転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

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ドワーフの国に行くよ!って話です。


ドワーフ王国へ

 

 

リグルドが色々と支度を済ましてくれたおかげで、昼頃には出立する準備が整った。

 

ドワーフの王国に向かう者の選抜も抜かりなく行ってくれており、自分の息子であるリグルを筆頭に計5組。

 

あとは、リムルさんとランガ、俺ことレイタロウである。

 

……ところで、息子(リグル)には隊長としての仕事を任せなくてもいいのかねぇ?

 

ちょっと心配になったけど、本人達は納得している様子だったし、リグルドも若返った感じでやる気に満ちているし、俺が心配しすぎてるだけかもしれないねぇ……。

 

 

 

 

 

荷物を受け取ったリムルさんは、颯爽とランガの背中に乗ってその毛皮を満喫していた。

 

ちょっと羨ましい気もするけど、俺がほかのワンコ達に触ろうとするとランガ(父)がメッチャ嫉妬してくるから中々触りにくいんだよなぁ……。

 

ちな、俺の専属ワンコになったランガ(父)は、体長五十メートルを超える怪獣ワンコになってしまって、正直とっても扱いに困っています。

 

普段はスキル『影移動』によって俺の影の中に潜んでおり、俺が治癒を使えることをいいことに、その毛皮を少々()()させてもらって簡単な衣服を作ったりなど割とWin-Winな関係を築けている……と思いたい。

 

……そう、俺は既に(ふんどし)一丁じゃない。

黒い毛皮のワイルドでゴージャスな腰布を作ってみたのだ。やったね!

 

……まぁまだ腰布だけで、上裸なんだけどね。

 

それはそうと、リムルさんに託した荷物の中身は、お金と食べ物だ。

 

食べものは三日分。

 

それ以上日数がかかるなら、自給自足をする予定だ。

 

日持ちするのを持って行っても良かったが、嵩張るのを避けたい気持ちもあった。

 

魔法のウエストポーチがあればいくらでも持てるだろうけれど、無いものは仕方ない。

 

これから会うドワーフともその辺の交渉がしたいものだ。

 

水と酸素があれば最悪食事を摂る必要が無いからこそ、冷静に判断できたことだけどね。

 

お金は、銀貨が七枚に銅貨が二十四枚。

……まぁ間違いなく、大した額じゃないよねぇ。

 

いざとなれば〝創造〟で生み出せるが、あとは着いてからどうするか考えよ。

 

そんじゃ、出発(デッパツ)だぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドワーフの王国は、ゴブリンの足で歩いて二ヶ月の距離にあるそうだ。

 

森の中を流れるアメルド大河。

 

これを辿っていくと、山脈に出るのだとか。

 

その山脈に、目指すべきドワーフの王国がある。

 

東のほうにあるという帝国と、ジュラの森周辺にあるらしい複数の国家。そして、この間を隔てるのが、カナート大山脈である。

 

故に、貿易するルートは三つに大別される。

 

一つはジュラの大森林の中を通り抜けるルート。

 

そしてもう一つが、大山脈を越えていく険しい登山道。

 

最後に海路。

 

本来、ジュラの大森林の中を通り抜けるルートが最も最短で安全なのだが、どういうワケか利用されていない。

 

主に、大山脈を越えていく険しい登山道が主流となっている。

 

海路についてはコストがかかる上に、海の魔物の脅威もあるらしい。故に、最も利用の少ないルートだそうだ。

 

今回は帝国に用事があるワケではない。

 

東に森を抜ければ帝国だが、北上してカナート大山脈を目指すのだ。山頂まで登る必要はない。

 

ドワーフの王国は、アメルド大河の上流部であるカナート大山脈の麓に、その領土を構えている。

 

山脈の、自然の大洞窟を改造した美しい都。

 

それがドワーフの王国なのだ。

 

 

 

 

 

……んで、俺達は予定通り、アメルド大河に沿って北上していた。

 

川に沿っての移動なので迷うこともない。

 

念のため、リムルさんを介して『大賢者』に命じ、脳内に地図を表示させているけどねぇ。

 

案内は、一度ドワーフの王国に伝令に行ったことのあるゴブタに頼んだ。

 

俺の横を並走して走っている。

 

しかしまぁ、嵐牙狼族(テンペストウルフ)に進化したワンコ達だけど、ホントに早いねぇ!

