色々あったんですよって話です。
<<< 閑話① プロポーズ >>>
「……今日もいい日和だねぇ」
「そうですね。レイタロウ様……」
ホントにいい天気だ。ここにシュナといれる幸せよ。
配下の皆にお願いして作ってもらったこのニホン家屋、驚くくらいに再現度が高くてビックリしちゃったのは記憶に新しい。
リムルさんの知識に『
俺はそこの縁側でシュナと一緒に日向ぼっこをしている。
すぐ傍らに置かれていたみたらし団子を食み、湯呑みに注がれていたお茶を啜る。
「……頼んでおいた
「至難を極めましたが、トレイニーさんやシズさんの協力もあり、いたって順調に進んでおります。早ければ、あと一月ほどで完成するかと」
「そりゃあいい。……だが焦りは失敗の元だ。慌てずゆっくりとやっていってくれ。何か不足しているものがあればすぐに言うんだぞ?」
「ありがとうございます。現時点で不足しているモノは御座いませんので、安心ください」
優しく微笑むシュナの言葉に一安心し、ゴロンと仰向けに転がる俺。
シュナに一任しているこの一大プロジェクトに、
……ジュラ・スターモンズ連邦国って言うのは、町から国の規模にまで膨れ上がった人口を把握した俺が仮で決めた国名のことだ。
ジュラの大森林そのものを俺の領土にする予定であったため、国を持つこと自体に抵抗感はなかったが、これでもう目立たずにはいられないだろう。
リムルさんと協力して製作した、対クレイマン用ネガティブキャンペーン動画を俺の〝創造〟した水晶に封じ込め、既に所在を把握している十人の魔王の私室に転送する等の準備はバッチリと済ますことは出来た。
後は機を見て実行するだけでいい。
……クレイマンは、自分の不始末で生じた
正直、上記の状況を作り出すことのほうがよっぽど難しいと思っているワケよ。
『裁定者』が乗っ取れるのはユニークスキルまでだ。
それも、
純粋に究極能力しか持ち合わせていない場合、そもそも乗っ取ることすら出来ないだろうと思っている。
どこぞの原初の
あと、
やれやれ、やることが多すぎて休む間がないよ……。
……そうだな。今しかないな。うん。
「シュナ」
「何でしょうレイタロウ様?」
「俺の妻になってくれ。必ず君を幸せにする」
「はい喜んで。………………うぇ?」
シュナの顔に、段々と赤みが増していく。
恥じらい?……ンなもんに振り回される俺じゃないぜ!
「ありがとう。こんな不出来な俺だが、君と君が暮らすこの国をもっともっと盛り立てて、守り抜くと誓うよ」
「は、はゎゎゎ、レ、レイタロウ様ぁ!?」
「逃がしはしないぞ。……君はもう、俺のモノだ」
「それはもうずっと前からシュナはレイタロウ様のモノで御座います……じゃなくて、あぁ、えぇっと……!」
「俺を見ろ」
「っ、はい!」
「ただ俺を見て、信じていれば良い。……君を世界で一番幸せな女の子にする男をな」
「………」コクッ…コクッ…
自分でも横暴だと思う。
でもね、このぐらいグイグイ行かなきゃ恋愛なんて進展しないのよ。
ただの〝良い人〟には到底真似できない。
……これが俺の恋愛術である。
「シュナ……レイタロウ様……?」
「……あ、ベニマル」
「お兄様……」
「……というワケで、シュナは俺の妻になった。義理の兄になる予定だからよろしくね?」
「シュナはレイタロウ様の
「あ、あばばばばば……」
ベニマルの情緒はぶっ壊れてしまった。
その後、国を挙げての宴に発展したのは言うまでもない。
オークロード戦から、二ヶ月経った頃の話である。
<<< 閑話② 蟲魔族との出会い >>>
「レイタロウよ!
