転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

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約束は守らせるよって話です。

皆様の応援のおかげで高評価をいただくことができました。これからも頑張って書いていきますので、応援のほどよろしくお願いいたします。


約束の行方

 

 

「「 打ち上げぇ? 」」

 

「あぁ。レイタロウの旦那のおかげで無事に納品できたんだ。ご馳走させてくれや」

 

 

どうもどうも。俺は真っ黒黒なリザードマン(嘘)ことレイタロウと申します。

 

今の状況を簡単に説明すると、魔鋼の芯が入った十九本の剣を鍛冶師のカイジンさんに差し上げ、それでお礼として飲みに誘われている真っ最中なのです。

 

勿論、無償の善意ではない。

……ゴブリンの村での技術指導という条件を呑ませた上でのお仕事だ。

 

まぁ結局、手土産として持ってきた金銀銅鉄の延べ棒が無用の長物に成り果てたワケだが、結界オーライだね!

 

んで、冒頭に至る。

 

 

「えぇ構いませんよ」

 

 

飲みに誘われた以上、特に断る理由もないが、リムルさんが何とも微妙そうな雰囲気を漂わせている。

 

 

「……いいよそんなの。むさ苦しそうだし

 

 

案の定キッパリと断りを入れたリムルさん。

 

そんなリムルさんを説得するように、カイジンさん達が畳み掛けていく。

 

 

「まあまあ。綺麗なお姉ちゃんもいっぱいいるから!」

 

「そそっ。若い娘から熟女まで。紳士御用達の店なんだよ!」

 

「………!!」コクコクコクコク

 

「おいおい、リムルの旦那も来ないと始まらないぜ?」

 

「……しょ、しょうがないなぁ!そこまで言うなら付き合ってやらんでもないぞ(/////////)」

 

 

……やれやれ、分かりやすい人だホントに。

 

嫌だけどしょーがない!だとか、ホントに困った奴らだ!とか、いやー真面目な俺のイメージが壊れるわー本当に困る!とか、よくもまぁ言えたもんだよ全く。

 

そんな調子に乗ってると、いざ妻子持ちになった時にどえらいハプニングに巻き込まれちゃうぞ?

 

例えば……メシマズ属性持ちな嫁の飯を一週間食わされたりとかね。まぁそんなことあり得ないけど。

 

俺?……俺はずっと嫁一筋ですよ?

 

そもそも、陰キャな俺に夜の店なんてハードルが高すぎて無理なんスよ。

 

……はー、帰ってゲームやりてぇ。

 

あっ、ゲーム無かったわ。

 

 

 

 

 

店の名前は『夜の蝶』

 

夜でも輝きを放つ綺麗な(女性)がいるって意味なのかね?

 

そんなことを考えながら店に入ると―――

 

 

「あら〜!いらっしゃ〜い!!」

 

「「「 いらっしゃいませ―――!!! 」」」

 

「うっひょ―――!!!」

 

 

……あっ、リムルさんが跳んだ。

 

行く先?……そんなの決まっている。

 

綺麗どころが揃う、エルフの女性達の胸の中だ。

 

っていうか、まんまキャバクラやないかい。

 

 

「(FOOOOOOOOO!!!これがエロフ、いやエルフだぁ!!ちょっ、やっべー!服、薄―――いいぃ!あぁ見えそうで見えない、何なの!?全力で『魔力感知』を発動してるのに!!このお姉ちゃん達、見えそうで見えないラインを死守しておるわ!くっ、挑戦か?俺に対する挑戦なのか!?くそうくそう!!)」

 

 

リムルさん。『思念伝達』で俺の頭の中に怪文書を送りつけないでもらえる?

 

聞いてるこっちが恥ずかしいわ。

 

 

「うわ―――!可愛いぃ!」

 

「ちょっとぉ!ワタシが先に目ぇつけてたのにぃ〜!!」

 

 

……リムルさん、楽しそうだね。

 

俺はさ、人生初めてのキャバクラだから、平気そうにしてるけど、こう見えてメチャクチャ緊張してるのよ?

 

楽しそうに出来るリムルさんが羨ましいわ。

 

きっと、こういうのに慣れているんだろうなぁ。

 

夜の時間に徹夜でゲームしている俺にとって、あまりにも縁遠い世界が目の前に広がっていた。

 

 

「ねぇ。そこのお兄さんもこっちに来てぇ?」

 

「凄く逞しい筋肉。……素敵♡」

 

 

……ここは楽園かな?

