転移したらスライムと一緒だった件:REY   作:びよんど

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ただいま〜って話です。


村への帰還

 

 

「いやはや。一時はどうなることかと思ったが、まっ概ね予定通りだな!……出禁になったけど」

 

「ご無事で安心しましたリムル様。それにしても裁判とは……」

 

「俺の日頃の行いが良かったから助かった感じだけどな」

 

 

裁判は何事もなく(嘘)閉廷し、俺達はカイジンほか四人を伴って逃げるようにドワーフの国の外に出ていた。

 

今回は時間が無かったため、本当に必要な道具や家具とかを捕食することで『胃袋』の中に収めることとした。

 

容量にはまだまだ余裕がある。

 

だが、流石に建物を飲み込むのは悪目立ちしすぎるし怪しまれるので止めておいた。

 

こうして旅の支度を整え、俺達はリグル達との待ち合わせ場所である森の入り口に向かい、現在に至っている。

 

 

「そうだ、まだ紹介してなかったな。彼が武具製作職人の―――あれ、どうしたんだカイジン?」

 

「なっ……なっ……!?」

 

「……嵐牙狼族(テンペストウルフ)に驚いているのでは?」

 

「あぁなるほど」

 

 

驚くのも無理はない。

 

なにせ、一匹一匹がマッコウクジラに匹敵する体長を誇っているんだから、迫力だけはとんでもないのだ。

 

それらが全て自分達ドワーフを見つめているとなれば、恐ろしくて逃げ出したくなるだろう。

 

 

「まぁいいや、続けるぞ」

 

 

慣れれば可愛らしいワンコみたいなもんだ。俺は慣れた。

 

ということで、リグル達でも分かりやすいように簡潔に紹介を行っていく。

 

 

「三兄弟の長男ガルム、腕のいい防具職人だ。次男ドルド、細工の腕はドワーフ随一って話だぞ。三男ミルド、器用で建築や芸術にも詳しい。……どうせ全員国元には居られなくなったワケだし、レイタロウさんがまとめてスカウトしちゃった」

 

「流石です!」

 

 

リグルの世辞もそこそこに、俺達はカイジン達を伴っての帰還を目指してランガの背に乗った。

 

やれやれ、ほんの数日なのにゴブリン村が懐かしいよ。

 

 

あっゴブタ!!

 

「うおっと!?……ゴブタ?」

 

 

……すると、さっきまで沈黙を貫いていたレイタロウさんが、急に声を張り上げてゴブタの名を叫んだ。

 

いやホントにビックリさせないでよもー!

 

ゴブタが一体どうしたっていうの―――あっ。

 

 

「ひどいッス―――!!!」

 

 

思い出した。

 

ゴブタを簀巻きにしたまま放置してたんだった。

 

 

「お、おぅゴブタ。元気してたか〜?」

 

「リムル様あんまりッスよ!怖い兵隊さんが来て泣きそうだったッス!!」

 

「いや悪い……ごめん。今度キレイなお姉ちゃんのいっぱいいる店連れてくから」

 

「ホントッスか!?絶対ッスよ!?約束ッスからね!?」

 

「お、おぅ……」

 

「やったッスー!」

 

 

ドワーフの王国出禁になっちゃったから当分先の話だけどな。許せよゴブタ。

 

……ん?今ゴブタのヤツ、嵐牙狼に乗ってきたけど、ドワーフの王国には連れて行かなかったよな?

 

一体どうやって?

 

 

「よーし帰ろ帰ろ」

 

「「「「 おー! 」」」」

 

 

……まぁいいか。どうせゴブタだし。

 

 

 

 

 

武装国家ドワルゴン。

 

今後、何度も関わりあうことになる国家。

 

逃げるようにこの国から飛び出した俺達は、そのことにまだ気付いていない。

 

 

 

 

 

「しっかし、また片道三日の旅路かぁ」

 

「……何言ってるのリムルさん?()()()()()()()()()()()()って奴だよ」

 

「……いや、あんたのほうが何言ってんだよ?」

 

「いやさ、ドワーフの国には初めて行くから、取り敢えず座標だけはしっかりと把握しときたかったんだよね。これで自由に行ったり来たりできるし、()()()()()()()()

 

「……………………はぁ?」

 

 

ちょっと何を言ってるのかよく分からない。

 

