るに、その事実は彼らにも伏せられていたと見ていいだろう。

というかそもそも、神が実在していたことすら知らなかったようだしねぇ。

 

下手にバラしたら禍根を残しそうだな。

やっぱ魔王って言わないでおいて正解だったようだ。

 

 

「……ヒナタ。自重せよと申し付けたであろうに、勝手な真似をしおって」

 

「……申し訳ございません、ルミナス様」

 

 

消耗しながらも、綺麗な片膝をついて頭(こうべ)を垂れるヒナタを険しく見つめるルミナス。

 

 

「えいっ」

 

「あぅ……」

 

 

今回の件を猛省しているであろうヒナタの頭部に軽くチョップを叩き込み、普段からクールな彼女に可愛い悲鳴を上げさせた。

 

 

「大方、彼奴(あやつ)めに手心を加えられておったのであろう?」

 

「っ、はい……」

 

「そなたらしくもない。あぁ全く、本当に腹立たしい。そなたを失っていたらと思うと、それだけで腸(はらわた)が煮えくり返りそうよ」

 

「返す言葉も、ありません……」

 

「……しかし、それ以上に許せぬ愚か者共がいる」

 

 

そう言ってルミナスは、先程から地べたに這いつくばって動かない七曜達を見下ろし、重々しく口を開いた。

その身から怒りの妖気(オーラ)を噴出しながら。

 

 

「……さて七曜よ。此度の件、どのように言い訳するつもりじゃ?」

 

「ル、ルミナス様!!これには事情があるのです!!」

 

「そうです!若輩者に身の程を教えようと……ッ」

 

 

うぅ〜ん、七曜はこの時点でもう用済みだから、何なら俺の手で葬り去っても良かったんだけど……。

……まぁいいか、ルミナスがどう始末をつけるのか気になるし、このまま見学させてもらいましょ。

 

堕ちたる英雄に神からの神罰が下されるってのも、中々乙なもんだよね。

 

その時、ディアブロから報告が届いた。

 

 

『……レイタロウ様、終わりました』

 

『ディアブロか。首尾のほうは?』

 

『クフフフフ……全て予定通りに』

 

 

随分ご機嫌だね、ディアブロ。

まぁ何はともあれ、大体の問題は片付いたようだねぇ。

 

 

『宜しい。落ち着いたら一度報告に戻って来い。〝三巨頭(ケルベロス)〟の処遇についても話し合わねばな』

 

『承知しました。その時を楽しみにしております』

 

 

そう言い残し、ディアブロは『思念伝達』を終えて任務に戻っていった。

ディアブロの冤罪も無事に晴れたようだし、それなら俺の目の前で小便をチビっている七曜達の処遇に口を出す必要はないな。

 

そう考えていると、即決で判決が出たようだ。

 

 

「死罪じゃ。せめて妾の手でそなた達へ死を手向けよう」

 

「お、お慈悲を!……私共はルミナス様の御為に」

 

「我らの長き忠誠に免じて、何卒……ッ」

 

 

みっともなくルミナスに縋ろうとする七曜達であったが、その願いが聞き届けられることは無かった。

 

 

「―――死せる者への祝福(デスブレッシング)!!!」

 

 

ルミナスが両腕を広げるなり、見えざる神の手が七曜達を優しく包み込む。

それはルミナスなりの、配下への最期の慈悲なのだろう。

 

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!!」

 

「ルミナス様、ルミナス様!!」

 

「どうかお慈悲を……ッ」

 

「どうか―――」

 

 

慈愛に満ちた抱擁……傍目から見るとそうとしか思えなかったが、生者を死者へと変える残酷な権能らしい。

魔王ルミナスの力の一端を垣間見た思いである。

 

 

「「「 あっ…… 」」」

 

 

俺達を陥れようとした七曜達は、苦しみもなく、酷くアッサリと滅びの時を迎えたのだった。

……ていうかボロ炭のごとく散って逝ったよ。

 

それを望んでいたとはいえ、終わりは呆気ないものだ。

こうして舞台は、今後の付き合い方を探る交渉の場へと移るのであった。

 

 

 

 

 

「うおっ!?なんだこの布……ローブか?我の趣味ではないな」

 

 

あ、ヤバい、なんでこんな絶妙なタイミングによりにもよってヴェルドラさんが来るんだよ?

見てご覧よ、ルミナスの目つきが怖くなっておられるぞ!