 

ゴブリンの村を出発しておよそ三時間になるけど一度も休憩を入れていない。……にも関わらず、時速八十キロ近い速度で走り続けている。

 

凸凹した岩場とかもあったがお構いなし。

 

乗っている者を振動で疲れさせない走り方をした上で、である。

 

()()()()()()()()()()()()()()なんて、ホント理想的な進化をしたもんだねぇ。

 

このペースだと一週間もかからないかもしれない。

 

まぁ無理せず行けばいいさ。

 

衣服や住処は早く用意しておきたいところだけどね、慌てても仕方ないから。

 

 

「おーい、あまり無理はしなくていいぞー。そろそろ休憩するかー?」

 

 

……などと声をかけると、何故か若干速度が上がった。

 

この三時間、バイクよりも早いスピード感や流れゆく風景を楽しんでいたワケだが、流石に飽きてきた。

 

 

『レイタロウさん。どういうワケか習得していた『思念伝達』スキルで回線を繋いでみたぞ』

 

『おっ、よく聞こえるねぇ!』

 

 

この速度で会話をするのは至難の業だったが、リムルさんには『思念伝達』というスキルがある。

 

元は牙狼族のスキルらしかったけど……あれ、そう言えばリムルさんって牙狼族を捕食してたっけ?

 

……まぁいいや。皆で仲良くお喋りしながらこの旅行を楽しむとしよう。

 

そう思い、皆と思念のネットワークを組む。

 

さてはて、何から聞こうかなぁ……。

 

 

『リグル。君のお兄さんは、誰に名付けをしてもらったんだ?』

 

『はっ!兄は、通りすがりの魔族の男に名付けて貰ったそうです』

 

『魔族がゴブリンの村に来たのか?』

 

『はい。十年前ほどになります。私がまだ子供の頃に……村に数日滞在し、兄に見どころがあるから、と』

 

『……いい兄だったんだな』

 

『はい!自慢の兄でした。その魔族ゲルミュッド様もいずれは自分の部下に欲しい!とおっしゃって下さったほどです』

 

『その時、連れて行かれたりしなかったのか?』

 

『はい。兄もまだ若かったですし、何年かしてより強くなった頃にもう一度来るとおっしゃって旅立たれました』

 

『そうか。まぁ今度来たら、様子が変わりすぎてビックリするかもしれないな』

 

『そうですね!……しかし、今はレイタロウ様とリムル様に仕える身。栄えある魔王軍とはいえ、ゲルミュッド様について行くことは出来ませんが!』

 

 

魔王軍、かぁ……。

 

魔物がいるくらいだし、居ても不思議じゃないよなぁ。

 

やっぱりやっちゃうのかな?……世界征服とか。

 

でもその場合、俺はどっちの味方をすればいいんだろ?

 

……いま考えても仕方ないことだな。

とにかく目の前のタスクをこなさねばなるまいよ。

 

 

『魔王軍あったんだな。……というか、誘ってくれるのかも分からないのに、随分自信があるようだな』

 

『ええ。自信というか、確信です。兄もネームドとして進化しておりましたが、ここまでは変化しておりませんでした。明らかに進化の格が違います。世界の言葉など一生聞くことは無いと思っておりました!』

 

 

周りで話を聞いていたゴブリン達も、そうだそうだ!とばかりに頷いていた。

 

そんなモノなの?

