タイトルで大体察してって話です。
どうも、レイタロウと言います。
魔物の町の町長にして、魔王を名乗る者にして、ジュラの森大同盟の盟主を任された、肩書だけは多い男です。
リムルさんにオーク達の〝名付け〟を押し付け、二週間経つか経たないかくらいでようやっと全てのオークの名付けを終えた彼を配下ごとまるっと町まで瞬間移動で移送し、無事に町へと帰還を果たした次第でございます。
帰ってきて直ぐ、オーク達にそれぞれの仕事を割り振り、それでようやっと落ち着きを取り戻すことが出来た。
あれから三ヶ月経つ。
町は急速に形を整えつつあった。
俺の配下である
カイジンさん曰く、鍛えればドワーフの工作兵に劣らぬ技術を持てるかも知れん!とのこと。
町は労働力を得たことにより、今まで滞っていた部分にも人手が入り、一気に建設ラッシュとなっているのだ。
並行して、物資の運搬も順次行われている。
自分達で使わなくなったテントを解体し、オークの各集落へと届けているのだ。
各地に散ったゴブリン達も指導を適切に行っているのか、順調に根を張り、生活基盤を整えているとのこと。
物資の交流も行い、各集落の特産品をお互いに流通し合うシステムも生まれつつあるようだ。
大昔の物々交換の出だしのような状態ではあるが、自分達で考え行動を起こしているのは大変素晴らしい。
まぁまだ大規模な農耕が出来る段階ではないけれど、少しずつそれも習得していくことだろう。
いまだ種類は少ないものの、割と根性のある芋の苗が出来ていた。
これは過酷な環境でも育つ芋である。
栄養価もそこそこ高いので、贅沢をしなければ飢えで苦しむことのない生活を送れる。
こうして少しづつ、苗を配り育成を指導した。
再来年辺りからはある程度の自給自足が可能となるのではと期待している。
「……君、ちゃんと休んでいるのか?」
「レイタロウ様。……飯も食えて寝床ももらっているのですから休みなど不要です」
「馬鹿者。サボることは許さんとは言ったが、心身をゆっくりと休ませねばそれだけ疲労が溜まり、結果ゲルドにかかる負担が大きくなるんだぞ。……休め。適度にな」
「は、はい!」
テントや苗の運搬にはゲルド二世が役に立った。
自分で主張しただけのことはあり、テントや資材を解体したものを飲み込み、各地へと配達している。
いつの間にか進化していた
ゲルド二世は真面目に取り組み、真っ先に『影移動』に耐えられるようになった。
そこからは早かった。
何しろ、山岳地帯への配達を徒歩で行うならば何ヶ月もかかるのだ。
それを一日で往復可能となったのである。
これにより、各集落との主要な連絡網の整備も捗った。
郵便事業の走りのようなものだ。
木版にある程度の内容を記入し、回覧板のように各集落を巡回させるのだ。
もっとも、文字を書ける者がいないので伝言を伝えるだけなのがちょっと怖い。
単一の者が全ての集落を巡るので、そこまで大きく伝言内容を歪曲することはないと信じたい。
……文字の習得のために学校の設立を検討するか。
『思念伝達』も距離が遠すぎると無理だしねぇ。
あぁでも、それより優先したい事業もあるし……。
今後の課題だ。
まぁぶっちゃけた話、俺が一人で動けばそれで済む話なんだけどね。
けど、何でもかんでも俺一人でやると配下のやる気を削ぎかねないし、なんとも難しい話だねぇ。
こうして、各々の部族間・集落間での繋がりも確かなものとなっていくこととなる。
そうこうしているうちに、
その数、およそ八千近く。
「何卒、我々も貴方様の
「「「 お願い致します!!! 」」」
膝をつき、一斉に頭を下げたゴブリン達を俺は快く受け入れることとした。
もともと来いと脅しをかけたのは俺だしねぇ。
「良かろう。その忠義が尽きぬ限り、君達の繁栄は確固たるものとなる。くれぐれもサボるなよ?」
「勿論で御座います!!!」
あっさりと受け入れを決めた。
そして、リムルさんを待っていたのは
またかよ!