 

急に現れたヴェルドラさんに、リムルさんが詰める。

 

 

「おいコラ、お前には町の最終防衛ラインを頼んだだろ?」

 

「おうとも、気合を入れて待っておったぞ。……だというのに敵の気配は一向に近付いてこんし、暇だから索敵の範囲を広げてみれば覚えのある魔王の妖気(オーラ)があるし」

 

「いや、それは……」

 

 

マズいな。今後のルベリオスとの付き合いを考えると、秘密をバラして関係を悪くするワケには……。

 

 

「え、魔王……?」

 

「ッ……」

 

「いま魔王の妖気(オーラ)って……」

 

「魔王レイタロウのではないか?」

 

「話の流れ的に別の魔王じゃ……」

 

 

あ、ヤバい。

聖騎士達がざわつき始めたぉ。

 

 

「ヴェ、ヴェルドラさん、ちょっと話が……」

 

「む、おお、なんだ貴様か。魔王達の宴(ワルプルギス)以来だな!我(われ)が城を吹き飛ばしてやった女吸血鬼(ヴァンパイア)……夜魔の女王(クイーン・オブ・ナイトメア)、魔王ルミナス・バレンタインよ!」

 

「「( バカ―――――――――ッ!!! )」」

 

 

リムルさんと心が一つになった瞬間である。

あーあ、俺もう知ーらねッ。

 

 

「どうだ?あの時は名前を間違えちゃったが、今度は二つ名からフルネームまで完璧だぞ?」

 

 

沈黙する聖騎士達。

いま言われたことが理解できなかったのだろう。

 

ヒナタは知っていたのか頭に手を当てて溜息をついているし、ルイにいたっては我関せずを貫いていた。

 

本当にやれやれだよぉ……。

やっぱりヴェルドラさんはトラブルメーカーだなと、再認識するに至った。

 

 

「このッ……クソトカゲがッ、毎回毎回妾の邪魔をしおって―――ッ!!」

 

 

一応懸念していた全面戦争は、まだ回避しきれていないのかもしれないなぁ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暖炉の火で暖かい部屋の中にて。

 

 

「おのれ、ニコラウスめ……ッ」

 

 

重厚感あふれるゆったりとした椅子に腰掛けて瞑想していたグランベル・ロッゾは、そう呟いて目を開いた。

 

脳裏を焼き尽くすは〝霊子崩壊(ディスインテグレーション)〟の眩い光である。

 

 

「(精神体(スピリチュアル・ボディー)を憑依させた日曜師(グラン)を失った。これで神ルミナスの名を利用することは適わなくなったワケか……)まさか霊子崩壊を事前に仕込んでおくとは……」

 

 

聖なる場所……〝奥の院〟にて。

七曜の老師の長たる〝日曜師〟グラン、即ちグランベル・ロッゾが精神体を憑依させた依り代は、同僚の帰還を待ちわびていた。

 

しかし、待てども待てども連絡がつかない。

ヒナタ抹殺計画に綻びが生じたと連絡してきた火曜師(アーズ)からの緊急応援要請に応じ、月曜師(ディナ)と金曜師(ヴィナ)が出陣したものの、その後の連絡が途絶えている。

 

そして、問題は重なるものだ。

あり得ざることに、念入りに加工・修正を施しておいたはずの水晶球が、どういうワケか加工される前のありのままの映像を保ってそのまま報道陣に晒されてしまったのだ。

 

これには土曜師(ザウス)も半狂乱になりながら報告してきており、慌てて水曜師(メリス)と木曜師(サルン)を派遣して目撃者の抹殺に当たらせることにした。

が、しかし、そんな彼らからの報告も無かった。

 

何をしておるのだ……と声にして苛立っていたその時、自分の依り代にトドメを刺した男、ニコラウス枢機卿が現れたのだ。

 

そして、自分が細工を施した水晶球を復元され、言い逃れできない状況に追いやられてからの不意打ち〝霊子崩壊〟を受けて現在に至る。

 

あれがもし本体だったらと思うと……。

怒りを感じるとともに肝を冷やしたグランベルは、一息ついて気持ちを落ち着かせた。

 

 

「……御爺様」

 

「あぁ、どうしたんだい?……マリアベル」

 

 

その時、自分と同じ部屋にいた少女から声がかかる。

 

 

「さっきグレンダが戻ってきたわ。自分の見たものが信じられなかったみたいなのよ。御爺様には、少し頭を整理してから報告に来るみたい」

 

「そうか(……やはりそちらも失敗か。既に土曜師(ザウス)らの反応は一つもない。あの悪魔相手に手も足も出なかったということだろう)」

 