 

今までキャバクラに通わなかったのがバカみたい。

 

 

「えーと、楽しんでくれてるみたいでなによりだ」

 

「……はっ、イヤ、ソレホドデモ?(/////////)」

 

「ハ、ハハハ……(/////////)」

 

 

いやはや、両手に花のこの状態じゃ、誤魔化しは効かないよなぁ。

 

まぁいいさ。今この時間を楽しもう。

 

……ちなみにゴブタは、リムルさんが粘糸で簀巻きにしてどこか適当な場所に放置してあるらしい。

 

子供だから何とか言っていたが、それはちょっと可哀想な気も……あっ、ちょっとお姉さん、腹筋なぞらんといてぇな(/////////)

 

 

 

 

 

「……いや本当、旦那には感謝しているんだ。おかげでドワーフ王への面目も立つ」

 

「……それは何より」

 

「お姉〜さん。もっとお酒ほし〜いな〜」

 

「もう、仕方ないスライムさん!」

 

「うははは……」

 

 

お姉さん方が代わる代わる酒を注いでくるもので、そのことごとくを飲み尽くしながら、酔って顔が赤くなっているカイジンさんの話に耳を傾ける。

 

ぶっちゃけ、俺もリムルさんも耐性のおかげで全く酔うことが出来ずにいたが、雰囲気だけで何となく酔いしれることが出来ていた。

 

リムルさんはお酒と言うよりお姉さん方に酔いしれてる気がするけどね……。

 

 

「しかし恐れ入ったよ。ただの鋼の剣に魔素を注ぎ込むだけで()()()()()()剣に変えちまうだなんてな」

 

「キャッキャ!……この張りのあるお胸は誰のだろ〜?」

 

「も〜スライムさんったら!」

 

 

カイジンさんの話によれば、魔鋼は魔鉱石の数%からしか採取できない超希少な素材とのことで、主に剣の芯に使われるのが一般的だ。

 

それが、芯どころか刀身や持ち手に至るまで、剣全体が魔鋼に変貌しているとなれば誰だって驚く。それが十九本もあるのだからカイジンさんの反応ももっともだ。

 

 

「……カイジンさんの打った剣だから出来た荒業ですよ。俺は魔素を吹き込んだだけです。あなたは間違いなく最高の職人だ。技術指導として招くことが出来て光栄に思う」

 

「分かったぞ!このお胸は……イザベラちゃんだ!」

 

「せいか〜い!ご褒美の……チュッ♡」

 

「っ〜〜〜〜〜(/////////)」

 

「っ、そ、そうだな。旦那との約束だ。それを破るワケにはいかん……」

 

 

文書に何か残しているワケではない。ただの口約束だ。

 

拘束力は皆無で、破るのは簡単。

 

……それ故に、義理堅いカイジンさんは苦悩しているのだろう。

 

 

「あくまで村にいるゴブリン達が技術を習得するまでの間、指導するのであって、この国から居場所を奪うような真似はしません」

 

「………」

 

「ねぇねぇスライムさん。これ、やってみない?」

 

「ん〜?何それ?」

 

「私これ得意なんだよ?……占い」

 

 

カイジンさんの苦悩が深まった。そんな気がする。

 

まぁそれもそうだ。

 

カイジンさんはこの国に根を張る職人であり、王様にも恩義を感じていることだろう。

 

本当に義理堅い人だから、俺も正直困らせたくない気持ちもある。

 

……でもね、約束を守ってほしい気持ちもあるワケよ。

 

 

「……俺の工房に、三人いただろ?旦那が助けてくれた、この三人だ」

 

「えぇ。……彼らも一緒に来てくれれば最高ですが」

 

「っ、ホントか!?」

 

「で、何を占ってくれるんだ?」

 

「そうねぇ……スライムさんの運命の人とか?」

 

「運命の人……ちょっとやってみて!」

 

 

俺が昨日助けたあの三人のことを話すと、途端にカイジンさんの顔色が明るくなった……気がする。

 

なるほどね、この三人が気掛かりだったワケか。

 

 

「そ、そうかそうか。そりゃ良かった!こいつら本当に不器用なもんだから、俺のいない店を回せるワケがねぇと思ってたんだ」

 

「お、俺達も来ていいのか?」

 

「じゃ、邪魔にならねぇか?」

 

「……?」

 

「邪魔どころか……腕に覚えのある職人はこっちから頼み込んで誘いたいと思っていたところなんですよ。なにせ何もかもが足りないもんですから……」

 

「あっ、映った」

 

「嫁か!?―――えっ?」

 

 

あともう一押しかな?……ってリムルさん。さっきから君、女の子とばかりお話しして全然絡もうとしないじゃないの。

 

水晶に見入っちゃってまぁ……。

 

なんか()()()()()()()()()()()()が映ってるけど、それがどうかしたの?

 

 

「……おい。その人もしかして、爆炎の支配者シズエ・イザワじゃねえか?」

 

「有名なのか?」

 

自由組合(ギルド)の英雄だよ。見た目は人間の若い娘さんだが、何十年も活躍してたんだ。……今はもう引退して、どっかの国で若手を育ててるんじゃなかったかな」

 

「「 英雄…… 」」

 

 

カイジンさんとの交渉もそこそこに、久しく聞いた英雄という言葉に感慨深い気持ちになってしまった。

 

俺はもうすっかり身も心も化け物になってしまったけど、英雄として生きた記憶は今もこの心に刻まれている。

 

……いや、いま考えてもやっぱり害獣駆除業者だったな。

 

 

「スライムさん、運命の人が気になるんだ?」

 