「ヒ、ヒィィィ…!!」
「クッ、コロセ…!!」
「……なぁんでそんなデッカい蟲を拾ってくるのぉ?」
街の中を適当にぶらぶらしていると、急に
リムルさんをワイルドな長身イケメンに成形したようなビジュアルの
「ヴェルドラさん……その子達見るからに怯えているよ。早く野に放してあげなさい」
そう、俺の目の前にいる
俺がちょちょいとスキルを使うことで『無限牢獄』から無事脱出を果たしたヴェルドラさん。
その直後にリムルさんの『胃袋』に収納されることを受け入れ、ちょくちょく外界に干渉する以外には大人しくしていたのだが……。
「暇だったのでな。リムルのヤツに黙ってこっそりお出かけしておったら、ほかの魔物にいじめられている此奴らを発見したワケよ!」
「オ、オタスケヲォ…!!」
「オレニモットチカラガアレバ…!!」
「……今はヴェルドラさんに怯えてるワケね」
「なぬっ!?」
『
最初に会った時の肉体は魔素で形作られていたが、『胃袋』にいる間は不要なため魔素に還元されていた。
外界に干渉する際はちょくちょく勝手にリムルさんの体の一部を使っていたようだが、それのおかげで〝魂の回廊〟が確立されたのかもしれない。
真なる魔王に図らずも至ってしまったリムルさんのつよつよ分身体に憑依したヴェルドラさん。
……結果は言うまでもない。
不幸中の幸いなのは、この国に住まう魔物達がヴェルドラさんを排斥することなく畏敬の念をもって接してくれていることだ。
「クアハハハハ!まぁ良い!怯えられるのもまた、絶対的強者の特権である!」
でもまさか、リムルさんに
これで通算三つ目の究極能力。リムルさん恐るべしだ。
それはそうとヴェルドラさん。
……そのハチとカブトムシ擬きを放してあげなぁ?
「……要するに、俺に〝名付け〟をしろと?」
「察しが早くて助かるぞ!……特にこの黒い蟲魔族、此奴はとびっきり強くなる気がするのだ!黄色いのはリムルに名付けさせるのが良かろう!」
やれやれ、簡単に言ってくれるぜ。
何処の馬の骨とも分からん昆虫を拾ってきておいて、名前は俺に付けろだって?
ふざけてるよ全く……まぁ名前は付けるけども。
ヴェルドラさんに差し出された黒い蟲魔族を両手で受け取り、ひょいと掲げる。
「うぅ〜ん、君は……」
「………」
ダ、ダメだ、全く思い浮かばねぇ……。
カブトムシとクワガタムシを融合させた、この意外とカッコいい造形の魔物にどんな名前を付けるべきか物凄く悩んでしまう。
……そうだ、こういう時こそリムルさんに相談だ!
『リムルさんリムルさん。ちょっと相談』
『あっ?……なんだレイタロウさんか。俺ちょっと忙しいんだよね。ま〜たヴェルドラがどっかに消えちゃってさ、せっかくプロジェクトが大詰めだって時に……!』
『そのヴェルドラさんなら俺の隣におるよ?』
『ハァ!?……マジかよクソッ、あいつ最近魔素を隠すのが上手くなっちまったから見つけにくかったんだよな。すぐそっち行くけど、そう言えば相談って何?』
『今から映像を送るけど……ヴェルドラさんがたまたま見つけて保護した魔物に名前を付けようと思うんだよね。なんかいい案ある?』
黒い蟲魔族の姿形をリムルさんのスキルを介してその思考回路に送りつける。
『おっ来た来た……結構カッコいいフォルムじゃん』
『でしょー。なんかイイ感じの名前ってあるかなぁ?』
『ん〜〜〜………ゼギオンとか?』
『ゼギオン……イイ感じだね。それにするよ!』
そうと決まれば後は早い。
「今日から君の名前はゼギオンだ。二人の真なる魔王から授けられた名に恥じない強さを身に付けなさい」
「……ゼギオン!!!」
直後、凄まじいレベルの倦怠感に襲われる。
足元がぐらつくが、ここはグッと踏ん張って耐えた。
マジでヤバいな。
俺のエネルギー総量の九割を持ってかれたぞ。
「カヒュー…カヒュー…今、とんでもない量の
ヴェルドラさんがどういうワケか、汗をダラダラと流しながら荒く息を吐いていた。
……あっリムルさんもしかして!?
即座に『思念伝達』でリムルさんの状態を確認する。
『リムルさん大丈夫!?』
『……動けねぇ』
案の定だった。
どうやら、俺とリムルさんの合同で〝名付け〟をした感じになったらしい。
そんで、ゼギオンの進化に必要な
……どう考えても俺の負担のほうが途轍もないな。
ゼギオン、君は凄まじい奴だな……。
「「 ……
……世界の言葉が聞こえるでもなく、さりとて生命活動が停止したワケでもない。
俺達がゼギオンと名付けたカブトムシ擬きは、いつの間にか蛹となって沈黙してしまった。
その身に、莫大なエネルギーを秘めながら……。
余談となるが、ハチのほうは後にリムルさんがアピトと名付け、魔国連邦(ジュラ・スターモンズ連邦国の略)の特産品となる絶品蜂蜜を作り出す希少な人材へと成長していくこととなる。
そして、この時の俺達は知る由もなかった。
ゼギオンがまさか、
ちなみに、レイタロウさんのエネルギーは枯渇しかけても秒で全回復するので問題なしです。
次回から本編に戻ります。