彼の悲鳴が響き渡ったのはこのすぐ後のことである。
数字を駆使し、緑の戦士として名付けていった。
後の
今はまだ薄汚れた
まぁ悪いことばかりじゃない。
彼の
そりゃあねぇ、空になって満タンにし、また空にするという流れを繰り返せば、少しは増えるというもんだ。
こうして、ゴブリン達の名付けも終わりを迎えたのだ。
リムルさんが名前を付け終わる頃、ようやく町に住む魔物達全員に家が行き渡った。
ゴブリン達は纏めて寄宿舎のような建物に住んでもらうことになったが、それでもテントよりはマシであるはず。
汲み上げ式ではあるが、各家に井戸も設けられ、かなり文化的な町となっている。
トイレが水洗なのも素晴らしい。
汲み取った水を手動でトイレに設置した桶に補給する必要はあるけれど、力ある魔物には些細な問題だ。
……俺やリムルさんみたいに排泄の必要ない連中もいるけどねぇ。
だがしかし、町のそこかしこが匂うなど問題外である。
こればかりは譲れない点だと思った。
畑や牧畜など、まだまだ成果の出ていない分野も多い。
これからもっと町を盛り立てていきたいものだねぇ。
そいつらは、忘れた頃にやってきた。
シュナと横並びで町中を散策している時だった。
「いやぁハッハッハ!このガビル、レイタロウ様のお力になりたく、馳せ参じましたぞ!」
「……ごめん。すっかり忘れてたわ」
「なんとっ!!?」
取り巻きの配下を多数引き連れてやってきたガビルに、正直に告白した。
使者として来た時以上の印象がどうにもなくてさぁ……。
「あらあら……客人に失礼ですよ。
シュナが柔和そうな表情でそう口にしてきた。
その顔は惚気と書いてゾッコンと読む。そんな顔だった。
「こ、これはこれは……随分と可愛らしいお嬢さんではございませんか!このガビルと少しお茶でも―――」
「要件を言うかそれとも死ぬか、好きなほうを選べ」
俺の凄みに恐れおののいたガビル達は急速に顔色を青ざめていった。
「調子に乗ってましたスイマセン!是非、我輩達をレイタロウ様の配下に加えて下され!必ずお役に立ってご覧に入れます!!」
……などと、一斉に土下座しながら言い直した。
何でも、首領である親父さんに俺の配下になって見聞を広め、一人前になるまで帰ってくるなと言われたらしく、ここ以外に行くアテが無いらしい。
取り巻きの配下のほかに、腕に覚えのある者もそこそこ混ざっており、首領の義理堅さと先見性の高さが窺える。
「……まぁいいよ。今は少しでも戦力が欲しかったところだしね」
「おぉ!ありがたき幸せに御座いまするぅ!」
断る理由もないため、配下に加えることにした。
どうせすぐに調子に乗るんだろうけどねぇ。
……あれ?
ガビルの取り巻きの中に親衛隊長が混じってるなぁ?
「なんで親衛隊長までここに?」
「私も、リムル様から名を賜った父アビルより見聞を広めよと送り出されたのです」
「え"っ!?親父殿も名を賜っていたのか!?道理で若々しくなっていると思っていたが……と、ということは我輩を慕ってきたワケでは……?」
「いえ、違います。……私、一応は兄上を尊敬しておりますよ。でもそれよりもソウエイ様に憧れておりまして」
ガーン!!!「お、お前は昔から生意気なのである!」
「兄上こそ、少しは自重を覚えてください」
「なにをぉ!?」
「ガビル様負けるなー!」
「隊長言ってやってくださいよ!」
仲が良いのか悪いのか……まぁ良いんだろうなぁ。
それはそうと、配下にするなら名前は必要だな。
リムルさんに『
そんなこんなで再びリムルさんを襲う
でもまぁ、今回は百名程度しかいないため、十九万に比べれば遥かに気楽なもんだ。
ソウエイの配下になるなら親衛隊長は
残り四人の親衛隊メンバーは、それぞれ
そんな他愛のない独り言をブツブツ言いながらリムルさんの名付けは進んでいく。
そうして名付けると、進化が始まった。
「いいであるなぁ……」
それを羨ましそうに見ているガビル。
そんなガビルの隣に立っていた俺は、何気ない一言をポツリと呟いて慰めた。
「君には
「はっ、そうでした―――なぁ!!?」
……ここが外であったことが幸いした。
何故かって?