「え?……あっいや」

 

「ずるーい」プニプニ

 

「気になるっていうか―――」

 

 

カランカラ〜ン

 

 

「あら、いらっしゃい……」

 

「おい女主人(マダム)!この店は魔物の連れ込みを許すのか?」

 

 

……そんな時だった。

 

こちらめがけて喧嘩腰な言葉が投げかけられたのだ。

 

一瞬で周りが静かになった。

 

女の子達は、突然入店してきたその人のことを嫌っているのか、ちょっとだけ嫌そうな顔をしている。

 

ドワーフにしては珍しくスリム体型で長身だった。……と言っても、普通の人間と同程度の身長ではあったが。

 

 

「い、いえ、魔物といいましても、紳士的なスライムとリザードマンですし……」

 

「なにぃ?スライムやリザードマンは魔物じゃないとでも抜かすか!?」

 

「いえ、その様なワケでは決して……」

 

 

ママさんがのらりくらりと言葉を濁して怒りを逸らそうとしていたが、取り合おうとはしなかった。

 

明らかに向こうの目的は、俺達であるようだった。

 

 

「まずいな……大臣のベスターだ」

 

「彼が……?」

 

 

この人が、噂のベスター大臣と?

 

ふーん確かに、神経質そうではあるけれど……。

 

 

「ふん、魔物にはこれがお似合いよ」

 

 

……そう言って、あろうことかリムルさんに水差しの水をぶっかけやがったのだこいつは。

 

これには流石にカチンと来たが、ぐっと堪える。

 

リムルさんも、青筋を立てながらも我慢している。

 

相手は大臣だ。俺やリムルさんの短気でカイジンさんやこの店のママさんに迷惑は掛けられない。

 

 

「おや、カイジン殿。あなたもこの店―――ぶふぅ!?」

 

 

カイジンさんの右ストレートが大臣の左頬に炸裂する。

 

お見事!マトモに受けたくはないねぇ!

 

大臣のほうは、店内の備品を巻き込みながら無様に転がる形となった。ザマァ。

 

 

「よくも俺の恩人の友達にケチをつけてくれたな」

 

「き、きっ、貴様!誰に向かってそのような口を……!」

 

あ"ぁ"!?

 

「ひっ……お、覚えてろ!」

 

 

三下が言いそうなセリフを吐き捨てて店の外へ出ていった大臣。

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

……やっべぇ。マジやっべぇ。

 

今更だけどメッチャ怖くなってきたぉ……(震え)

 

 

「悪かったなママさん。店を汚して」

 

「それはいいけど……」

 

「良かったんですかカイジンさん?大臣を殴ったりすれば、この国でのあなたの居場所が……」

 

「なに、俺の帰る場所はあんたが用意してくれるんだろう?」

 

 

……義理を通すために、全てを失ってもいいと?

 

カイジンさん、アンタも大概不器用だねぇ。

 

 

「……でも、王様への義理はどうするんです?ずっと王様のために頑張ってきたんでしょう?」

 

「へっ、やっぱりそれを気にしてたのかい。恩人を蔑ろにしてお仕えしたところで王が喜ぶもんか。ここで応えなきゃ俺は王の顔に泥を塗っちまう」

 

 

……そうか。それがカイジンさんの答えなんだな?

 

分かった。分かったとも。

 

ならば俺も、誠意を示さなくちゃならないよな。

 

 

「レイタロウの旦那。確かあんた、腕のいい職人を探していたよな?俺じゃ不足かい?」

 

「……カイジン、君を歓迎するよ。その技をもって俺と、俺の配下に貢献してほしい」

 

「おう!」

 

「そうと決まれば、君の決断と忠義に主として報いる必要がある。……故に、俺の手の内の一つを開示しよう」

 

「ん?今度は何を―――ッ!!?」

 

 

右の掌に『気』を集中させ、()()()()()の〝創造〟を開始する。

 

……それはほんの数秒で完了し、俺の掌にスッポリ収まるサイズの延べ棒が生まれた。

 

カイジンさんをはじめ、店内にいた男女があまりの衝撃に言葉を失っている。

 

平然としていたのは、例の如くリムルさんただ一人だけ。

 

 

「魔鋼のみで構成された不純物の一切ない延べ棒だ。俺は()()が尽きない限り、魔鋼を含めたあらゆる物質を際限なく生み出すことが出来る。望むなら金銀銅、様々な鉱石を望むままに与えるぞ?」

 

 

しかし……この後、どうやってこの国から逃げよう?

 

ここはやっぱり〝瞬間移動〟しかないかなぁ。

 

 

「(……レイタロウさん。その所業はもはや神なんよ)」

 

 

また捕まるなんてイヤだし、そうしよう。

 

よーしそれじゃあ、百獣じゃないほうのカイドウさんが来るまで飲み明かそうかなぁ!

 




レイタロウさん「素材が無いなら創ればいいじゃない!(某アントワネット風)」

カイジンさん「んな無茶な……」

レイタロウさん「出来たお」

カイジンさん「」
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