急におかしなことを言い出したレイタロウさんに怪訝な目を向けると、分かった分かったと言わんばかりに自分の能力を解説してくれるようだった。

 

が、突然その大きな両手同士を叩き合わせる。

 

さながら柏手(かしわで)を打つように。

 

 

「うん、到着っと」

 

「いやだから、何がしたいんだ―――」

 

 

結局レイタロウさんは何をしたいのか、それがいまいち分からなかったが、視界の先に映る景色が突然変わったことで、何となくだが悟ってしまった。

 

 

「……?……!!?」

 

「あ、あれ、ここって妙に見覚えがあるッスね〜?」

 

「な、んだと……!?」

 

「お、俺は夢でも見とるんか……!?」

 

「……ふぇ?」

 

「……えぇ?」

 

「……?」

 

「おや?……レイタロウ様!リムル様!随分とお早い帰還でございますな!」

 

 

野性味あふれるゴリラことリグルドが、いの一番に声をかけてくれた。

 

俺は、自分が立つこの場所を今一度確認する。

 

ここは……ゴブリンの村の広場の、初めて宴をやった場所であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達はゴブリンの村へと〝瞬間移動〟してきた。

 

村を出発してから一週間行くか行かないかくらいしか経っていないが、もはや懐かしさを覚える。

 

……まぁ村というより、柵で囲まれた広場なんだけどね。

 

俺達が旅に出ている間に、簡易的なテントなどを拵えて生活していたようだ。

 

村の中心の焚き火跡にはなんと、大鍋が設置してある。

 

〝焼く〟オンリーだった調理方法に〝煮る〟が加わったらしい。目覚しい進歩だ。

……というかあの鍋はどこから?

 

よく見ると、でっけえ亀の甲羅を加工したものだった。

 

預かり知らぬうちにドンドン狩りの範囲が広がっていくゾイ……。

 

取り敢えず、ほかの魔物に襲撃されたりはしていないようで一安心である。むしろほかの魔物を狩りに行ってるまであるぞコレ。

 

 

「レイタロウ様!リムル様!おかえりなさいませー!」

 

「「「「 おかえりなさいませー! 」」」」

 

 

村に来てすぐに、住民であるホブゴブリン達が俺達に気付き、歓声を上げて出迎えてくれた。

 

悪いね、残念ながらお土産はドワーフのおじさん四人しかいないんだ。

 

狩りで仕留めた魔物の毛皮などが干してあったため、彼らドワーフならすぐにでも衣服類は作ってくれるはず。良かったね!

 

いずれはゴブリン達にも、手ずから作れるようになってもらいたいものだ。

 

 

「……リグルド。早速彼らドワーフを紹介したいと思う。皆をここに集めてくれ」

 

「はっ、かしこまりました!……ただ一つ、よろしいでしょうか?」

 

 

ん、なんじゃらホイ?

 

随分困った顔をするのねリグルド。

 

 

「どうかしたのか?」

 

「……帰って来られて早々申し訳ないのですが、レイタロウ様とリムル様にお客です……」

 

 

客?……知り合いなんていたっけ?

 

リムルさんのほうを見やる。……体全体を横に振って否定の意を表していた。

 

まぁいいや。ともかくカイジンさん達には自由に村?を見学してもらうことにしよう。

 

リムルさんが『胃袋』に収納して持ってきた道具類は、空いているテントに押し込めてもらった。

 

ドワーフ四人組の世話をリグルに任せ、俺とリムルさんはリグルドの案内で客のいるところまで歩く。

 

 

 

 

 

一際大きめのテントへと案内された。

 

誰だ?……まぁ会えばわかるか。

 

そう考え、頭を屈めてテントの中へ潜る。

 

そして―――驚いた。

 

中にいたのは数名のゴブリン。

 

身なりのいいのが数匹と、それに付き従う何匹か。

 

族長とその護衛あたりかしら?

 

武器は携帯していない。

……していたとしても問題はないけれど。

 

俺のそんな困惑をよそに、突然ゴブリン達が平服した。

 

 

「「「 お初にお目にかかります、偉大なる御方!何卒、我らの望みをお聞き届け下さい!! 」」」

 

 

そして、一斉に()()()()()()()()()申し述べて来た。

 

……まぁ分かってたけどね、初見で俺の力を見抜ける奴は流石にいなかったか。

 

にしたって偉大な御方?……随分大げさだな。

 

だが、彼らのリムルさんを見る目は本気だ。

 

そこには悲壮感すら垣間見える。

 

そんな目でリムルさんを見て……何を期待しているんだ?