そりゃアンタ、ガビルの体が急に燃えだしたんですぜ?
ここが屋内だったら大変なことになってるよ。
っていうかメチャクチャ熱いし。
「「「 ガ、ガビル様ぁぁぁ!!? 」」」
「あ、兄上ぇ!!?」
「シュナ、離れていろ」
「っ、はい!」
噴き出した炎はやがてマグマへと変わり、ガビルの全身を覆うようにタマゴ状に収束していく。
マグマで形作られたタマゴは急速に冷え固まり、その熱は一旦は引いたように思えた。
だが、それは違う。
熱は引けたのではなく、更に中心……ガビルに収束しているのだ。
ガビルは己の殻を破り、孵化しようとしている。
《告。個体名ガビルは
そして、タマゴの殻から完全に熱が消えたその刹那。
ガビルはこの世に―――
「新生ガビル、ここに誕生である!!」
……生まれ落ちた。
周囲にタマゴの破片を飛び散らせながら。
《確認しました。種族:
全ての身体能力が大幅に上昇しました。
固有スキルは『超速再生、炎熱自在』です。
なお、身体特性として『岩漿一体』『飛翔自在』が備わりました。
続けて、
究極能力『
以上で、進化を完了します》
ガビルの全身を覆う皮膚が、焼け爛れたように熱く脈動している。
実際に焼け爛れているワケではなく、むしろ膨大な熱量をその身に閉じ込めてなお、当のガビル本人は平然としていたのだ。
口元は鳥の
そして一番に目を引くのは、両腕と一体化したその巨大な翼であろう。
マグマの血液を通わせるプテラノドン。
……現在のガビルを表現する上で、最適なものであろう。
「「「 ガビル様カッチョイー!! 」」」
「もっと!もっと褒めるが良いぞ!!」
「「「 ガビル様ステキー!!! 」」」
「Foooooooooo!!!」
そんなガビルは今、取り巻きの声援を受けながらナルシスト気味にポージングを取って自らの姿を惜しげもなく自慢していた。
「……ダメだってレイタロウさん。そんなホイホイ名付けをしちゃあ」
「……ごめんリムルさん。なるべく自重するよぉ」
「受け入れ準備は既に整っております。ですが、物凄い騒ぎになりましたね……」
ホントだねシュナ。俺も流石に反省したよぉ……。
今後はリムルさんに〝名付け〟を押し付けるよぉ……。
「まぁいっか。人は多いに越したことはないし、賑やかし要員がいたほうが
「む、結婚式と?……一体どなたが結婚なされるのですかな?特別にこの我輩が祝福して差し上げましょうぞ!」
うおっ、急にこっちに近付いてくんなや。
教えるから、教えるからその熱い体をどけなさい。
「七日後、シュナと結婚するんだよ」
「……ぇ、どなたが?」
「だから
「「「「 ぇ、え……? 」」」」
「そういう意味じゃ、このタイミングに来れたのはラッキーだったかもしれんな。既に武装国家ドワルゴンの王にも招待状を送っているし、たぶん近いうちに駆け付けてくるだろ」
「「「「 ………えぇぇぇぇぇぇ!!? 」」」」
ハッハッハ。羨ましいだろ皆ー?
こういう忙しい時期だからこそ、盛大に盛り上げていかなくちゃな!
……シュナのあなた呼びは、ちょっと気が早い気がしないでもないけどね!