 

名前を付けたら進化する。

……ただし、名付け親によって進化の程度も変化すると。

 

今度もし、比べる機会があったなら実験してみるかな。

 

 

 

 

 

そんな感じで話をしながら旅をする。

 

途中、魔物に襲われたりといったイベントは発生せず、順調に行程を進んでいた。

 

三時間毎に三十分休憩を挟み、十四時間経過したら七時間の睡眠時間を含めた休憩を取った。

 

ちょっと急ぎすぎじゃない?と言ったんだけど……。

 

 

「大丈夫です!進化のおかげか、我々もそれほど疲れなくなっております!」

 

 

と、リグルが答え……。

 

 

「我らのことは心配なさらないで下さい!我が主(リムル様)のように睡眠が不要なワケではありませぬが、長時間は必要ありませぬ!食事も頻繁に必要というワケではなく、無くても支障はありませぬゆえ!」

 

 

などとランガも追随して答えた。

 

ほかの皆の様子を見ても、やる気に満ち溢れている。

 

これじゃあちょくちょく休もうとする俺が、一番やる気がないみたいに見えちゃうじゃないの。

 

 

「(レイタロウ様は我らの速さに平然と合わせられるほどの健脚をお持ちだ。ややもすれば、我らよりも早く目的地に辿り着かれるかもしれぬ。悠長にしていられん!)」

 

 

まぁ皆のやる気があるのなら、とそのペースで進むことにした。

 

一日に十二時間くらい走り続けていることになるが、皆ホントにタフになったねぇ。

 

 

 

 

 

二日目の終わり。

 

就寝前の食事を摂っている時に、案内役として駆り出されたゴブタにあとどのぐらいでドワーフの国に辿り着けるか聞いてみた。

 

 

「は、はいぃぃ!!!……恐らくですが、明日には到着出来るかと思います!大分山が大きく見えておりますので!」

 

 

俺に声をかけられ、緊張半分喜び半分で焦ったのだろう。 

 

舌噛んだ?というくらい大慌てで返事してきた。

 

なるほどね。言われてみれば、山が大きく見えている。

 

昨日まではその姿も見えていなかったのだが、とんでもない移動速度だ。

 

 

「ところでゴブタ。君はドワーフの国に物々交換しに行ったんだよな。……どんなところなんだ?」

 

「え、ええっとッスね。正式には武装国家ドワルゴンって言うッス。天然の大洞窟を改造した美しい都……は言ったッスね。ドワーフだけじゃなくてエルフや人間もたくさんいるッス」

 

「エルフ!?エルフもいるのか!!?」

 

「そ、そうッスよ。リムル様」

 

「うっひょー!テンション上がってきたー!」

 

 

ドワーフだけじゃなくてエルフまでいるんだ。

 

ホントにファンタジーなんだなぁ……。

 

 

「……そんなところに、俺達みたいな魔物が入って大丈夫なのか?」

 

「心配はいりません。ドワルゴンは中立の自由貿易都市。王国内での争いは王の名において禁じられております」

 

「ほうほう……」

 

「エルフ……エルフ……♪」

 

 

聞けば、ドワーフの王様が率いる軍はこの千年無敗を誇るのだとか。

 

そりゃあそんな武勇伝がある王様と正面切って戦いたいとは思わないわなぁ。

 

治安に関しては保障されてると……メモメモ。

 

 

「エルフッ♪エルフッ♪」

 

「……こちらからちょっかいをかけない限りは問題なさそうだな」

 

「自分が行った時は門の前で絡ま「問題など起こりませんとも!」

 

 

……なんか盛大にフラグを踏み抜いた気がするけど、ゴブタが頼りないだけの話かもしれないし、俺が直接行けば大丈夫だよな。

 

仕舞いにドワーフの人柄について軽く触れ、今日はその場で野宿することにした。

 

片方の脳みそを交互に休ませながら、ずっと周囲の警戒をしていたけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、旅に出てから丸三日が経過した。

 

カナート山脈の麓に広がる牧草地。

 

山脈の、自然の大洞窟を改造した美しい都。

 

大自然が創造した、天然の要塞。

 

その名を、武装国家ドワルゴン。

 

 

 

 

 

そうつまり、ドワーフの王国に到着したのだ!

 




ランガ「(は、速すぎる、レイタロウ様、ちょっと待ってくださ―――)」

レイタロウ「休憩にする?」

ランガ「(う、うぉぉぉ!!負けていられない!!)」
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