 

 

「ふむ。言ってみろ!」

 

 

と、リムルさん。

 

取り敢えず話は聞くらしい。すると……。

 

 

「はっ、有り難き幸せ!我らの望みは貴方様の配下に加えていただくことでございます!」

 

 

一人の族長が代表して述べた。

 

周囲も同意とばかりに頷いている。

 

期待に満ちた目でリムルさんを見つめると……。

 

 

「「「 何卒、宜しくお願いいたします! 」」」

 

 

深々と平服した。

 

 

 

 

 

話の内容を要約すると、そもそもの始まりは森の秩序が乱れ始めたことに起因するらしい。

 

牙狼族の襲撃の際、リグルド達の村が見捨てられたのも、戦力を割く余裕が無かったからとのこと。

 

豚頭族(オーク)蜥蜴人族(リザードマン)、そして大鬼族(オーガ)

 

この森の智恵ある魔物達が、森の覇権を求めて動き出したのだ。

 

今までも小競り合いはあったのだが、暗黙の了解で武力衝突には至らなかったのだ。

 

だがしかし、この森の支配者の消失という事態を受け、これまでの鬱憤を晴らそうという動きが出たのだろう。

 

本来魔物とは、自らの力を誇示したがる性質を持つ。

 

故に、溜まりに溜まった鬱憤を晴らすべく各種族とも準備に余念がない。

 

戦端が開かれるのは、時間の問題であると思われた。

 

弱小種族である子鬼族(ゴブリン)など、彼らの前にはただ蹂躙されるだけの存在でしかないのだ。

 

そこで慌てたのが各族長。

 

このままでは自分達は争いに巻き込まれ破滅してしまうだろうと危惧し、族長会議を開いた上で連日話し合いが行われたが、いい案など出るはずもなかった。

 

そんな最中、牙狼族の襲撃の報が寄せられたが今はそれどころでは無いと、リグルドの部族は忘れられた。

 

ところが、事態は思わぬ展開を見せる。

 

いまだ良い案も浮かばず、食糧の備蓄も乏しくなってきた頃、森に新たな脅威が現れたとの報告がなされたのだ。

 

黒き巨獣と、それを駆る者達の噂を。

 

その者達は平地を駆けるかの如く森の中を疾走し、強力な森の魔物を仕留めていった。

 

一体何者なのか?

……そこにもたらされる、驚愕の報告。

 

どうやら元ゴブリンであるらしい、と。

 

この報告を受けて、意見は分かれた。

 

 

今すぐにでもその者達の庇護下に入るべきという主張。

 

怪しすぎる、何らかの罠に違いないとする主張。

 

 

罠だと叫ぶ者達に、我々を罠に嵌める理由がないと説得しても聞き入れない。

 

また、罠で無かったとしても受け入れてくれるとも限らない。

 

悲しきかな、言葉での結論は出なかった。

 

故に、庇護を求める者の代表達がこの場に足を運ぶこととなったのだそうだ。

 

 

 

 

 

……まぁ虫のいい話ではある。

 

しかし、曲がりなりにもリグルド達と同じ種族で、庇護と引き換えに忠誠を誓うと言い切るほどのゴブリン達だ。

 

放逐すれば勝手に淘汰される。が、逆に受け入れれば、名付けをするだけでほどほどの戦力兼労働力となる。

 

どちらにせよ、俺とリムルさんの意見は一致した。

 

来たい者だけ来ればいい。

 

リムルさんは、その場にいるゴブリン達にそう伝えた。

 

その言葉を受けて、ゴブリン達は自分達の村へと帰っていったのだった。

 




Q.レイタロウさんの使う瞬間移動とは?

A.一度でも立ち寄ったことのある場所や、一度でも対面したことのある人物の元に一瞬で移動できます。
 距離が離れすぎていると使えませんが、少なくとも大陸間を行ったり来たりできる程度の有効範囲を誇ります。
 複数人まとめて移送できます。
 人に限らず物品も対象範囲内です。
 自分から赴くだけに限らず、相手を手元に引き寄せるなんて芸当も可能です。応用すれば、物品のみを相手に送りつけたり、逆に引き寄せることも出来ます。
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