「それだけじゃないわ御爺様。……彼女、戦線離脱した後潜んで様子を見ていたようなのだけど、エドワルド王は報道陣の前で退任を表明、次の王位には英雄ヨウムが就く流れになったらしいのよ」

 

 

結局はあの悪魔(ディアブロ)の思い通り……。

否、その主である魔王レイタロウの思惑通りになったのだとグランベルは悟る。

 

そして、最愛の孫娘(マリアベル)が予言する。

 

 

「あの魔王の町は危険よ。……危険だわ」

 

「魔都リムルか。危険というのは天使の襲来のことかね?」

 

「いいえ、違うわ御爺様。あの魔王は経済で世界を支配するつもりなのよ。……それはまさに、私達ロッゾ一族が成そうとしていること」

 

「まさか……新参の魔王がそこまで考えていると?」

 

「本当よ。本当にそうなるわ。……だからこそ潰さなければならないの」

 

 

マリアベルの言葉に嘘はなかった。……今(・)ま(・)で(・)は(・)。

だからこれからも、その言葉には聞くべき価値がある。

 

 

「なるほど、お前がそう言うのなら、そうなのだろうね」

 

 

少女の名はマリアベル・ロッゾ。

グランベル・ロッゾ直系の子孫にして……。

 

 

「えぇ、次こそは必ず潰してみせるわ。この私〝強欲〟のマリアベルの名に懸けて!」

 

 

……転生者。

異世界の知識と類希なる力を有する、ロッゾ一族の希望なのだから。

 

マリアベルがいる限り、ロッゾ一族に敗北は無い。

そう考えて、グランベルは再び野望の火を燃やし始める。

 




グレンダ「いつの間にかお尋ね者にされていた。ピエン」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

転生したらスライムだった件forDevil May Cry(作者:サイトーサイト)(原作:転生したらスライムだった件)

▼現世にて死んでしまったサラリーマン 「松野恭二」しかし彼は生まれ変わり 「半人半魔」として 悪魔たちの王となった....これは彼の周りに起きる 様々な戦いの記録である....!!▼載せきれなかったタグ▼他の転生者あり(ほんの少しだけ登場する。)


総合評価:444/評価:7.5/連載:25話/更新日時:2026年11月01日(日) 00:00 小説情報

気まぐれで原初を育てたら溺愛されました(作者:礼夢)(原作:転生したらスライムだった件)

超能力者の私が偶然拾って世話をした卵が、▼まさかの原初の悪魔のもので…!?▼自由気ままに転スラ世界、満喫してやるぜ


総合評価:536/評価:8.38/連載:26話/更新日時:2026年11月03日(火) 15:39 小説情報

無個性として転生したので、仮面ライダーになります!(作者:姫神ららか)(原作:僕のヒーローアカデミア)

▼生前にて、全ての男が通ったであろう物に憧れを抱いた少年がいた▼仮面ライダー!それは全ての少年たちの心を掴んだもの!▼そして、大人にまで成長し、立派な社会人となったが...▼幼少期からの憧れである仮面ライダーになりたいと思い、電子系や制作系、工学系など、あらゆる物に手を出して、仮面ライダーを完成させようと夢見ていたが...▼ある子供が車に轢かれそうになったの…


総合評価:683/評価:6.35/連載:30話/更新日時:2026年11月04日(水) 21:10 小説情報

転生したら吸血鬼だったんだけど何か違う件(作者:五月雨と狐)(原作:転生したらスライムだった件)

▼ とある高校生「進藤凪沙」は幼馴染を庇って死んでしまった!▼ 気づいたときにはそこは洞窟で!?▼ 作者の思いつきで作られた二次創作!▼ いつまで続くか分からないぞ!▼ 追記▼ 感想見ればわかるけど、この二次創作は読みにくいぞ!なになら変な所で改行があるらしい…。 ▼ 現在修整中なのでなにやらおかしいと思ったら感想よろしく!(露骨なコメ稼ぎ)▼


総合評価:2491/評価:8.62/連載:36話/更新日時:2026年09月23日(水) 09:11 小説情報

白翼の機械人形になった転生者は海賊(人助け)をしながら、世界を見守る。(作者:キング・クリムゾン!!)(原作:ONE PIECE)

とんでもなく長い話にする予定なのでどうかよろしくお願いします。


総合評価:790/評価:6.86/連載:41話/更新日時:2026年10月12日(月) 13:55 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>